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世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜

やま

24.資金集めの後

「それで、お前さんがあのアースドラゴンを狩って来たのか?」


「はい」


「たったの数分で?」


「はい」


 私の言葉に頭を抱えるハ……丸坊主の男性。そんなにおかしいのですかね? 私の母上なら移動しなくてもアースドラゴンを見つけて狩って、細切りにした肉を転移させて来るのですが。


「ああ、別に疑ってるってわけじゃねえんだよ。ただ、アースドラゴンが出るのはこの辺りだと、ヘルエイ火山ぐらいでな。アースドラゴンだけでなく、Aランク以上の魔獣が倒されれば各ギルドには連絡が行くようになっているんだよ。今回はそれがなくてな」


「なるほど。そういう事でしたか。でしたら連絡は来ませんよ?」


「そりゃあ、どういう事だ?」


「だって、私、そのヘルエイ火山という場所で、アースドラゴンを狩っていませんもん」


 私の言葉に首を傾げるハゲ……丸坊主の男性。この人は冒険者ギルドのギルドマスターさんらしいです。どうやら、私が一瞬でアースドラゴンを狩って来たのを不思議に思い呼び出したとか。ギルドマスターの後ろには目を覚ましたミアが立っています。


「……そりゃあ、どういう事だ?」


「マスター、語彙力」


「うるせえよ、ミア。それよりどこでアースドラゴンを狩って来たんだよ?」


 うーん、この事は正直に言っていいのでしょうか? あまり森の事は話さないようにとリカルド様に言われていたのですが……別に入り口付近ですから良いですか。


「魔女の森で狩って来たのです。アースドラゴンは魔女の森でも、まだ入ったところにいますから奥まで行く必要がありませんし」


「待て待て待て待て。今なんて言った?」


「? 魔女の森に行ったと言ったのですが?」


 私の言葉に再び頭を抱えるギルドマスター。ミアに至っては軽く白目を向いています。


「……あの首を見たら嘘とは言えねえな。ったく、なんて新人だよ。無傷で魔女の森から帰ってくるなんて。Sランクでも厳しいぞ」


 そうなのですか。防御をしていたら傷なんて負いませんから気にしていませんでしたね。


「まあ、アースドラゴンを狩ってきたのには変わりねえから、ミア、彼女に依頼達成金を払ってくれ。ただし、罰金を差し引いた金額だ」


「……罰金、ですか?」


「ああ。ならず者も多い冒険者ギルドが運営出来ているのは、ルールがあるからだ。あんたを担当したミアも初めに話したはずだ。自分のランク以上の依頼は受けないようにと。
 理由は、冒険者が自身の実力以上の依頼を受けて無駄死にさせないようにするためだ。だから、お前が依頼を達成したとしても罰金は払ってもらう。他の奴が真似をしないように」


 ……むむっ、そこまで考えていませんでしたね。これは素直に謝りましょう。私はギルドマスターに頭を下げます。


「……わかってくれれば良いんだよ。しかし、お前さん、そこまでの実力者なら誰かツテがあるんじゃねえのか? 信用のある有力者の推薦があればランクも見てやったのだが。まあ、推薦された者が馬鹿な事をすると、推薦した有力者の顔に泥を塗るから滅多に無いのだが」


 なんと。それならリカルド様に推薦してもらったら良かったですかね。まあ、今更ですか。


 それから、ミアが持ってきた達成金を受け取り冒険者ギルドを後にします。転移で部屋に戻ると、子供たちは既に目を覚ましており、セーラが食事をあげていました。


 子供たちは突然現れた私に驚き、3人で抱きついています。その中で一番年上なのだろう、少女が左右の子供たちを守るようにしています。


「あっ、ダメですよ、シルエット様。突然現れたら子供たちびっくりしちゃいますよ。みんな、大丈夫ですからね〜。このお姉さんが助けてくれたお姉さんですからね〜」


 セーラの言葉で落ち着きを見せる子供たち。子供たちの事はセーラに任せても良さそうですね。さて、それでは私は別のところへと向かいましょうか。


 部屋を出て私が向かったのは、この国の中で一番偉い人の部屋です。私は部屋の前に立つ兵士の方に面会の許可をお願いして少しの間待ちます。すると、許可が下りたので部屋へと入ります。


 部屋の中は陛下と宰相殿が話し合いをしていたようですね。少し邪魔をしてしまいましたか?


「よく来たな、シルエットよ。私に何か話があるという事だが?」


 しかし、怒る様子もなく笑顔で接してくれる陛下。その陛下に今から話す内容はあれかもしれませんが……


「はい。陛下にお願いがあって来ました。宮廷魔術師をやめようと思います」


 私の言葉にぽかんとする陛下と宰相殿。私は宮廷魔術師をやめます。

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