世界に復讐を誓った少年
87.準備完了
「何とか、国境は超えられたね」
僕は耐えてついてきた人たちに振り返る。いるのは僕、クロノ、ロウ、レルシェンド、マルス、セシラ、セル、クロノに引っ付く銀髪の少女、セシラの側にいる桃髪の女性だ。
レルシェンドは気を失ってロウの背で寝ているけど。どうやらあの竜になる力はかなりの体力を使うらしく、好き放題暴れた後は、直ぐに気を失ってしまった。ロウはその気を失ったレルシェンドを拾って来てくれたってわけだ。
マルスはまるで死んだように地面に横たわっていた。まあ、死なないために頑張っていたため大目に見てあげよう。
現在は、帝国と亜人国の国境を超えて、亜人国にある森の中にいる。もう少ししたら女王からの迎えが来るはずだ。
帝国の方は直ぐには来られないだろう。レルシェンドが大量に殺した帝国兵たちを死霊にして、砦の壁にしているから。あれを突破するには砦を壊すくらいの魔法を放たないとダメだろう。当分時間を稼げるはず。
「あっ、あのっ!!」
そんな事を考えていると、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえて来た。振り返ると、桃色髪の女性が僕を見ている。頰を赤く染めてもじもじとしていた。
「わ、私の名前はエリーゼ・グレンベルグと言います! 前の亜人国と帝国の戦争を使い魔を使って見ていました! そこで、同じ……いや、私なんか足元にも及ばない闇魔法を使うあなたに会って見たかったのです!」
……なるほど。これであのキラキラとした視線にも合点がいった。あの戦争を見られていたのか。それに僕の暗黒魔術の下位にあたる闇魔法ね。これは色々と使えそうだ。
「そうかい。僕の名前はハルト。君の国と敵対する者だ。それで僕に何の用かな?」
ここは少し突き放そうと殺気を飛ばしながら問う。エリーゼはそれだけで体を震わせるけど、何とか歯を食いしばり顔を上げる。
「い、今は私の敵でもあります! ハルト様、どうか私を……私たちを助けてはくれないでしょうか!?」
それからエリーゼが話したのは帝国にいる第1皇子の話と、クロノが連れていた少女、シーシャの話だった。クロノ、その子をそんなに守りたいんだ。
「……何をそんなにニヤニヤと」
「いや、あのクロノが、と思ってさ。それで僕が助けた見返りは何なのかな? まさか、タダで助けてもらおうなんて思っていないよね?」
僕がそう言うと、セシラが今にも矢を放ちそうになるけど、それをセルが止める。エリーゼは意を決したように言葉を発する。
「はい、もちろんです。助けて下さったお礼には私の全てを差し出します!」
「……へぇ、僕にそんな事言っちゃうんだ。もう変えられなくなるけど、本当に良いの?」
「はい。私たちが助かるためです!」
真剣な眼差しで僕を見て来るエリーゼ。それなら遠慮なく。僕はエリーゼに近づき右手で顎を上げ、顔を上げさせる。
僕と視線が合うエリーゼは再び頰を赤く染めるけど、僕はそのまま顔を近づけて、遠慮無しにエリーゼと唇を合わせる。
突然の事に流石に離れようとするエリーゼだけど、僕は彼女を抱き締めて離れないようにする。離れたところでキレたセシラが向かって来ようとしたが、ロウが立って邪魔をしていた。
次第に力が抜けていくエリーゼ。受け入れたのを確認すると魔術を発動する。毎度お馴染みの契約術だ。こうしないと言葉だけなんか信用出来ないからね。
突然舌が熱くなったのだろう、エリーゼは驚き目を見開く。それでも僕は彼女を話さない。
何分その状態だったかはわからないが、僕がエリーゼから顔を離す頃には、エリーゼの目はとろんとしており、僕の唇とエリーゼの唇から透明の橋が渡る。
エリーゼはずっとキスをしていたため呼吸が荒い。その時見えるエリーゼの舌には契約術の紋章が刻まれていた。これは淫紋術と呼ばれて、性奴隷などと契約する際に使われるものだ。
制約を守る限り、契約者の愛情を受けると、様々な能力が上昇する。力や魔力など様々だ。それにそういう事をするために感度も上がる。
ただ、契約者が制約を破ったと判断し、魔力を流すと体中に痛みが走る。最悪の場合は舌が吹き飛ぶ。
「これでエリーゼ、君は僕の配下だ。僕に従う限りは可愛がって上げるし、守って上げるよ」
僕が軽く頰を撫でると「ひゃんっ!」と色っぽい声を出す。そして潤んだ瞳で僕を見て来る。
「ひゃ、ひゃい……ハルトさまぁ……」
僕が優しく抱き締めて上げるだけで、腕の中で震えるエリーゼ。これからは僕無しでは生きられないように調き……躾けて上げるからね。
それから、女王の迎えのワイバーンがやって来てから僕たちは亜人国へと帰った。
帰ってから1ヶ月後に僕たちはエリーゼの名の下で、帝国に手紙を送り付けた。同時にリーシャとエルフィオンも帰って来た。帝国の周辺諸国は上手くいったようだ。タイミングはバッチリだったね。
これで、少なからずエリーゼに協力しようという者は現れるだろうし、周辺諸国も参戦する。さてと、これで一先ずの準備は終えた。
後は一旦メストア王国に戻って僕の持てる力を連れてこないと。ミレーヌやネロたちにも手伝ってもらわないね。これから巨大な帝国を割ろうじゃないか。
その前に、エリーゼをもっと僕無しにはいられないようにしないと。昼は帝国の事で夜はエリーゼの事と大忙しだ。
僕は耐えてついてきた人たちに振り返る。いるのは僕、クロノ、ロウ、レルシェンド、マルス、セシラ、セル、クロノに引っ付く銀髪の少女、セシラの側にいる桃髪の女性だ。
レルシェンドは気を失ってロウの背で寝ているけど。どうやらあの竜になる力はかなりの体力を使うらしく、好き放題暴れた後は、直ぐに気を失ってしまった。ロウはその気を失ったレルシェンドを拾って来てくれたってわけだ。
マルスはまるで死んだように地面に横たわっていた。まあ、死なないために頑張っていたため大目に見てあげよう。
現在は、帝国と亜人国の国境を超えて、亜人国にある森の中にいる。もう少ししたら女王からの迎えが来るはずだ。
帝国の方は直ぐには来られないだろう。レルシェンドが大量に殺した帝国兵たちを死霊にして、砦の壁にしているから。あれを突破するには砦を壊すくらいの魔法を放たないとダメだろう。当分時間を稼げるはず。
「あっ、あのっ!!」
そんな事を考えていると、後ろから僕を呼ぶ声が聞こえて来た。振り返ると、桃色髪の女性が僕を見ている。頰を赤く染めてもじもじとしていた。
「わ、私の名前はエリーゼ・グレンベルグと言います! 前の亜人国と帝国の戦争を使い魔を使って見ていました! そこで、同じ……いや、私なんか足元にも及ばない闇魔法を使うあなたに会って見たかったのです!」
……なるほど。これであのキラキラとした視線にも合点がいった。あの戦争を見られていたのか。それに僕の暗黒魔術の下位にあたる闇魔法ね。これは色々と使えそうだ。
「そうかい。僕の名前はハルト。君の国と敵対する者だ。それで僕に何の用かな?」
ここは少し突き放そうと殺気を飛ばしながら問う。エリーゼはそれだけで体を震わせるけど、何とか歯を食いしばり顔を上げる。
「い、今は私の敵でもあります! ハルト様、どうか私を……私たちを助けてはくれないでしょうか!?」
それからエリーゼが話したのは帝国にいる第1皇子の話と、クロノが連れていた少女、シーシャの話だった。クロノ、その子をそんなに守りたいんだ。
「……何をそんなにニヤニヤと」
「いや、あのクロノが、と思ってさ。それで僕が助けた見返りは何なのかな? まさか、タダで助けてもらおうなんて思っていないよね?」
僕がそう言うと、セシラが今にも矢を放ちそうになるけど、それをセルが止める。エリーゼは意を決したように言葉を発する。
「はい、もちろんです。助けて下さったお礼には私の全てを差し出します!」
「……へぇ、僕にそんな事言っちゃうんだ。もう変えられなくなるけど、本当に良いの?」
「はい。私たちが助かるためです!」
真剣な眼差しで僕を見て来るエリーゼ。それなら遠慮なく。僕はエリーゼに近づき右手で顎を上げ、顔を上げさせる。
僕と視線が合うエリーゼは再び頰を赤く染めるけど、僕はそのまま顔を近づけて、遠慮無しにエリーゼと唇を合わせる。
突然の事に流石に離れようとするエリーゼだけど、僕は彼女を抱き締めて離れないようにする。離れたところでキレたセシラが向かって来ようとしたが、ロウが立って邪魔をしていた。
次第に力が抜けていくエリーゼ。受け入れたのを確認すると魔術を発動する。毎度お馴染みの契約術だ。こうしないと言葉だけなんか信用出来ないからね。
突然舌が熱くなったのだろう、エリーゼは驚き目を見開く。それでも僕は彼女を話さない。
何分その状態だったかはわからないが、僕がエリーゼから顔を離す頃には、エリーゼの目はとろんとしており、僕の唇とエリーゼの唇から透明の橋が渡る。
エリーゼはずっとキスをしていたため呼吸が荒い。その時見えるエリーゼの舌には契約術の紋章が刻まれていた。これは淫紋術と呼ばれて、性奴隷などと契約する際に使われるものだ。
制約を守る限り、契約者の愛情を受けると、様々な能力が上昇する。力や魔力など様々だ。それにそういう事をするために感度も上がる。
ただ、契約者が制約を破ったと判断し、魔力を流すと体中に痛みが走る。最悪の場合は舌が吹き飛ぶ。
「これでエリーゼ、君は僕の配下だ。僕に従う限りは可愛がって上げるし、守って上げるよ」
僕が軽く頰を撫でると「ひゃんっ!」と色っぽい声を出す。そして潤んだ瞳で僕を見て来る。
「ひゃ、ひゃい……ハルトさまぁ……」
僕が優しく抱き締めて上げるだけで、腕の中で震えるエリーゼ。これからは僕無しでは生きられないように調き……躾けて上げるからね。
それから、女王の迎えのワイバーンがやって来てから僕たちは亜人国へと帰った。
帰ってから1ヶ月後に僕たちはエリーゼの名の下で、帝国に手紙を送り付けた。同時にリーシャとエルフィオンも帰って来た。帝国の周辺諸国は上手くいったようだ。タイミングはバッチリだったね。
これで、少なからずエリーゼに協力しようという者は現れるだろうし、周辺諸国も参戦する。さてと、これで一先ずの準備は終えた。
後は一旦メストア王国に戻って僕の持てる力を連れてこないと。ミレーヌやネロたちにも手伝ってもらわないね。これから巨大な帝国を割ろうじゃないか。
その前に、エリーゼをもっと僕無しにはいられないようにしないと。昼は帝国の事で夜はエリーゼの事と大忙しだ。
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コメント
蘆屋紫黒
離さないが話さないなってますよ