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第16章 アレンは見た!

「ムーたんがおかしい?」

お城に来て数日がたったある日
いつものように部屋で縫物に着手していた俺は
唐突に部屋を訪れたアレンに相談事をされていた

「そうなんだ、最近夜になるといつも部屋から変な音がして・・・その後出掛けてるみたいなんだ」

夜中の外出・・・
まさか8歳にしてすでに不良化してしまったのか?
確かに少し気を緩めろとはいったが
頭のネジを緩めろとは言ってない筈だ

「それで夜中に一人じゃ中々勇気が出なくてね・・・アズ君にも一緒にと・・・」

もじもじと指を弄りながら上目遣いで頼むアレンを見ながら俺は険しい表情を浮かべる

こんなアレンは珍しいな
どちらかというと単身追いかけてズバッと解決するタイプだと思っていたが

まぁまだ出会って数日だからなぁ・・・
実はかなり乙女な性格なのかもしれない

「ついていくのは良いけどそんな時間に外出して大丈夫なのか?」

俺の言葉にアレンが表情を硬くする

「そ・・・そうだね・・・私達はあくまで客人という立場だから・・・誰かお城の人がついてないとまずいかもしれない」

ん?そういう考えもあるのか・・・
もはや城の事を我が家としか思ってなかったからその発想は無かった

「あ、そういう事なら二人ほど適任がいるな」

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「・・・で?なんで俺なんだ?」
「いつも暇そうにしていて、この城でそれなりの立場にいる知人って言ったらグレイかロッテぐらいしかいないからな」
「喧嘩売ってんのか?俺はこれから忙しいんだよ!」

ちなみに最初はルピーという選択肢もあったが
実は城には内密で護衛に来ているうえに
今日は俺の実家に現状報告しに帰っている為不在である

アレンはあまり面識が無い為
グレイの声にビクビクしているが・・・

「アレン、こいつはニートに近い存在になりつつあるからそんな怖がらなくて大丈夫だ」
「にーと、とはなんだい?」

ニートという言葉に首を傾げるアレン
普段アレンから物を教わってばかりだから
新鮮さを感じてすごく良い気分だ

「おい!王国最高医の俺に向かって何か文句があるなら言ってみろ」

そう言いながら酒瓶を棚からおろすグレイに最高医の威厳なんて物は一切無い

しかし・・・あれは先のドラゴニュートの一件、グレイが国王に駄々をこねる事によってもらった高い酒だ
グレイは大事そうに酒瓶を机に置くとソワソワしながら蓋を開けようとしている

「なぁグレイ、確かその酒・・・ロッテと飲む約束してなかったか?」

蓋を開けようとしていたグレイがピタリと動きを止める

「確か国王でも滅多に飲むことは無い超超高級酒だったっけ」

俺の言葉にグレイが汗を流しながらこちらを振り向く

「いやぁ!?別にぃ!?あいつと飲む前にちょびーっと味見をな!?」

・・・さてはこいつ飲ませる気ないな?
俺はニヤリと笑みを浮かべると
医療室の入り口に手をかける

「いや、別に良いんだよ?これから俺達はロッテの方に頼みに行くから・・・その時たまたーま口がすべって、たまたーまお酒の事を口に「よぉしわかった!俺に任せろ!!!」

グレイは慌てて酒瓶を棚に隠すと
白衣を着用、眼鏡をかけて部屋を飛び出す

チョロいぜ!
俺とアレンは急いでグレイの後を追いかける
グレイの同行を得られるという事でアレンはホッとしている様子だ

「というかグレイって視力悪かったっけ?」
「いや?リアルでも両方2.0・・・ゲーム内だから30メートル先でも余裕で2.0の記号が見えるレベルだぜ?」

こいつはマサイ族か何かか?

グレイ先導のもと、ムーたんの部屋の前に着いた俺達三人は扉に向けて聞き耳をたてる
中ではアレンの言う通りチャプチャプという変な音が聞こえてくる
グレイは「なるほど・・・」と呟く

「・・・お前等は耳を塞いでろ、いや・・・8歳は早すぎないか?」

グレイの困惑の声に俺とアレンは首を傾げる

「いや・・・違うな・・・っ!?まずい!出て来るぞ!?」

俺とアレンはグレイに抱えられる形で物陰に隠れる

「ふぅ・・・危機一髪ってやつだな・・・」
「というかさっさと下ろせ!!!」

額に汗を流すグレイの溝内に一発拳をいれる

「っ!?アズ・・・てっあいったー!?」

グレイの恨みがましい声は顔を赤くして自分の体を抱くアレンのビンタが打ち消す

ナイスアレン!

痛みに悶絶するグレイを無視して物陰から顔を覗かせ
ムーたんが出てくるのを確認すると追跡を開始する

しばらくすると後をつけている俺達三人の耳に聞きなれた声が聞こえてくる

「む?ムートン様ではありませんか!今日もいつものでありますか?」
「はい!ロッテ教諭は買い物帰りですか?」
「そうなのでありますよ!臨時収入を得たので欲しい物をまるっと買ってきたであります!!」

この声はロッテか
いつもの・・・って事はロッテ先生公認って事か?
アレンも気づいたようで困惑しているようだ

ロッテと別れたムーたんは
そのまま中庭に向けて歩き出す
俺は追いかけようとしてロッテの荷物の量に疑問を抱く

「しかしロッテのやつ凄い量買ってるな・・・この前の授業の時はお金が無いって騒いでたのに・・・」
「そういえばアイツ、なんか高価なぬいぐるみを手に入れて臨時収入が~とか言ってたな」

俺の疑問にグレイが答えてくれる
なるほど、確かにさっきも臨時収入って言ってたな・・・

ん?高価な・・・ぬいぐるみ?
俺は最近無くしてしまったぬいぐるみのジローを思い出す

「なぁ二人共ちょっと先に行っててくれないか?」
「え!?急にどうしたんだい!?」
「いや・・・ちょっと急用が出来た」

とりあえずあそこで上機嫌に鼻歌歌ってるクソエルフにキツイの一発かまさないと気が済まない

そんな俺の様子を見たグレイがニヤニヤしだす

「まぁ待てよアズ、今はそんな事よりも学友の事を心配しようぜ?」

こいつさては知ってて・・・そのうえで今言ったな?
グレイは俺の怨嗟の念を口笛を吹きながら受け流す

殴りたい!このニート!

そんなこんなしていたらムーたんが中庭で立ち止まる

ムーたんは小型の持ち運べる鍋を取り出すと
中から人の首のような形をした何かを取り出す

「ムートン君・・・!まさか人殺しを・・・!?」

隣でアレンが信じられない物を見たって顔をしている
いやいや、いくらなんでもそれは無いでしょう?

俺達が注意深く観察していると
ムーたんは場所を移動して別の地面から人の形をした何かを取り出す

あれは・・・メンドラゴラじゃないか?
確か強力な脱力効果のある粉を噴出する植物モンスターだ

「アレン・・・あれはメンド」
「こうしちゃいられない!!!」

アレンが俺の言葉を無視してムーたんに駆け寄ると
思いっきり頬を引っぱたく

「ムートン君!君はなんて事を!」
「な!?アレンさんとアズ・・・それにグレイさんまで!?」
「どうして相談してくれなかったんだ!今ならまだ間に合う!」
「え?な・・・何がですか?」

戸惑うムーたんにアレンは人殺しという過ちを伝えようとして・・・
手元にある人の形をした植物を見て黙り込む

「あの?アレンさん?」
「いやー!こんな夜中に一人で出歩いちゃ危ないぞ?」

おいアレン少し無理があるぞ?
横ではグレイが腹を抱えて笑っている
とりあえずこいつは放置だ、後でクソエルフ共々国王陛下に直談判しよう

「それにしてもこんな所で何してたんだよ?」

俺はアレンが引っぱたいた拍子に地面に落ちたメンドラゴラを手に取る
メンドラゴラはまるで全てを投げ出したような顔でこちらを見ている

殴りたい!この植物!

俺が無言でメンドラゴラの顔をすりつぶしていると、ムーたんが恥ずかしそうに頬を掻く

「この前アズが言ってたろ?ズルでもイカサマでも勝てば良いって」

いや、言いましたよ?言いましたけど
なんかアレンとグレイの視線が痛いんだけど!?

「それで料理の事思い出してさ」

そう言いながらメンドラゴラを鍋に入れ
かき混ぜながら呟く

「異なる物から新しいアイテムを作る技法・・・」

グツグツという音と共に鍋からメンドラゴラだった液体を取り出すとガラス瓶に入れていく

「なぁアズ」
「な・・・なんだ?」

真剣な瞳に一瞬たじろきながらも答える

「俺と決闘してくれないか?」

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