クリエイトモンスターズ 〜異世界でモンスター育てて生き延びます!〜
23.魔神と魔人
「これから、領地に向かうよ」
いつも通りの朝食の時間。突然そんな事を言い出したレギオン様。突然の言葉で不思議に思っているのはどうやら僕だけで、他のみんなはわかったように頷いている。
「そういえば、テルには話してなかったね……よし、テルも連れて行こう」
そして、突然決まった僕の同行。僕はついていけずに黙っていると
「お待ちください、父上!」
と、普段からは想像がつかないほど、怒気を含んだ声をあげるシルフィオーレ様。全く話についていけない僕は、シルフィオーレ様がどうして怒っているのかもわからない。
「まあ、落ち着いて、シル。何もテルに戦わせるわけじゃないよ。僕とケイオス。それに、向こうにいるアレンも出る。だから、そんな心配しないでくれ」
「ですが、お父様が急遽行かねばならないという事は反応が大きかったという事でしょう。そんなところへ向かえば、余波だけでテルが吹き飛びます」
ヒートアップする2人に、じっと2人を見る夫人。我関せずと食事を進めるケイオス様に、気になりながらも給仕をする先輩方。僕は話を聞いておくようにと外されている。
「2人とも落ち着いてくださいまし。テルが不安そうな顔をしていますわ。まずは、テルに話してから決めて貰えばいいのでは?」
そして、流石に見かねたのか夫人が2人を止める。2人も夫人の言葉に頷き、揉めている理由を教えてくれた。
それはこの国の成り立ちの話だった。僕も大まかには習ってはいるけど、詳しい話を聞くのはこれが初めてだった。
「この国は他の国に比べてまだ新しくてね。出来たのが大体200年ほど前だろうか。僕の親や他の侯爵家の先祖が、騎士王と共に国を起こしたんだ」
それは聞いた事がある。習った中の基本中の基本だから。でも、レギオン様の父親の代とは思わなかった。この辺りはエルフの血が関係しているのかも知れない。エルフは長寿だし。
「まだ出来たばかりの頃にね、とある者がこの世界へとやって来た。習っていると思うけど別の世界の神だ。名前は魔神アビス。この世界を乗っ取ろうとやって来てね。ただ、神は直接手を出さないという制約があるらしく、魔神アビスは自らの尖兵となる魔人を送り込んで来たんだ。これが、歴史の教科書にも載っている、世界大戦。世界を巻き込んでの争いとなった」
確か、その先頭に立って戦ったのが騎士王たちだったんだよね。
「各国を率いるリーダーとして戦った騎士王。何万という犠牲を出しながらも、魔人たちを追い返す事が出来、この世界は平和になった……と、教科書では習うけど、実際は違うんだ」
「え?」
「実際は、魔神アビスを封印して、魔人たちを別の次元に閉じ込めるのが限界だったんだ。その代償に侯爵家の半数は死に、騎士王は呪われた」
「呪われた?」
「ああ、騎士王は不老不死になる呪いと、感情を盗まれたんだ。これが、世界大戦の結末だ。今では冷酷王など言われているけど、昔は違った。僕も小さい時からの知り合いだからね、知っているのだけど、よく笑う元気な人だった」
寂しそうに笑うレギオン様。昔から知っている人の現状に何か思うところがあるのだろう。
「魔神アビスを封印し、魔人たちを閉じ込める事には成功したが、完璧に抑える事は出来なかった」
「……魔人は少しの時間だけならこの世界に来る事が出来るのです。来る理由はただ1つ、魔神の封印を解くため」
「僕たち7つの侯爵家がそれぞれ封印の鍵を持っていてね。これが全て壊れない限り、魔人たちは王都にある魔神の封印の元へ行けないようになっているんだ」
「それじゃあ、レギオン様が領地へ向かうのは……」
「ああ、魔人が現れるのを感知したんだ。魔人が現れる前は必ず鍵が共鳴してね、わかるようになっているんだ。その振動の激しさで、やってくる魔人の強さもわかるんだけど」
なるほど、シルフィオーレ様が怒って止めてくれようとした理由がわかった。レギオン様を呼ばないといけはいほどの魔人がやって来るって事だろう。
「テル、どうする?」
そして、尋ねてくるレギオン様。僕は……
いつも通りの朝食の時間。突然そんな事を言い出したレギオン様。突然の言葉で不思議に思っているのはどうやら僕だけで、他のみんなはわかったように頷いている。
「そういえば、テルには話してなかったね……よし、テルも連れて行こう」
そして、突然決まった僕の同行。僕はついていけずに黙っていると
「お待ちください、父上!」
と、普段からは想像がつかないほど、怒気を含んだ声をあげるシルフィオーレ様。全く話についていけない僕は、シルフィオーレ様がどうして怒っているのかもわからない。
「まあ、落ち着いて、シル。何もテルに戦わせるわけじゃないよ。僕とケイオス。それに、向こうにいるアレンも出る。だから、そんな心配しないでくれ」
「ですが、お父様が急遽行かねばならないという事は反応が大きかったという事でしょう。そんなところへ向かえば、余波だけでテルが吹き飛びます」
ヒートアップする2人に、じっと2人を見る夫人。我関せずと食事を進めるケイオス様に、気になりながらも給仕をする先輩方。僕は話を聞いておくようにと外されている。
「2人とも落ち着いてくださいまし。テルが不安そうな顔をしていますわ。まずは、テルに話してから決めて貰えばいいのでは?」
そして、流石に見かねたのか夫人が2人を止める。2人も夫人の言葉に頷き、揉めている理由を教えてくれた。
それはこの国の成り立ちの話だった。僕も大まかには習ってはいるけど、詳しい話を聞くのはこれが初めてだった。
「この国は他の国に比べてまだ新しくてね。出来たのが大体200年ほど前だろうか。僕の親や他の侯爵家の先祖が、騎士王と共に国を起こしたんだ」
それは聞いた事がある。習った中の基本中の基本だから。でも、レギオン様の父親の代とは思わなかった。この辺りはエルフの血が関係しているのかも知れない。エルフは長寿だし。
「まだ出来たばかりの頃にね、とある者がこの世界へとやって来た。習っていると思うけど別の世界の神だ。名前は魔神アビス。この世界を乗っ取ろうとやって来てね。ただ、神は直接手を出さないという制約があるらしく、魔神アビスは自らの尖兵となる魔人を送り込んで来たんだ。これが、歴史の教科書にも載っている、世界大戦。世界を巻き込んでの争いとなった」
確か、その先頭に立って戦ったのが騎士王たちだったんだよね。
「各国を率いるリーダーとして戦った騎士王。何万という犠牲を出しながらも、魔人たちを追い返す事が出来、この世界は平和になった……と、教科書では習うけど、実際は違うんだ」
「え?」
「実際は、魔神アビスを封印して、魔人たちを別の次元に閉じ込めるのが限界だったんだ。その代償に侯爵家の半数は死に、騎士王は呪われた」
「呪われた?」
「ああ、騎士王は不老不死になる呪いと、感情を盗まれたんだ。これが、世界大戦の結末だ。今では冷酷王など言われているけど、昔は違った。僕も小さい時からの知り合いだからね、知っているのだけど、よく笑う元気な人だった」
寂しそうに笑うレギオン様。昔から知っている人の現状に何か思うところがあるのだろう。
「魔神アビスを封印し、魔人たちを閉じ込める事には成功したが、完璧に抑える事は出来なかった」
「……魔人は少しの時間だけならこの世界に来る事が出来るのです。来る理由はただ1つ、魔神の封印を解くため」
「僕たち7つの侯爵家がそれぞれ封印の鍵を持っていてね。これが全て壊れない限り、魔人たちは王都にある魔神の封印の元へ行けないようになっているんだ」
「それじゃあ、レギオン様が領地へ向かうのは……」
「ああ、魔人が現れるのを感知したんだ。魔人が現れる前は必ず鍵が共鳴してね、わかるようになっているんだ。その振動の激しさで、やってくる魔人の強さもわかるんだけど」
なるほど、シルフィオーレ様が怒って止めてくれようとした理由がわかった。レギオン様を呼ばないといけはいほどの魔人がやって来るって事だろう。
「テル、どうする?」
そして、尋ねてくるレギオン様。僕は……
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