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第6章 料理で・・・皆んなを・・・笑顔に!

「ようこそいらっしゃいました」

そう言いながら傅く父の足元に隠れながら目の前の人物を見上げる

身長は成人男性より一回り大きく
豪華な服から時折見える体はまさに筋骨隆々
年は恐らくかなりとってるんじゃないだろうか?
そう思わせる程フッサリとした白髭
白髭男は傅く父に手をかざす

「よい、今日は友として参った」
「そう・・・でしたね」

そう言いながら父もはにかむ
父の珍しい表情に感嘆の声をあげていると
白髭が俺の方に視線を向ける

「クラウスよ、この子がお主の子か?」
「はい、さ、名乗りなさい」

そう言って俺を前に出す

「ええ・・・と」

俺は名乗りを上げようと白髭に顔を向ける

「・・・・・」
「・・・・・・・」

いや!めっちゃ怖いんですけど!?何この人!?
なんで赤ん坊にこんな凄い目力向けてんの!?
おおお落ち着けぇ・・・素数を数えるんだ・・・
1.2.3.4・・・よし!
 
「俺の名前はアズ、よろしくな!」

ホールが静まり返る
あちゃー落ち着きすぎていつもの調子が出てしまった
父と母が無言で冷や汗を流している、今日は本当に両親の珍しい表情を見れる日だ

白髭は目力そのままに顎髭を弄ると、俺の頭に手を乗せる

「随分とはっきり喋るのだな・・・まだ生まれて間もないはずだが?」

頭を撫でながらそんな感想を呟く
その撫で方はとても優しい

「余はラフという」

顔は相変わらずだが笑み?らしきものが見える
もしかしてドルガさんタイプの人か?
白髭はひとしきり頭を撫で終わると父と客間に入っていく

「なんかすっごい目力だなぁ・・・」

いまだ放心状態で呟く俺の頭にスパコーンという音と共に痛みが走る

「いったい!」

そこには頬を膨らませてぷんぷん言ってる母がいた

「なんで偽名名乗っちゃうかなぁ!」
「こっちのほうが慣れてるんだよ」

いつものように適当に返事をするが今日ばかりは母が難しい顔をしている
仕方ない・・・

「今からでも訂正してくるよ」

そう言い残して客間に向かおうとした所で手首を掴まれる

「それはだめだよ〜!」

俺が怪訝な顔を浮かべると母が頬に手を当てあーでもないこーでもない言い始める

「えーっとね?あの人の前で嘘はついちゃいけないの」
「まぁ嘘自体あんまり良いものじゃないから当然じゃない?」

溜息を吐きながら反論すると母は困った表情を浮かべる

「もし嘘をついたら大変な事になっちゃうの」

あえて俺に言うって事は子供でも関係無しに大変な事になるって事か
そういえばドルガさんは首が飛ぶって言ってたな

「つまり俺はアズという名前で」

確認するように母を見る

「少なくともあの人が俺の名前をアズじゃないと判断したら首が飛ぶって事だよね?」

頷く母を見て俺は体に震えを覚える
それ程の大物って事か・・・

「これは・・・革命のしがいがあるぜ!!」

俺は呆然とする母を置いて
準備をするべく厨房に移動する
厨房では真っ白なエプロンとコック帽をつけたドルガさんがサンドワームの湯切りをしている

「ドルガさん・・・例のブツは?」
「こちらでず」

緊張しているのかガクガクになりながら完成したざるうどんを見せてくれる

俺は懐から箸を取り出すとひとつまみ口の中に放り込む
ふむ・・・少し芯が硬いがこういううどんもある

「良い出来です」

無言で敬礼するドルガさんに細かい指示を出していると
食卓のほうが騒がしくなってきている
どうやら獲物が来たようだ
俺はドルガさんに不敵な笑みを浮かべる

「ここからは俺に任せてください」

今にも気絶しそうなドルガさんを背に移動すると
白髭を上座に父と母が席に着いている

「ほら・・・アズもはやく座りなさい」

一瞬名前を言い澱む父に急かされるように椅子に座る

「本日はへいk・・・ラフ様の為に遠方よりサンドワームを仕入れています」

それを聞いた白髭が満更でもなさそうに髭をさすっている
ていうか今陛下って聞こえた気がするんだが?

「ドルガ君」

父の合図でドルガさんが食事を持ってくる

そう・・・ざるうどんを

それを目にした二人は時が止まったように硬直する

だがここでは止まらない
ドルガさんが続いて黒い液体を持ってくる

そう・・・麺つゆだ

ここに来てついに白髭が動き出す
彼は手を振り上げテーブルを叩こうとして・・・

「本日はラフ様がいらっしゃるという事で私の方から遠方の地の食・・・を提供したいと思います」

俺の言葉に白髭の動きが止まる
最初は何を言ってるだこいつ?と見られていたが
じっとこちらを見ると黙って成り行きを見る態勢に入った

「遠方にて万人に好かれる料理、そして作ったのはこの国指折りの料理人、必ずやお気に召すかと」

多少オーバーアクションを入れ不敵な笑みを浮かべる
しかし白髭も父も納得はしていない様子

「もう一押し・・・」

どう言いくるめようか頭を働かせていると意外な所から救援が入る

「まぁすごい!今日はご馳走ね〜」

母がそう言いながらはしゃぎだしたのだ
流石歩く能天気、さっきまでは調子が悪かったみたいだがこういう時頼もしいぜ!

これには流石の白髭も異議を挟む事は出来まい
静かに着席する白髭と汗だくの父を見てホッと一息

第一関門は突破・・・次は・・・

観念した白髭はどうやって食べたものか悩みながらもうどんをフォークに巻き付けて口に運ぼうとするのが視界に映る

「そうは・・・させるかぁ!!!」

俺は懐から箸を取り出すと
うどんを麺つゆにつける
勢い余って少々テーブルを汚してしまったがまぁ仕方ない

「どうだ・・・?」

チラリと白髭の方を見ると険しい顔をしながらも真似して麺つゆにつけ鼻を鳴らしている

「これは・・・良い匂いがするな」

白髭が喉をゴクリと鳴らしてそのまま口の中に放り込む
無言で咀嚼する白髭に心臓の音がはやまる
たかがざるうどん、されどこの世界では・・・

ゴクンと喉を鳴らし虚空を見上げる白髭

「・・・うまい!」
「いよっしゃー!!」

白髭の一言に思わず叫びながらガッツポーズを決める
そんな様子を温かい笑みで見守っていた白髭が手を叩いてドルガさんを呼ぶ

「分かっておるな?」

跪くドルガさんが無言で首を縦に降る

「よろしい、今日はお主を冒険者ギルドの厨房にとクラウスに話を持ちかけたのだが・・・」

白髭がチラリとこちらを見る

「今しばらくこの場で修行の必要があるようだな?」

無言で首を縦に降るドルガさんを見て満足気に頷き
フォッフォッフォッと笑いながら俺に向かって手招きする

「所でそこのちっこいの」
「ちっこいのじゃないです、アズです」

俺の名乗りに母が隣でむっとしているが白髭の手前訂正する事が出来ないようで・・・
俺は母にドヤ顔を決めながら白髭に近づく

そんな俺と母の対決に全く気付かずに白髭は笑いながら俺の肩を叩く

「そうじゃったそうじゃった!」

こいつ酔ってんのか?
俺が白い目を向けていると今度は父があたふたし出した

「のうアズよ、当家に仕える気はないか?」

そう言いながら指輪を俺に差し出す白髭
父がいよいよ気を失いそうになっている事から恐らく相当凄い事なのであろう
だけどまぁ・・・
手渡された指輪をポケットに放り込んで白髭から離れる

「考えておきます」

そんな優柔不断な言葉を紡いで俺はざるうどんを食べるのを再開するのであった

うむうむ!この調子で色んな料理を広めていくぞい!

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