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第31章 天空の城アルルへルル

いつものようにルピーとちゃぶ台を挟んで朝食をとっていた俺の耳に
慌ただしいサイレンの音が聞こえてくる

『緊急警報!緊急警報!市民の皆様は落ち着いて王城に避難してください!!』

緊急警報?
しかも市民を城に避難させるとか相当ヤバイ事が起きてるんじゃないか?

俺が何が起きているか不安になりつつもモーニングセットを食べていると
部屋のドアが大きな音をたてて開け放たれる

「アズ!大変だ!」

俺は慌ただしく部屋に入ってきたムートンを半眼で睨む

「お食事時に騒がない」
「言ってる場合か!?」

そう言いながらムートンが俺の袖を掴もうとして・・・
ルピーの大太刀によって動きを止められる

だから言ったのだ
正直俺がのんびり朝食を食べているのは面倒事に巻き込まれたくないというのもあるが
この食事時のハングリーモンスターを怒らせた方が確実に死ねるからだ

「まぁまぁルピーさん、今日の所は俺の残りをあげますので機嫌を直してください」
[許す]

ちなみに食事時の俺の立ち位置はルピーよりも下に位置する

俺は朝食の残りをルピー様に献上すると急ぎ部屋を飛び出す

「ところでムートン?一体何事なんだ?」

ムートンが頭を押さえながら上空を指さす

俺は首を傾げながら上空を仰ぎ
上空に浮かぶさかさまの建造物に目を見張る
物理法則を無視したその景観には見覚えがある

「あれって妖精の城じゃないか!?」

幾何学的な紋様から地面に向けて伸びている
妖精界と人間界の境界、アルルヘルル
なんでそんな物がこんな所に?
いや・・・ていうか

「でかくないか?」

そう、まるで妖精サイズだった城をそのまま人間サイズの城に変えたがごとく
妖精の秘宝はあんな事まで出来るのか?凄いな

俺が妖精恐るべしと顔を顰めていると
ロッテがぶつぶつと何かを呟きながら歩いてくる

「あ・・・あり得ないであります!」

そして俺を見つけるやいなや、俺の胸倉をつかんで大声で叫びながら前後に揺らしてくる

「あれ程の物量を巨大化!?全妖精の魔力を総動員しても不可能でありますよ!?」

まぁ普通じゃあり得ない事が起きてるんだろうなぁ
というか苦しいから俺に八つ当たりするのはやめてもらえないだろうか?

「まぁ今の所目立ってるぐらいで特に何かしら起きてるわけじゃないんだろ?」
「んなわけあるか!というかヤバイ!?」

ムートンが何に驚いているのか視線を上空に向けると
アルルへルルから何か黒い玉が飛来してくる

「おわ!?なんだ!?大砲か!?」

俺は地面に落ちて来た黒い玉におそるおそる近づく
すると黒い玉が割れ、中から二頭身の人型の生き物が飛び出してくる

「おおー随分とファンシーな生き物だがなんだこいつ?」

謎の生き物は握手を求めるように俺に手を差し伸べる
俺は握手に応じる為に手を前に出す

「随分とフレンドリーじゃなぁ!?」

しかし手が触れる瞬間ムートンが俺を思いっきり背後に引っ張る

「ななな!何しやがるムーたん!」

ムートンを怒ろうとした俺は、目の前の生き物が何か鋭利な刃物を振りかぶっている事に気が付く

「・・・」

目の前の生き物はすぐさま刃物を隠すと可愛らしく笑いかけてくる

「おい、それは無理があるんじゃないか?」

とりあえず謎の生き物をムートンと共に袋叩きにした俺は溜息を一つ

「それでこいつは何なんだ?」
「これは・・・小人種であります・・・!」

小人種?なんか妖精といつも戦争してるっていう?
しかもどう見ても人間の子供並みのサイズはあるんだが・・・

「恐らく妖精の秘宝の力で大きくなっているでありますな・・・」

そんな事も出来るのか!妖精の秘宝パネェ!

「しかし何故小人種が妖精の居城から・・・?」
「ロッテ教諭!今はそんな事考えている暇じゃないんです!二人共こっちに!」

ムートンが慌てて俺達を先導する

俺とロッテは案内された先の光景に目を見開く
そこには大量の小人種と剣を交える城の衛兵の姿

「現在上空の謎の城より大量の小人が街を襲撃してきています!」

つまりどういう事だってばよ!?
混乱する俺の視線の先に見慣れた人物が映る

「ホワッツ!?この小人・・・とてもストロングデース!!」
「っく!マーク君!ここはなんとしても私達で抑えるんだ!!」

息も絶え絶えに背中合わせで小人に囲まれるマークとアレン

いくら人間サイズに変わってステータスが上昇していたとしても
あのマークとアレンが苦戦!?

そんな二人に守られるような位置にいたグレイが
俺達に気づいて一目散に駆け出してくる

「違う!こいつらが強いんじゃない!俺達が弱くなってるんだ!」
「どういう事だグレイ?」

焦る俺の言葉にグレイが空中で手を動かす

「全員のHP.MP以外の全ての数値に-が付け加えられてやがる・・・!」
「つまりどういうことだってばよ!」

近寄ってきた小人を撲殺しながらグレイに問う

「全ての数値に−がつく・・・1なら−1、20なら−20・・・つまりステータスが高ければ高いほど弱くなるって事だ!」

なるほどそういう事か!
だからアレンやマーク達最強グループが苦戦して俺やムートンみたいな雑魚グルー・・・

誰が雑魚だこの野郎!
俺の無言の腹パンにグレイが仰け反る

「というかその計算だと巨大化した小人は俺達より強いって事か!」

大量の軍勢にこちらの隊列が乱れる中
当初は慌てふためいていたグレイが何かに気づいたように手を叩く

「どうしたグレイ!?はやく怪我人の治療を!」

普段はHPが高いだけの後方支援なのだから、ちゃんと役目を全うとして欲しい

グレイはそんな俺のジト目を一切気にせず初期装備のガラクタボウを取り出す

「おいグレイ!?何を・・・」

グレイがガラクタボウを振り抜くと同時に数体の小人が呻きをあげて地面に突っ伏す

なるほど
HP以外のステータスが逆転している?
現在ステータスは0に近ければ近いほど強い
つまり元々HPしかないやつには恩恵しかないわけで

「フーハッハッ!ついに俺の時代キター!!!」

テンションマックスで視界に入った小人種を撲殺していくグレイ

「・・・あいつ一人でなんとかなりそうだな」



しばらく騒がしい音が続き、日が暮れる頃には小人の襲撃は収まっていた

「はっはっは!やつら俺の武勇に恐れをなして城に逃げ帰っていったぜ!」

まるで子供のように笑うグレイ

「今回の一件で国の英雄になっちゃったりするんじゃないか?」

ちなみにファンシーな生物を嬉々として撲殺していくグレイの姿に
街の人間はドン引きしていたからそれは無いだろう

俺はグレイに憐れみの目を向けると、未だ険しい顔をしているロッテに話しかける

「まぁなんやかんやでグレイのおかげで丸く収まったんじゃないか?」

俺の言葉にいよいよ鼻を高くするグレイ
しかしロッテは首を横に振る

「小人種は妖精種と同じで死んでも生き返るであります・・・恐らく明日にはまた攻め込んでくるでありましょう」

ロッテは溜息を一つ上空を指さす

「なぜ妖精の城がここに出現したのか、なぜ巨大化しているのか・・・これらを解決しないとこの国は滅びの危機にあると言えましょう」
「だったら簡単だな!この俺が直々にあの城を叩き落としてやるぜ!」

天狗のように鼻を伸ばすグレイがドヤ顔でほざいている

「それは良い案だと思うがどうやってお前一人であそこまで行く気だ?」

俺の質問にグレイはニヤリと笑みを浮かべると俺の肩を抱いてくる

「アズ!いっちょ俺を乗せてってくれ!」

なんかそうなる気がしてたんだよなー・・・

「それならロッテに魔法かけてもらえよ、自力で飛んでけ」

グレイが手を叩いてロッテを見る

「残念でありますが私の飛行魔法は精々子供一人分しか運べないでありますよ?」
「あれ?でも前使ってもらった時は俺とロウとロッテの三人に使えなかったか?」
「それは妖精サイズだったからであります、妖精の大きさであれば百人単位で使えるのでありますよ」

なるほど・・・じゃあロッテの魔法でグレイが飛んでいくのは無理なのか・・・

「となると城に突入するのは俺とグレイで決まりか?」

他の面々は軒並み弱体化してるし

「あれ?僕は?」

首を傾げるムートン

「ムートンはいざという時街を守って欲しい」

一人ぐらい町の防衛に回った方が良いだろう
というかただでさえ高所恐怖症なのにあんな空高く飛んだらムートンショック死するんじゃないか?

適正値の低さで普段余程悔しい思いをしているのか
ムートンがものすっごいうれしそうに首を縦に振るっている

「私も突入組に加わるのですよ、こう見えても筋力のステータスは雑魚でありますし、魔法は何も攻撃だけが全てでは無いでありますからね」

そう言いながら手を挙げるロッテ
不良教師にしては珍しいな

「・・・どんな魂胆ですか?」
「私はこの国の宮廷魔導師でありますよ?」

俺の言葉にロッテが頬を膨らます
確かにそうだ、今回は俺が悪かったな
俺は素直に謝罪をしようとして・・・

「それに妖精の粉は希少なのでありましょう?いっぱい捕まえたらウッハウッハであります!」

続く言葉に考えを改め直す
やっぱこいつはクズだわ

「よし!行くぞ!」

明日になればまた小人種が街を襲ってくる
それまでにあの城をどうにかしないと・・・!

俺達三人はさかさ城の攻略に乗り出すのであった

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