クリエイトモンスターズ 〜異世界でモンスター育てて生き延びます!〜
14.道中で見つけたのは
「……それは何をしているのです?」
揺られる馬車の中、僕は手に魔力を集めて水魔法を発動していると、覗き込むようにミランダさんが観ていた。僕はビックリしてガタンッ! と馬車の壁に頭をぶつけてしまった。イタタ。
「……そんなに驚かなくてもよろしいのに」
「ご、ごめんなさい、突然目の前に綺麗な顔があったから驚いちゃって」
ふぅ、目の前にいる美女、僕と同じ奴隷であるミランダさんと王都に向けて進むこの馬車に乗り込んで今日で6日目か。
何日経っても綺麗な人が側にいるのは慣れないなぁ。葵の時もセラさんの時もそうだったし。
今回王都に向かっているのはこの馬車を動かす御者さんに、クラウドさん、この馬車の護衛を任されている冒険者が4人にミランダさんと僕だ。
そして、馬車に乗っているのは僕とミランダさんがしかいない。クラウドさんは馬車の前の席にいる。
この馬車は特別製で、御者台があって、個室が2つ付いているのだ。そのため、クラウドさんがいるのは御者台と僕たちのいる最後尾の部屋との間にある部屋にいる。
そのため、この狭い空間の中で僕とミランダさんは2人っきりでこの6日間は過ごしている。まあ、なれる訳も無く、今でもこんな感じなんだけどね。
「それで何をされていたのですか?」
「あ、ええっと、魔法の練習かな? 僕って、珍しいらしいんだけど無属性でさ、他の人が魔法を使うよりより多く魔力を消費してしまうから、普段から訓練して魔力の総量を上げているんだよ」
「そうなのですか。しかし、どうして魔法が使えるのです? 奴隷紋で止められているはずですが」
「クラウドさんにこの事を話したら攻撃魔法以外なら使っても良い事になったんだよ」
僕の言葉に納得するミランダさん。しかし、この6日間で結構話せるようになったなぁ。前までは目の前でいるだけで僕は緊張していたけど、今は普通に話せるようになったし。
今では礼儀作法の先生をしてくれている。ミランダさんは何でも奴隷になる前は貴族の令嬢だったらしい。2年ほど前に、ミランダさんの父親が事業に失敗して借金を背負ってしまい、それをクラウドさんが建て替える代わりに、ミランダさんを借金奴隷として売ったそうだ。
「って事は、ミランダさんが借金を返し終えたら奴隷から解放されるって事?」
「返せればですけどね」
僕の質問に、苦笑いしながら返してくれるミランダさん。多分、僕の想像以上に借金があるのだろう。それを返すまでどれ程かかるのか、ミランダさんも予想が出来ないのだと思う。
僕も何か手伝えないかと思うけど、赤の他人だし、それ以前に僕自身も奴隷だからね。助けられないのがもどかしい。
それからもしばらくミランダさんと色々と話をしていると、突然外が騒がしくなって来た。僕とミランダさんは顔を見合わせるけど何が起きているのかわからない。
聞こえてくる声からは、助けるかどうかの話し合いをしているようだ。
「他の馬車が魔獣に襲われているようですね」  
「えっ、どうしてわかったの?」
外の声を聞こうと耳を澄ましていたら、隣にミランダさんが座っていて耳元で囁いて来た。心の中はドッキドキだったけど、表には出さないようにして、ミランダさんに尋ねる。
「私昔から耳はいいんですよ。理由はわからないのですが」
「そうだったんですね。それで外では何が?」
「……貴族の馬車がオークの集団に襲われているようです。中にはハイオークが2体混ざっているようですね」
ハイオークって、あのハイオークがいるの? しかも、2体も。ミランダさんから外の事を聞いていると、突然馬車が開かれる。馬車の扉を開けたのは、クラウドさんだった。
「テル、出てもらいましょう。ここで貴方の実力を見させてもらいます」
「え、で、でも、今は魔法が」
「奴隷紋に関しては問題ありません。今は私が契約していますので、私が許可を出せば撃てるようになります。今は貴族側の兵士が劣勢です。私が雇った冒険者と協力して下さい」
そう言いクラウドさんが見る先は既に雇われた冒険者たちが貴族たちの兵士と協力して倒していた。
だけど、オークの数が多い。こちらは騎士と冒険者を合わせても10人と少し、それに対してオークは50体近く、それからハイオークが2体。多勢に無勢ってやつかな。でも、僕が出たところで彼の状況がひっくり返るとは……
「きゃあぁぁっ!」
そんな時、貴族の馬車から悲鳴が聞こえる。いつの間にかオークたちは貴族の馬車に近づいていたようだ。馬車を大きく揺らすオークたち。
騎士たちもその事に気が付き向かおうとしたが、その先をオークは見逃さず、近くにいたオークが兵士に殺到する。グシャグシャと潰れる音がここまで響いてくる。え、エグ過ぎる。
その間に馬車は倒され、オークたちが馬車の扉をこじ開けようとしていた。くそっ、迷っている暇なんてない! 僕は馬車から飛び出し、貴族の馬車を襲うオークに向かって魔法を放つ。
「切り裂け、ウインドカッター!」
僕の魔法は真っ直ぐ扉を開けようとするオークへと飛んで行った。オークの左肩に命中し、縦に切り傷がはいる。結構深めに入った!
オークは痛みに驚き馬車から落ちた。良し、続けて馬車の周りにオークに同じようにウインドカッターを放つ。
もうあーだこーだ考えている暇なんてない。今僕が出来る事をやろう!
揺られる馬車の中、僕は手に魔力を集めて水魔法を発動していると、覗き込むようにミランダさんが観ていた。僕はビックリしてガタンッ! と馬車の壁に頭をぶつけてしまった。イタタ。
「……そんなに驚かなくてもよろしいのに」
「ご、ごめんなさい、突然目の前に綺麗な顔があったから驚いちゃって」
ふぅ、目の前にいる美女、僕と同じ奴隷であるミランダさんと王都に向けて進むこの馬車に乗り込んで今日で6日目か。
何日経っても綺麗な人が側にいるのは慣れないなぁ。葵の時もセラさんの時もそうだったし。
今回王都に向かっているのはこの馬車を動かす御者さんに、クラウドさん、この馬車の護衛を任されている冒険者が4人にミランダさんと僕だ。
そして、馬車に乗っているのは僕とミランダさんがしかいない。クラウドさんは馬車の前の席にいる。
この馬車は特別製で、御者台があって、個室が2つ付いているのだ。そのため、クラウドさんがいるのは御者台と僕たちのいる最後尾の部屋との間にある部屋にいる。
そのため、この狭い空間の中で僕とミランダさんは2人っきりでこの6日間は過ごしている。まあ、なれる訳も無く、今でもこんな感じなんだけどね。
「それで何をされていたのですか?」
「あ、ええっと、魔法の練習かな? 僕って、珍しいらしいんだけど無属性でさ、他の人が魔法を使うよりより多く魔力を消費してしまうから、普段から訓練して魔力の総量を上げているんだよ」
「そうなのですか。しかし、どうして魔法が使えるのです? 奴隷紋で止められているはずですが」
「クラウドさんにこの事を話したら攻撃魔法以外なら使っても良い事になったんだよ」
僕の言葉に納得するミランダさん。しかし、この6日間で結構話せるようになったなぁ。前までは目の前でいるだけで僕は緊張していたけど、今は普通に話せるようになったし。
今では礼儀作法の先生をしてくれている。ミランダさんは何でも奴隷になる前は貴族の令嬢だったらしい。2年ほど前に、ミランダさんの父親が事業に失敗して借金を背負ってしまい、それをクラウドさんが建て替える代わりに、ミランダさんを借金奴隷として売ったそうだ。
「って事は、ミランダさんが借金を返し終えたら奴隷から解放されるって事?」
「返せればですけどね」
僕の質問に、苦笑いしながら返してくれるミランダさん。多分、僕の想像以上に借金があるのだろう。それを返すまでどれ程かかるのか、ミランダさんも予想が出来ないのだと思う。
僕も何か手伝えないかと思うけど、赤の他人だし、それ以前に僕自身も奴隷だからね。助けられないのがもどかしい。
それからもしばらくミランダさんと色々と話をしていると、突然外が騒がしくなって来た。僕とミランダさんは顔を見合わせるけど何が起きているのかわからない。
聞こえてくる声からは、助けるかどうかの話し合いをしているようだ。
「他の馬車が魔獣に襲われているようですね」  
「えっ、どうしてわかったの?」
外の声を聞こうと耳を澄ましていたら、隣にミランダさんが座っていて耳元で囁いて来た。心の中はドッキドキだったけど、表には出さないようにして、ミランダさんに尋ねる。
「私昔から耳はいいんですよ。理由はわからないのですが」
「そうだったんですね。それで外では何が?」
「……貴族の馬車がオークの集団に襲われているようです。中にはハイオークが2体混ざっているようですね」
ハイオークって、あのハイオークがいるの? しかも、2体も。ミランダさんから外の事を聞いていると、突然馬車が開かれる。馬車の扉を開けたのは、クラウドさんだった。
「テル、出てもらいましょう。ここで貴方の実力を見させてもらいます」
「え、で、でも、今は魔法が」
「奴隷紋に関しては問題ありません。今は私が契約していますので、私が許可を出せば撃てるようになります。今は貴族側の兵士が劣勢です。私が雇った冒険者と協力して下さい」
そう言いクラウドさんが見る先は既に雇われた冒険者たちが貴族たちの兵士と協力して倒していた。
だけど、オークの数が多い。こちらは騎士と冒険者を合わせても10人と少し、それに対してオークは50体近く、それからハイオークが2体。多勢に無勢ってやつかな。でも、僕が出たところで彼の状況がひっくり返るとは……
「きゃあぁぁっ!」
そんな時、貴族の馬車から悲鳴が聞こえる。いつの間にかオークたちは貴族の馬車に近づいていたようだ。馬車を大きく揺らすオークたち。
騎士たちもその事に気が付き向かおうとしたが、その先をオークは見逃さず、近くにいたオークが兵士に殺到する。グシャグシャと潰れる音がここまで響いてくる。え、エグ過ぎる。
その間に馬車は倒され、オークたちが馬車の扉をこじ開けようとしていた。くそっ、迷っている暇なんてない! 僕は馬車から飛び出し、貴族の馬車を襲うオークに向かって魔法を放つ。
「切り裂け、ウインドカッター!」
僕の魔法は真っ直ぐ扉を開けようとするオークへと飛んで行った。オークの左肩に命中し、縦に切り傷がはいる。結構深めに入った!
オークは痛みに驚き馬車から落ちた。良し、続けて馬車の周りにオークに同じようにウインドカッターを放つ。
もうあーだこーだ考えている暇なんてない。今僕が出来る事をやろう!
コメント