黄金(きん)と壮麗の華
Wonder 現在編-17 麗花の過去
読んで下さり、ありがとうございます。
それでは本編始まります。
麗花が学校に来なかったので、私はとても不安になった。
だから、このことを蘇芳達にも伝えた。
すると、今日、麗花の家に訪問してみようという話になった。
放課後
碧)「じゃ、行こう。麗花の家に」
私達は麗花の家に向かった。
家の前に着くと、私達はピンポンを鳴らした。
ガチャ
扉が開かれた。
中からハイトが出てきた。
ハイト)「麗花様はお会いになりたくないと仰っていますが、これは私ではどうにも出来ないことなので……。」
ハイト)「……あなた方に任せます。」
ハイト)「どうぞ、お入り下さい。」
ハイトはそう言って、私達を招き入れた。
麗花の寝室前のドアまで行った私達はドアをノックした。
碧)「麗花、話があってきたの。」
麗花)「何で!?碧達が……。ハイト、裏切ったの?」
ハイト)「私が、麗花様の為を思ってしたことです。」
麗花は驚きの声を上げる。
麗花)「いやっ、ごめんなさい。入ってこないで。」
麗花は震えた声でそう告げる。
これは、、、
碧)[泣いてる!?]
私は強行突破で、合い鍵を使ってドアを開けた。
麗花はやはり泣いていた。
麗花)「入ってこないでって言ったのに~………。」
麗花は泣きながらそう言った。
ふと、麗花の足を見ると湿布が貼ってあった。
麗花)「やめてっ、見ないで。」
そう。
麗花は足を捻挫していた。
碧)「それって、女の子を助けて着地した時に?」
麗花)「……うん。見せたくなかったなぁ。」
碧)「何で!?言ってくれれば、、、」
手当てしてあげたのに、と言おうとすると麗花はその前に言った。
麗花)「だって、かっこ悪いじゃん。私が助けたのに、怪我するとか……。」
麗花は少し俯いた。
碧)「なんだ。そんなこと…。」
碧)「麗花って結構カッコつけたがりなんだね。」
私は微笑んだ。
麗花)[どうしよう。言った方がいいよね…………。]
麗花)[たぶん、今誤魔化すことは出来ても、きっとすぐにボロが出る。]
麗花)[言うなら、今だ!]
麗花は覚悟を決めた様子で私達の方を見つめた。
麗花)「今から話すことは全て真実。驚いて、幻滅するかもしれない。私が嫌いになるかもしれない。]
私は、そんなことない、と言おうとしたが、麗花は首を振った。
麗花)「とりあえず、何も言わずに聞いて欲しい。」
麗花はそう言って、真実を話し始めた。
麗花)「私の本名は、アリス・ミクセリア・エクリローメル。琥珀の言うアリス姉で、大財閥、エクリローメル家の一人娘なの。」
碧)「エクリローメル家ってあの!?」
エクリローメル家は知らない人がいないと言われる大財閥。
麗花はコクリと頷いた。
麗花)「私は人殺しなの。」
麗花以外)「「「「「えっ!?」」」」」
麗花)「私にはレオンこと、望月レオンハルトっていう幼なじみがいたの。」
「私は、昔レオンのことが大好きだった。レオンは幼なじみでありながら、私の婚約者だった。」
「ある日、私はある男と出会った。その男は私とレオンを襲った。」
「私に魔力があるって知ったのはその時よ。レオンに教えてもらったの。」
「で、私は自分にそんな力があるって知って舞い上がっていたんだと思う。今まで自分の存在価値が見いだせなかったから。」
「だから、私はその時、自分の怪我とレオンの怪我を治したの。でも、それは間違いだった。」
「その後にレオンが負った大怪我は治せなかった。私は魔力に限界があるって知らなかったの。」
「今は、沢山練習して魔力が増えてるけど、あの時は初めてだったから……。」
「私が、あの時自分の怪我を治さなければレオンは助かってたのかもしれないのに………………。」
「………私は怖くて逃げ出した。私が兵を引き連れてそこに戻った時にはレオンの人影はなかった。」
「だから、生死は分からないけど、たぶん…………。」
「私はレオンを…………殺した。私のせいで……レオンは…………。」
麗花は涙をボロボロと流していた。
私達は何も言えなかった。
軽はずみな気持ちで慰めの言葉はかけてはいけない、って分かってたから。
碧)[でも、私でも分かる。これは麗花のせいじゃない!麗花は人殺しなんかじゃない!]
碧)[でも、それをどうやって伝えればいいの!? たぶん、生半可な言葉じゃ麗花の心に響かない。]
みんなも私と同じことを考えているようだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
この沈黙を破ったのは、麗花だった。
麗花)「私が、碧のいる学園に転校して来たのは、レオンを捜すため。レオンのような魔力があそこに来るような気がしたの。」
麗花)「私は、たとえもうレオンがこの世にいなくてもずっと捜し続ける。」
「・・・それが私に出来るせめてもの罪滅ぼしだから。」
また訪れた沈黙を破ったのは琥珀だった。
琥珀)「アリス姉じゃなくて、ただの麗花はどうなの?」
麗花)「えっ!?」
琥珀)「今までの話はアリス姉の話だろ。麗花はそれでいいの?」
麗花)「・・・・・。」
麗花)「そんな風に考えたことはなかったな………。すごいね。琥珀は。あの頃も沢山励まされてたよ。」
蘇芳)「一つ聞いていい?麗花は不老不死?」
麗花)「違うよ。確かに、どんな姿にもなれて、少しの怪我で死ぬことはないけど、ちゃんと年はとる。」
「まあ、不老不死に少し似てるかもしれないね…。驚かないんだ?」
蘇芳)「麗花の秘密知った時から、大抵のことは驚かなくなったよ。」
麗花)「・・・私が人殺しってことは?」
琥珀)「それは…………。」
麗花)「みんなが望むなら、私はみんなの記憶の中の私と出会ってからのものを消してあげる。」
碧)「えっ!?」
麗花)「苦しいでしょ?逃げ出したいんじゃない?何も、私の事情にみんなまで苦しむ必要なんてないんだよ。」
碧)「いやだよ。勝手に消すなんてそんなの酷すぎるよ!」
琥珀)「ああ、俺達はそんなこと望まない。」
蘇芳)「麗花と向き合うって決めたからな……。だろ?」
蒼馬&凜紅)「「ああ。」」
麗花)「何で!?私にそこまでしてくれるの?私はみんなが思ってるような人間じゃない!」
琥珀)「何でって、ただ、好きなんだよ!……俺達は!」
麗花)「うぅ。」
麗花は泣き崩れた。
私達は、ただ静かに麗花の背中をさすってあげていた。
私達にとって、この沈黙は必要なものだった。
読んで下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!
それでは本編始まります。
麗花が学校に来なかったので、私はとても不安になった。
だから、このことを蘇芳達にも伝えた。
すると、今日、麗花の家に訪問してみようという話になった。
放課後
碧)「じゃ、行こう。麗花の家に」
私達は麗花の家に向かった。
家の前に着くと、私達はピンポンを鳴らした。
ガチャ
扉が開かれた。
中からハイトが出てきた。
ハイト)「麗花様はお会いになりたくないと仰っていますが、これは私ではどうにも出来ないことなので……。」
ハイト)「……あなた方に任せます。」
ハイト)「どうぞ、お入り下さい。」
ハイトはそう言って、私達を招き入れた。
麗花の寝室前のドアまで行った私達はドアをノックした。
碧)「麗花、話があってきたの。」
麗花)「何で!?碧達が……。ハイト、裏切ったの?」
ハイト)「私が、麗花様の為を思ってしたことです。」
麗花は驚きの声を上げる。
麗花)「いやっ、ごめんなさい。入ってこないで。」
麗花は震えた声でそう告げる。
これは、、、
碧)[泣いてる!?]
私は強行突破で、合い鍵を使ってドアを開けた。
麗花はやはり泣いていた。
麗花)「入ってこないでって言ったのに~………。」
麗花は泣きながらそう言った。
ふと、麗花の足を見ると湿布が貼ってあった。
麗花)「やめてっ、見ないで。」
そう。
麗花は足を捻挫していた。
碧)「それって、女の子を助けて着地した時に?」
麗花)「……うん。見せたくなかったなぁ。」
碧)「何で!?言ってくれれば、、、」
手当てしてあげたのに、と言おうとすると麗花はその前に言った。
麗花)「だって、かっこ悪いじゃん。私が助けたのに、怪我するとか……。」
麗花は少し俯いた。
碧)「なんだ。そんなこと…。」
碧)「麗花って結構カッコつけたがりなんだね。」
私は微笑んだ。
麗花)[どうしよう。言った方がいいよね…………。]
麗花)[たぶん、今誤魔化すことは出来ても、きっとすぐにボロが出る。]
麗花)[言うなら、今だ!]
麗花は覚悟を決めた様子で私達の方を見つめた。
麗花)「今から話すことは全て真実。驚いて、幻滅するかもしれない。私が嫌いになるかもしれない。]
私は、そんなことない、と言おうとしたが、麗花は首を振った。
麗花)「とりあえず、何も言わずに聞いて欲しい。」
麗花はそう言って、真実を話し始めた。
麗花)「私の本名は、アリス・ミクセリア・エクリローメル。琥珀の言うアリス姉で、大財閥、エクリローメル家の一人娘なの。」
碧)「エクリローメル家ってあの!?」
エクリローメル家は知らない人がいないと言われる大財閥。
麗花はコクリと頷いた。
麗花)「私は人殺しなの。」
麗花以外)「「「「「えっ!?」」」」」
麗花)「私にはレオンこと、望月レオンハルトっていう幼なじみがいたの。」
「私は、昔レオンのことが大好きだった。レオンは幼なじみでありながら、私の婚約者だった。」
「ある日、私はある男と出会った。その男は私とレオンを襲った。」
「私に魔力があるって知ったのはその時よ。レオンに教えてもらったの。」
「で、私は自分にそんな力があるって知って舞い上がっていたんだと思う。今まで自分の存在価値が見いだせなかったから。」
「だから、私はその時、自分の怪我とレオンの怪我を治したの。でも、それは間違いだった。」
「その後にレオンが負った大怪我は治せなかった。私は魔力に限界があるって知らなかったの。」
「今は、沢山練習して魔力が増えてるけど、あの時は初めてだったから……。」
「私が、あの時自分の怪我を治さなければレオンは助かってたのかもしれないのに………………。」
「………私は怖くて逃げ出した。私が兵を引き連れてそこに戻った時にはレオンの人影はなかった。」
「だから、生死は分からないけど、たぶん…………。」
「私はレオンを…………殺した。私のせいで……レオンは…………。」
麗花は涙をボロボロと流していた。
私達は何も言えなかった。
軽はずみな気持ちで慰めの言葉はかけてはいけない、って分かってたから。
碧)[でも、私でも分かる。これは麗花のせいじゃない!麗花は人殺しなんかじゃない!]
碧)[でも、それをどうやって伝えればいいの!? たぶん、生半可な言葉じゃ麗花の心に響かない。]
みんなも私と同じことを考えているようだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
この沈黙を破ったのは、麗花だった。
麗花)「私が、碧のいる学園に転校して来たのは、レオンを捜すため。レオンのような魔力があそこに来るような気がしたの。」
麗花)「私は、たとえもうレオンがこの世にいなくてもずっと捜し続ける。」
「・・・それが私に出来るせめてもの罪滅ぼしだから。」
また訪れた沈黙を破ったのは琥珀だった。
琥珀)「アリス姉じゃなくて、ただの麗花はどうなの?」
麗花)「えっ!?」
琥珀)「今までの話はアリス姉の話だろ。麗花はそれでいいの?」
麗花)「・・・・・。」
麗花)「そんな風に考えたことはなかったな………。すごいね。琥珀は。あの頃も沢山励まされてたよ。」
蘇芳)「一つ聞いていい?麗花は不老不死?」
麗花)「違うよ。確かに、どんな姿にもなれて、少しの怪我で死ぬことはないけど、ちゃんと年はとる。」
「まあ、不老不死に少し似てるかもしれないね…。驚かないんだ?」
蘇芳)「麗花の秘密知った時から、大抵のことは驚かなくなったよ。」
麗花)「・・・私が人殺しってことは?」
琥珀)「それは…………。」
麗花)「みんなが望むなら、私はみんなの記憶の中の私と出会ってからのものを消してあげる。」
碧)「えっ!?」
麗花)「苦しいでしょ?逃げ出したいんじゃない?何も、私の事情にみんなまで苦しむ必要なんてないんだよ。」
碧)「いやだよ。勝手に消すなんてそんなの酷すぎるよ!」
琥珀)「ああ、俺達はそんなこと望まない。」
蘇芳)「麗花と向き合うって決めたからな……。だろ?」
蒼馬&凜紅)「「ああ。」」
麗花)「何で!?私にそこまでしてくれるの?私はみんなが思ってるような人間じゃない!」
琥珀)「何でって、ただ、好きなんだよ!……俺達は!」
麗花)「うぅ。」
麗花は泣き崩れた。
私達は、ただ静かに麗花の背中をさすってあげていた。
私達にとって、この沈黙は必要なものだった。
読んで下さりありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!
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