世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜
16.謁見
「……くくくっ、はははははっ! これは面白い女性だ。リカルド、面白い女性に助けられたな」
「は、はい父上、私も彼女に助けられたのは幸運でした」
そのような会話をしながらも、私を見て笑って来る国王陛下。むむぅ、そんなに笑う事は無いと思うのですが。そんなに可笑しいですかね、この侍女服。
「それで、そなたは後ろにいるシリカの病を治せる程優れた魔術師だと聞く。シリカの父親としてずっと礼が言いたかったのだ。シリカを助けてくれてありがとう」
しかし、先程まで笑っていたのとは打って変わって、真剣な表情で私に向けて頭を下げて来る国王陛下。流石に一国の王がただの国民に頭を下げるのは不味いのでしょう、周りの大臣たちが騒いでいます。
特に、国王陛下の1番近くに立っていた若い男性が。何処と無くリカルド様に似てい……似ていないですね。気のせいです。リカルド様はあんな気持ちの悪い顔はしていません。
「父上、頭をお上げください! そう簡単に王が頭を下げては、王の権威に関わります」
「何を言うウィルカスよ。大事な我が子の命を救ってくれた命の恩人だぞ? そのようなものに礼をせぬ方が私の権威に関わるわ。お主はそこで黙って見ておれ」
ウィルカスで父上という事は、彼の方がリカルド様の兄上ですか。何処と無く似ているかも、と思ったのは間違いでは無いようですね。まあ、あのように醜く顔を歪ませているあたり、性格は悪そうですが。
「それで、シルエットと申したか。そなたに何か褒美を与えたいのだが……何が良かろうか?」
褒美ですか。今まで森にいた頃は本が欲しかったですが、今は図書館で読めますしね。今1番欲しいといえば侍女服ですが……頼んだらくれますかね?
「父上、彼女には宮廷魔術師の地位がよろしいかと」
そんな事を考えていたら、前から声がします。リカルド様が私の代わりに言ってくださったようです。宮廷魔術師……この国お抱えの魔術師という事でしょうか?
「ふむ、確かにこの国の魔術師の誰もがわからなかったシリカの病を治したその力は相応しいか。よし、それなら……」
「お待ちください、父上!」
国王陛下の言葉を遮って再びウィルカス殿下が割り込んできます。ギロリとウィルカス殿下を国王陛下は睨んでいますが、ウィルカス殿下は気にした様子もなく話を進めます。あぁ、後が怖いですねぇ。
「宮廷魔術師とはこの国で1番優れた魔術師が着く地位です! その最高の地位をそのようなどこの誰ともわからない小娘に着かせるなど!」
「しかし、彼女は宮廷にいる魔術師たちが治す事が出来なかったシリカの病を治したのだぞ? それでも実力が無いと?」
国王陛下の言葉を聞いたウィルカス殿下は、誰かを隣に立たせます。その人は黒いローブを着た何だか暗そうな人でした。体もひょろひょろとしています。ちゃんとお肉を食べていますか? ちゃんとお肉を食べないといけませんよ?
「宮廷魔術師とはこの国で1番でなければなりません。確かにシリカの病を治したのは素晴らしいでしょう。しかし、それだけでは宮廷魔術師は務まらない。やはり、下の者が従う力を持たなければ」
「何が言いたいのだ、ウィルカスよ」
「彼女には魔術師の中でも優れた才を持つこのペテロと戦っていただきましょう。彼を倒す程の能力があれば、他の魔術師たちも従うでしょう」
そう言い私を見て来ます。うっ、ゾクゾクと背筋に寒気が。うわぁ、鳥肌が立っています。彼の方は生理的に受け付けませんね。
「ふむ、リカルドはどうだ?」
「私は構いません。シルエット殿は負けませんから」
リカルド様は立ち上がり国王陛下に向かって言い切ってしまいました。そんな期待されては何だかこそばゆいですね。
「そこまで言うのなら良かろう。しかしウィルカス、わかっているな? 私が決めた事を異議を唱えたのだ。もしこれで、シルエットが勝てば、それ相応の報いを受けてもらうぞ?」
国王陛下はそう言うとギロリとウィルカスを睨みつけます。ふむ、これが王の風格というものですか。この方は決して強くはありませんが、周りを従えさせる雰囲気があります。
「も、勿論ですとも。ペテロが負けるはずがありませんから!」
「良かろう、それではここにいる皆が証人だ。行く末を見届けてもらおうでは無いか。
◇◇◇
「お主たちにはここで戦ってもらう。勝手も負けても遺恨は無しだ」
国王陛下の言葉に私と、目の前の……ええっとペテンさんでしたっけ? その人が頷きます。しかし、何だか観客が多いような。明らかにあの王座の間にいた人数よりも多いです。
「小娘、今の内に逃げた方がいいぞ。その綺麗な顔が傷つく前にな」
沢山の人の視線を気にしていると、前からそんな声が聞こえて来ます。ペテンさんが杖を構えてそんな事を言って来ました。私は無言のまま距離をとります。
別に接近戦でも良いのですが、ここは相手の得意分野で潰させて貰いましょうか。
「は、はい父上、私も彼女に助けられたのは幸運でした」
そのような会話をしながらも、私を見て笑って来る国王陛下。むむぅ、そんなに笑う事は無いと思うのですが。そんなに可笑しいですかね、この侍女服。
「それで、そなたは後ろにいるシリカの病を治せる程優れた魔術師だと聞く。シリカの父親としてずっと礼が言いたかったのだ。シリカを助けてくれてありがとう」
しかし、先程まで笑っていたのとは打って変わって、真剣な表情で私に向けて頭を下げて来る国王陛下。流石に一国の王がただの国民に頭を下げるのは不味いのでしょう、周りの大臣たちが騒いでいます。
特に、国王陛下の1番近くに立っていた若い男性が。何処と無くリカルド様に似てい……似ていないですね。気のせいです。リカルド様はあんな気持ちの悪い顔はしていません。
「父上、頭をお上げください! そう簡単に王が頭を下げては、王の権威に関わります」
「何を言うウィルカスよ。大事な我が子の命を救ってくれた命の恩人だぞ? そのようなものに礼をせぬ方が私の権威に関わるわ。お主はそこで黙って見ておれ」
ウィルカスで父上という事は、彼の方がリカルド様の兄上ですか。何処と無く似ているかも、と思ったのは間違いでは無いようですね。まあ、あのように醜く顔を歪ませているあたり、性格は悪そうですが。
「それで、シルエットと申したか。そなたに何か褒美を与えたいのだが……何が良かろうか?」
褒美ですか。今まで森にいた頃は本が欲しかったですが、今は図書館で読めますしね。今1番欲しいといえば侍女服ですが……頼んだらくれますかね?
「父上、彼女には宮廷魔術師の地位がよろしいかと」
そんな事を考えていたら、前から声がします。リカルド様が私の代わりに言ってくださったようです。宮廷魔術師……この国お抱えの魔術師という事でしょうか?
「ふむ、確かにこの国の魔術師の誰もがわからなかったシリカの病を治したその力は相応しいか。よし、それなら……」
「お待ちください、父上!」
国王陛下の言葉を遮って再びウィルカス殿下が割り込んできます。ギロリとウィルカス殿下を国王陛下は睨んでいますが、ウィルカス殿下は気にした様子もなく話を進めます。あぁ、後が怖いですねぇ。
「宮廷魔術師とはこの国で1番優れた魔術師が着く地位です! その最高の地位をそのようなどこの誰ともわからない小娘に着かせるなど!」
「しかし、彼女は宮廷にいる魔術師たちが治す事が出来なかったシリカの病を治したのだぞ? それでも実力が無いと?」
国王陛下の言葉を聞いたウィルカス殿下は、誰かを隣に立たせます。その人は黒いローブを着た何だか暗そうな人でした。体もひょろひょろとしています。ちゃんとお肉を食べていますか? ちゃんとお肉を食べないといけませんよ?
「宮廷魔術師とはこの国で1番でなければなりません。確かにシリカの病を治したのは素晴らしいでしょう。しかし、それだけでは宮廷魔術師は務まらない。やはり、下の者が従う力を持たなければ」
「何が言いたいのだ、ウィルカスよ」
「彼女には魔術師の中でも優れた才を持つこのペテロと戦っていただきましょう。彼を倒す程の能力があれば、他の魔術師たちも従うでしょう」
そう言い私を見て来ます。うっ、ゾクゾクと背筋に寒気が。うわぁ、鳥肌が立っています。彼の方は生理的に受け付けませんね。
「ふむ、リカルドはどうだ?」
「私は構いません。シルエット殿は負けませんから」
リカルド様は立ち上がり国王陛下に向かって言い切ってしまいました。そんな期待されては何だかこそばゆいですね。
「そこまで言うのなら良かろう。しかしウィルカス、わかっているな? 私が決めた事を異議を唱えたのだ。もしこれで、シルエットが勝てば、それ相応の報いを受けてもらうぞ?」
国王陛下はそう言うとギロリとウィルカスを睨みつけます。ふむ、これが王の風格というものですか。この方は決して強くはありませんが、周りを従えさせる雰囲気があります。
「も、勿論ですとも。ペテロが負けるはずがありませんから!」
「良かろう、それではここにいる皆が証人だ。行く末を見届けてもらおうでは無いか。
◇◇◇
「お主たちにはここで戦ってもらう。勝手も負けても遺恨は無しだ」
国王陛下の言葉に私と、目の前の……ええっとペテンさんでしたっけ? その人が頷きます。しかし、何だか観客が多いような。明らかにあの王座の間にいた人数よりも多いです。
「小娘、今の内に逃げた方がいいぞ。その綺麗な顔が傷つく前にな」
沢山の人の視線を気にしていると、前からそんな声が聞こえて来ます。ペテンさんが杖を構えてそんな事を言って来ました。私は無言のまま距離をとります。
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