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クリエイトモンスターズ 〜異世界でモンスター育てて生き延びます!〜

やま

12.罰

「……知らない天井だ」


 重たい瞼をあげると、見た事のない天井が視界に入る。ここは何処だろうか? 僕はいつの間に眠っていたのだろうか? 僕は体を起こそうとして右手を動かすと、ジャラ、と音がして右手が動かない……ジャラ?


 僕は右手を見てみると、手首には手錠がつけられて、手錠の先には鎖が伸びていた。そして、ベットに繋がれている。左手は問題なく動く。足も大丈夫。ええっと、なんでこんな事になっているんだ?


 確か、今日はセラさんが街に行こうと言い出したので、森から1番近い街に来たんだっけ。それで僕の身分証代わりになる冒険者カードを作るために冒険者ギルドに行ったんだけど……そうだ、そこで男たちに絡まれたんだ。そして……


「うっ!? うぉぉぉおぇえぇ!!!」


 僕は突然の吐き気をもよおしてその場で吐いてしまう。そうだ、僕はその中の金髪の男が葵に向かって背後からナイフを向けているのを見て、とっさに魔法を放ってしまってそして……殺してしまったんだ。


「はぁ……はぁ……ぼ、僕はなんて事を……」


「おや、目が覚めた……っと、またもどしてしまったようだね。クリーン」


 さ〜、と風が吹くと僕がもどしてしまったものが消えてしまった。今のは魔法なのだろうか。入って来た人は金髪の女性で、耳が尖っていた。初めてみる。


 その女性は近くの棚から桶を取り出して魔法で水を入れる。ついでに布も中に。それを渡してくれた。


「これで汚れている場所を拭きなさい。顔とかも気持ちが悪いでしょう?」


 僕は受け取った桶から布を取り出して、水を切って口周りを拭く。汚れたところを拭き終えてから再び女性を見る。女性は近くにあった椅子に腰を掛けじっと僕を見ていた。


「ええっと、布と水ありがとうございます。少しさっぱりしました」


「別に構わないわ。あのままだと私も嫌だったし」


 ……確かにそれもそうだね。それに女性はいつの間にか風の魔法で臭いも外へと飛ばしていたし。


「それで、あなたがここにいる理由はわかっているかしら?」


「……はい、僕は冒険者の方を魔法で……こ、殺してしまって、そのまま気を失ったんですよね?」


「ええ、私が見た時は既にあなたは気を失っていて、あなたの仲間たちが抱きかかえているところだったけどね。ああ、あなたの仲間たちは別の部屋にいるわ。あなたみたいに拘束もしていないしね。ただ、監視は付けさせてもらっているけど」


 ……良かった。もし僕のせいで彼女たちに迷惑かけていたら後悔しかないからね。


「まず、私の事を話しておこうかしらね。私はあなたたちが来た冒険者ギルドのマスターをしているティスフィア・アーデンクロイツよ。よろしくね」


「は、初めまして、テルと言います」


「そう、テルね。それでここに捕まっている理由は先ほどあなたが話した通り冒険者の1人を殺したからよ。基本冒険者同士の争いには、私たち職員は口を出さない事にはなっているけど、殺しまでになったらそうは言っていられないわ。しかも、ギルドの中でとなると余計にね」


「……はい、わかっています。それで僕はこれからどうなるのでしょうか?」


「あなたは、犯罪奴隷として奴隷商に行く事になるわ。ただ、今回の件は殺された側も悪い事はギルドもわかっているから、そこまで重たいものにはならない。犯罪奴隷は鉱山や施設に買われる事もあるけど、あなたの扱いは普通の奴隷と変わらないから安心してほしい」


 ……全くもって安心出来ないんだけど。でも、奴隷か。セラさんに簡単には聞いていたけど、まさか自分がなる事になるなんて。


「セラさんたちには特にお咎めは無しですよね?」


「そうね、暴れた黒髪の少女も、あなたが殴られたからやり返した事は周りが証言しているし、特には無いわ」


「……良かったぁ」


 僕は思わず安堵の声を漏らしてしまう。さっきも思ったけど僕のせいで迷惑はかけたく無いもんね。


「あなたは、明日には奴隷商のところに行く事になるわ。だから、後でセラたちには合わせてあげる。ここで話をすると良いわ」


「わかりました。ありがとうございます」


「あっ、それから、あなたの服から取り出したこれなんだけど」


 そう言ってティスフィアが取り出したのは、僕のスマートフォンだった。今は電源が入っていないのか画面は真っ黒である。


「これって何かの魔道具? 私がいくら触っても動かないし、魔法を撃っても壊れないし」


 な、何をしているんだこの人は!? まま、魔法を撃って、スマートフォンに魔法をぶつけたの!?


「でも、これから奴隷になるあなたに渡す事は出来ないから、後でセラたちに渡しておくわね」


 僕の驚きを他所にティスフィアさんは話を進めて行く。僕はそれに力無く頷く事しか出来なかった。


 それから、ティスフィアさんが部屋を出て行き、少ししてから入れ替わるようにドタバタと部屋に入ってくるセラさんたち。


 セラさんは暗い顔をして、葵に至っては涙を流し過ぎて目が真っ赤だ。スミカとスミレの双子姉妹も僕のために泣いてくれるし、ウィルも寂しそうに体を擦り付けてくれる。


「……ごめんなさいね、テル。私があんな挑発をしなかったらこんな事にはなってなかったのに」


「いえ、多分あの時無視してもなんだかんだ言って絡まれていたと思います。セラさんたちは綺麗ですからね」


「ばっ!? こんな時にそんな事を……ふぅ、それよりも、私があなたを買えたら良かったんだけど、ごめんなさい、私にはそんなお金が無くて……」


「いえ、その気持ちだけで嬉しいです。ただ、1つお願いをしてもよろしいでしょうか?」


「ええ、私にできる事なら構わないわ」


「それなら、葵たちをお願いしても良いですか? 彼女たちは自分で稼げると思うので、その手伝いをして貰えたらと思います」


「っ! あ、主人様! わ、私は主人様について行きます! 主人様を奴隷になんかさせません!」


 僕の言葉を聞いた葵がそう言って抱き締めてくる。ははっ、こんな葵を見るのは初めてだな。僕は葵の柔らかい黒髪を撫でる。うん、サラサラしていて気持ちいや。


「駄目だよ葵。君がそんな事したら君まで奴隷にされちゃう。僕は大丈夫だから、ね?」


「あ、あるじさまぁ」


「葵はみんなを頼むよ。それからティスフィアさんがスマートフォンを持っているから預かってもらっていて良いかな? 使い方はわかるよね?」


 僕の言葉に頷く葵。あーもう、涙でぐちゃぐちゃなせいで、葵の綺麗な顔が台無しだよ。それから、その夜はみんな部屋で夕食を食べて、ベッドの上にウィルとスミカ・スミレが寝て、申し訳ないのだけど、椅子に葵とセラさんが寝る形で夜を過ごした。


 僕は奴隷になる事の不安のせいで眠る事が出来なかったけど。はぁ、明日からどうなるんだろう、僕。


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『新しく主人公のステータスが更新されました。ご確認下さい。』


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