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第15章 真影種襲来!もう一人の俺!?

ある日俺は硬い床の感触を感じながら目を覚ます

「ふも!?ふももう!?」

何事かと声を出そうとした所で口をタオルで封じられている事に気が付く

なんだ!?一体何事だ!?
俺は焦りながらも周りを見渡し
目の前に立つ信じられない人物に目を見開く

学園の制服、ボサボサの青い髪
綺麗な金色の眼が気怠そうにこちらを覗き込んでいる

「お・・・俺・・・いや誰だお前!?」

しかしよく見ると全然違う
正確には一人だけ浮世絵から飛び出してきたような出で立ちをしている

そんな目の前の謎の人物は怪しげな笑い声を挙げながら俺に歩み寄る

「くっくっく・・・我こそは真影種四天王が一人、影壱!!分け合って貴様の姿を借りている」

いや?全然借りれてないよ?見た目全然俺じゃないよ?

「恐怖で声も出ないようだな・・・」

いや?よく見て?お前口縛っただろ?喋れないんだよ
しかし護衛のルピーはどうした?・・・そうか!今日は午後まで帰ってこないんだった

「この姿・・・貴族の子供の姿なら国王の暗殺も容易というものよ・・・カーゲカゲカゲカゲ!」

笑い方もうちょっと思いつかなかったの?
というか国王を暗殺!?これは一大事じゃないか

「ふももう!ふも!ふもっふ!」
「今頃慌てても遅い!しかし貴様には姿を借りる恩がある・・・せめて国王が無残に殺される所を特等席で見る権利を与えよう」

俺の姿っぽい何か別の生き物が邪悪な笑みを浮かべると
何か変な水晶を取り出す

俺が不思議そうにその水晶を眺めていると

「ふも!?」

水晶が黒い光を放って俺の意識を吸収していく

「さぁ!この国を混沌に陥れてくれよう!」

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「おうアズ、なんだ?今日はサボりか?」

目が覚めた俺は目の前に立つ緑髪の青年、この国の最高医師であるグレイの前に立っている事に気がつく
あれ?体の自由がきかない?

「・・・なんだよ?」

訝しげな目を向けるグレイ

「流石王国最高医師・・・もしやもう我の姿がバレてしまったか?」

ぶつぶつと独り言を呟く影壱
どうやら俺は俺という何かに変装した影壱を見せられているようだ

というか当たり前だろ?こんなバレバレの変装・・・なんでバレないと思ったんだ?
影壱の呟きに総ツッコミをいれる

冷や汗を流す影壱はしかし次に発せられる言葉に真顔に戻る

「なんでお前トイレの前で道ふさいでんの?何?新手の嫌がらせ?」

おいいいぃぃぃ!このクソゴミクズ!何で気付かないんだよ!?

「・・・どうやらバレてはいないようだ」

影壱は笑みを浮かべるとその場を横にずれる
グレイは影壱の事を訝し気に睨むとそそくさとトイレに駆け込む

「どうやら変装は完璧のようだな」

いや、あいつは特殊なだけだから、目が腐ってるだけだから

変装に満足した影壱は早速国王のいる塔に向かって歩みを進める

「しかし広いな・・・これでは国王を見つけるのも一苦労だ・・・おいそこの料理人!」

そう呟きながらあたりを見回す影壱が一人の毛むくじゃらを捕まえる

「は・・・はいぃ!!?っでアズ様でねぇか?」

ド・・・ドルガさんじゃないか!
なんでこんか所に・・・?いや、今はそんな事はどうでも良い

小さい頃から俺を見守ってきてくれたドルガさんなら簡単に影壱の変装を見破れる!
俺は心の中でほくそ笑む

「あ・・・いや・・・ちょっと国王陛下が何処にいらっしゃるかをね?」

目の前の人物が俺の知り合いとわかったからか
影壱が挙動不審になる

ドルガさんはそんな影壱をじっと見つめる
いいぞ!流石ドルガさんだ!

「陛下なら夕食を終えてあっぢの部屋にいっだぞ?」

気付かないんかぃぃぃぃ!!
影壱はドルガさんに礼を言うと悠然と歩きだす

あの毛むくじゃら怪物め!今度会ったら全身脱毛してやる!

いよいよ変装に自信を持った影壱が今度は
一回り背が低いエルフの少女に呼び止められる

「アズ様ではないでありますか!」

ロッテは俺の所までトコトコ歩いてくる

いや!お前も気付かねぇのかよ!?お前ら全員俺に興味無さ過ぎだろう!?

影壱はロッテの事は調べてきたのか
媚びっ媚びの声で笑みを浮かべる

「ロッテ先生ではありませんか!俺に何か用ですか?」

しかしロッテはその言葉を聞いて訝しげな表情に変わる

「ロッテ・・・先生・・・?それに丁寧な言葉遣い・・・まるで別人でありますな」

いいぞ!俺は基本このクソエルフを先生と思った事は無い・・・このままボロが出れば!

ロッテは訝しげな表情を俺に向けると・・・満面の笑みを浮かべる

「ついに私を一流魔導師と認めたでありますね!」
「そ・・・それは勿論!ロッテ先生の力は全世界でも強力な物が多いですからね!」

おいクソエルフ
あと嘘でも俺の姿でそんな事口にすんなよ!

影壱は嬉しそうにはしゃぐロッテを持ち上げる

「そ・・・それでは俺は用事がありますので」

ロッテに別れを告げて立ち去ろうとした所を
袖を掴まれて止められる

「待つであります!」

影壱が笑みを浮かべながら振り向く

「せっかくなのです!大魔導師ロッテ先生の特別授業の参加券を被験体一号君に授けましょう!」
「は?いや?あ!アッー!」




「しかしアズ様も運が悪かったでありますな」

ロッテがフラスコに入った真影種を杖で突きながら俺にはにかむ

「助かりました・・・ロッテ先生・・・」
「おや?先生?もしや貴方も偽物でありましたか?」

ロッテの言葉に首を大きく横に降る

「で、ありましょうな!そこまでの擬態が可能であればもはや本物と言っても過言ではないというものでありますよ」

満足そうに頷くロッテ先生

「しかしこいつは一体何なんですか?」

俺は哀れにもフラスコの中で蠢いている真影種に視線を送る

「こいつは被験体一号でありますよ、私の大切なおもちゃであります」

そう言いながら笑みを濃くするロッテに俺は自然と体が震えだす

『お!お前ら!覚えてろよ!我ら真影種四天王が必ず貴様らに復讐をあぁ!?』

何か物騒な事を呟く真影種をロッテが鍋に放り込む

『うわ!何だこれは!?ひ!?や!やめてくれぇぇぇ!』

鍋の中では一体何が起きているのか・・・
興味を惹かれつつも見たら後悔しそうなので
俺は無言で退室するのであった

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