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世間知らずの魔女 〜私、やり過ぎましたか?〜

やま

森で拾ったのは

「ふぅ……こんなものでしょうか」


 私はカゴの中一杯になっている山菜を見ます。この森でしか取れない山菜たち。あまりこの森から出られない私の大切な食料です。


 私の名前は、シルエット。生まれてこの方、この森で生活しています。理由はわかりません。既に死界へと旅立ったお母様から、何があってもこの森から出てはいけないと言われていたので。まだ破った事がありません。


 別に、この森から出なくても私は楽しく過ごしていますので。森の動物の友達たち。偶に襲ってくる魔獣たちには困りますが、退屈はしません。


 時折森に迷い込んで死んでしまう人たちから拝借した本や日記から、この森は魔女の森と呼ばれているそうです。この森がある国『デストライト王国』の西側に位置する未開の地だそうです。全く興味はありませんが。


「さて、帰りますか」


 数日分の食料は手に入りました。まだ、家には魔獣のお肉も残っていますし、切り上げましょうか。そう思い家に向かおうとしたところ、ガサガサと音がします。


 音のする方を見ると、傷だらけの男の人が現れました。うわぁ〜、生きている男の人は初めて見ました! 年は私とあまり変わらないでしょう。金髪碧眼、ここら辺でよく落ちている死体に比べると少し細身ですが、体の中から魔力が漏れています。


「……ぐっ」


 あっ! 男の人は力尽きたのかその場に崩れ落ちます。どどど、どうしましょう!? 死体の相手はした事があるのですが、生きている人間を相手するのはお母様以来です。


 ととと、取り敢えず生きているか確認しましょう。生きていれば身包み剥ぎ取って森に捨てて、死んでいれば身包み剥ぎ取って森に捨てて……あれ? 同じような気もしますが……取り敢えず確認です!


「あ、あの〜、生きていますか〜」


 私は男性の側まで行き、行きているかどうか確認するために、側に落ちていた木の枝で突きます。つんつくつんつくと。すると


「……ううっ……」


 どうやら、生きてはいるようです。そして私を見て


「……女神だ」


 と、一言呟いてから、再び気を失ってしまいました。うーん、どうしましょうか。このまま先ほど考えた通り身包みを剥ぎ取って森は捨てても良いのですが、初めて見た生きた男の人です。私は父親も見た事がありませんからね。


 ……良し、助けて見ましょう。少し興味が湧いてきました。私は風の魔術で男の人の体を浮かせます。これで家まで運びます。


 家へ入ったら私のベッドに男の人を寝かせましょう。それから傷を治さないと。服を脱がせて丸裸にします。男の人の裸は死体で見慣れています。


 それから、回復魔術を発動。これで傷だらけの体は綺麗になりましたね。後はこの人が目を覚ますのを待つだけです。


 ◇◇◇


「……ここは?」


「ひゃぁん!」


 びびび、びっくりしたぁ〜。普段は有り得ない私以外の声に、想像以上に驚いちゃいました。振り返るとベッドの上で体を起こそうとする男の人が。


「目が覚めましたか?」


 私が尋ねると、男の人は私に気が付いて見てきます。ただ、ぼーっと見たまま固まってしまいました。どうされたのでしょうか?


「あの〜」


「っ! も、申し訳ない! つい見惚れてしまって!」


「はぁ、それなら良いのですが」


 何か病気なのでしょうか? 顔も心なしか赤くなっていますし。この森は瘴気も流れていますからね。慣れていない人だと体調を壊してしまうかも知れませんね。今日のご飯には瘴気を中和する薬草も入れておきましょう。


「ええっと……あなたが私を助けてくれたのか?」


 今日の献立を考えていたら、男の人が話しかけてきます。その言葉に私が頷くと、男の人は頭を下げてきた。えええ? な、何?


「あなたのおかげで私の命は救われた。本当にありがとう」


 あ、お礼を言うために頭を下げてきたのですね。なるほど、そう言う風習があるとは本では見た事がありますが、実際に見るのは初めてです。ええっと、確かこういう時は


「気にしないでください。偶々助ける事が出来ただけですので」


 ここでにこり。確か本ではこう書いていましたからね。すると、男の人は先ほど以上に顔を赤くします。やっぱり体調が悪いのでしょう。ここは早く休ませてあげましょう。


「取り敢えず休んでください。体の傷は治しましたが、体内の魔力は乱れて体調は悪いでしょう。暫くは安静です」


 私は風の魔術で男の人を包み込み寝かせます。男の人は驚き目を見開いています。どうしたのでしょうか?


「あなた、その滑らかな魔術は一体……」


 良くわかりませんが、魔術に驚いているようです。お母様直伝の魔術が褒められるのは嬉しいものですね。さてと、夜ご飯でも作りましょうか!


 ーーーこの人との出会いが、私の運命を変えるとは、この時は思っても見ませんでしたねーーー

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