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第27章 妖精のリリ

一通り情報収集が終わった俺達は街の酒場に集合していた

「俺達の方はこんな所だったな」

俺は手早くルト先生との会話を話す
それを聞いたロッテが子供の笑い声・・・?と訝し気な表情を浮かべている

「アズ様にはこれを調べてもらいたいであります」

そう言ってロッテが金色の粉を見せつけてくるので
俺は言われるがままにヒューマアーカイブを起動する

妖精の粉
妖精の魔力が凝縮された粉
そのままでは使い道が無いが
魔術師にとっては希少で、とても高価である

俺が妖精の粉の説明を終えると、ロッテが高価という単語に反応して慌てて懐にしまう

「犯人は妖精?」

しかしロッテは険しい表情を浮かべる

「妖精は確かに魔力が尋常じゃなく高いでありますが、基本バカなので一般的な魔法は使えないはずでありますよ」

そんなロッテの答えに対してくすくすと子供の笑い声がこだまする

俺は笑い声の正体を確認するべく辺りを見回すが何も無い・・・いや・・・
なんかあの辺りだけ発光体が混ざってる?
俺は好奇心からその発光体を掴む

「むぎゅ!?」

むぎゅ?

「どうされましたアズ様?変な声出されて」
「いや、今のは俺じゃないぞ?」

というか多分これを掴んだからだよな?
俺が奇妙な発光体を見ているとロッテが目を見開く

「そ!それは妖精ではありませんか!?私でも注意しないと見えない希少種族でありますよ!?」

え?妖精ってあれだよな?人型の羽が生えた?
俺の手の中では色とりどりの発光体が蠢いている
とても妖精には見えない

妖精という単語を聞いたロウとルピーが近寄ってくる

「アタシには可愛いお手手しか見えないわねぇ・・・」
「ロウは気持ち悪いなぁ」

俺の発言に頬を染めてぶるりと震えるロウ
こいつは無視だ、関わったら俺がおかしくなる 

「先程も言ったでありますが普通は私達エルフ族でもよーく眼を凝らさないと見えないのでありますが」

ロッテが短く何かを呟くと
俺の手の中が光りだし、人の形を形成していく

緑の髪にガラス玉のような瞳
凹凸の無いボディーの背中には蝶のような羽がパタパタ動いている

その幻想的な光景に俺達は感嘆の息を吐く
これが妖精か・・・

「しかしなんで服を着てないんだ?」

そう、真っ裸なのである
今は謎の光で隠れているから良いがこのままでは色々マズイだろう
そんな俺の考えにしかしロッテは首を傾ける

「虫が服を着ると可笑しいでありましょう?そういうものなのでありますよ」

なるほど
どうやらこの世界の妖精は虫と同じ立ち位置にいるらしい

「それにしても可愛らしい子ねぇ」

いつのまにか側に来ていたロウがポツリと呟く

「ああ・・・これで虫と同じ・・・っていうかなんで全裸になってんだよ!?」

俺はローブを脱ぎ去っているロウから距離を取る

「あら?この子が全裸なのにアタシが服を着ているなんて・・・フェアじゃないわ」

何対向意識もやしてんのこの変態!?
俺は深呼吸をして心を落ち着かせる 
こいつは彫像こいつは彫像こいつは彫像

「アズ様!?妖精を逃してしまうでありますよ!?」

無我の境地にたっそうとしていた俺はロッテの言葉に我にかえる
どうやらロウから距離をとった際に俺の手から抜け出したようだ

「クスクス!馬鹿な人間!これでも喰らいなさい!」

妖精がクスクス笑いながら黄色い鱗粉を撒き散らす

「しまったであります!?」

ロッテの焦る声と共に体が痺れたように動かなくなる

「妖精は特殊な鱗粉で多種族に有害な物質を噴出するのでありますよ・・・」

それがこれか!?
苦しそうに床に倒れる俺とロッテを見た妖精は俺達の頭上を笑いながら旋回して・・・動きを止める
なん・・・だ?

俺は唯一動く視線で妖精の方向を確認する
そこには鱗粉を受けても全く動じないロウの姿

「あら?何かしたのかしら?」
「な!?なんであんたは動けるの!?」

流石の妖精も驚愕しているようだ

「あらあら」

ロウは両手を広げて溜息を吐く

「ロッテ教諭も言ってたでしょ?多種族に有害な物質って」

逃げようとする妖精をロウは愛おしそうに捕まえる

「アタシは美の妖精よ?つまり妖精にもカテゴリーされておかしくないわ」

いや、その理屈はおかしい
妖精が捕まった事により自由を取り戻した俺とロッテが呆れた表情でロウを見る

ロウの手元には、捕えられた妖精が体育座りをしている
流石に全裸種族とはいえ全裸は俺達の目に悪いので、布切れを装備させる

「それで・・・君に聞きたい事があるんだけど・・・まず名前はなんていうんだ?」
「・・・あちしの名前はリリだ」

俺の質問を受けリリが口を開く

「ところであそこでずっとあちしをガン見してるガン黒お化けはなんなんですか!?」

リリの指さす先には瞬きもせずにリリを見つめるシルバ

「ああ、あれはただの可愛い物好きだから気にしなくて良いよ」
「あの見た目で!?気持ち悪!?」

おいおいリリ
そういう事は口にしちゃあいけないぞ?
シルバがガックリとうなだれている

「あちしが名乗ったんだからお前等の名前も教えやがれ!」
「それもそうだな・・・えっと」

俺は順番に仲間たちを指差していく

「俺はアズ、そこのゴミがグレイ、クソエルフのロッテ、変態のロウに無口なシルバに・・・」
「アズ、ロッテ、シルバにロとゴミだな」
「おい、なんで俺だけゴミ呼ばわりなんだ?」

途中で覚えるのが面倒になったのか、リリが欠伸をしながら床に寝そべる
隣では何が不満なのかグレイがわめいているが無視だむ・・・やめろ!なんで俺に突っかかって来るんだこのゴミは!?
俺とグレイがもみ合いになる中ロウが妖精を覗き込む

「アタシはロじゃなくてロウよ?」
「・・・ふん!」

しかしリリはぶすっとロウを無視する

「無駄でありますよロウ様、妖精種にとって”う”という単語は禁忌とされてるのであります」

以外にも理由を教えてくれたのはロッテだった

「なんで”う”が?」
「それは私も知らないであります」

なんだろう、すっごい気になる・・・しかしここでヒューマアーカイブを使うと何か大事な事を忘れそうな気がする
俺がそんな事を考えながらも話を続ける

「ところでリリ、最近弱いモンスターが強くなってる事は知ってるか?」

俺の質問にリリは体をビクリと反応させると首を横に振る
・・・さては知ってるなこいつ?

しかし話す気は無いのか両手で耳をふさいでいる
無理に話させるか?

「それはやめた方が良いでありますよ?」

俺の表情を読んだロッテが口を挟む

「妖精種は基本どこにでもいるうえにワンフォーワン、ワンフォーオールの心を持っているので一度敵に回したら妖精が飽きるまでずっとイタズラをされる事になるであります」

なるほど、確かにそれはめんどくさそうだ

「しかしどこにでもいるのか?あまり見かけた事ないけどなぁ」
「妖精種は基本人間種には見えないでありますからねぇ」

俺の言葉にロッテが遠い目をしている
なんだこいつ?今日は随分と役に立つがもしかして偽物なんじゃないか?
俺が疑惑の目を向けているとリリが唐突に笑いだす

「ハハ!これだから人間種は馬鹿なんだ!この前起きたマーサの戦いも知りやしない!」

マーサの戦い?聞いたことないが・・・
周りの皆も知らないようだ
そんな俺達の様子を見たリリがヤレヤレと空中に魔法の地図を浮かべる
地図はグラフ城を中心に赤色と青色で塗り分けれらている

「これはあたし達妖精種と小人種の縄張りをしるしてるんだ」

あたち達という時に赤色を指さしていたから赤側が妖精の縄張りか?

「そしてここがマーサ砦、マーサの戦いの戦場さ」

そう言いながら赤と青の境目の家を指さす

「ああ、そこはマーサさんの家だね」

何か得心いったように頷くアレン

「アレンはマーサさんの知り合いなのか?」

俺の質問にアレンは首を横に振る
じゃあなんで知ってんだ?

「貴族たるもの、平民の名前は全て記憶しておくものだよ」

純粋な笑みを浮かべるアレン
え?まじで?
俺は他の面々の方を見る
しかし俺が見ると同時に顔をそらされてしまった

「・・・それで?マーサの戦いってのは?」

俺の質問にリリは嬉しそうに話し出す

「あれは我ら妖精種と小人種の天下分け目の戦い!我らソソ率いる軍団がコメイ軍師とコガイ武将に負けた戦いだな」

マーサさんの家大変な事になってるじゃないか

「しかしあのコガイといった小人・・・まさかわが軍に突撃して内部から炎上させるなんて・・・敵ながらあっぱれだった」

なんかどっこで聞いた事あるなぁ・・・
というかマーサさんの家無事なのか?なんか炎上って聞こえたけど
その事は後で聞くとして・・・
俺は遠い目で地図を眺めるリリに疑問をぶつける

「という事は結構頻繁に戦争をしてるって事か?」
「いかにも!」

ドヤ顔を向けるリリ

「あれ?でも一か所だけ赤にも青にも塗られてない場所があるけど・・・?」

というかこれ俺の実家じゃないか
俺の質問にリリは顔を青くして震え出す

「そこは青髪の魔女の住む地だからだな・・・」

青髪の魔女の住まう地・・・?

「その屋敷を領土に収めようとした妖精種と小人種は・・・カゴのような物にいれられ・・・毎日わけのわらないものを着せられ・・・毎日拷問を受ける事になったのだ・・・」

そういえば母がよく発光体をカゴにいれてた記憶がある
そしてカゴが増える度に俺に人形サイズの服をねだってきた事を思い出す

「そういえばアズは青髪の魔女に似ておられる?」
「リリ!そんな不毛な話をしている意味はあるのか?」
「え?いや?アズから切り出「ここまで俺達と妖精種で意識の違いがあるとは思わなかった!」

バンっと立ち上がる俺に困惑するリリにグレイが優しく声をかける

「心配しなくて良いぜ、君は悪くない」
「話しかけるなゴミ!」
「なんか俺だけ酷くない!?」

再度喚きだすグレイが俺にすがりつく
ええい!鬱陶しい!無視だ無視!
俺がグレイを引き離しているとリリが俺とグレイを見ながらポツリと呟く

「まったく・・・人間種は呑気だな・・・我々ヨーセイ種が小人のヒホーを手に入れたとも知らずに」

リリはそこまで言うとハッとして口をふさぐ
秘宝を手に入れた?大変な事になってるんだな・・・
俺が呑気な考えをしていると、今まで大人しかったロッテがリリのカゴを掴んで慌てだす

「小人種の秘宝を手に入れたぁ!?なんて事してるでありますかぁ!?」
「何か知ってるのかロッテ?」

俺の質問にロッテは尋常じゃない程取り乱しながら解説をいれてくれる

「小人種の秘宝といば逆転の理・・・逆さまの鏡!ありとあらゆる物の能力を反転させる能力であります!ああ!そういう事でありましたか!!ブルーラットがルト様を倒したのも納得でありますーー!!!」

かつてなく取り乱すロッテを鎮めようと立ち上がった瞬間大気が揺れる

「なんだなんだ!?」

周りの物がどんどん大きくなっていく

「これは!?まさかあのチンチクリンめ!妖精の秘宝まで!」

ロッテが怒りながら妖精を探している
あんたもチンチクリンだよ?

「へへん!やっぱり人間は間抜けだね!じゃ~あね~」

どこからかリリの声が聞こえてくる
やれやれ・・・また面倒事の予感しかしねぇ

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