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第34章 真影種到来!やつは四天王の中でも最弱!

ある日俺は硬い床の感触を感じながら目を覚ます

「ふも!?ふももう!?」

何事かと起き上がった俺は真顔で虚空を見上げる

「またやつらかぁぁぁぁぁ!!!!!」

そんな俺の叫びに応えるかのように影が揺らめく

「くっくっく・・・我こそは真影種が四天王の一人、影四郎様だ!今日は貴様にようがあってきた」
「うるせぇよ!というかなんでお前だけ四郎なんだよ!」

前回と前々回と真影種達によって変な噂を流される事になった俺にとって
最早真影種は親の仇以外の何者でもない

護衛のルピーはどうした?・・・そうか!今日は世界一のエビを捕まえてくるとかで大海原か!

しかし俺の部屋は前回の一件の後に国王におねだりしてポカポカ日向な部屋に移動した筈・・・なぜまた真影種が俺の所に・・・?

「おいアズ!大変だ!」

慌てたように俺の部屋に入って来るグレイ

「あれ?今回は何か変な間とか無いのか?」
「何言ってるかはさっぱりだが外見てみろ!」

俺はグレイに言われるがままに外を確認して目を見開く

「な!!!!なんじゃこりゃあああぁぁぁぁぁぁ!?」

外は一切の光が無く、かといって暗くて何も見えないわけではない
そう、まるで影に覆いかぶさられているような

なるほど・・・俺の部屋も例外無く影の空間に支配されている

『これこそ我の力!影潰し!一定の範囲を全て影の領域にする力だ・・・』

どこからともなく聞こえてくる影四郎の声
しかし暗くするだけだったら無害な気が・・・

グレイは影四郎の声が聞こえて無いのか
一通り焦ると慌てたように俺の肩を掴み
真剣な表情を浮かべる

「アズ!これは異常事態だ!」

お?グレイにしては珍しく頼れる大人っぽい雰囲気
俺はそんな雰囲気に流されて首を縦に振る

「いいか?俺は今からログアウトする、自体が収まったらメールを送ってくれ」

俺は真顔でグレイを羽交い絞めする
少しでも流されそうになった俺が馬鹿だったよ

俺がグレイを締め上げていると、背後から少女の声が聞こえてくる

「ロッテ先生!良い所に!また真影種・・・が・・・」

ロッテ先生はまるで浮世絵から飛び出してきたような姿で目を見開いている

・・・
俺は無言で杖を構えるとロッテ?に向かって殴り掛かる

「のわ!?アズ様!?一体何を!?」
「やかましいわ!お前影壱だろ!?」

俺の言葉に目の前のロッテ?は不気味な笑い声をあげだす

「くっくっく・・・よくぞ我が変装を見破った・・・そう!我こそは真影種が四天王の一人!影壱!」

ポーズを決める影壱の後ろからロッテが現れる
・・・あれは本物だな・・・でも元気が無い?

「一度は見破られたようだが・・・これでどうだ!?」

ロッテと影壱の体がぶつかり融合して分裂する

「さあ!どっちが我かわかぁふぅ!?」

俺は迷う事無く影壱をぶん殴る
まず見た目をもっと似せようよ

「さ・・・流石は我らの宿敵アズ!こうも簡単に我の擬態を見破るか!?」
「ええい!何をやっている!お前は下がっていろ!」

ロッテが影壱を叱りつけると
影壱はシュンとしながらロッテの影に入っていく

「お前・・・さては影弐だな・・・?」
「いかにも!くっくっく!この鬼畜エルフの姿ならば国王の暗殺も容易というもの・・・」

鬼畜エルフて・・・
ロッテはあいつらに一体何をしたんだ?

「だがまずはお前から血祭にあげてやる!!!!」

憤怒の表情を浮かべた影弐がこちらに向かって殴り掛かって来る

「カーゲカゲカゲカゲ!果たして貴様に命の恩人であり恩師であるこの体を傷つけることぎゃふん!?」

笑い声をあげていた影弐が悲鳴をあげながら後ずさる

「・・・お・・・お前?仮にもこのエルフは貴様の教師なのだろう?何故そんな躊躇なく攻撃できる!?」

戸惑いを隠せない様子の影弐
あいつは何を言っているんだ?そんなの決まってる

「だってロッテだし、なんか今までの恨みも込めて殴れると思うと・・・オラワクワクしてきた」

影弐がドン引きしながら後ずさる
俺はそんな影弐を見ながら追撃をかけようと杖を構える
しかしそんな俺の肩をグレイが叩く

「なんだ?邪魔するのか?」

しかしグレイは俺の問いに首を横に振る

「俺も混ぜろ」
「おっけー把握、フルボッコにしようぜ」
「ええい!!!なんなんだ貴様等はあぁぁぁあぁ!?」

いよいよ影弐が涙目になっている

『影弐よ・・・あとは我に任せるが良い』
「影参・・・!任せる!」

ロッテから黒い物が抜けたかと思うと影の中に吸い込まれていく

恐らく今のは影弐なんだろうなぁ

『くっくっく・・・我が出て来たからには無事でいられると思うな?』

ロッテの影の中から影参の声が聞こえてくる
いや、お前は出てこないのかよ

微動だにしなくなったロッテを警戒しながらも
影達を追い出すために近づいた俺は・・・

「アズちゃん!一緒に遊ばないであります?」

純粋な目をしたロッテにたじろいてしまう

『くっくっく!流石の貴様も純粋な子供になったこのエルフは攻撃できまい!カーゲカゲカゲカゲ!』

悔しいがその通りだ
流石の俺も子供を殴って喜ぶ趣味は無い
しかもロッテは年増だが見た目は幼子そのもの・・・

どうしたものかと動けずにいた俺は
横を通り過ぎるグレイを不思議そうに見つめる

グレイはロッテの前に立つと
優しい笑顔を浮かべながら・・・ロッテにゲンコツをいれる

「「「「ちょ!?」」」」

俺と真影種の全員が驚愕の事態に驚きの声を挙げ
ゲンコツをされたロッテは訳もわからず泣き出してしまう
当の殴った本人はケロリとした表情で俺を振り返る

「・・・結局ロッテなんだろ?それにちゃんと手加減してるぞ?」

いや・・・そうなんだが・・・そうなんだが・・・

『おい宿敵・・・あいつは本当に人間か?』
「いや・・・クズだとは思ってたけどあそこまでとは・・・」
『悪魔か何かじゃないのか?』
「害虫だから昆虫種かと思ってたが・・・悪魔ってのもありえるな」
「おい!さっきから何俺を悪者みたいな扱いしてんだよ!それにアズ!お前はどっちの味方だ!!」

いや?今はどっちかというと真影種の味方かな・・・

『ちぃ!まさか人間種にこんな人情の無いクズがいるとは・・・作戦失敗だ・・・!』

影参から焦りの声が聞こえてくる

『くっくっく!ついに我の出番のようだな!』

どこから聞こえてくるのか、影四郎の声が城中にこだまする
こいつは真っ暗にする事しか出来ないんじゃ・・・?

『ゆくぞ!影壱!影弐!影参!』
『『『オウ!!』』』

3体の影が勢いよく返事をすると
ロッテの影から飛び出して一つの塊になっていく

「まずはこの我!影壱が分身体を作り!」
「すかさず我!影弐が体を操作し!」
「更にこの影参が能力を大幅にアップさせる!」
「そしてこの場はこの我!影四郎によって影の領域に支配されている!」

『『『『我ら!真影種四天王!最強の力を見せてやろう!カーゲカゲカゲカゲ!』』』』

ついに合体した影達を見て俺は背中に冷たい物が走る
なんだ・・・?それほどの相手という事か・・・?
俺はゴクリと喉を鳴らしながらも杖を構えて・・・

合体した影達の後ろで満面の笑みを浮かべるロッテを見て納得する

あ!これはロッテ、マジギレしてますね

その後、ロッテによって真影種四天王は仲良くフラスコ行き
ついでにグレイも火あぶりにされ
俺は長い文句を聞くはめになるのであった

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