竜殺しと人殺し
水の都へ
「あのガキのせいでとんだ時間を食っちまった…」
シオンはミサから取り戻した封筒を大事そうに仕舞うとギルドの酒場への道を戻っていた。辺りはすっかり暗くなり、コウモリが飛んでいる。ギルドに戻ったシオンを出迎えたのはギルドマスターの
「名前…聞いてなかったな」
「俺はガランだ、お前はシオン名前はよく聞いてるぜまさかお前が騎士団を追われるとはな…フォーグを除けば一番の戦力と名高いお前がな」
こいつは何かを探ろうとしてるのか…
シオンは自分がクビになったわけではなく
自ら騎士団を去ったのだと悟られたのではないかと心配したのだが、それは杞憂に終わるのだった。
「騎士団もバカだな、こんな人材をしょーもねえことで追い出して」
「ま、まぁそれはいいじゃないかガランこれから宜しく頼む、これは前金として払わせてもらうから」
そういうとシオンはミサから取り返した封筒をガランに差し出す。
「金はいらねえよ俺の興味で付いていくんだ、その代わり俺は雇われじゃねえ対等な仲間としてお前の横に立たせてもらう、いいな?」
「俺としては助かるが、いいのか?」
「あぁ、問題ねえ。ところでお前、そのセブンスが向かった場所はわかるのか?手がかり無しに冒険なんてするもんじゃねえぞ」
「それは…確かにそうだが」
ガランに言われた通りヨナとフレイルに関する手掛りは何1つとしてないのだ。
そのような状況で旅に出ようとしていたのだ、如何に自分が冷静さを欠いていたのかを自覚する。
「まぁ、そんなしょっぺぇ顔すんな、俺の部下が巨大な赤い竜がオルフェリアに向かってくのを見たらしい」
「ほんとか…!?オルフェリアって言ったら水上都市オルフェリアか…」
オルフェリアは中立都市をさらに南に向かい中立都市が管理する港から船を使う必要がある
「そうだ、船もうちで一番早いのを用意した、そのフレイルってのとやり合うのが楽しみだぜ…!」
「自分で言うのもなんだが、俺の剣じゃてんで歯が立たなかった…フォーグのおっさんや、アンタが戦ったとしても勝ち目があるとは言い切れない強さだったぞ」
「だからいいんじゃねえか、それで死ぬなら本望ってやつよ!さぁ船出は明日だ、港まではそれなりに距離がある牛舎を早朝に手配してるからな早く寝ろよ」
「あぁ」
シオンはガランの計らいで酒場に部屋を用意してもらいそこで一夜を過ごすことになる
『竜のーー目覚めー、汝は竜のーなり』
『人々はーーした、もはやこの世ーーりなどない』
「はっ!?…はぁはぁ夢…なのか」
シオンが目を覚ますと起きる予定の時間の少し前だ、おかしい夢にうなされたのか汗をかいていたので、少し早くシャワーを浴びることにした。
それから
「わりぃわりぃ…」
信じられないことにガランは寝坊してきたのだ。
「うそだろおっさん…ギリギリじゃねえか!」
必死に走ったおかげで牛車には間に合った。
「ついたぜここが港だ!」
「知ってるよ騎士団にいた頃何回も来てる…」
「連れねえこと言うなよ…だがこいつぁ見たことねえだろーなあギルドが誇る最速最強の船、黒百合だ。」
船体は黒く帆までもが黒い
装甲や武器の類が見受けられないがこれが最強と言われる由来はどこにあるのかシオンは少し興味が湧いた。
「ほー騎士団には絶対にありえないカラーリングだな…これに乗るのか」
シオンは少し皮肉めいてそう言うと、ガランに促され船に乗り込むのだった。
「ヨナ…無事でいてくれよ」
「その娘はシオンのガールフレンドって奴かぁ?」
ガランが似合わないにやけ面をして甲板に上がってくる。
「聞いてたのかよ、悪趣味だな」
「でっけえ声の独り言だからよ」
「そんな面して地獄耳かよ」
シオンは呆れたように笑う
「へっ…口の減らねえガキだな、ところで気づいてるか?」
「あぁ、ずっと見られてるな、殺意は感じないが…出てこいよ」
シオンは甲板の出入り口の右脇にある資材の山を見やるとそう言った
「ばれちゃあしょうがねえな…」
そう言って現れたのは緑の髪の少女だった。
「ミサ!?おめぇなにしてやがる!」
ガランが驚いたのか少し声を裏返らせて言った。
「何でこんなとこまで着いてきたコソドロ。」
「言ったろ私には金がいるんだ…!あんたの金を奪えなかった以上こうするしかねえ!無理矢理にでも仕事をもらうしか…」
「なんで、そんなに金が必要なんだ仕事なら町にもあるだろ?」
「私の父さんは病気で死んだけど、母さんは私を養うお金が必要だって怪しい奴らについってったんだ、でもそれっきり帰ってこなくてもう一年経つ、金が入ってくるわけでもねえ…だから世界中を探すんだそのためには金が」
ミサは少しずつ声のトーンが落ちると最後には俯いてしまった。
シオンは想像していたよりも重い事態に言葉を一瞬失う
「誘拐や、行方不明の類なら国も動くが自主的についていったとなるとな…」
「シオン」
ガランが口を開いた
「こいつも連れて行けねえか、実力はそこそこはある、おめえの邪魔はさせねえし、危ない時は下がらせるダメか」
「はぁ…わかったよ、危なくなったらすぐに逃げろよ?」
ミサの顔が明るくなり先程までの曇った表情はもう微塵も感じられない。
シオン、ガラン、ミサの3人は水の都を目指す
シオンはミサから取り戻した封筒を大事そうに仕舞うとギルドの酒場への道を戻っていた。辺りはすっかり暗くなり、コウモリが飛んでいる。ギルドに戻ったシオンを出迎えたのはギルドマスターの
「名前…聞いてなかったな」
「俺はガランだ、お前はシオン名前はよく聞いてるぜまさかお前が騎士団を追われるとはな…フォーグを除けば一番の戦力と名高いお前がな」
こいつは何かを探ろうとしてるのか…
シオンは自分がクビになったわけではなく
自ら騎士団を去ったのだと悟られたのではないかと心配したのだが、それは杞憂に終わるのだった。
「騎士団もバカだな、こんな人材をしょーもねえことで追い出して」
「ま、まぁそれはいいじゃないかガランこれから宜しく頼む、これは前金として払わせてもらうから」
そういうとシオンはミサから取り返した封筒をガランに差し出す。
「金はいらねえよ俺の興味で付いていくんだ、その代わり俺は雇われじゃねえ対等な仲間としてお前の横に立たせてもらう、いいな?」
「俺としては助かるが、いいのか?」
「あぁ、問題ねえ。ところでお前、そのセブンスが向かった場所はわかるのか?手がかり無しに冒険なんてするもんじゃねえぞ」
「それは…確かにそうだが」
ガランに言われた通りヨナとフレイルに関する手掛りは何1つとしてないのだ。
そのような状況で旅に出ようとしていたのだ、如何に自分が冷静さを欠いていたのかを自覚する。
「まぁ、そんなしょっぺぇ顔すんな、俺の部下が巨大な赤い竜がオルフェリアに向かってくのを見たらしい」
「ほんとか…!?オルフェリアって言ったら水上都市オルフェリアか…」
オルフェリアは中立都市をさらに南に向かい中立都市が管理する港から船を使う必要がある
「そうだ、船もうちで一番早いのを用意した、そのフレイルってのとやり合うのが楽しみだぜ…!」
「自分で言うのもなんだが、俺の剣じゃてんで歯が立たなかった…フォーグのおっさんや、アンタが戦ったとしても勝ち目があるとは言い切れない強さだったぞ」
「だからいいんじゃねえか、それで死ぬなら本望ってやつよ!さぁ船出は明日だ、港まではそれなりに距離がある牛舎を早朝に手配してるからな早く寝ろよ」
「あぁ」
シオンはガランの計らいで酒場に部屋を用意してもらいそこで一夜を過ごすことになる
『竜のーー目覚めー、汝は竜のーなり』
『人々はーーした、もはやこの世ーーりなどない』
「はっ!?…はぁはぁ夢…なのか」
シオンが目を覚ますと起きる予定の時間の少し前だ、おかしい夢にうなされたのか汗をかいていたので、少し早くシャワーを浴びることにした。
それから
「わりぃわりぃ…」
信じられないことにガランは寝坊してきたのだ。
「うそだろおっさん…ギリギリじゃねえか!」
必死に走ったおかげで牛車には間に合った。
「ついたぜここが港だ!」
「知ってるよ騎士団にいた頃何回も来てる…」
「連れねえこと言うなよ…だがこいつぁ見たことねえだろーなあギルドが誇る最速最強の船、黒百合だ。」
船体は黒く帆までもが黒い
装甲や武器の類が見受けられないがこれが最強と言われる由来はどこにあるのかシオンは少し興味が湧いた。
「ほー騎士団には絶対にありえないカラーリングだな…これに乗るのか」
シオンは少し皮肉めいてそう言うと、ガランに促され船に乗り込むのだった。
「ヨナ…無事でいてくれよ」
「その娘はシオンのガールフレンドって奴かぁ?」
ガランが似合わないにやけ面をして甲板に上がってくる。
「聞いてたのかよ、悪趣味だな」
「でっけえ声の独り言だからよ」
「そんな面して地獄耳かよ」
シオンは呆れたように笑う
「へっ…口の減らねえガキだな、ところで気づいてるか?」
「あぁ、ずっと見られてるな、殺意は感じないが…出てこいよ」
シオンは甲板の出入り口の右脇にある資材の山を見やるとそう言った
「ばれちゃあしょうがねえな…」
そう言って現れたのは緑の髪の少女だった。
「ミサ!?おめぇなにしてやがる!」
ガランが驚いたのか少し声を裏返らせて言った。
「何でこんなとこまで着いてきたコソドロ。」
「言ったろ私には金がいるんだ…!あんたの金を奪えなかった以上こうするしかねえ!無理矢理にでも仕事をもらうしか…」
「なんで、そんなに金が必要なんだ仕事なら町にもあるだろ?」
「私の父さんは病気で死んだけど、母さんは私を養うお金が必要だって怪しい奴らについってったんだ、でもそれっきり帰ってこなくてもう一年経つ、金が入ってくるわけでもねえ…だから世界中を探すんだそのためには金が」
ミサは少しずつ声のトーンが落ちると最後には俯いてしまった。
シオンは想像していたよりも重い事態に言葉を一瞬失う
「誘拐や、行方不明の類なら国も動くが自主的についていったとなるとな…」
「シオン」
ガランが口を開いた
「こいつも連れて行けねえか、実力はそこそこはある、おめえの邪魔はさせねえし、危ない時は下がらせるダメか」
「はぁ…わかったよ、危なくなったらすぐに逃げろよ?」
ミサの顔が明るくなり先程までの曇った表情はもう微塵も感じられない。
シオン、ガラン、ミサの3人は水の都を目指す
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