復讐の魔王
76.勇者の力
「そこで見ていろよ。俺が力の使い方を教えてやる」
ハヤテがそう言うと一瞬で視界が変わる。転移の魔法で移動したハヤテの目の前に既に傲慢の光心剣を構えるクロヴィスの姿が。こいつ、転移にも反応して来る。
ハヤテはそれを気にする事なく憤怒の炎心剣を振り下ろす。当然剣を防ごうとするクロヴィスだが、剣同士が触れる瞬間、炎心剣が光心剣をすり抜けたではないか。
しかも、その攻撃すら冷静に対処するクロヴィス。
動きが僕なんかとはまるで違う。
「さっきも言ったが、転移は別に移動だけではない。今やったように相手の剣を転移させてすり抜けたように見せる事も出来る」
「その小僧に教えながら俺と戦うとは、余裕だな、ハヤテ!」
僕に教えてくれる間も当然攻めて来るクロヴィス。僕に気を使っているせいか、少しずつ体に傷が増えていく。
「そうでもないさ、クロヴィス。慣れない体と慣れない魔力で動きにくくてな!」
そう言いながらもぶつかり合う剣。僕は反応すら難しかったのに。ハヤテは動きながらも、攻撃が迫ると最小限の転移で移動しながら攻撃を仕掛ける。
クロヴィスは苦なくそれを受け止める。それに反応速度が速い。さっきまではあまり変わらなかったのになぜ?
「奴の傲慢の力さ。自分が最強だと信じていればその分強くなる」
……それって、勝てるのか? 奴が自分が最強だと信じて疑わなければ強くなるなんて。
「そう不安になるな。当然勝てる。要は奴の考えを越えればいいんだよ。奴が最強だと信じるものをよりも、強く、速く、そしてしぶとく。俺はそうやって戦ってきた」
しぶとく……
「そうだ。結局は諦めなきゃいいんだよ。お前にはそれが出来る力がある。後はお前がどう考えて戦うかだ」
ハヤテがそう言った瞬間、炎心剣が光り始めた。な、なんだ?
「お前は本当に恵まれているぜ? なんたって俺とシスティーナが、力を合わせてやっと出来るようになった技を1人で出来るんだからよ。見とけよ?」
そう言いながらハヤテが剣を振り上げる。すると、炎心剣から炎が吹き荒れ、その炎を光が包んでいく。
「燃やし尽くせ! 炎巨神の落撃!」
かなり高温の炎を光で超圧縮した一撃が、クロヴィスへと振りかざされる。クロヴィスは避ける事なく傲慢の光心剣を構える。
「我ノ防御ハ最強也!」
傲慢の光心剣が光り輝き、クロヴィスの前に幾重にも重なる光の障壁が現れた。その障壁へと振り下ろされる一撃。
空間が歪めていき、大気が振動する。とてつもない魔力が辺りを吹き飛ばす。床は割れ、壁はひび割れ、崩れていく。
ハヤテの一撃にクロヴィスの障壁から弾かれた炎が辺りを燃やしていく。せめぎ合う部分は光が増していき、そして爆発した。
ハヤテもクロヴィスも吹き飛ばされ、壁へとぶつかった。技同士がぶつかった場所は天井も床も吹き抜けて消えていた。
「痛てて。やるじゃねえかクロヴィス。まあ、こいつの体だから威力も抑えられたってのもあるがな」
ハヤテはクロヴィスよりいち早く立ち上がった。それに続くようにクロヴィスも立ち上がるが、受けた方のクロヴィスの方が傷は大きかった。
「ぐぅっ……お前こそやるじゃないか、ハヤテ。まさか、俺の防御を突破して来るとは」
「そりゃあどうも……っと、そろそろ限界か。悪りぃがウィル、これが今生の別れだ。もう会う事は無いだろうが、そう人間を恨むなよ。人間にだっていい部分はある。
それから子孫よ。お前に1つ忠告しておく。お前があった強欲の魔王、あいつには気をつけろよ。あいつはあの程度じゃあ終わらない。必ずお前の前に姿を現わす。それはどのような形でかはわからない。あの強欲だけは人間にも使えるからな」
ハヤテはそれだけ言うと、転移を発動した。僕の心を読んでか、転移した先には外で待っていたカグヤがいてカグヤの腕を掴む。カグヤが驚きで動けないうちに再びクロヴィスの前に転移をした。
「じゃあな、ウィル。最後に楽しかったぜ」
「ま、待てっ!」
ハヤテはそれだけクロヴィスに伝えると、転移を発動。同時に体が僕へと帰って来た。
『基本的な力の使い方は覚えているだろう。後はそれをどう使うかだけだ。お前が後悔しないように使え』
ハヤテはそれだけ言うと、僕の中から消えていった。僕が後悔しないように……か。
そして、気が付けば僕は大墳墓があった場所へと戻ってきた。目の前には崩れた大墳墓と、その周りで作業する人たち。僕の隣にはカグヤがいる。
「エル!」
その作業をする人の中にマリアがいて、その近くにルイーザたちもいた。僕が帰ってきた事に気が付いたみんなは一斉に駆け寄ってきて、僕への抱きついて来る。僕はみんなの温もりを感じて、帰って来たんだと実感出来た。
ありがとう、ハヤテ。
◇◇◇
「おっ、あったあった。君が俺を呼んでいたのか? ……やっぱりそうか。あの時はヘルを殺して戻っちゃったけど、まさかまた呼ばれるなんて。ヘル、君の代わりに俺がちゃんと使ってあげるからね。これでもっと強くなれるぞ」
ハヤテがそう言うと一瞬で視界が変わる。転移の魔法で移動したハヤテの目の前に既に傲慢の光心剣を構えるクロヴィスの姿が。こいつ、転移にも反応して来る。
ハヤテはそれを気にする事なく憤怒の炎心剣を振り下ろす。当然剣を防ごうとするクロヴィスだが、剣同士が触れる瞬間、炎心剣が光心剣をすり抜けたではないか。
しかも、その攻撃すら冷静に対処するクロヴィス。
動きが僕なんかとはまるで違う。
「さっきも言ったが、転移は別に移動だけではない。今やったように相手の剣を転移させてすり抜けたように見せる事も出来る」
「その小僧に教えながら俺と戦うとは、余裕だな、ハヤテ!」
僕に教えてくれる間も当然攻めて来るクロヴィス。僕に気を使っているせいか、少しずつ体に傷が増えていく。
「そうでもないさ、クロヴィス。慣れない体と慣れない魔力で動きにくくてな!」
そう言いながらもぶつかり合う剣。僕は反応すら難しかったのに。ハヤテは動きながらも、攻撃が迫ると最小限の転移で移動しながら攻撃を仕掛ける。
クロヴィスは苦なくそれを受け止める。それに反応速度が速い。さっきまではあまり変わらなかったのになぜ?
「奴の傲慢の力さ。自分が最強だと信じていればその分強くなる」
……それって、勝てるのか? 奴が自分が最強だと信じて疑わなければ強くなるなんて。
「そう不安になるな。当然勝てる。要は奴の考えを越えればいいんだよ。奴が最強だと信じるものをよりも、強く、速く、そしてしぶとく。俺はそうやって戦ってきた」
しぶとく……
「そうだ。結局は諦めなきゃいいんだよ。お前にはそれが出来る力がある。後はお前がどう考えて戦うかだ」
ハヤテがそう言った瞬間、炎心剣が光り始めた。な、なんだ?
「お前は本当に恵まれているぜ? なんたって俺とシスティーナが、力を合わせてやっと出来るようになった技を1人で出来るんだからよ。見とけよ?」
そう言いながらハヤテが剣を振り上げる。すると、炎心剣から炎が吹き荒れ、その炎を光が包んでいく。
「燃やし尽くせ! 炎巨神の落撃!」
かなり高温の炎を光で超圧縮した一撃が、クロヴィスへと振りかざされる。クロヴィスは避ける事なく傲慢の光心剣を構える。
「我ノ防御ハ最強也!」
傲慢の光心剣が光り輝き、クロヴィスの前に幾重にも重なる光の障壁が現れた。その障壁へと振り下ろされる一撃。
空間が歪めていき、大気が振動する。とてつもない魔力が辺りを吹き飛ばす。床は割れ、壁はひび割れ、崩れていく。
ハヤテの一撃にクロヴィスの障壁から弾かれた炎が辺りを燃やしていく。せめぎ合う部分は光が増していき、そして爆発した。
ハヤテもクロヴィスも吹き飛ばされ、壁へとぶつかった。技同士がぶつかった場所は天井も床も吹き抜けて消えていた。
「痛てて。やるじゃねえかクロヴィス。まあ、こいつの体だから威力も抑えられたってのもあるがな」
ハヤテはクロヴィスよりいち早く立ち上がった。それに続くようにクロヴィスも立ち上がるが、受けた方のクロヴィスの方が傷は大きかった。
「ぐぅっ……お前こそやるじゃないか、ハヤテ。まさか、俺の防御を突破して来るとは」
「そりゃあどうも……っと、そろそろ限界か。悪りぃがウィル、これが今生の別れだ。もう会う事は無いだろうが、そう人間を恨むなよ。人間にだっていい部分はある。
それから子孫よ。お前に1つ忠告しておく。お前があった強欲の魔王、あいつには気をつけろよ。あいつはあの程度じゃあ終わらない。必ずお前の前に姿を現わす。それはどのような形でかはわからない。あの強欲だけは人間にも使えるからな」
ハヤテはそれだけ言うと、転移を発動した。僕の心を読んでか、転移した先には外で待っていたカグヤがいてカグヤの腕を掴む。カグヤが驚きで動けないうちに再びクロヴィスの前に転移をした。
「じゃあな、ウィル。最後に楽しかったぜ」
「ま、待てっ!」
ハヤテはそれだけクロヴィスに伝えると、転移を発動。同時に体が僕へと帰って来た。
『基本的な力の使い方は覚えているだろう。後はそれをどう使うかだけだ。お前が後悔しないように使え』
ハヤテはそれだけ言うと、僕の中から消えていった。僕が後悔しないように……か。
そして、気が付けば僕は大墳墓があった場所へと戻ってきた。目の前には崩れた大墳墓と、その周りで作業する人たち。僕の隣にはカグヤがいる。
「エル!」
その作業をする人の中にマリアがいて、その近くにルイーザたちもいた。僕が帰ってきた事に気が付いたみんなは一斉に駆け寄ってきて、僕への抱きついて来る。僕はみんなの温もりを感じて、帰って来たんだと実感出来た。
ありがとう、ハヤテ。
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