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第9章 英雄ドルガ

豪華絢爛な装飾に目がくらむ程ピカピカした玉座の間
玉座では以前ざるうどんを食べて以来よくウチに遊びに来る筋骨隆々な白髭が両手を広げている

「よく来た、未来のグラフを担う子供達よ」

現在開校式という事で貴族の子供合計6人が玉座の間に集められている
いやいやなんで学校の挨拶を国王が・・・

俺は椅子に座って延々と長いセリフを喋っているラフさんもとい国王の言葉を聞き流しながら周りの子供達を見る

フードで顔が隠れているので正確には把握出来ないが
歳はバラバラ、身長的に8〜10歳前後といった所だろうか

・・・なんで5歳の俺がここにいるんだ?
これなら後2年ぐらい我が愛しの妹と暮らしてても良かったんじゃないか?

・・・過ぎた事は仕方がない
再び人間観察を再開する俺はある事に気がつく
俺以外の五人はそれぞれローブの首元に家紋のような金具をつけている

グラフは有力な貴族に家紋をつける義務がある
ということはここにいる子供達は相当な金持ちという事だな・・・

ちなみに当家に家紋は無い

やっぱり俺がここにいるのが凄い不自然なんだが?
俺が何気無しに国王を見ると悪戯っぽい笑みを浮かべながらこちらを見ている事に気づく

さてはあいつの差し金だな?
俺は歯をむき出しにして威嚇しておく

「さて、諸君等のこれからの成長に期待する、何か質問があるものはおるか?」

なに、何でも申してみよと国王が子供達を見渡していると
一番端っこに平伏していた鷲のマークの子供が手を挙げる

「む?どうしたコンドル・マーク君」
「この度は私共を招集して頂き感激の極みデース・・・しかし陛下、一人我々とは違う世界の住人がいるようデース?」

そう言いながら俺の方を見るマーク
あっそれ俺も思ってたんですよ
今からでも帰れないかなぁ

そんな事を考えていると国王陛下が俺に視線を向ける

「アズよ、余が渡したアレを持っておるか?」

アレ?何の事だ?
俺が国王から貰ったものなんてあったか・・・
ああ!あれか!

俺は思い出したかのように首にさげていた指輪を取り出す
父より絶対手放してはいけないと強く言われた為
ネックレスのようにして毎日首に着けているのだ
しかしこれがなんだというんだ?
首を傾げながらマークを見ると引き攣った顔をしている

「納得したかの?」
「イエース!」

そう言って平伏するマーク
一体なんだってんだ?

「さて、他に質問者もいないみたいじゃな・・・それでは講師の者を紹介する」

国王が手を鳴らすと後ろに控えていた二人組が俺達の前で敬礼をする

「まず近接武器を得意とするマクトナ・ルト先生だ、彼には各武器での戦い、戦術指南を任せておる」

恐ろしく白い肌が特徴的な赤いボブヘアー
黄色いローブの男が無言でサムズアップしている

「そして魔法のリア・ロッテ先生だ、彼女には遠距離攻撃、主に魔法の授業を行わせる」

耳が長い緑のローブの小柄な女性が
トンガリ帽子を外して小さく礼をする

「これより皆の者は三人一組となり担当講師の元で生活していくことになる

ん?それだと片方のグループが近接、もう片方が遠距離に特化した教育を受けるという事か?
俺の疑問が表情に出ていたのか国王は首を横に振る

「授業事態は二人の講師の指導を受ける事になる」

国王は二人の講師がそれぞれ近くにいる子供達を三人づつ集め終えるのを確認すると
大きく頷いて立ち上がる

「一ヶ月後、それぞれのグループで模擬戦を行う、精進を怠らないよう、これにて解散とする!」


俺達の講師はロッテ先生
その身長は俺達とさほど変わらず
講師と言われなかったら完全にただの子供にしか見えない

「あの、先生」
「どうされたですか?アレン様?」

隣を歩いている面子も同じ事を考えていたようで
蛇の紋章をひっさげた赤髪の少女が質問を投げかけている

「先生は・・・その・・・かなり若く見えるので・・・その・・・」

歯切れが悪いアレンの言葉に全て察したロッテ先生がトンガリ帽子を外すと耳を見せつけてくる
そこにはファンタジー世界でよく見る尖った耳・・・エルフ耳があった
これはまさか?
今までつけ耳獣娘だったり体型ドワーフだったりで人類種以外とは会ったことがなかったが・・・

「私は俗に言うエルフというものであります、故にこれでも50は超えているのですよ」

そう言いながら見た目に全く似合わない妖艶な笑みを浮かべるロッテ先生
キター!初エルフキター!しかし50!?

「BBAか・・・」
「何か言ったでありますか?」

凄みのある笑みで俺を見るロッテ先生
こわ!?ととりあえず話をそらしておこう

「それにしてもなんで唐突に学校なんて始める事になったんですか?」

俺の素朴な質問にロッテ先生が少し困った表情を浮かべる

「それもこれも・・・グラフとオクトリアの国王会議でのあの出来事が全ての始まりなのであります」

どこか遠い目をしているロッテ先生が淡々と語りだす



あの日、国王陛下の護衛として会議に参加していた私は、国王陛下の紹介に気を良くして爆発魔法を放った

しかし魔力配分を間違えたのか対面にあった壁が吹き飛び風通しを良くしてしまった

それを見たオクトリア王は腹を抱えて笑いグラフ王を・・・グラフの民の民度を馬鹿にした所から始まるのです

「まさかグラフの宮廷魔導師がこんなへっぽことは!くすくす、ぷーくすくすー!」
「・・・」

オクトリア王は散々笑った後無表情に戻り正面を見据える
正面にはこれまた無表情なグラフ国王
しばらく二人の国王が無表情で睨み合い・・・
先に動いたのはグラフ国王だったのです

「ふむ・・・実は今日は土産があってな・・・持ってきなさい」

背が低い小太りの男性・・・ドルガ様はビクリと身を震わせるとおそるおそる二人の国王の前に謎の物を置く

「・・・皿に乗っている所を見るに・・・これは料理か?」
「いかにも・・・」

遠くにいてもよくわかる・・・なんて良い匂いなんでしょう・・・はっ!ヨダレが!

しかし流石は一国の王、目は皿の上に釘付けだが平静を保っているようだ

「ふ・・・ふん!しかしそこの者が作ったのか?よもや毒など入ってはおらぬだろうな?」
「・・・その者が着ている白き衣・・・貴様には何かわかるか?」

グラフ王はニヤリと笑みを浮かべる

「それは我が国の貴族が着用する衣でな」

グラフ国王の言葉にその場にいる全員がぎょっとする



「いやいやいやいや待て待て!」
「む?どうされましたアズ様?」

俺は慌てて回想を止める

「その白き衣って俺が作ったエプロンの事だよね!?」

俺の言葉にロッテ先生は明後日の方向を向く

「おい」
「良いですかアズ様?国王が白といえば全て白になるのであります・・・なんですかその目は!やめてください!続きを話すでありますよ!!」

胡散臭そうな者を見る目を向ける俺に耐え切れなくなったのかロッテ先生が続きを話し出す



「ふ・・・ふっはっはっは!そんなわけがあるか!」
「本当に・・・そう思うかの?」

否定するオクトリア王にグラフ王が睨みをきかせる

(・・・確かに貴族には小太りな体系が多い・・・しかし・・)

ゆっくりと椅子に座り直すオクトリア王の前でグラフ王がスプーンを掲げている

「ふん!」

オクトリア王は一応納得したのかグラフ王を真似してテーブルのスプーンを掲げる

「いただこうか?」

にやりと笑みを浮かべるグラフ王に促されるままにオクトリア王がカレーを口にして・・・
震えながらスプーンを取り落とす

「はぅぅ!ふまふぎるぅ!」
「へ・・・陛下!どうなさいました!?っく!まさか本当に!?」

国王の異常事態に慌ただしくなったオクトリア兵を
冷静さを取り戻したオクトリア王が手で制す

「うまい・・・」
「え?」

グラフ王が勝ち誇った表情を浮かべる

「なるほど・・・グラフにも多少は頭を使う者がいるようじゃの・・・」

静かに言い放つオクトリア王

「しかしこのままでは余の気が済まん・・・どうじゃグラフの・・・勝負をせんか?」

グラフ王は笑みを浮かべたまま頷く

「ところで・・・」

オクトリア王がドルガを一瞥する

「お主・・・名をなんと申す」

オクトリア王の問い
しかしドルガは微動だにしない

それもそのはず、白き衣云々の時に驚愕で立ったまま気絶していたのだ
グラフ国王もこれはまずいとロッテに目で合図を送る

(わ・・・私でありますか!?ま・・・まずい!ど・・・ドルガ様!?起きて!起きて!)

バレないようにドルガを小突くが全く気が付いていない
全く返事をしないドルガにオクトリア王が苛立ち始める

「どうした?他国とはいえ一国の王にそのような態度は・・・」

(あわわ!こ・・・こうなったら!!!)

ロッテは隠し持っていた短杖をドルガの背中に突き付ける

「失礼いたしました・・・私はドルガと申します」

風魔法でドルガの声を真似て作ったロッテが話し始める

(ドルガ様の髭が達者で助かりました・・・!)

口元が見えなければどうとでも出来る
ロッテは不敵な笑みを浮かべて敬礼をさせようとして・・・

「ぶえっくしょい!!ちきしょう!!」

ドルガのボサボサの髪の毛が鼻に当たり盛大にくしゃみをしてしまう

(っは!いけないいけない!と・・・兎に角ドルガさんを・・・ってあれ?)

目の前にドルガの姿は無い
どこにいったかキョロキョロ見回し・・・オクトリア王を押し倒す形で倒れるドルガさんが目に入る

ロッテとグラフ国王が同時に頭を押さえる
流石にこれは挽回できない、この際ドルガには犠牲になってもらえないだろうか?
二人がそう思い始めたその瞬間声を挙げたのは意外にもオクトリア王の背後にいた人物

「くそ!失敗だ!!!」

見れば怪しげな服を着た人物が魔法を放った後の残滓を残したまま大急ぎで扉に向かってかけている

「賊だ!捕えよ!!!」

ここにきて水を得た魚のようにグラフ王が兵を動かす

「どうやら命がけで貴殿を守ったようじゃな・・・」

呆然と座り込むオクトリア王にグラフ王が手を差し伸べる


「かくして英雄ドルガと影の英雄たる私のおかげでグラフはオクトリアと」

機嫌良く話すロッテの袖を引っ張る

「・・・なんですか?今丁度話のクライマックスで」
「大体全部お前の仕業じゃねぇか!!!!」

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