世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜
22.国の現状
「ほぉ、これがお祭りというものですか」
私は周りに出来ている屋台を見ながら歩きます。その後ろにはやれやれと困った風についてくるリカルド様が。
リカルド様を追って辺境伯に行った日から、今日で半年が経ちました。あの日は、砦に固まる兵士たちを大きな土の壁で行き場を無くして、その中だけ気温を低くさせて、敵を動けなくするのと同時に、疲労が溜まるようにしました。
普通の魔術では突破出来ないように作った頑丈な土の壁のおかげで、国から援軍が来るまで時間を稼ぐ事も出来ましたし。
日に日に減って行く食料と、耐える事の出来ないほどの寒さで、根を上げていたところに、囲まれるほどの数の兵士に、ヘパストス王国の兵士は、何もする事が出来ないまま降参をしました。
その後、リカルド様は様々な処理をしなくていけなくなりましたが、率先して国を守った王子として、国民からは人気となっています。
そんな事もありましたが、私がお祭りに行きたいと言えば、リカルド様はお時間を作ってくださりましたし。
年に1度行われる国王陛下の誕生祭。陛下の誕生日の3日前からお祭りが始まり、真ん中の4日目に陛下の誕生祭が、そして最後の3日間は後祭が行われるそう。1週間使って陛下の誕生日を祝うのが誕生祭なのだそう。行かない人はまずいないそうなので。
当然、森から出た事の無い私は祭りは初めてです。今日をどれだけ楽しみにしていたことか。見るもの見るものが珍しいです。
そんな祭りの中を歩いていると、前から子供たちが走って来ました。前を見ずに真っ直ぐと。更にその後ろからは、顔に剣の傷が付いた男が追いかけています。子供は屋台と屋台の間を通り抜けて、街の裏道を走っていきます。
「……スラムの子供か」
そんな子供たちを見ていたら、リカルド様がポツリと呟きます。スラムの子供ですか。確かに見た目はボロボロのローブを羽織っているだけでした。
「あの子たちの親はいないのですか?」
「理由は様々だ。両親が死んでしまった者、捨てられた者、食い扶持減らしに売られた者……この国がまだ平和じゃ無い証さ」
少し悔しそうに呟くリカルド様。私はそのまま屋台の間を通り抜けて行きます。少しあの子たちの事が気になりました。
先ほど見た子供たちの魔力を辿って裏道を歩いて行くと、先ほどの子供たちが横たわっているのが見えます。その子供たちを囲むように3人の男が立っていました。
私たちが近づくと、気がついた男たちは怪訝そうな顔で私たちを見て来ます。私はその男の人たちを気にする事なく、子供たちへと近づきます。
「おい、姉ちゃん。そいつらは俺らの店から食べ物を盗んだ盗人だ。何をされるかわからねえから近づかねえ方が良いぞ」
盗人ですか。そういえばそういう者に出会うのは初めてですね。しかし、こんな子供たちが盗みを働かなければいけないほど困窮しているのですね。
「この子たちが盗んだ食べ物の金額はいくらですか?」
「何?」
「私が立て替えましょう。それでこの子たちを許してやって下さい」
「……おいおい、やめておいた方がいいぞ。いくらそいつらを助けたところで、他にもやる奴がいる。そんな奴らまで構わないといけねえ羽目になるぞ?」
「とにかく、この子たちの分は私が払います」
私が曲げないとわかったのか、男の人たちは、金額を教えてくれました。その分を財布から取り出して渡します。
男の人たちがいなくなった後に、私は怪我をしている子供たちを治療します。
「……悔しいけど、これが今の国の現状だ。親のいない子供たちが生きるには厳しい国だ。父上もなんとかしようとは考えているのだが、孤児院や教会などに使う金が少ないのだ」
「それは貴族がお金を使うからですか?」
私の言葉にリカルド様は何も言いません。なるほどですね。
「リカルド様、私の給金からこの子たちの食事などのお金を引いて下さい。私の部屋に連れて行きます」
私はそれだけ言うと、地震の部屋まで転移させます。子供たちをベッドの上に寝かせて、持っていくものを準備します。
「……何をしているのだ?」
「お金稼ぎをしてきます」
久し振りに体を動かそうと思います。
私は周りに出来ている屋台を見ながら歩きます。その後ろにはやれやれと困った風についてくるリカルド様が。
リカルド様を追って辺境伯に行った日から、今日で半年が経ちました。あの日は、砦に固まる兵士たちを大きな土の壁で行き場を無くして、その中だけ気温を低くさせて、敵を動けなくするのと同時に、疲労が溜まるようにしました。
普通の魔術では突破出来ないように作った頑丈な土の壁のおかげで、国から援軍が来るまで時間を稼ぐ事も出来ましたし。
日に日に減って行く食料と、耐える事の出来ないほどの寒さで、根を上げていたところに、囲まれるほどの数の兵士に、ヘパストス王国の兵士は、何もする事が出来ないまま降参をしました。
その後、リカルド様は様々な処理をしなくていけなくなりましたが、率先して国を守った王子として、国民からは人気となっています。
そんな事もありましたが、私がお祭りに行きたいと言えば、リカルド様はお時間を作ってくださりましたし。
年に1度行われる国王陛下の誕生祭。陛下の誕生日の3日前からお祭りが始まり、真ん中の4日目に陛下の誕生祭が、そして最後の3日間は後祭が行われるそう。1週間使って陛下の誕生日を祝うのが誕生祭なのだそう。行かない人はまずいないそうなので。
当然、森から出た事の無い私は祭りは初めてです。今日をどれだけ楽しみにしていたことか。見るもの見るものが珍しいです。
そんな祭りの中を歩いていると、前から子供たちが走って来ました。前を見ずに真っ直ぐと。更にその後ろからは、顔に剣の傷が付いた男が追いかけています。子供は屋台と屋台の間を通り抜けて、街の裏道を走っていきます。
「……スラムの子供か」
そんな子供たちを見ていたら、リカルド様がポツリと呟きます。スラムの子供ですか。確かに見た目はボロボロのローブを羽織っているだけでした。
「あの子たちの親はいないのですか?」
「理由は様々だ。両親が死んでしまった者、捨てられた者、食い扶持減らしに売られた者……この国がまだ平和じゃ無い証さ」
少し悔しそうに呟くリカルド様。私はそのまま屋台の間を通り抜けて行きます。少しあの子たちの事が気になりました。
先ほど見た子供たちの魔力を辿って裏道を歩いて行くと、先ほどの子供たちが横たわっているのが見えます。その子供たちを囲むように3人の男が立っていました。
私たちが近づくと、気がついた男たちは怪訝そうな顔で私たちを見て来ます。私はその男の人たちを気にする事なく、子供たちへと近づきます。
「おい、姉ちゃん。そいつらは俺らの店から食べ物を盗んだ盗人だ。何をされるかわからねえから近づかねえ方が良いぞ」
盗人ですか。そういえばそういう者に出会うのは初めてですね。しかし、こんな子供たちが盗みを働かなければいけないほど困窮しているのですね。
「この子たちが盗んだ食べ物の金額はいくらですか?」
「何?」
「私が立て替えましょう。それでこの子たちを許してやって下さい」
「……おいおい、やめておいた方がいいぞ。いくらそいつらを助けたところで、他にもやる奴がいる。そんな奴らまで構わないといけねえ羽目になるぞ?」
「とにかく、この子たちの分は私が払います」
私が曲げないとわかったのか、男の人たちは、金額を教えてくれました。その分を財布から取り出して渡します。
男の人たちがいなくなった後に、私は怪我をしている子供たちを治療します。
「……悔しいけど、これが今の国の現状だ。親のいない子供たちが生きるには厳しい国だ。父上もなんとかしようとは考えているのだが、孤児院や教会などに使う金が少ないのだ」
「それは貴族がお金を使うからですか?」
私の言葉にリカルド様は何も言いません。なるほどですね。
「リカルド様、私の給金からこの子たちの食事などのお金を引いて下さい。私の部屋に連れて行きます」
私はそれだけ言うと、地震の部屋まで転移させます。子供たちをベッドの上に寝かせて、持っていくものを準備します。
「……何をしているのだ?」
「お金稼ぎをしてきます」
久し振りに体を動かそうと思います。
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