世界に復讐を誓った少年
111.ダンジョン暴走
「おかあさん〜、今日のご飯はなに〜?」
「う〜ん、なにしようかしらね? ティナは何が食べたい?」
「ええっとね、ええっと……おかあさんのご飯全部好き!」
「ふふっ、それは嬉しいけど、何が食べたいか教えてくれたら助かるなぁ?」
「うーんと……あれ? おかあさん、何か揺れてるよ?」
「うん? あら、そうね。地震かしら? でも、そこまで大きな揺れじゃ無いから大丈夫ね。早くお家に帰りましょうか」
「はーい!」
◇◇◇
「何だ、この揺れは?」
ギルド長室で書類を見ていると、突然揺れ始めたギルドの建物。そこまで大きな揺れじゃねえが、グラグラと長い事続く。こんなの、今までなかったのに。
俺は立ち上がって外を見ようとした時、俺の部屋の扉が叩かれる。返事をすると、受付嬢が部屋へと入って来た。かなり慌てた様子だがどうした?
「はぁ……はぁ、ギ、ギルド……マス……ター……」
「おい、落ち着け。何があったんだ?」
俺がそう言うと、何度か深呼吸をして自分を落ち着かせる受付嬢。しかし、顔は真っ青は変わらなかった。
「先程、冒険者たちと共にダンジョンの調査に向かっていたレグルたち3名が戻って来ました。……ただ、戻って来たのは3名のみ、他の冒険者は全滅したそうです。そして、先ほどの揺れが……魔物が溢れてくると」
受付嬢の言葉を聞いた瞬間、俺は現役時代に使っていた斧を担いで部屋を飛び出す。1階には疲れ果てて座り込むレグルたちと、そいつらを囲む冒険者たちで一杯だった。その中には副ギルドマスターであるバーレンもいた。
「バーレン、話は聞いたか?」
「はい。先ほど、町長の元に職員を向かわせました。緊急時の鐘も今から鳴らす予定です」
「わかった。E以下の冒険者たちは、住民の避難をしろ! D以上の冒険者は今から俺と一緒にダンジョンへと向かう! バーレン、指示を任せるぞ!」
俺の言葉に一気にバタバタと動き出す、野郎ども。俺もギルドを出てダンジョンを目指す。その頃、緊急事態を鳴らす鐘が街の中に鳴り響く。
その鐘に戸惑う住民たちだが、次第に鐘の意味を理解したのか慌だたしく動き始める。その人混みを掻き分けながらダンジョンへと向かう。
ダンジョンの入り口に辿り着くと、既に戦闘が始まっていた。まだ、上層のゾンビやスケルトンばかりだが、数が多い。既に100体近くは出て来てやがる。
「状況はどうなっている?」
「ギルドマスター!! 状況は倒しても倒しても溢れて来ますね。ついさっき現れ始めたばかりだっていうのに、この数です。それに、下の方にいた奴から聞いたんですが……スケルトンドラゴンがいるらしいんです」
ちっ、そんな化け物までいるのかよ。近くの町や王都に応援は頼んではいるが……間に合うだろうか? ……ギルドマスターの俺が弱音を吐いてどうする。そう思って、冒険者たちに発破をかけようとしたその時、今までの比にならないほどの大きな揺れが起きた。
そして、地面が隆起して飛び出して来たのは、真っ黒に鎧に身を纏った人型の化け物だった。
それが、20体近く地面から現れた。初めて見る魔物に固まる俺たち。くそっ、こんな化け物まで現れるのかよ! 首の無い鎧騎士、デュラハンまで!
しかし、文句を言う暇も無かった。気が付けばデュラハンたちは、剣を抜き迫って来ていたのだ。
俺らが声を出す前よりも速く動き出したデュラハンに、俺たちは押され始めるのだった。
◇◇◇
「おー、暴れるねー。僕とミレーヌの共同で作った特別型のデュラハンだから、動きも普通のに比べて速いし、剣筋も鋭い。それに、なんと言ってもアンデッドの弱点である光魔法をくらわないのは良いよね」
「ふふっ、私とハルト様の愛の結晶ですからね! そこいらの冒険者には負けませんよっ!」
愛の結晶ってそんな大げさな。でも、嬉しそうだからまあいいか。
しかし、僕たちが作ったデュラハン、セイクリッドデュラハンが出て来てから一気に押し始めたね。思っていたよりもここにいる冒険者は弱いね。せっかくスケルトンランドドラゴンにデュラハン。デスサイズまで用意してあげたのに。
「……まぁ、いっか。どうせ、全員殺すし。それにそろそろレグルが目的の場所に行っているはずだしね」
「そうですね。そろそろ話していた時間ですものね。行きますか?」
「うん。行こうか」
僕が頷くと、僕の左腕に抱き着くミレーヌ。そして、地面に魔結晶を叩きつけると、すぐに視界が変わった。目の前には顔を俯かせるレグルと、2組の夫婦が立っていた。上手い事呼んだみたいだね。
その2組の夫婦は突然現れた僕とミレーヌを見て、あんぐりと口を開けて驚いていた。しばらく見ないうちにふっくらとしているね。あの2人のおかげで良い物でも食べているのだろう。
「なっ!? だ、誰だお前たち!? それに、レグル! 俺たちをここに呼んだのは何故だ!? 避難しないといけないはずだぞ!」
「そうよ! 速く避難しないといけないのに、こんな所に連れて来て!」
レグルに対して喚く夫婦と、怪しい僕たちを見てくる夫婦。くくっ、やっぱりこの町に戻って来たらこの2組の夫婦には復讐しないとね! ステラとリーグの両親には!
「う〜ん、なにしようかしらね? ティナは何が食べたい?」
「ええっとね、ええっと……おかあさんのご飯全部好き!」
「ふふっ、それは嬉しいけど、何が食べたいか教えてくれたら助かるなぁ?」
「うーんと……あれ? おかあさん、何か揺れてるよ?」
「うん? あら、そうね。地震かしら? でも、そこまで大きな揺れじゃ無いから大丈夫ね。早くお家に帰りましょうか」
「はーい!」
◇◇◇
「何だ、この揺れは?」
ギルド長室で書類を見ていると、突然揺れ始めたギルドの建物。そこまで大きな揺れじゃねえが、グラグラと長い事続く。こんなの、今までなかったのに。
俺は立ち上がって外を見ようとした時、俺の部屋の扉が叩かれる。返事をすると、受付嬢が部屋へと入って来た。かなり慌てた様子だがどうした?
「はぁ……はぁ、ギ、ギルド……マス……ター……」
「おい、落ち着け。何があったんだ?」
俺がそう言うと、何度か深呼吸をして自分を落ち着かせる受付嬢。しかし、顔は真っ青は変わらなかった。
「先程、冒険者たちと共にダンジョンの調査に向かっていたレグルたち3名が戻って来ました。……ただ、戻って来たのは3名のみ、他の冒険者は全滅したそうです。そして、先ほどの揺れが……魔物が溢れてくると」
受付嬢の言葉を聞いた瞬間、俺は現役時代に使っていた斧を担いで部屋を飛び出す。1階には疲れ果てて座り込むレグルたちと、そいつらを囲む冒険者たちで一杯だった。その中には副ギルドマスターであるバーレンもいた。
「バーレン、話は聞いたか?」
「はい。先ほど、町長の元に職員を向かわせました。緊急時の鐘も今から鳴らす予定です」
「わかった。E以下の冒険者たちは、住民の避難をしろ! D以上の冒険者は今から俺と一緒にダンジョンへと向かう! バーレン、指示を任せるぞ!」
俺の言葉に一気にバタバタと動き出す、野郎ども。俺もギルドを出てダンジョンを目指す。その頃、緊急事態を鳴らす鐘が街の中に鳴り響く。
その鐘に戸惑う住民たちだが、次第に鐘の意味を理解したのか慌だたしく動き始める。その人混みを掻き分けながらダンジョンへと向かう。
ダンジョンの入り口に辿り着くと、既に戦闘が始まっていた。まだ、上層のゾンビやスケルトンばかりだが、数が多い。既に100体近くは出て来てやがる。
「状況はどうなっている?」
「ギルドマスター!! 状況は倒しても倒しても溢れて来ますね。ついさっき現れ始めたばかりだっていうのに、この数です。それに、下の方にいた奴から聞いたんですが……スケルトンドラゴンがいるらしいんです」
ちっ、そんな化け物までいるのかよ。近くの町や王都に応援は頼んではいるが……間に合うだろうか? ……ギルドマスターの俺が弱音を吐いてどうする。そう思って、冒険者たちに発破をかけようとしたその時、今までの比にならないほどの大きな揺れが起きた。
そして、地面が隆起して飛び出して来たのは、真っ黒に鎧に身を纏った人型の化け物だった。
それが、20体近く地面から現れた。初めて見る魔物に固まる俺たち。くそっ、こんな化け物まで現れるのかよ! 首の無い鎧騎士、デュラハンまで!
しかし、文句を言う暇も無かった。気が付けばデュラハンたちは、剣を抜き迫って来ていたのだ。
俺らが声を出す前よりも速く動き出したデュラハンに、俺たちは押され始めるのだった。
◇◇◇
「おー、暴れるねー。僕とミレーヌの共同で作った特別型のデュラハンだから、動きも普通のに比べて速いし、剣筋も鋭い。それに、なんと言ってもアンデッドの弱点である光魔法をくらわないのは良いよね」
「ふふっ、私とハルト様の愛の結晶ですからね! そこいらの冒険者には負けませんよっ!」
愛の結晶ってそんな大げさな。でも、嬉しそうだからまあいいか。
しかし、僕たちが作ったデュラハン、セイクリッドデュラハンが出て来てから一気に押し始めたね。思っていたよりもここにいる冒険者は弱いね。せっかくスケルトンランドドラゴンにデュラハン。デスサイズまで用意してあげたのに。
「……まぁ、いっか。どうせ、全員殺すし。それにそろそろレグルが目的の場所に行っているはずだしね」
「そうですね。そろそろ話していた時間ですものね。行きますか?」
「うん。行こうか」
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その2組の夫婦は突然現れた僕とミレーヌを見て、あんぐりと口を開けて驚いていた。しばらく見ないうちにふっくらとしているね。あの2人のおかげで良い物でも食べているのだろう。
「なっ!? だ、誰だお前たち!? それに、レグル! 俺たちをここに呼んだのは何故だ!? 避難しないといけないはずだぞ!」
「そうよ! 速く避難しないといけないのに、こんな所に連れて来て!」
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