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第28章 全裸をかけた戦い

妖精ごっこ
地球で言う所の鬼ごっこに該当するこの遊び
数百年前、まだ妖精信仰が熱かった時代からの産物で
追う側の人間が全裸になって追われる側の服を剥くというスポーツだった
しかし現在では妖精が身近な物になった事と
全裸を否定する人が増えてきた為、忌諱するのものが多い

                                グラフ幻想譚
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大きくなったムートンが俺を見下ろす

「おい!アズ!大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題無い、けど俺をこれ以上見下ろしていたらお前を駆逐してやる」

ただでさえ最近見下ろされてるのに
なんだこれ?こいつもしかして妖精とグルなんじゃないか?
しかし周りの風景もでかくなってる所を見る限り・・・
どうやら俺が縮んだようだな

「あらぁん!小さくなって見る世界ってのもワルクないわね」

横でクネクネしている変態は無視するとして・・・
俺は同じく小さくなったロッテの肩を叩く
なんか呆然としてるが大丈夫だろうか?

しばらく無言で地面を見ていたロッテがプルプル震えだす

「あんのチンチクリン!妖精界の秘宝まで・・・!アズ様!今から私が魔法をかけるであります!」

なんか大慌てな様子のロッテ
なんだ?ちょっとばかり親指サイズに縮んだだけじゃないか?
しかし俺の楽観的な考えを見透かしたようにロッテが口を開く

「良いでありますか?」

呆れたように説明してくれるロッテの姿は珍しく先生と言えるものだ
しかし腹が立つのはなぜだろう?
そんな俺の内心を知らずにロッテが杖を取り出して空中に絵をかきだす

「おお!なんか魔法の授業っぽい!!」
「フフ!そう言われる為に意味も無い文字を空中に浮かべたかいがありました」

・・・意味無いのかよ

「妖精種というのは性別という物が存在せずに育った生物でありまして」

そう言いながらロッテが杖を振ると空中の文字が妖精の絵に変化していく

「どのような環境にも適応できる体質を持っているため・・・衣食住の文化は全くないのであります」
「・・・つまり?」

ロッテの言葉に嫌な汗が流れる

「妖精種は全裸が基本スタイルであります」
「あらぁ!?素晴らしいじゃない!?」

横で歓喜の雄たけびをあげるロウ
しかし俺は頭を抱える

「いや?でも着ていてもおかしくは無いでしょう?人間を真似た・・・そんな個体がいてもおかしくない筈だ」

俺の疑問にしかしロッテは険しい表情を浮かべる

「いるにはいるでありますが・・・人間社会とは逆、つまり服を着て妖精の街に入るという事はそれすなわち全裸で人間の街を歩くという事になるであります」

なんて恐ろしい国なんだ・・・!?

「ですからあのチンチクリンが他の妖精に接触するまでが我々のタイムリミットであります」

最後にロッテが何か大きく呟くと
俺達の背中に妖精の様な羽根が生えてくる

「おお!すげぇ!」
「飛び方は習うより慣れろであります!」

ロッテはそう言うとフワリと浮かび上がり
更に魔法を唱え出す

俺がそんな様子を傍目に羽根を動かしていると
ロッテの目の前に小さなワームホールの様なものが出現する

「今度は何の魔法なぁぁぁ!?」

突如ワームホールから風が流れ出てきたかと思うと
俺達ちっこい組三人はワームホールに吸い込まれる

「うおー!なんだこれ!?」

ワームホールの先はピンク色のトンネルのような場所が続いている

俺が高度を維持しながらまじまじそれを見ていると
ロッテが俺の横にフワリと降りてくる

「ここは妖精の小道、あのピンク色の靄は超凝縮された魔力の塊なので間違っても当たらないようにするであります」

そういうのは飛ばす前に言って欲しかったなぁ・・・

「というかアレは大丈夫なの?」

ロッテは俺が指差した先を見て溜息を吐く

「アレは自称妖精らしいので大丈夫なんじゃないでありますか?」
「そういうもんですか・・・」

靄に当たり服が破損、靄の上を全裸で全力疾走しているロウを見てこれ以上考えるのをやめる事にした

「そんな事よりも・・・いたであります!」

ロッテが指差す先には俺達と同じサイズのリリの姿

「ゲェ!?ここまで来たの!?」

目を剥いて驚くリリ
なるほど、こうして見ると凹凸が無いのがよくわかる・・・というか全体的に壁レベルだな
頭部が少し人間より大きくて目も黒い部分が多いんじゃないか?

人間との違いをマジマジ観察する俺の横を
ロッテが般若の面で駆け抜ける
リリはそんなロッテの様子に大慌てで飛び去る

ロッテとリリはまるでロボットアニメのロボットのように変則飛行を繰り返しながら
これまたロボットアニメのような弾幕で交戦している

「今俺が出来る事は無いな!」

安全運転第一の俺が
二人を見失わない程度に追いかけっこを観戦していると
ひらけた空間に出た事に気がつく

「なんだここ?」

ピンク色の空間を抜けた先には一面の青
まるで突然空の上に投げ出されたような・・・ただし地上は無い
俺は周りの風景に圧倒されながらも二人に視線を送り・・・

「・・・ラピュタは本当にあったんだ・・・・!?」

そこには空から地面に向けてはえた、逆さまの城
どういう原理か、全ての物質が下から上に向けて落ちていっている
俺はそんな物理法則を無視した風景に感嘆の息を吐く

「何呑気にしてるでありますか!?」

ロッテがリリを追いかけながら声を荒げている

「あの建物が妖精界と人間界を分ける城・・・アルルヘルルであります!」

つまり・・・あそこにたどり着かせたら終わりって事か
かといって追いかけるのがやっとの俺に何が出来るというのか
俺は変わらずにゆっくり飛翔する

ロッテはそんな俺の様子を見て
諦めたように俺に並んで飛翔を始める

「おいロッテ!諦めんなよ!」

俺の叫びにロッテは不気味な笑い声をあげだす
ついに頭がおかしく・・・元からか

ロッテはひとしきり笑い声をあがたかと思うと
空でこちらを馬鹿にしているリリを睨む

「逃すぐらいなら!!」

ロッテが一際大きく叫ぶと魔法の暗唱を始める
力強い声を発する度に大気が揺れて乱気流が発生する

「おいおいおいおい、こんな状態で飛空なんて無理だぞ?」

俺は乱気流を避けながらロッテを睨み・・・
その上空に存在する炎を纏った巨石に目を見張る

「「ちょ!?」」

俺とリリが悲鳴をあげる中
ロッテのメテオっぽい魔法が空中で炸裂
凄まじい爆発と共に暴風が巻き起こる

「うおおおぉぉぉぉ!?」
「こっちで・・・ありまーす!!」

情けない叫びをあげる俺の襟首が強く引っ張られ
新たに生成されたワームホールに投げ込まれる

「うおお・・・おお?おお・・・地面だ・・・もう離さない」
「はぁはぁ・・・元のサイズに戻ってるでありますし・・・上手く殺せたみたいでありますな」

ロッテは満足したように額の汗を拭う

「殺す必要は無かったんじゃないか?」
「妖精は死んでも記憶が欠落しますが生き返るので問題無いであ・・・何してるであります?」

ロッテから冷たい視線を感じるが
俺はもう暫く地面と熱い抱擁をしとくぜ

「しかし何か忘れてる気がするなぁ」

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とある民家のかまどが大きな音をたてて爆発する

「あらあら!?カマドの火は消した筈だけど!?」

恰幅の良い中年の女性が慌ててカマドの炉を確かめる

「なんとも無いねぇ・・・?」

炉を確認しながら首を傾げる女性の上を淡い光が飛んでいく

「馬鹿な人間とエルフはあちしが死んだと思ってる頃ね!」

リリはイタズラが成功した子供のようにクスクス笑う

妖精の秘宝、スモールフェアリー
所有者の魔力が尽きるか、所有者が対象をターゲットから外す事でしか解除出来ない呪いのアイテム

「あいつら二人だけ効果の対象から外せば完全犯罪成立なのさ!」

リリは流石ヨーセイ界一のチショーと胸を張ると
次のイタズラを考える

今度は小人のヒホーも使ってもっと凄い事をしよう
そうすればきっとヨーセイ種のオーサマになれる

野望に燃える賢い妖精は
更なるイギョーを成し遂げる為に
目の前を歩くひょろ長い男に狙いを定める

「ほう?まさか我にイタズラをしようというのか?小さき者よ?」

唐突に男の顔が目の前に迫り、リリは急停止する

男の肌は不気味な程白く、そのひょろ長い体躯からは想像も出来ないほどの存在感を醸し出している

妖精の直感が囁く
こいつは相手にしてはいけない
しかし逃げようと羽に力を入れるが全く力が入らず
徐々に高度が落ちていく

「ワーハッハッハ!まさか我にイタズラを仕掛けようとして逃げようなどと考えてはおらぬだろうな?」

男は落ちてくる妖精を掌の上でキャッチする

「我こそは悪魔種の王にしてイタズラ界のキング!ヴァンプである!ワーハッハッハ!!」
「悪魔種のオーサマ!?なんでそんな化け物がこんな所に!?」

震える妖精を悪魔種の王は天高く放り投げる

「キングは一人!この我だ!」

上空に人差し指を掲げ、ポーズを決めた悪魔種の王
そのポーズのまま指から光線が迸り、妖精は跡形も無く消え去る

「この国に謀反者がいると聞いて来てみたが・・・中々面白い事になっておるな!ワーハッハッハ!」

男は妖精が持っていた二つのアイテムを片手に
この街でも一際大きい
人間の城を見ながら獰猛に高笑いをあげるのであった

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