黄金(きん)と壮麗の華

リナ

Wonder 現在編-10 麗花の正体2

読んで下さり、ありがとうございます。
それでは本編始まります。


麗花に言われるがまま後をついて行くと、着いたのは麗花の屋敷だった。

誰も、何も言わないまま大広間に着くと、最初に口を開いたのは案の定麗花だった。

麗花)「どうぞ。座って。」

麗花にそう言われて私達が高級そうな椅子に座ると、メイドさんがお菓子と紅茶を持ってきた。

碧)「えっと、ありがとうございます。」

私がそう告げるとメイドさんはニコッと微笑んだ。

麗花)「ありがとう。もう下がっていいわ。」

メイド達)「はい。ごゆっくりおくつろぎ下さいませ。」


メイド達が出て行くのを確認した後、麗花は言った。

麗花)「ごめんなさい。」

麗花以外)「「「「「えっ!?」」」」」

麗花の予想外の言葉に私達が息をするのを忘れていると、麗花は

麗花)「私のせいなの。みんなを危険な目にあわせてしまったのは……。」

それは違う、と言おうとした私達に麗花は言わないで、と言うように目配せをした。


そして、麗花は話し始めた。

麗花)「私、実は人間じゃないの…………。」

麗花)「私の父は百鬼という鬼の一族だった。私の母は天使の一族の最後の生き残りだった。」

琥珀)「………だった・・・?」

麗花)「ええ。私の父と母はもう亡くなっているから。」

琥珀)「えっ、ごめん。」

麗花)「ううん、別にいいよ。」

麗花)「……だから、私は百鬼と天使の血を受け継いだ世界でただ一人の者なの。」

麗花)「だから、私は幼い頃からこの力を巡って襲われてきた。」

麗花)「確か、一番最初に誘拐されたのが5歳の時だったかな。それから、何回も何回も……」

麗花)「時には、周りの人間にまで危害が及んだこともある。」

麗花)「私は、別にみんなに同情してもらおうとしてこんな話をしてるわけじゃない。」

麗花)「ただ、みんなは私にとても優しくしてくれたから……」

麗花)「私がみんなに危害を与えるなんてこと、あってはいけないの。」


麗花)「だから、もしもいつかみんなに危害が及ぶ前に、私はここを離れようと思うの。」

碧)「えっ、嫌だよ。行かないで。」

私は泣きながら訴えた。

琥珀)「そうだよ。俺らが離れて欲しいなんて言ったか?」

麗花)「えっ……」

蘇芳)「俺らの気持ちを無視すんな。」

凜紅)「危害が及ぶなんて決まってるわけじゃないんだし……」

蒼馬)「まだ、何も分かんねーだろ?」

麗花)[みんな、そこまでして私なんかを引き留めてくれるの?]

麗花)[何で……なんで………]

琥珀)「それとも麗花、お前は離れたいの?」

琥珀は少しだけニヤリとした。

麗花)「離れ…たく………ない!」

気付けば、麗花も大泣きしていた。


麗花)「ねぇ、一つだけ聞いてもいい?」

麗花以外)「「「「「何?」」」」」

麗花)「みんなは怖くないの?私のこと。」

碧)「へっ、それはまぁすごいびっくりしたけど別に怖くないよ……。」

琥珀)「むしろ、綺麗だったと思うよ。」

麗花)「へっ………!!」

琥珀のその言葉は聞いて麗花は赤くなっていた。

それを見た私達はみんなで笑っていた。


麗花)「あっ、じゃあ、ここで二人のことも紹介するね。」

麗花)「出てきて、ラミエル、シキラ。」

麗花がそう言うと麗花の首にかかっているネックレスからラミエルとシキラ(だと思われる)が出てきた。


碧)「あっ、そのネックレスって……。」

麗花)「ああ、うん。これがあの男に奪われてて、それを取り返しに行ったの。」

麗花)「すごく、大切な物だから。」

碧)「ああ、その人達が入っているから?」

麗花)「それもあるけど、これは大好きだった人に貰ったものだから。」

碧)「へぇ、そうなんだ。」


麗花)「で、こっちの天使がラミエル。あっちの百鬼がシキラっていうの。」

ラミエル)「ごきげんよう。皆様方。どうぞよろしくお願いしますわ。」

最初に美しい白い翼の生えた女性が私達に挨拶した。

次に頭にツノ、背に黒い翼の生えた男性が挨拶した。

シキラ)「俺はシキラだ。シキラって読んでくれれば良い。ま、よろしく。」


麗花はふふっ、と笑っていた。

碧)「麗花どうしたの?」

麗花)「誰かにこの二人のことを言えるとは思ってなかったから、嬉しいの。」

麗花)「あっ、ついでに説明しておくけど、私が最初に姿が変わった姿は、ラミエルとシキラを憑依させたものなの。」

麗花)「二人を憑依させた時は、頭にツノ、背に白い翼が生えた姿になるの。」

麗花)「で、ラミエルだけの憑依は白い翼だけの姿に、シキラだけの憑依は頭にツノ、背に黒い翼っていう姿になるのよ。」

麗花)「いちよう、一通り説明したけど何か他に聞きたいことある?」

琥珀)「なんか、技を発動させる時に言ってたけど、あれって毎回言うの?」

麗花)「ああ、あれは別に言わなくても心の中で思うだけで発動できるよ。でも、少しだけ威力が弱まってしまうから。」

琥珀)「へぇ、そうなんだ。」

碧)[不思議だな。さっきまで何も知らなかったのに、違う世界にいるみたいだよ。]

碧)[麗花といると、やっぱりわくわくできる!]


この日、私達は麗花の家に泊まっていった。

今までよりももっと絆が深まった気がして、私はすごく嬉しかった。



読んで下さり、ありがとうございました。
次話もよろしくお願いします!




コメント

  • 雫

    とても面白いです! 私の作品読んで頂きありがとうございました!次話投稿楽しみにしてます!

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