世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜
13.シルエット先生
「それでは、今から魔術の講義をしていきたいと思います。ただ、前もって言っておきますが、私の魔術はお母様から教えていただいてからは我流です。今まで習ったものとは全く違うかもしれませんが、お許し下さい」
「構いません! お姉様に教えて頂けるものなら何でも覚えます!」
そう言って、胸の前で両手を握り拳を作るシリカ様。やっぱり、お姉様は定着なのですね。ですが
「それでは始めますが、その前に魔術の講義の間は私の事はお姉様では無く、シルエット先生とお呼びください」
「はい、わかりました、シルエット先生!」
元気に私の名前を呼んでくださるシリカ様。とても可愛いです。本当に私の1つ下なのかと思ってしまうほどの愛らしさです。このまま見ておきたい思いもありますが、今の私はシルエット先生。しっかりと教えなければ。
「それでは、始めましょう。早速ですがご自身の手のひらに魔力を流してみてください」
「は、はい」
シリカ様は目を閉じて手のひらを集中しています。私の目で見ても手のひらに魔力が集まって行くのがわかります。魔力が無いわけでは無いのですね。
「魔力はしっかりと流れているようですね。それではシリカ様は、ご自身の適性が何かご存知ですか?」
「はい。私の適性は風と火と教えて頂きました」
確かにシリカ様の適性には風と火がありますね。ただ、それだけでは無いのですが。多分、シリカ様が魔術を発動出来ない原因がこれなのでしょう。
「その属性の確認は何でやりましたか?」
「ええっと、水晶ですね。手をかざささて魔力を流すと自分の適性の色に変わるというものでした」
やはり魔水晶でしたか。私も実物を見た事はありませんが、お母様から話を聞いた事があります。たしか、確か、魔力を流したら適性のある魔力を表す色が浮かび上がるはずです。火なら赤、水なら青といった風に。
ただ、魔水晶には欠点があって、火、水、風、土、光、闇の6属性しか色で表せなかったはずです。それに、適性といっても、ほんの少しでもあれば、表示される様ですし。
この王宮にいる魔術師は気が付かなかったのでしょうかね。彼女の中に眠る才能を。
「シリカ様。シリカ様が魔術師使えない理由がわかりましたよ」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ、まず魔術が発動出来ない理由なのですが、それは単に適性が低いからです」
「えっ? ですが水晶ではそう現れたのですが……」
私の言葉に首を傾げるシリカ様。講義を見ていたセシルさんとセーラも同じ様に首を傾げます。なので、魔水晶の事をお話しすると、皆様驚いた表情を浮かべてくださいます。ふふっ、何だか楽しくなって来ました。
「という事はシリカ様は唯一ある魔術の適性が低いって事でしょうか?」
セシルさんの言葉に悲しげに俯いてしまうシリカ様。その言い方は正しくありませんね。私の思っている事と反対の意味になってしまいます。
「そういう事ではありません。私が言いたいのは、もう1つの魔術の適性が高過ぎて、火と風の魔術の割合が低いのです」
「……という事はシリカ様には他にも適性の魔術があるのですか?」
「ええ。シリカ様が他に使える魔術はこれです」
私が手のひらを前に出すと、皆さんが覗き込む様に見て来ます。その手のひらに私は以前に取っていた月光花の残りを出します。
それを見ていたシリカ様とセーラは首を傾げていましたが、セシルさんは私が何をしたかわかった様です。
「なるほど、シリカ様には空間魔術の適性がおありになるのですね」
「ええ、それもかなりの適性です」
私とセシルさんが話を進めていく中、当人のシリカ様はまだピンとこない様子。そんなシリカ様も可愛いですね。
「まず空間魔術について説明しましょう。空間魔術はその名の通り空間に干渉する魔術です。これを扱える者はかなり珍しく、どの国でも重宝されていると言われています。それでは早速実技です。先ほど見せたのが収納。異空間に物を保存することが出来ます」
私はそう言いながら、先ほど出した月光花を仕舞ったり出したりします。
「異空間の大きさは魔力に比例して大きくなります。亜空間の機能もです。例えば私の亜空間であれば、この城ぐらいまでは物は入るでしょうし、物が劣化する事はありません。ただ、収納にも欠点があって、当然本人しか出し入れする事が出来ず、使用者が死ねば、亜空間に仕舞っていたものがその場に全て現れます」
「あっ! その話聞いた方があります! たしか、家ほどしまう事が出来る魔術師がお亡くなりになった時に、その場にいた人たちは、魔術師が亜空間に閉まっていた物の下敷きになってお亡くなりになったと」
私もたまたま森で亡くなられた方が持っていた新聞に書いてあったのを見た事がありますね。しかもその亡くなられた魔術師が仕舞っていたものがまた硬い金属類ばかりで余計に被害が出たともありましたね。
「それから、これは誰もが知っている転移」
私は部屋の中を転々と移動します。これには私も色々と助けられましたからね。小さい頃に魔獣を倒せず、何度この魔術を使って逃げた事か。
「この転移の欠点は1度行った場所にしか使えない事ですね。後、距離や人数が増えると魔力の使用量が増える事です」
「それでも、あちらこちらに移動出来るのは便利ですねぇ〜」
「ええ、私も何度も使っています。その他にもあるのですが、一応これも見せておきましょう。断絶」
私が魔術を発動すると、近くにあった花瓶の上半分が床に落ちました。パリン! と、音がすると、シリカ様はヒィッ!? と、悲鳴を上げてしまいました。おっと、これは失礼しましたね。
「……どの様にやったのでしょうか?」
「簡単に言いますが、花瓶が置かれている空間を魔術で裂いたのです。見えない剣で切ったと思って下さい。これが空間魔術ですね。それではシリカ様には早速実践してもらいましょうか」
訓練の時のシルエット先生は厳しいですよ?
「構いません! お姉様に教えて頂けるものなら何でも覚えます!」
そう言って、胸の前で両手を握り拳を作るシリカ様。やっぱり、お姉様は定着なのですね。ですが
「それでは始めますが、その前に魔術の講義の間は私の事はお姉様では無く、シルエット先生とお呼びください」
「はい、わかりました、シルエット先生!」
元気に私の名前を呼んでくださるシリカ様。とても可愛いです。本当に私の1つ下なのかと思ってしまうほどの愛らしさです。このまま見ておきたい思いもありますが、今の私はシルエット先生。しっかりと教えなければ。
「それでは、始めましょう。早速ですがご自身の手のひらに魔力を流してみてください」
「は、はい」
シリカ様は目を閉じて手のひらを集中しています。私の目で見ても手のひらに魔力が集まって行くのがわかります。魔力が無いわけでは無いのですね。
「魔力はしっかりと流れているようですね。それではシリカ様は、ご自身の適性が何かご存知ですか?」
「はい。私の適性は風と火と教えて頂きました」
確かにシリカ様の適性には風と火がありますね。ただ、それだけでは無いのですが。多分、シリカ様が魔術を発動出来ない原因がこれなのでしょう。
「その属性の確認は何でやりましたか?」
「ええっと、水晶ですね。手をかざささて魔力を流すと自分の適性の色に変わるというものでした」
やはり魔水晶でしたか。私も実物を見た事はありませんが、お母様から話を聞いた事があります。たしか、確か、魔力を流したら適性のある魔力を表す色が浮かび上がるはずです。火なら赤、水なら青といった風に。
ただ、魔水晶には欠点があって、火、水、風、土、光、闇の6属性しか色で表せなかったはずです。それに、適性といっても、ほんの少しでもあれば、表示される様ですし。
この王宮にいる魔術師は気が付かなかったのでしょうかね。彼女の中に眠る才能を。
「シリカ様。シリカ様が魔術師使えない理由がわかりましたよ」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ、まず魔術が発動出来ない理由なのですが、それは単に適性が低いからです」
「えっ? ですが水晶ではそう現れたのですが……」
私の言葉に首を傾げるシリカ様。講義を見ていたセシルさんとセーラも同じ様に首を傾げます。なので、魔水晶の事をお話しすると、皆様驚いた表情を浮かべてくださいます。ふふっ、何だか楽しくなって来ました。
「という事はシリカ様は唯一ある魔術の適性が低いって事でしょうか?」
セシルさんの言葉に悲しげに俯いてしまうシリカ様。その言い方は正しくありませんね。私の思っている事と反対の意味になってしまいます。
「そういう事ではありません。私が言いたいのは、もう1つの魔術の適性が高過ぎて、火と風の魔術の割合が低いのです」
「……という事はシリカ様には他にも適性の魔術があるのですか?」
「ええ。シリカ様が他に使える魔術はこれです」
私が手のひらを前に出すと、皆さんが覗き込む様に見て来ます。その手のひらに私は以前に取っていた月光花の残りを出します。
それを見ていたシリカ様とセーラは首を傾げていましたが、セシルさんは私が何をしたかわかった様です。
「なるほど、シリカ様には空間魔術の適性がおありになるのですね」
「ええ、それもかなりの適性です」
私とセシルさんが話を進めていく中、当人のシリカ様はまだピンとこない様子。そんなシリカ様も可愛いですね。
「まず空間魔術について説明しましょう。空間魔術はその名の通り空間に干渉する魔術です。これを扱える者はかなり珍しく、どの国でも重宝されていると言われています。それでは早速実技です。先ほど見せたのが収納。異空間に物を保存することが出来ます」
私はそう言いながら、先ほど出した月光花を仕舞ったり出したりします。
「異空間の大きさは魔力に比例して大きくなります。亜空間の機能もです。例えば私の亜空間であれば、この城ぐらいまでは物は入るでしょうし、物が劣化する事はありません。ただ、収納にも欠点があって、当然本人しか出し入れする事が出来ず、使用者が死ねば、亜空間に仕舞っていたものがその場に全て現れます」
「あっ! その話聞いた方があります! たしか、家ほどしまう事が出来る魔術師がお亡くなりになった時に、その場にいた人たちは、魔術師が亜空間に閉まっていた物の下敷きになってお亡くなりになったと」
私もたまたま森で亡くなられた方が持っていた新聞に書いてあったのを見た事がありますね。しかもその亡くなられた魔術師が仕舞っていたものがまた硬い金属類ばかりで余計に被害が出たともありましたね。
「それから、これは誰もが知っている転移」
私は部屋の中を転々と移動します。これには私も色々と助けられましたからね。小さい頃に魔獣を倒せず、何度この魔術を使って逃げた事か。
「この転移の欠点は1度行った場所にしか使えない事ですね。後、距離や人数が増えると魔力の使用量が増える事です」
「それでも、あちらこちらに移動出来るのは便利ですねぇ〜」
「ええ、私も何度も使っています。その他にもあるのですが、一応これも見せておきましょう。断絶」
私が魔術を発動すると、近くにあった花瓶の上半分が床に落ちました。パリン! と、音がすると、シリカ様はヒィッ!? と、悲鳴を上げてしまいました。おっと、これは失礼しましたね。
「……どの様にやったのでしょうか?」
「簡単に言いますが、花瓶が置かれている空間を魔術で裂いたのです。見えない剣で切ったと思って下さい。これが空間魔術ですね。それではシリカ様には早速実践してもらいましょうか」
訓練の時のシルエット先生は厳しいですよ?
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