クリエイトモンスターズ 〜異世界でモンスター育てて生き延びます!〜

やま

9.初めての街

「うわぁ〜、大きな街ですね、セラさん!」


「そうかしら? 最近はここにずっと住んでいたから、あまり思わなかったけど」


 森の修行を始めてから1週間経ったこの日。僕たちは創造神に飛ばされた森から1番近い街『初心者の街 ニュートス』にやって来た。


 この1週間はセラさんにしごかれまくって、中々激しい日々だった。セラさんは何より実践を重視するので、魔物の前に放り出すもんだから、それをする度に葵が怒って怒鳴り合いになったりと、中々濃い1週間を過ごした。


 ただ、セラさんに魔法を教えてもらえるのは有り難かったけど、一緒にいる間、魔物から落ちたドロップアイテムをスマートフォンに入れる事が出来なかったのが辛かった。


 当然ながらスマートフォンの事はセラさんには話していない。そのため、セラさんが見ている前でスマートフォンを取り出す事が出来ないのだ。


 なので、魔石類に関してはセラさんが持っていた袋に入れて、他のドロップに関しては売れそうなやつだけ持って、他はそのまま置いていくっていうのが普通になってしまったのだ。


 魔石類も売ったら値段がつくらしくスマートフォンに取り込んで葵やウィルを強化する事ができないのだ。現在の葵とウィルのステータスは


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 影忍者 葵
 レベル23
 属性:闇属性
 HP:650
 MP:440
 ATK:435
 DEF:200
 リーダースキル:闇忍術
 スキル:影縛り(消費MP:50) 影移動(消費MP:100)
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 ウィンドウルフ
 レベル10
 属性:風属性
 HP:150
 MP:150
 ATK:130
 DEF:120
 リーダースキル:無し
 スキル:ウィンドアロー(消費MP:10)
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 と、なっている。レベル差にもよるが、やっぱりウィルの方がレア度が低いため数値の上がり具合も低い。もっと魔石を使えたら良いのだけど、セラさんは倒した魔物の数とか覚えているみたいで、魔石の数も覚えているのだ。


「テル、次は私たちの番よ」


 どうにかして葵とウィルを育てる方法がないか考えていると、セラさんに呼ばれる。どうやら僕たちの番になったようだ。


 セラさんは門番に自分の冒険者カードを見せる。冒険者カードとは、ラノベやアニメのようにこの世界には冒険者ギルドというのがあって、そこで冒険者として登録すると、自分の身分証としてどの街でも国でも使えるらしい。


 初回の登録料は無料らしいけど、紛失による再発行などはお金がかかるとか。


 そして、当然ながらその冒険者カードを持っていない僕たちは、カードを見せられないので入場料を払わなければならない。ただ、ここでも問題が出て来る。それが、僕たちは一銭もお金を持っていない事だ。


 創造神にこの世界に飛ばされた時に持たされたのはスマートフォンのみ。その中にもポケットとかの中にもお金は無くて、ドロップアイテムみたいに魔物から落ちるかな、と思ったけど落ちなくて。


 仕方がないので無一文の事をセラさんに話したら、入場料は払ってくれる事になった。


 入場料代は僕と葵の分で、ウィルはテイマーされているモンスターって事で首輪代を払う事になった。


 どの街でもモンスターを街に入れるには首輪をつけるように指示をされているみたいだ。このモンスターはテイムされています、っていう意味と、このモンスターが起こした責任についてはテイマーが負います、という意味があるらしい。


 それら全ての料金が1300クルになる。クルっていうのがこの世界の通貨だ。この世界はありがたい事に紙幣が流通しているらしい。


 しかも日本にいた時のように1クル、5クル、10クル、50クル、100クル、500クルまでは硬貨で、1千クル、5千クル、1万クルが紙幣になる。ただ、この世界ではその上の100万クル紙幣も存在していると。使用しているのは貴族や商人だけらしいけど。


 セラさんのおかげでなんとか手続きも終えて門を抜ける事が出来た。セラさんの後ろに僕たちはついていく。ウィルは小さくて人混みに紛れると分からなくなっちゃうから葵が抱き上げている。


「初心者の街ニュートス。この街は近くに強いモンスターが存在する土地がないから、冒険者を始める初心者には丁度良いから、冒険者のために発展した街になるわ。大抵の冒険者がこの街出身なのよ」


「へぇ〜、セラさんもそうなんですか?」


「私? ……私は違うわ。それよりも冒険者ギルドへ行きましょう。早くあなたたちのカードを作らないとね」


 そう言い微笑むセラさん。何だか一瞬悲しそうな顔をしたのは気のせいかな? 僕は首を傾げるけどすいすいとセラさんは先に行ってしまうので、僕はその後についていく。


「うわぁ〜、可愛いわんこ!」


 しばらく歩いて街並みを見ていると、後ろからそんな声が聞こえてきた。振り返ると葵の前に2人の女の子がいた。積極的にウィルを撫でている女の子と、その女の子の後ろで撫でたくて手を伸ばすけど、怖いのか手を引っ込めてしまう女の子。


 2人は同じ銀髪の髪をしており……おっ、2人とも左右で目の色が違う。積極的にウィルを撫でている子は右目が青くて左目が赤い。もう1人の女の子は反対に右目が赤くて、左目が青かった。


「ねえねえ! この子名前は?」


「この子の名前はウィルですよ。ほらウィル」


「ワウ!」


 葵の言葉にウィルは返事をするように右足を上げると、その愛くるしい仕草に女の子たちは声を上げる。けど、この子たちどこかで見たことあるような……どこだっけ?


 それからセラさんが再び歩き出したので、僕たちも歩き出すと、女の子たちも付いてくる。僕は別に構わないのだけど、女の子たちは良いのかな? まあ、楽しそうについてきているから良いのかな。


 そしてようやく辿り着いたのが、3階建ての建物だった。看板には剣と盾が描かれている。ここが冒険者ギルドか。


「ほら、入るわよ」


 堂々と建物の中に入るセラさん。よ、良し、僕もセラさんを真似して堂々と!


「くすくす」


 ……笑わないでよ、葵

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