復讐の魔王

やま

10.青髪の女性

「さてと、あなたたちは一体何者?」


 現在は砦の中。青髪の女性と戦っていたところ、砦から援軍がやって来て囲まれた僕たちは、女性に従うようについて来た。無理して戦う意味も無かったし、話し合いがしたかったからね。素直について行く事にした。


 そして、この部屋に案内されて座らされた僕たち。懐かしい部屋だ。ここでよく作戦会議とかしたものだ。


 僕を真ん中でルイーザとマリーシャは僕を挟むように座る。向かいには青髪の女性が座り、後ろに紫髪の青年と侍女服の金髪の女性が立つ。この2人も青髪の女性には負けるけど、中々の実力者だと思う。


「ええっと、話せば長くなるんですが……」


「お嬢様、この男には見覚えがあります。確か数週間前までこの砦で将軍をやっていた男です」


 おっと、僕が何かを話す前に、バレてしまった。紫髪の青年は僕をまるで射殺すかのように睨みつけてくる。


「へ〜、突然この砦で人の気配が無くなったから貰ったけど、生き残りがいたんだ? でも変よね。グランディークはそれなりの人族主義なのに、あなたたちからは魔族の雰囲気がするわ。そんな人が軍なんかに入れるかしら?」


 青髪の女性は訝しげに僕たちを見ながらこてんと首を傾ける。それに合わせて青髪がサラサラと揺れる。


「それには理由があるんです」


「理由?」


「まずは、システィーナ・ラース・クラシウスって方を知っていますか?」


「なっ!」


 僕の言葉に青髪の女性はガタンと音を鳴らして席を立つ。あの人の事を知っているようだ。


「……あなた、どうしておば様の事を知っているの?」


「おば様?」


「そういえば、私名乗ったなかったわね。私の名前はマリンティア・クラシウスよ。偉大なる魔王と青竜王の娘よ。そして後ろの紫髪の男性が上級悪魔アークデーモンのグレイ、金髪の侍女がエルフのローナ・アイドルフ」


 青髪の女性、マリンティアさんの言葉で軽く頭を下げるローナさんとフンとそっぽを向くグレイさん。


 いや、そんな事は正直に言うとどうでも良い。それよりも、今マリンティアさんが言った事。魔王と青竜王の娘? この女性、とんでもない人なんじゃないのか?


「それで、どうしてあなたはおば様の名前を知っているの? いえ、おば様の名前を知っているのは100歩譲って良いでしょう。昔の文献にも載っているでしょうから。でも、ラースの名前は公にされていないはずよ。魔族だけしか知らないのに」


 なるほど。マリンティアさんが驚いたのはその部分か。でも、魔族だけしか知らないのは予想外だったな。余り他の人には話せないね。


 それよりも目の前で僕を睨みつけてくるマリンティアさんに何故知っているか話さないと。


 それから僕は心の中でシスティーナさんに出会った事を話す。これを話すには僕の先祖のハヤテ・エンドウとの話もしなければ。


 ハヤテ・エンドウとの話をした時はルイーザとマリーシャが驚いた顔をしていた。それも当然か。僕も初めて聞かされた時は驚いたものだ。


 マリンティアさんは目を瞑って聞いてくれている。後ろの2人は信じられないという表情をしている。


「貴様、そんな嘘が通じると思っているのか! 我ら魔族の伝説にも残っているシスティーナ様が人間と愛し合うなど!」


 そして、グレイさんは信じられないと言って怒鳴って来る。そう言われても本人からそう聞かされたからなぁ。今にも掴みかかって来そうなくらい怒っているグレイさんをどうするか考えていると、今まで目を瞑って黙っていたマリンティアさんが


「……それにはお父様は関わっているの?」


 と、尋ねてきた。確か当時のグランディーク王とシスティーナさんの兄の魔王の人が知っているんだっけ。あっ、て事は、マリンティアさんのお父さんがその兄の魔王なのか。マリンティアさんも『おば様』って言っていたし。


「システィーナさんのお兄さんがマリンティアさんのお父さんなんだよね。それなら知っているはずだよ」


 僕のその言葉に心底呆れたように溜息を吐くマリンティアさん。


「……そういえば、お父様はおば様の事については余り話してくれなかったわね。いた事と肖像画を見させてもらっただけ。ボロが出るのを防ぐために黙っていたのかしら?」


「マリンティア様、余りこやつの言葉を信じるのはどうかと思います。本当かどうかわからないのに」


「でも、彼は私たちですら知らない事など知っているのよ。確かに信じられない話だと私も思うけど、それでも、嘘はついてないと思うわ」


 グレイさんも思い当たる節があるのか、それ以上は言わなかった。良かった。どうやら信じてくれたみたいだ。


「それにしても、あなたもお父様と同じヴァンパイアロードなのね。全く覇気が違うからただのヴァンパイアだと思ったわ」


 僕の顔を見ながらクスクスと笑いながらそんな事を言ってくるマリンティアさん。うっ、そりゃあ現魔王となりたての魔族を比べられたら敵わないよ。


「まあ、良いわ。それであなたたちがあんなところでコソコソとしていた理由は?」


 あっ、そうだ。その事を話さないと。僕たちの元々の目的を。


「ええっとですね。僕たちがあの場にいたのは……」


 僕が説明しようとしたその瞬間


 ズドォーン!


 と、砦が揺れる大きな音がする。マリンティアさんは直様立ち急いで部屋から飛び出す。僕たちもその後を追いかける。今の感じは明らかに魔法が発動された。魔力が揺れたのがわかったから。


 急いで砦の上に登り、見てみると、砦の近くに隊列を組む兵士たちが。グランディーク兵か。先頭には金髪の髪の毛を書き上げる男、あれは確か……


「グロブネス・ラシャナール。エル兄上、あいつも私たちを襲って来た1人だ」


 そう、グロブネス・ラシャナール。ラシャナール伯爵の長男だ。ラシャナール家は元々デンベル側の貴族だった。その上、ルイーザたちを襲った1人か。それなら


「生かしては帰れないな」

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