復讐の魔王
60.まさかの
「へぇ〜、あんたがハヤテ・エンドウとシスティーナの子孫なのかい。それに、システィーナはそんな事まで」
今僕たちの対面には、ヘルガーさんの奥さんで、マリアさんのお母さんであるメルクリアさんが座っている。
僕の隣にはマリアさんが、後ろにはマリーシャとルイーザ、ミミが立っている。ローナさんは僕たちの飲み物を準備してくれている。
メルクリアさんは足を組み腕を組みながら僕をジロジロと見てくるのだけど、納得したのか1人で頷いている。何だろうか?
「取り敢えず自己紹介しておこうかね。私の名前はメルクリア・クラシウス。あんたの隣にいるマリアの母親で、青竜王になる。よろしく頼むよ、婿殿」
「はい、よろしくお願いします、メルクリアさ……え?」
今、思わず返事をしてしまったけど、今なんて言ったこの人? 隣を見てみると僕と同じように目を丸くしているマリアさんに、ローナさんも固まっていた。後ろは見えないけど、3人も似たような反応だろう。
「ええっと……お母様、今何と?」
「ん? 私の名前は……」
「違います、違います! 1番最後の部分です!」
「最後? ああ、よろしく頼むよ、婿殿、って言ったんだよ」
……やはり聞き間違いでは無かった。しかし、どうしてそんな話になったんだ? 今日初めて出会ったばかりなのに。
「おおお、お母様! それは一体どういう事ですか! ど、どうしてそんなお話が出るのですか!」
「なんだい? ずっと言って来た事じゃないか。私が気に入った男と結婚させるって」
マリアさんは少し考えると、あっ! って感じに思い出したように僕を見てくる。どうやらそんな話はあったようだ。
「し、しかし、エルもそんな事を急に言われても困ると思います! 今の話は無かった事にして下さい!」
「なんだい、マリアは気に入らないのかい? 見た限りでは嫌には思ってないようだけど。匂いも雌の匂いをしているしねぇ」
「おおお、お母様!!!」
メルクリアさんの発言に、普段は見せないような慌てように、顔を赤くさせて、机をバンッ! と叩く。その振動にローナさんが入れてくれたお茶が零れるけど、誰も気にしない。それどころではないからだ。
「何をそんなに怒ってるんだい? わからない子だねぇ〜」
「お母様こそ、どうして今日初めて出会ったエルをそんなに気にいるのです! 今まではそんな事、1度も無かったのに!」
「お、落ち着いてマリアさん。そんな怒鳴っても……」
「どうしてそんなに落ち着いていられるのよ、エルは! あなたはいいの!? 私と結婚する事になっても! 愛しい人の仇を取るんじゃないの!?」
「それは、そうだけど……」
「お母様、先ほどの話は無かった事にして下さい! 私は部屋で休みます!」
マリアさんはそれだけ言うと、足早に部屋を出て行ってしまった。僕たちはそれを見送る事しか出来なかった。
「なんだい、あの子は? 何かいけない事でも言っちゃったかねぇ?」
「……マリアさんは僕の事を考えて言ってくれたんです」
ユフィーの事は、ユフィーが精霊として顕現した時に全部話している。僕がユフィーと愛し合っていた事や、そのユフィーが勇者達に殺されて、僕たちが復習をしようとしている事は。
その事を知っているからこそ、あそこまで怒ってくれたのだろう。僕のために。みんなが黙り込んでしまっていると
「なんだ、この暗い雰囲気は?」
別の扉からヘルガーさんが部屋へと入って来た。そのヘルガーさんを見た瞬間、メルクリアさんは物凄い笑顔でヘルガーさんへと抱き付いた。
ヘルガーさんの胸元に頭をぐりぐりと押し付けるメルクリアさん。そして
「ああっ、会いたかったよ、ヘルガー!」
「ああ、俺もだよ、メルクリア」
2人は抱きしめ合いながらキスをし始めた……おい、いきなりチュッチュッしてんじゃねえよ。ルイーザは表情は変わらないが、顔を赤くし、マリーシャはキャーと黄色い悲鳴を上げ、ミミは両手で顔を覆い尽くしている。隙間から見ているのが丸わかりだが。
僕たちがするような挨拶のようなやつではなく、いわゆるディープなやつだ。気が付いたらルイーザががっちりとミミの目を閉じていた。それが正しいよ、ルイーザ。
「ぶはぁ……うん、やっぱり、ヘルガーの側は落ち着くわ」
「くくっ、そんなこと言いながら1年も帰って来ねえで、どこに行ってたんだよ、全く」
キスをし終えると、再び抱きしめ合う2人。物凄くラブラブだな。
「それで、何があったんだ、この雰囲気は?」
ようやく落ち着いて離れたところで、ヘルガーさんは初めの質問に戻る。それから何があったか説明すると、じとーとヘルガーさんがメルクリアさんを見ていた。
でも、メルクリアさんも知らなかった事だ。それをヘルガーさんもわかっているのだろう。それ以上は何も言わなかった。
「なら、後は任せるぞ、小僧。俺たちが何を言っても意味が無いからな」
ヘルガーさんはそう言ってメルクリアさんを伴って部屋を出て行ってしまった。確かにそうかもしれないけど……。
呆然とその後ろ姿を見ていると、隣にいつの間にかローナさんが立っており、そして
「マリア様のお部屋にご案内致します」
と、案内される事になった。これはもう逃げ場は無い。仕方ない。気合を入れて行くか。
今僕たちの対面には、ヘルガーさんの奥さんで、マリアさんのお母さんであるメルクリアさんが座っている。
僕の隣にはマリアさんが、後ろにはマリーシャとルイーザ、ミミが立っている。ローナさんは僕たちの飲み物を準備してくれている。
メルクリアさんは足を組み腕を組みながら僕をジロジロと見てくるのだけど、納得したのか1人で頷いている。何だろうか?
「取り敢えず自己紹介しておこうかね。私の名前はメルクリア・クラシウス。あんたの隣にいるマリアの母親で、青竜王になる。よろしく頼むよ、婿殿」
「はい、よろしくお願いします、メルクリアさ……え?」
今、思わず返事をしてしまったけど、今なんて言ったこの人? 隣を見てみると僕と同じように目を丸くしているマリアさんに、ローナさんも固まっていた。後ろは見えないけど、3人も似たような反応だろう。
「ええっと……お母様、今何と?」
「ん? 私の名前は……」
「違います、違います! 1番最後の部分です!」
「最後? ああ、よろしく頼むよ、婿殿、って言ったんだよ」
……やはり聞き間違いでは無かった。しかし、どうしてそんな話になったんだ? 今日初めて出会ったばかりなのに。
「おおお、お母様! それは一体どういう事ですか! ど、どうしてそんなお話が出るのですか!」
「なんだい? ずっと言って来た事じゃないか。私が気に入った男と結婚させるって」
マリアさんは少し考えると、あっ! って感じに思い出したように僕を見てくる。どうやらそんな話はあったようだ。
「し、しかし、エルもそんな事を急に言われても困ると思います! 今の話は無かった事にして下さい!」
「なんだい、マリアは気に入らないのかい? 見た限りでは嫌には思ってないようだけど。匂いも雌の匂いをしているしねぇ」
「おおお、お母様!!!」
メルクリアさんの発言に、普段は見せないような慌てように、顔を赤くさせて、机をバンッ! と叩く。その振動にローナさんが入れてくれたお茶が零れるけど、誰も気にしない。それどころではないからだ。
「何をそんなに怒ってるんだい? わからない子だねぇ〜」
「お母様こそ、どうして今日初めて出会ったエルをそんなに気にいるのです! 今まではそんな事、1度も無かったのに!」
「お、落ち着いてマリアさん。そんな怒鳴っても……」
「どうしてそんなに落ち着いていられるのよ、エルは! あなたはいいの!? 私と結婚する事になっても! 愛しい人の仇を取るんじゃないの!?」
「それは、そうだけど……」
「お母様、先ほどの話は無かった事にして下さい! 私は部屋で休みます!」
マリアさんはそれだけ言うと、足早に部屋を出て行ってしまった。僕たちはそれを見送る事しか出来なかった。
「なんだい、あの子は? 何かいけない事でも言っちゃったかねぇ?」
「……マリアさんは僕の事を考えて言ってくれたんです」
ユフィーの事は、ユフィーが精霊として顕現した時に全部話している。僕がユフィーと愛し合っていた事や、そのユフィーが勇者達に殺されて、僕たちが復習をしようとしている事は。
その事を知っているからこそ、あそこまで怒ってくれたのだろう。僕のために。みんなが黙り込んでしまっていると
「なんだ、この暗い雰囲気は?」
別の扉からヘルガーさんが部屋へと入って来た。そのヘルガーさんを見た瞬間、メルクリアさんは物凄い笑顔でヘルガーさんへと抱き付いた。
ヘルガーさんの胸元に頭をぐりぐりと押し付けるメルクリアさん。そして
「ああっ、会いたかったよ、ヘルガー!」
「ああ、俺もだよ、メルクリア」
2人は抱きしめ合いながらキスをし始めた……おい、いきなりチュッチュッしてんじゃねえよ。ルイーザは表情は変わらないが、顔を赤くし、マリーシャはキャーと黄色い悲鳴を上げ、ミミは両手で顔を覆い尽くしている。隙間から見ているのが丸わかりだが。
僕たちがするような挨拶のようなやつではなく、いわゆるディープなやつだ。気が付いたらルイーザががっちりとミミの目を閉じていた。それが正しいよ、ルイーザ。
「ぶはぁ……うん、やっぱり、ヘルガーの側は落ち着くわ」
「くくっ、そんなこと言いながら1年も帰って来ねえで、どこに行ってたんだよ、全く」
キスをし終えると、再び抱きしめ合う2人。物凄くラブラブだな。
「それで、何があったんだ、この雰囲気は?」
ようやく落ち着いて離れたところで、ヘルガーさんは初めの質問に戻る。それから何があったか説明すると、じとーとヘルガーさんがメルクリアさんを見ていた。
でも、メルクリアさんも知らなかった事だ。それをヘルガーさんもわかっているのだろう。それ以上は何も言わなかった。
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コメント
蘆屋紫黒
復讐が復習になってますよ