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第5章 食文化の違い

歯が生え揃ってきた今日この頃
現在俺は屋敷のホールテーブルで顔を顰めている

「まずい・・・」

俺は口の中に入っているなんともいえないドロドロした物を咀嚼しながら遠い目をする

どうやらこちらの世界に来て一番の難関・・・それは食事のまずさのようだ
いくら別世界とは言えこれはあんまりなんじゃないか?

俺は厨房で仕込みをしている人物を指パッチンしながら呼びつける

「へいコック長!」
「コッグジョウ?なんでずがいそれは?」

そんな俺の態度を全く気にも留めずに厨房から一人の男性が現れる

髭面の強面ドワーフ体系ドルガさんだ
ドワーフ体系なだけで特にドワーフというわけではない

「前から言おうか言わまいか悩んでいたんですが・・・もしかして料理が下手ですね?」
「おめぇ・・・まだ俺の飯食ぃ始めて3日もたってな「もしかしなくても下手ですね?」

ドルガさんが何か言いたげに髭を掻いているがここだけは引くわけにはいけない

「俺はごう見えて王国でも指折りの・・・「そこで!今回は特別に俺が料理の指導をしようと思います!」

なんか王国でも指折りのとか聞こえたがここはスルーだ

「まずは見た目からです!」

俺はあらかじめ作っておいたコック帽とエプロンをドルガさんに手渡す
渋々受け取ったドルガさんが着替えて来るのを待ちながら、俺はこのアイテムを手に入れるまでの苦行を思い出していた・・・

先の暗黒大戦、哀れ衣服を剥ぎ取られた俺は
ルピーの肌着を着せられるという羞恥の感情と共にある物を入手した
それはルピーが積荷から取り出した裁縫セット

最初はこの世界で裁縫なんて珍しいスキル持ってるのか?と尊敬の眼差しで見つめていたのだが
その手元は決して賞賛に値する物ではなく・・・
時々指に刺さる針が痛々しくて見てられず

「ええい!見てられない!ちょっと俺に貸しなさい!」

そうして奪い取ったのがこの裁縫セットなのである
当初は鳥の羽を綿の代用
自分の髪を糸にしてぬいぐるみ等を作っていたが
今回かねてより画策していた調理場の革命を決行すべくエプロンとコック帽を作り上げたのである

「お~ぃ」

過去の出来事を振り返っていると目の前から声がかかる

「あ!着替えてきったねぇ!」

目の前にはエプロンとコック帽
恥じらいからかふんどしのみを着たまごう事無き変態が立っていた

「言われたどおりぎがえてきたんでずが・・・」
「それはそうやって着るんじゃねぇよ!?」

おいやめろ!
そんなもじもじしながら頬を赤く染めるな!
正しい着方を教え再び厨房に一人残る俺は何故かすでに満身創痍になっていた

「っく!まさかこの世界に来てあんな破壊兵器に出会うとは・・・」

ここまで常識に差があるとは思わなかった・・・
もしかしたら俺の料理は通用しないかもしれない
早くも諦めかけている俺の視界に、今度はちゃんと服の上からエプロンを着けたドルガさんが近づいてくる

「ごれ・・・動きづれぇ・・・」

今までつけた事が無いのだから当然といえば当然である
けれどエプロンやコック帽には安全面と衛生面を考えた重要な役割があるから外せない

「とにかく・・・まずはドルガさんの腕前を見せてください・・・」

俺は早速厨房に椅子を置きドルガさんの作業を見守る体勢に入る
ドルガさんが「おめぇ・・・見た事もながったのが・・・」と驚愕の表情を浮かべている

良いから早く作りなさいよ!!
頬を膨らませて抗議する俺にドルガさんが大人な笑顔を向けてくるのが腹立つ!

そんなこんなしながらも料理自体には慣れてるようで
何かウネウネした物を切っては茹で切っては茹でを繰り返している

「いや・・・まずそのウネウネしたのはなんなのさ・・・」

俺の質問にドルガさんがウネウネした物を鷲掴みにして笑顔を浮かべる

「ごれは新鮮なサンドワームだな・・・ごんな高級食品をづかえるとは・・・」

サンドワームなんてものが高級食品なのか・・・?
疑問が顔に出ていたのかドルガさんが捕捉してくれる

「ごのサンドワームは砂漠地方にしが生息しなぐてな・・・そでもとても小ざぐで広大な砂漠ではなかなか手に入らないんだ」

なるほど・・・入手困難な高級食品か・・・
なんかミミズっぽいし良い土と水を使ったら水槽とかで量産できないかな?

サンドワームを近くのツボに入れていると
ドルガさんが茹でたドロドロした物を目の前に持ってくる

「でぎたぞ・・・」
「・・・・・」

ドヤ顔をかますドルガさんを見て頭を抱える
そんな俺に対してドルガさんが不思議そうな顔をしている

「いや!味付けは!?というかなんでそんなドロドロにしちゃうかなぁ!?」
「味付け?なんなんだぞれは・・・?」

この世界の食文化は俺の思った以上にひどいらしい

「・・・良いですか!まず味付けに関して!」

俺は厨房の中を見回して適当な小瓶を何個か見つけると、中に入っている物を一つづつ確認していく

まずこの小瓶、中には黒い穀物のような物が入ってい

瓶のフタを開けて手で仰ぎながら匂いを確認する

「これは良い匂いがします・・・毒性とかはありますか?」
「いや・・・毒性はない・・・」

毒性が無いと聞いてそのままかじりつく
ほのかな苦みを感じる
これ単体ではいかせそうもないが・・・

「ドルガさんはこの穀物を液状、きざみ状、粉状とか色んな形に加工してください」

渋々ながらも従うドルガさんを放置して他の小瓶を漁る

「この匂い・・・臭いけど・・・」
「口に入れても大丈夫だぁ・・・」

質問するより先にドルガさんが加工された穀物と共にこちらを覗き込んでいる
どうやら王国でも指入りというのは嘘ではないらしい
俺はニヤリとした笑みをドルガさんに向ける

「よし・・・まずは調味料だ!!」

この世界ではまだ調味料は発展していない、ならば自分である程度味を調整できたほうが良い
そして俺が知る今のこの世界の料理はサンドワームを使ったどろっとしたもの

俺は物は試しにサンドワームを茹で始める
時折ドルガさんが心配そうに見ているが無視だ無視

「・・・これは!」

俺は手早く茹でたサンドワームを取り出して口に入れる

「少し独特な味はあるが・・・うどんだな・・・」

となれば・・・
ドルガさんが加工した調味料を一つずつ組み合わせていく
その結果、味は少し辛く無臭の醤油もどきが出来上がった

「後は簡単に盛り付けて・・・」

完成した作品をドルガさんの前に並べて決め顔を一つ

「おあがりよ!」

ドルガさんはテーブルに出されたものに眉を少し動かし・・・サンドワームだけ食べ始める

「味はかわらでぇな・・・」
「ちっげぇぇよ!!」

俺はフォークを奪い取ると
サンドワームを一巻きして醤油もどきにつけ
ドルガさんの口に突っ込む

その瞬間ドルガさんが目を見開く

「・・・こでは!」

今度は自分でサンドワームを巻き付けて醤油につけて食べ始める
その手は止まる事無く・・・皿の上のうどんはあっという間に無くなってしまった

「すげぇ・・・うめぇ・・・」
「でしょ!?でしょ!?ふっふーん!」

ドルガさんがドヤ顔をする俺を温かい笑みで見ている

「なら今日からこの家はこの味でいきましょう!」

ドルガさんは無言でうんうん頷き・・・

「やっぱりだめだぁ・・・」
「ホワッツ!?なんで!?」

予想外の言葉に俺は愕然とする
ドルガさんは確かにうまいといった筈だ!?

「正確には・・・今日がらってのがだめだぁ・・・」

んんー?

「どういう事ですか?」

俺の質問にドルガさんが真っすぐな瞳をこちらに向ける

「今日はお城からとある人がぐるんだ・・・万一ぞの人に何かあっだら・・・」

少し間を開けてドルガさんが続きの言葉を発する

「例え子供でも・・・首が胴体とおざらばしちまう・・・」

ドルガさんの俺を掴む力が少し強くなる
もしかして彼は俺の事を案じて言ってくれているのか・・・?
思い返せば向こうからしたらわけのわからない我が儘だった俺の言う事を聞いてくれてたし・・・
何より初めてドルガさんと会った時のあのデレッデレな顔が今でも頭から離れない

「ドルガさんって良い人ですよね!」
「むぅ・・・・」

赤くなった頬をボリボリ掻くドルガさん

「でも今日はこの料理でいきます」

ドルガさんが目を見開き俺に何か言おうとするのを遮るように続きの言葉を発する

「それに・・・ドルガさんは未完成の作品を出すような中途半端な料理人じゃないでしょう?」

王国屈指の料理人ならば常に最高の品を提供する心構えぐらいある筈だ

フンスと鼻息を荒くする俺に
ドルガさんが吹き出して腹を抱えて笑いだす

「わがっだ・・・わがっだ・・・だが一つ」
「なんでしょう?」

ドルガさんが笑うのをやめて真面目な顔をこちらに向ける

「今回の料理は俺の料理として提供ずる・・・ごれだけは譲れねぇ・・・」

続けて「それでも・・・」というドルガさんの言葉にかぶせるように俺はドヤ顔を決める

「構いません!そして・・・ドルガさんが死ぬような事態には陥らせません・・・!」
「めぇった!めぇった!全ぐ・・・クラウス様はとんでもねぇ子を育てちまっだなぁ」

降参するように手をあげるドルガさんを背に向けて俺は指を天に向ける

「食の革命!やってやろうじゃないか!!」

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