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世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜

やま

11.立ち位置

「……なるほど、そういう事ですか」


「はい。偶然ですが私とリカルド様は出会いました」


 私が案内された客室で、向かいにはレインズ将軍が座り紅茶を飲みながら頷いています。何故レインズ将軍とお話をしているかと言いますと、私とリカルド様がどういう経緯で出会ったのか気になったそうです。


「リカルド様の命の恩人なのに疑ってすまなかった。先ほど初めて会った時に、あなたから底知れぬ力を感じたもので、警戒していたのだ」


「いえ、構いませんよ。私も森で生活をしていたせいで、力を抑えるのが苦手でして。今は大丈夫ですか?」


「はい、今は僅かな魔力しか感じません。しかし、あの魔女の森に生まれてからずっと過ごしていたなんて。シルエット殿は素晴らしい実力をお持ちなのですね」


「私など母に比べればまだまだですよ。もしお母様が生きていたら手も足も出なかったでしょう」


 誤解が解けた後もそんな風にレインズ将軍とお話をしていましたら、扉が開かれました。入って来たのはリカルド様です。どうやら謁見は終わって戻って来たようですね。


「シルエット殿、すまなかったな、待たせてしまって。レインズもありがとう」


「いえ、私は参考になる話ばかり聞けたので。それではシルエット殿、私はここで失礼致します」


「はい、話し相手になってくださりありがとうございました」


 手を上げながら部屋を出て行くレインズ将軍に私は頭を下げます。この国の事についてなど色々と教えて頂けたので有意義な時間でした。


 私がにこにこ顔で顔を上げると、何故かむすっとしたリカルド様がいました。どうされたのでしょうか? ほらにこにこに、にこにこに、ですよ? ……駄目ですね。直接聞きますか。


「どうされたのですか、リカルド様? そんな表情をして?」


「……気にしないでくれ。それよりも、この王宮内でのシルエット殿の立ち位置が決まったよ」


「私の立ち位置……ですか?」


 私の繰り返す言葉にリカルド様は頷きます。どういう事でしょうかね?


「シルエット殿はこの王宮内では、私の命を救ってくれた恩人としてと、シリカの魔術の講師として置かれる事になった。シリカは魔術の才能があるのだが、何故か魔術が発動しなくてな。宮廷魔術師たちからは諦められているのだ。なので、シルエット殿に見てもらいたいのだ」


「なるほどですね、わかりました。謹んでお受けいたします」


「本当はな……いや、何でもない。それから、君付きの侍女を連れて来た。入ってくれ」


 リカルド様の言葉の後に扉が開きます。そして小さい影が部屋へと入って来て……ん?


「しっ!」


 黒い影から手が伸びて来ました。なかなか素早いですね。しかし、森の魔獣に比べたらゆっくりですので、私はその手を優しく掴み、痛くないように捻ります。


 黒い影は入って来た勢いのまま宙を舞ってそのままベッドへと飛んで生きました。ベッドに頭から突っ込んで「ふへぇん!?」と変な声が聞こえて来ます。


「な、何をしている、セーラ!」


 リカルド様は慌ててベッドの方へ行き、私に突撃して来た方の首根っこを掴んで連れて来ました。リカルド様が連れて来たのは、身長は140cmほどで赤い髪の少女でした。あれ? どこかで見た事があるような……


「ふにゃ〜……はっ! わ、私は、ふぎゃん!?」


「いきなりシルエット殿に何をしているお前は!」


「リ、リカルド様、あはは〜、少し好奇心と言いますか……あは、あはは〜」


 ごつん! と大きな音がします。うわぁ〜、痛そうですね、リカルド様が侍女さんに放ったげんこつは。リカルド様は蹲る侍女さんを見てため息を吐きます。


「すまないシルエット殿。こんな奴なんだが、侍女としては優秀なんだ。さっきシリカの部屋で出会ったと思うが、彼女はセシルの妹でセーラと言う。彼女をシルエット殿に付けようと思ったのだが……やめておくか?」


 と、尋ねてきますが、うるうるとした目で私を見てくるセーラさん。


「別に私に害が無かったので構いませんよ。仲良くしましょうね、セーラさん」


 私が軽く殺気を混ぜた魔力を放ちながら微笑むと、セーラさんもわかったのでしょう。冷や汗をかきながらコクコクと頷いています。


「そうか、とんだじゃじゃ馬だが悪い奴じゃない。よろしく頼むよ」


 リカルド様はそう言いながら微笑み部屋から出て行きました。部屋から出て行くのを見送った後、セーラさんが礼をしてきます。


「シルエット様、リカルド様より紹介にあづかりました、セーラと申します。先ほどは失礼しました。強い人を見るとつい……」


「構いませんよ。よろしくお願いしますね。ただ……」


 私はセーラさんの前まで立ち、微笑みながら


「次は手加減が出来ないかもしれませんので」


 と、同じように殺気を放ちます。セーラさんはこくこくと震えながら頷いてくれました。ふふ、仲良くしたいですね。

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