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第33章 悪魔種の王ヴァンプ

「う・・・うわあああああああ!!!」

激痛と共に俺の周りに巨大な竜巻が巻き起こる

ヴァンプは少し後ずさって様子を見ているが
そんな事は気にならない程に俺の頭の中に情報の波が押し寄せる

いつだったか
冒険者達でドラゴンを倒した記憶

いつだったか
大海原で海賊やクラーケンと戦ったか記憶

いつだったか
神々の復活により世界が滅びかけた記憶

遥か昔にも思えるつい最近の出来事
数々の冒険の記憶を手に入れた事により
アズは過去の経験分のレベルまで上がっていく

動かない俺に業を煮やしたヴァンプが歩み寄ってくると、拳を振り上げる

「ワーッハッハッハ!一体どんな事が起こるか楽しみであるな!」

しかしヴァンプの拳は空を切る

「恐ろしく速い拳・・・俺じゃなきゃ見逃してたねぇ・・・」

アズのレベルが32上がった!

しかしまだ止まらない
更にこの世界で体験した物事の経験値も加算される

「・・・ワッハッハ!どういう小細工かは知らんが次はどうかな?」」

先程よりもはやいヴァンプの一撃

しかし俺はその攻撃も難なくかわす

アズのレベルが23上がった!

「フフ・・・・フーハッハッハ!やるではないか!しかしこれは人間種では避ける事は出来んぞ?」

ヴァンプの更なる追撃
この速度、確かに人間には避ける事は不可能
しかし俺はヴァンプの攻撃を回避する

「なに!?発動中とは動けないという事ではなかったのか!?」

ヴァンプが俺の首元で光る指輪を見て目を細める
あいつ・・・指輪の能力を知っている・・・?
いや・・・今はそんな事どうでも良い

今までヒューマアーカイブ発動中動けなかったのは
単純に俺のキャパシティの問題だった

しかし・・・今の俺には複数思考のスキルがある!

「ワハハ・・・まぐれは続かんぞ・・・」

ヴァンプが再度拳を振り上げ接近してくる
俺はそんなヴァンプの拳を・・・少しの動きで回避する

今度こそヴァンプの表情が驚愕に染まる

「そ!そうか!ヒューマアーカイブで悪魔王の動きを見たのか!」
「でも未来なんて不確定要素、普通調べる事なんて出来ないでありますよ!?」

グレイの納得した声にロッテが疑問をぶつけている

「簡単な話だ、人間に未来を見る事なんて出来ない・・・」

俺は愕然としているヴァンプの懐に潜り込む

「けど・・・過去を調べる事は出来る!!」
「ええい!うっとうしい!」

ヴァンプの胸元に飛び込んだ俺は抱きついて踏ん張るが
ヴァンプの胸筋の力だけで後方まで吹き飛ばされる

「ワッハッハ・・・やるではないか・・・まさかそんな方法で我にダメージを与えるとは・・・」

ヴァンプの瞳が怪しく光る

「我も本気を出すとしよう」

ヴァンプの白い肌が黒いマントを吸収して黒く染まっていく
細見だった体は筋肉が膨張してその存在感を2倍にも3倍にも感じさせる体躯になっている
元々俺より数段背が高かったヴァンプは
更に高くなった身長で俺を見下ろし獰猛に笑う

「どうした?震えて手も動かぬか?」

より一層低くなったヴァンプの声に大気は震え
一歩進むごとに大地が揺れる

今の俺とヴァンプでは・・・いや、未来永劫埋まる事が無い差があるのかもしれない
そう思うと俺は自然と笑みが浮かぶ

「かかったなヴァンプ!さかさまだ!!」

俺の言葉にヴァンプが訝し気な表情を浮かべ
俺の手元を見て目を見開く
あたふたと自分の懐を探しているようだがあるわけがない

「貴様!その為に我の懐に!?」
「そうだ!さかさまの鏡・・・お前は確かに人間より遥かに強い力を持っている・・・だからこそ・・・今のお前は最弱だ!!!」

ありったけの力を右手に込める

「人間が悪魔種に勝てない・・・・その幻想をぶち壊す!!!」

俺の渾身の右ストレートがヴァンプにめり込むと同時に
ヴァンプが後方に吹き飛ぶ

「馬鹿な!?なんだこの力の差は!?」
「人間の弱さを・・・舐めるなー!!!!!」

俺はインベトリを開いてガラクタボウを装備
更にヴァンプに追撃をはかる
ヴァンプもなんか凄い強そうな剣を体内から取り出しているが
禍々しい剣はガラクタボウの一振りで粉々ぬ粉砕される

ステータスがさかさまになった今、その禍々しい剣はガラクタボウの足元にも及ばない!

「おのれ・・・おのれおのれおのれおのれおのれ!!」

焦ったように叫び狂うヴァンプが何も無い空間に手をかざすと空間が揺らぐ
俺はその様子を見てつい最近ロッテが似たような魔法を使っていた事を思い出す

空間転移か・・・!

急いでガラクタボウを振りかぶるが届きそうもない
そんな俺の様子を見ながら空間に消えようとするヴァンプが叫ぶ

「認めよう・・・今はお前が・・・強い!!!!」
「逃がすかー!!!!」

ヴァンプの姿が消えそうになるギリギリ
俺の投げたガラクタボウがヴァンプを貫く

「なぁにぃ!?」

予想だにしなかった攻撃にヴァンプの転移魔法が中断
中途半端に発動した転移魔法により
ヴァンプは致命的なダメージを受けたようだ

今にも消えそうなヴァンプが力なく項垂れると
その場に崩れ落ちる

「はぁっはぁ・・・まさかヴァンプと本気でやり合う事になるとは・・・ないわ~」

地面にへたり込む俺にグレイとロッテが駆け寄って来る

「大丈夫か?怪我はないか?」
「全く・・・無茶しないで欲しいであります・・・」

心配そうにこちらを覗き込む二人
普段不良大人の癖になんで今日はこんな優しいんだよ・・・
俺は吹き出しそうになるのを堪えながら二人に視線を向け

二人の背後で黒い影がゆらりと立ち上がるのを確認する
確かにHPバーは真っ白になった筈だぞ!?

「二人共!危ない!」

俺が急ぎ二人を押しのけると再び立ちあがったヴァンプに相対する
その姿は、まるで何事も無かったのように綺麗な状態に戻っている
グレイが呻く

「な・・・!?化け物かよ!?」
「ふむ・・・?化け物?」

しかしヴァンプは何かを考えるような素振りをすると自分の体を確かめ始める
とりあえずさかさまの鏡を・・・
俺が動き出そうとした瞬間ヴァンプが視界から消えて背後から声がかかる

「ワーッハッハッハ!冒険者アズよ!よもやこの我にイタズラをしかけようという訳ではないな?」

相変わらずの俊足に舌打ちをしながら・・・
今こいつ冒険者アズって言ったか?

「ヴァンプ今が何年かわかるか?」
「ふむ?火精の年の213・・・貴様らの地球で言うところの20××年であったな!」

あ、これは間違いない・・・
押しのけられた二人が俺をかばうように前に出ているが・・・

「大丈夫だ二人共・・・こいつは良いヴァンプだ」

こうして、俺とグレイ、それにロッテの三人の冒険の幕が下りるのであった

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