世界に復讐を誓った少年
107.とある冒険者の話 その2(4)
「悪りぃが、ギルドマスターと合わせてくれ」
「ドーリさん。ドーリさんがギルドマスターに面会なんて珍しいですね。何かあったのですか?」
「ああ、少しな」
「わかりました、少しお待ちください」
俺たちが戦っていた時に下から登って来たパーティーのリーダー、ドーリさんが、受付嬢と話を付ける。時間的には既に夜になる時間帯で、ギルドの隣に併設されている酒場は、一仕事を終えた冒険者たちで賑わっていた。
その酒場をレギンスが羨ましそうに見ているが、それは後でだ。まずはダンジョンであった事を話さなければならないからな。
受付嬢がドーリさんの話を聞いてギルドマスターの元へ行って少し、受付嬢と共に厳ついおっさんと若い男が出て来た。
「よぅ、ドーリ。お前が俺に訪ねてくるなんて珍しいじゃねえか。何の用だ?」
「悪りぃな、おやっさん。ちょっと問題があってな。話せるか?」
「……かっ、面倒な話じゃなければいいがな。こっちに来い」
ギルドマスターの言葉を聞いてドーリさんが後に続く。俺たちはどうしたもんかと待っていたら、リーダーだけ来いと言われたので、俺が参加する。
ギルド長室の中にはギルドマスターと若い男にドーリさん。後受付嬢と俺が部屋の中にいる。ギルドマスターは向かいにどっしりと座り、俺とドーリさんが並んで座る。若い男はギルドマスターの後ろに立ち、受付嬢は扉のところで立つ。
「それで何があった?」
「ああ、話してくれ」
ドーリさんは俺へと話を振って来た。それもそうか。当事者は俺だからな。それから、ダンジョンの中であった事をギルドマスターへと話して行く。
初めは普通に話を聞いていたギルドマスターだが、次第に眉間にシワが寄って行く。ギルドマスターもドーリさんが言った事と同じように、下の階層で出て来るクリムゾンリーパーがまだ上層の3階で現れるなんてありえないと。
「下の奴らが上に行く必要なんてねえ。下の方が瘴気が濃いからな。上の奴らが下るならともかく、下の奴らが登るなんて……まさか」
そこで、ギルドマスターは何かに気が付いたように声を上げる。俺は分からなかったが、少ししてからドーリさんも気が付いたようだ。
「これは一回冒険者を集めてダンジョンの中を探索しなきゃいけねえな。くそ、間引きはしていたはずだが」
「ああ、魔物どもを殺して瘴気が溜まらないようにしたんだがな。ちっ、面倒な事になって来たぜ」
「……ギルドマスター、一体何が?」
2人の話について行けなくなった受付嬢はギルドマスターへと尋ねる。俺も聞こうとしていたところだから丁度良かった。
「ここ最近は起きてねえから若え奴らは知らねえか。ダンジョンにも許容量ってのがあるんだよ。魔物を入れられる限度ってのが。それを一定以上増やさないようにしているのが、俺たち冒険者だ」
「その許容量を超えていると?」
「まだわからねえがな。だが、もし許容量を超えていたとしたらどうなると思う? コップに水を入れ続けた結果を想像してくれたらいい」
「それは勿論コップから水が溢れ出て……まさか」
「ああ、そのまさかだ。魔物たちが収まり切らなくなったダンジョンから溢れ出て来るんだよ。そうならないために、ダンジョンの近くにはギルドを作り、冒険者に潜って魔物を間引いて貰う。そして、手に入れた素材や魔石を買い取って冒険者に旨味を出させる。それで回っていたのだが……今回はそれを上回ったって事だ」
「まだ確定じゃ無いがな。おやっさん、どれぐらいの冒険者を集められる? それで一回ダンジョンを見て回る」
「お前らレベルだと3組ってところだな。今この町にいるのは。他から呼ぼうにも、帝国の話のせいでそっちに行ってやがるから呼べねえしな」
「3組か。俺らを合わせて5組。まあ、見回るだけなら何とかなるか」
いつの間にか俺たちのパーティーまで含まれているが……こんな事になれば文句は言えないか。しかし、運の悪い時に来てしまった。
それから、話し合いはダンジョンでの調査の話になり、ギルドから緊急依頼として俺たちのパーティーとドーリさんのパーティー、他の3組のパーティーに依頼された。
必要な物などは全部ギルドから出してくれると言うので、こちらは調査の日になった明後日までそれ以外の準備をするだけでいいだろう。
ギルド長室を後にした俺たちはそれぞれのパーティーに戻って事情を説明する。ちなみにこれはパーティー内以外では他言無用となっている。まだ確定では無い情報で、周りを惑わせられないからだ。
ただ、町長には話すと言っていたな。いざという時は住民を避難させるために。
「これはまた、えらい事に巻き込まれたであるな」
「でも、仕方ないね。明後日からでしょ?」
「ああ、悪いなみんな。勝手に決めて」
俺の言葉に首を振るみんな。ただ、レギンスだけ、その間がお酒が飲めませんね、と嘆いでいたが。まあ、諦めてくれ。
ダンジョンの調査。杞憂であればいいんだが、そうならない予感が俺の中にはあった。
「ドーリさん。ドーリさんがギルドマスターに面会なんて珍しいですね。何かあったのですか?」
「ああ、少しな」
「わかりました、少しお待ちください」
俺たちが戦っていた時に下から登って来たパーティーのリーダー、ドーリさんが、受付嬢と話を付ける。時間的には既に夜になる時間帯で、ギルドの隣に併設されている酒場は、一仕事を終えた冒険者たちで賑わっていた。
その酒場をレギンスが羨ましそうに見ているが、それは後でだ。まずはダンジョンであった事を話さなければならないからな。
受付嬢がドーリさんの話を聞いてギルドマスターの元へ行って少し、受付嬢と共に厳ついおっさんと若い男が出て来た。
「よぅ、ドーリ。お前が俺に訪ねてくるなんて珍しいじゃねえか。何の用だ?」
「悪りぃな、おやっさん。ちょっと問題があってな。話せるか?」
「……かっ、面倒な話じゃなければいいがな。こっちに来い」
ギルドマスターの言葉を聞いてドーリさんが後に続く。俺たちはどうしたもんかと待っていたら、リーダーだけ来いと言われたので、俺が参加する。
ギルド長室の中にはギルドマスターと若い男にドーリさん。後受付嬢と俺が部屋の中にいる。ギルドマスターは向かいにどっしりと座り、俺とドーリさんが並んで座る。若い男はギルドマスターの後ろに立ち、受付嬢は扉のところで立つ。
「それで何があった?」
「ああ、話してくれ」
ドーリさんは俺へと話を振って来た。それもそうか。当事者は俺だからな。それから、ダンジョンの中であった事をギルドマスターへと話して行く。
初めは普通に話を聞いていたギルドマスターだが、次第に眉間にシワが寄って行く。ギルドマスターもドーリさんが言った事と同じように、下の階層で出て来るクリムゾンリーパーがまだ上層の3階で現れるなんてありえないと。
「下の奴らが上に行く必要なんてねえ。下の方が瘴気が濃いからな。上の奴らが下るならともかく、下の奴らが登るなんて……まさか」
そこで、ギルドマスターは何かに気が付いたように声を上げる。俺は分からなかったが、少ししてからドーリさんも気が付いたようだ。
「これは一回冒険者を集めてダンジョンの中を探索しなきゃいけねえな。くそ、間引きはしていたはずだが」
「ああ、魔物どもを殺して瘴気が溜まらないようにしたんだがな。ちっ、面倒な事になって来たぜ」
「……ギルドマスター、一体何が?」
2人の話について行けなくなった受付嬢はギルドマスターへと尋ねる。俺も聞こうとしていたところだから丁度良かった。
「ここ最近は起きてねえから若え奴らは知らねえか。ダンジョンにも許容量ってのがあるんだよ。魔物を入れられる限度ってのが。それを一定以上増やさないようにしているのが、俺たち冒険者だ」
「その許容量を超えていると?」
「まだわからねえがな。だが、もし許容量を超えていたとしたらどうなると思う? コップに水を入れ続けた結果を想像してくれたらいい」
「それは勿論コップから水が溢れ出て……まさか」
「ああ、そのまさかだ。魔物たちが収まり切らなくなったダンジョンから溢れ出て来るんだよ。そうならないために、ダンジョンの近くにはギルドを作り、冒険者に潜って魔物を間引いて貰う。そして、手に入れた素材や魔石を買い取って冒険者に旨味を出させる。それで回っていたのだが……今回はそれを上回ったって事だ」
「まだ確定じゃ無いがな。おやっさん、どれぐらいの冒険者を集められる? それで一回ダンジョンを見て回る」
「お前らレベルだと3組ってところだな。今この町にいるのは。他から呼ぼうにも、帝国の話のせいでそっちに行ってやがるから呼べねえしな」
「3組か。俺らを合わせて5組。まあ、見回るだけなら何とかなるか」
いつの間にか俺たちのパーティーまで含まれているが……こんな事になれば文句は言えないか。しかし、運の悪い時に来てしまった。
それから、話し合いはダンジョンでの調査の話になり、ギルドから緊急依頼として俺たちのパーティーとドーリさんのパーティー、他の3組のパーティーに依頼された。
必要な物などは全部ギルドから出してくれると言うので、こちらは調査の日になった明後日までそれ以外の準備をするだけでいいだろう。
ギルド長室を後にした俺たちはそれぞれのパーティーに戻って事情を説明する。ちなみにこれはパーティー内以外では他言無用となっている。まだ確定では無い情報で、周りを惑わせられないからだ。
ただ、町長には話すと言っていたな。いざという時は住民を避難させるために。
「これはまた、えらい事に巻き込まれたであるな」
「でも、仕方ないね。明後日からでしょ?」
「ああ、悪いなみんな。勝手に決めて」
俺の言葉に首を振るみんな。ただ、レギンスだけ、その間がお酒が飲めませんね、と嘆いでいたが。まあ、諦めてくれ。
ダンジョンの調査。杞憂であればいいんだが、そうならない予感が俺の中にはあった。
コメント