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第8章 目に入れても痛くない!

本日は晴天
木々の隙間から暖かな光が屋敷の一室を照らし出す
そんな一室で本を読んでいた俺の耳に赤ん坊の声が聞こえてくる

俺は急ぎ声の聞こえた方を確認すると
母に抱えられていたアクアがこちらに向かって手を振っているのが見える

「なぁなぁ母よ?今この子、俺の事呼んだんじゃないかな?」

俺は母の前で飛び跳ねながらアクアを渡すように要求する
母は俺とアクアを見比べるとドヤ顔をこちらに向けてくる

「いいえ!私を呼んだに違いないわね!」
「おい」

俺はアクアをあやす母と睨み合う
今のは絶対俺を呼んだぞ?
というか今なんで見比べたんだこの野郎
この前までは俺に対してべったりだったくせにこの変わり身用・・・!
俺は内心のもやもやする感じを取り払うべく母と向き合う

「「今のは絶対・・・!」」
「あぎゃあ!」

俺達はアクアの声に気づいて急ぎ睨むのをやめると
アクアが満面の笑みで手を振っているのを視界に映す

俺達は再び睨み合い・・・

「いやっふぅーーーー!!」
「いやっほーーーーー!!」

俺と母はハイタッチをかわす
そんな様子を見ている使用人が冷たい目をしているが俺と母は全く気にしていない

今まで俺は姉が一人、兄が一人いたが妹や弟はいなかった
なので初めての妹の出現に完全に骨抜きになってしまった

ここに来る前は、姉さんの俺や兄に対しての激甘っぷりにゲンナリしていたが・・・
今となっては姉の気持ちが少しはわかる気がする

「ああ~天使がいるんじゃぁ~」
「天使・・・間違い無いわね・・・!」

アクアの手を握り口をニマニマさせる俺に母が同意する

アクアが生まれて約半年
俺は父の依頼完遂の元
アクアを愛で・・・母の魔の手から守る為に常に近場で見守っている
しかしそんな監視の任務にも時たま邪魔が入る事もある

「アズざま〜いらっしゃいますが〜!?」

野太い声に呼ばれ、後ろ髪を引かれながらも扉を開けると
つい最近貴族になったと報告を受けたドルガさん
なんだか慌てた様子であたふたしている

「まぁまぁ落ち着いてください?何が起きたというんですか?」

落ち着かせる為にゆっくりと話を聞く体制に入ると
若干落ち着いたドルガさんがツボを取り出す

はて?これは俺のサンドワームツボではないか?
中身を確認すると大量のサンドワームがウネウネしている

毎日散歩し続けたかいあり伸びに伸びまくったサンドワームが分裂
今ではツボ一杯に養殖する事に成功したのだ

「俺の養殖キットじゃないですか、これがどうしました?」
「どうしたもごうじたもねぇ!・・・こんな量のサンドワーム・・・一体どうしだんですが!?」

どうしたもこうしたも俺が養殖したんだが?
頭にハテナを浮かべている俺の背後から母が顔を覗かせる

「あらあら~すごい量のサンドワーム・・・こんなにあれば屋敷が買えるわね~」
「ホワッツ?」 

いやいやいやまさかそんな・・・
困惑気味にドルガさんを見るとものすごい勢いで首を縦に振っている

「まじかぁ・・・」

少し愛着はあるが換金するか?
いや・・・いい加減調理に使うか・・・?違うな
今は、そんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない

「このサンドワームはドルガさんに差し上げます、貴族になったんだからお金が入用でしょう?」

俺の言葉にドルガさんが大口を開けている
元々は厨房からくすねたやつだから俺は気にしない!
なにより今の俺にとってはアクアのほうが大事なのだ
これで毎日の日課であるサンドワームの散歩の時間もアクアに注ぐことが出来る

これからの日課のスケジュールを頭の中で整理していると
部屋の扉が大きな音をたてて開け放たれる

「そこまでだ!」

突如部屋に乱入してきた父が母からアクアを取り上げると地面を指さす

「二人共、そこに座りなさい」

俺と母は父の怒気を感じ言われるがままに正座する

「二人は少しアクアに構い過ぎだ」

溜め息を吐きながらアクアを俺達から遠ざける父クラウス
その顔には呆れと少しながら怒りが見て取れる

一体何がいけなかった?
母も俺と全く同じ意見なのだろう
その顔は困惑と疑問で彩られている

「しかし父よ、俺は構い過ぎた記憶はないぞ?むしろ母から守る為日々奮闘している」

アクアを奪還しようとしたが父は難なくかわす

「そうよ!私達はただアクアちゃんが立派に育つように愛情を注いでるだけよ!」

アクアを奪還しようとした母を父は難なくかわす

「物には限度がある」

そう言いながら溜息を一つ
父が一つの封書と紙袋を俺に差し出す
俺は怪訝な表情を浮かべながら封書の中の用紙を取り出す
そこには王国特別教育機関入所指令の文字

「なんですかこれ?」
「オクトリアという国の事は知っているかい?」

父の意味深な笑みに俺は嫌な予感を覚える

「そこではある一定の年齢以上になった子供を教育する機関があるらしい」

俺は薄れかけているゲームの設定を思い出す
オクトリアはこの世界で唯一教育機関が存在する国だ

「その国と近い年に交流祭を行うにあたって・・・国王陛下がある一定の階級以上の子供達を集めて学問を学ばそうという国令を出してね?」

俺は封書を父に返しながら思案する
・・・つまり学校に行けって事か?

「なんだ、良い国令じゃないですか」

まさかこの歳で学校に通う事になるとはなぁ
もう一方の紙袋に入っている服は制服だろうか?

中には赤い刺繍が施された短いフード
ポンチョのような白いローブに短パンが入っている

これを俺が着るのか?
気後れしている俺に父が意地の悪そうな笑みを浮かべる

「そう言ってもらえると助かるよ」

そう言いながら背後に控えていたルピーを呼び寄せる

「妹離れも兼ねて行って来なさい、卒業までの間ルピーさんの言う事をちゃんと聞くんだよ?」

ん?卒業までの間?妹離れ?
父の言葉に思考が停止する

「ふふ!その間アクアちゃんの事はお母さんに任せなさい!」
「アイスも実家のほうから手紙を預かっているぞ?」
「あらあら~なにか・・・し・・・ら・・・」

父が母に手紙を渡すと母が微動だにしなくなる
でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない
問題は俺の学校滞在期間のほうだ
思考が回復した俺は不安気な表情で父を見上げる

「ち・・・ちなみに何日なんですか?」
「早くて約5年になるんじゃないかな?」

父の言葉を聞き終わる前に思考を停止させるのであった

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