復讐の魔王
38.本領発揮
「まさか、帝国まで出てくるとは」
グランディーク軍と獣王国軍が対峙するその後ろから、帝国の紋章である赤い旗に大鷲の紋章。かなりの数の帝国兵が獣王国軍をグランディーク軍と一緒に挟もうと迫ってきている。
「帝国兵は全部で3万ぐらいね。だけど、1番は……」
「うん、あの先頭にいる白銀の髪をした女性だね。僕も初めて見るよ。あれが噂の四帝か。そのうちの1人だね」
帝国軍の先頭で馬に乗る銀髪の女性。彼女から放たれる覇気は、かなり離れた僕たちにも届くほどだ。噂では1人で小国を相手出来ると聞いていたけど、嘘じゃ無いみたいだ。
その女性が、腰に差してある青白く輝くレイピアを抜き、空高く掲げ、そして
「全軍、突撃!」
銀髪の女性の号令で、獣王国軍の後ろを突く帝国兵たち。獣人たちは応戦しようとするが、さすがに倍以上の数相手に耐え切れていない。
頼みの綱の獣王は、謎の筒を持ったグランディーク兵たちに囲まれて撃たれていた。まだ耐えているが、あの血の量はかなり危険だ。
「どうするの、エル兄さん。このまま終わるのを見ているの?」
この光景を黙って見ていた僕に、マリーシャが尋ねてくる。ルイーザやマリンティアさんも聞きたそうだ。
「……今獣王を助けて恩を売っておくのは良いかもね。それにグランディーク王国が勝利するのはなんか嫌だし」
僕がそう言うと、3人はお腹を抱えて笑いだした。
「ふふ、素直じゃないわね、エルは。それでどうするの?」
「僕が人質のところに移動して、憤怒の炎心剣を発動する。それで人質を助けるよ。マリンティアさんは獣王とは顔見知りなんでしょ? 僕たちが敵でない事を伝えて欲しい。マリーシャはその間獣王の治療を。ルイーザはその護衛をお願い。あの筒には気をつけてね。危険だから」
僕の言葉に3人は頷く。僕は光魔法を発動して移動する。まずは謎の筒を持っている兵士たちを止めないと。あそこに彼女たちを移動させるのは危険すぎるからね。
謎の筒を持った兵士たちの上に移動して、憤怒の炎心剣を発動する。上空から突然炎が吹き荒れて驚く兵士たちに、僕は炎心剣を振り下ろす。
魔力を流して振り下ろされた炎心剣からは、炎の斬撃が放たれ、謎の筒を持った兵士たちを焼いていく。
僕は再び転移で3人の元に移動して、再度発動。今度は獣王の元へ。
「大丈夫ですか、獣王様」
「君は……ヘルガーの娘じゃないか。どうしてこんなところに?」
「話は後です。まずは治療を受けて下さい。マリーシャ、お願い」
「ええ、治療しますので動かないで下さい」
よし、向こうは上手くいっているようだ。僕はその間に人質たちのところに移動する。突然吹き荒れた炎に、兵士たちは驚きながらも、武器を構えている。
僕は人質たちの後ろにいる兵士の方へと移動して、兵士たちを切り伏せる。それと同時に彼らが再び捕まらないように、炎心騎士を召喚。獣人たちの護衛にする。
「な、なんだこの炎の騎士たちは!? くっ! 獣人たちを取り返せ! 早く取り返さなければ獣王がやって来るぞ!」
隊長格の1人が叫ぶ。それに呼応して動き出す兵士たち。中にはあの筒を持っている兵士もいる。だけど、残念な事にあの筒の攻撃も炎心騎士には効かなかった。なんせ実態が無いからね。バシュバシュと貫通するだけだ。
「助かったぞ、新たな魔王よ。人質を救ってくれて感謝する」
気が付けば、僕の横には獣王が立っていた。獣王の視線には炎心剣が。この剣の事を知っているのか。
「別に構わないですよ。僕はグランディークがいい思いするのが嫌だっただけですからね」
「ふむ、訳ありということか。という事は我々の味方と考えても?」
「ええ。でもどうするのです? 前方はグランディークが。後方には帝国が攻めています。あなたを助けましたが、危機なのには変わりありませんが」
僕がそう尋ねると、獣王はニヤリと笑う。そして体中から覇気を放つ。
「なぁに。人質さえいなければ、この程度すぐに覆してやろう!」
ここから獣王の蹂躙が始まった。
グランディーク軍と獣王国軍が対峙するその後ろから、帝国の紋章である赤い旗に大鷲の紋章。かなりの数の帝国兵が獣王国軍をグランディーク軍と一緒に挟もうと迫ってきている。
「帝国兵は全部で3万ぐらいね。だけど、1番は……」
「うん、あの先頭にいる白銀の髪をした女性だね。僕も初めて見るよ。あれが噂の四帝か。そのうちの1人だね」
帝国軍の先頭で馬に乗る銀髪の女性。彼女から放たれる覇気は、かなり離れた僕たちにも届くほどだ。噂では1人で小国を相手出来ると聞いていたけど、嘘じゃ無いみたいだ。
その女性が、腰に差してある青白く輝くレイピアを抜き、空高く掲げ、そして
「全軍、突撃!」
銀髪の女性の号令で、獣王国軍の後ろを突く帝国兵たち。獣人たちは応戦しようとするが、さすがに倍以上の数相手に耐え切れていない。
頼みの綱の獣王は、謎の筒を持ったグランディーク兵たちに囲まれて撃たれていた。まだ耐えているが、あの血の量はかなり危険だ。
「どうするの、エル兄さん。このまま終わるのを見ているの?」
この光景を黙って見ていた僕に、マリーシャが尋ねてくる。ルイーザやマリンティアさんも聞きたそうだ。
「……今獣王を助けて恩を売っておくのは良いかもね。それにグランディーク王国が勝利するのはなんか嫌だし」
僕がそう言うと、3人はお腹を抱えて笑いだした。
「ふふ、素直じゃないわね、エルは。それでどうするの?」
「僕が人質のところに移動して、憤怒の炎心剣を発動する。それで人質を助けるよ。マリンティアさんは獣王とは顔見知りなんでしょ? 僕たちが敵でない事を伝えて欲しい。マリーシャはその間獣王の治療を。ルイーザはその護衛をお願い。あの筒には気をつけてね。危険だから」
僕の言葉に3人は頷く。僕は光魔法を発動して移動する。まずは謎の筒を持っている兵士たちを止めないと。あそこに彼女たちを移動させるのは危険すぎるからね。
謎の筒を持った兵士たちの上に移動して、憤怒の炎心剣を発動する。上空から突然炎が吹き荒れて驚く兵士たちに、僕は炎心剣を振り下ろす。
魔力を流して振り下ろされた炎心剣からは、炎の斬撃が放たれ、謎の筒を持った兵士たちを焼いていく。
僕は再び転移で3人の元に移動して、再度発動。今度は獣王の元へ。
「大丈夫ですか、獣王様」
「君は……ヘルガーの娘じゃないか。どうしてこんなところに?」
「話は後です。まずは治療を受けて下さい。マリーシャ、お願い」
「ええ、治療しますので動かないで下さい」
よし、向こうは上手くいっているようだ。僕はその間に人質たちのところに移動する。突然吹き荒れた炎に、兵士たちは驚きながらも、武器を構えている。
僕は人質たちの後ろにいる兵士の方へと移動して、兵士たちを切り伏せる。それと同時に彼らが再び捕まらないように、炎心騎士を召喚。獣人たちの護衛にする。
「な、なんだこの炎の騎士たちは!? くっ! 獣人たちを取り返せ! 早く取り返さなければ獣王がやって来るぞ!」
隊長格の1人が叫ぶ。それに呼応して動き出す兵士たち。中にはあの筒を持っている兵士もいる。だけど、残念な事にあの筒の攻撃も炎心騎士には効かなかった。なんせ実態が無いからね。バシュバシュと貫通するだけだ。
「助かったぞ、新たな魔王よ。人質を救ってくれて感謝する」
気が付けば、僕の横には獣王が立っていた。獣王の視線には炎心剣が。この剣の事を知っているのか。
「別に構わないですよ。僕はグランディークがいい思いするのが嫌だっただけですからね」
「ふむ、訳ありということか。という事は我々の味方と考えても?」
「ええ。でもどうするのです? 前方はグランディークが。後方には帝国が攻めています。あなたを助けましたが、危機なのには変わりありませんが」
僕がそう尋ねると、獣王はニヤリと笑う。そして体中から覇気を放つ。
「なぁに。人質さえいなければ、この程度すぐに覆してやろう!」
ここから獣王の蹂躙が始まった。
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