世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜

やま

10.謁見

「う……うぅっ……こ、こは……?」


「シリカ! 目を覚ましたか!」


 シリカ様の呪いを解いて10分ほど。体力回復の魔術など、色々と回復系の魔術をかけたおかげか、シリカ様が目を覚ましました。


 シリカ様は、首を動かして周りを見ます。まだ思考が追いついていないのでしょう。ええっと、シリカ様の年齢は、19歳のリカルド様の4つ下と聞いていましたので、15歳のはずです。私の1つ下ですか……勝ちました!


 私の小さい部分を手で押さえながら、密かにガッツポーズをしていると、ようやく焦点が定まってきたのかリカルド様の方を見るシリカ様。


 体を動かすシリカ様を見たリカルド様は、感極まったのか、シリカ様を抱き締めます。


 シリカ様は「痛いです、お兄様」と言いますが、リカルド様は聞く耳を持たずに強く抱き締めます。これが兄妹愛というものですか。わたしがお母様の事を思って泣いたのとは少し違うのでしょうが、家族愛は家族愛です。良いものです。


 それから暫くシリカ様を抱き締めていましたが、シリカ様はまだ万全ではありません。直ぐに眠ってしまいました。このまま私たちがここにいても出来ることはありません。後はシリカ様の体力が戻るのを待つだけですから。


 シリカ様の事はセシル様に任せて、私たちは部屋を出てきました。


「ふぅ、本当にありがとう、シルエット殿。シルエット殿がいなかったらシリカは助からなかっただろう」


「いえ、これが呪いだったからこそ私は助ける事が出来たのです。あれが不治の病などでしたら、私の魔術でも月光花でも助ける事が出来なかったでしょう」


 実際に月光花で作った薬を飲んでいたお母様も病に倒れてしまいました。そう考えたら本当にシリカ様は運が良かったと思います。


「私はこのまま父上に挨拶をしてくる。レインズ、シルエット殿を客室に案内してやってくれ」


「わかりました」


 リカルド様はそれだけ言うと行ってしまいました。父上って事は、この国の国王陛下なのでしょう。


 国王陛下の下に向かうリカルド様の後ろ姿を眺めていたら


「それではシルエット殿、お部屋に案内致します」


 と、レインズ将軍が言ってきましたので、私は頷きます。黙ってレインズ将軍の後ろをついて行きます。しかし広いですねぇ〜。


 廊下もクネクネとしていて道に迷いそうですね。飾られている物も高そうですし。そんな廊下を眺めていたら


「シルエット殿、不躾な質問をしてもよろしいですか?」


 と、レインズ将軍が尋ねてきました。私は首を傾けますが頷きます。何を聞かれるのでしょうか? ……ハッ! も、もしかしてわ、私のスリーサイズとか? うぅっ、さ、流石にスリーサイズを聞かれるのは困りますね。


 何を聞かれるのかわからずに身構えていると


「シルエット殿、あなたは一体何者なのですか?」


 と、真顔で聞かれました……ええっと、田舎者ですが?


 ◇◇◇


「よく帰って来た、リカルドよ」


「はっ、ご心配をおかけいたしました、父上」


 私は、玉座に座る父上、第26代国王ゼルテア・セル・デストライト。齢40程になるこの国の王だ。そして父上の1番近くには、この国の第1王子で私の腹違いの兄になるウィルカス・セル・デストライトが、忌々しげに私を見ていた。


 この表情からして、魔女の森へと刺客を送ってきたのは、十中八九兄上なのだろう。王位継承を確実に自分のものにするために。


 この国の王位は基本は正室の子供が王位を継ぐようになっている。それに習えば第1夫人であった母上の子である私が、王太子になり王位を継ぐのだが。


 ただ、私の母上は既に亡くなり、正室にはウィルカス兄上の母上、メーテル夫人がなっている。なので、今の正室の子供と考えるとウィルカス兄上が当てはまるのだ。


 その事で、今は貴族の意見が割れている。本来の正妻の息子であるわたしに王位を継がせるか、現在の正妻の息子であるウィルカス兄上に王位を継がせるか、と。


 ただ、分かれていると言っても、勢力的には7:3ほどで私の方が負けている。その理由の1つが兄上の隣に立つ男、この国の侯爵であり、メーテル夫人の兄上、シュナイデル・カタストロ侯爵がいるからだ。


 シュナイデル侯爵は、貴族の中で1番の勢力や資金を持ち、父上でも強く言う事が出来ない程。その様な人物が、兄上の後ろ盾にいるのだ。


「それで、シリカはどうだ? 医師でさえ匙を投げた事だ。万が一駄目だったしても落ち込む事は無い。国を挙げて助けられる者を探すからの」


「いえ、それには及びません、父上。シリカの病は治りましたから」


 私の言葉に騒つく貴族たち。喜んでいる者もいれば、悔しそうにしている者もいる。その者は当然兄上だ。やはり、あの呪いは兄上の部下の誰かか、金で雇ったのだろう。


 ……今すぐにでも殺してやりたいが我慢だ。だけど、そんな非道な事をする輩にこの国を継がせない。

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