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短文

果実

告白記念日

「雨の匂いが好きなんだよね。」
そう語った彼の横顔を思い出した。鼻の低い、いかにも日本人らしい横顔だった。
「私は嫌いよ、気が滅入るもの。」
つまらない女(つまり、私のことである。)が気の利かない返答をしても彼は穏やかに笑っていい所もあるさと言っていた。

雨の日。

到底好きになんてなれないと思っていたけれど、何があるかわからないものね。
あなたが私の恋人になりたいと言ってくれた日も、雨の香りがしていたわ。
忘れられない、ロマンチックな虹もかからない、しとしと雨の愛の記念日。

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