世界に復讐を誓った少年
77.一夜明けて
「……す、すみません。勝手に寝てしまって」
「ん? 構わないよ。疲れていただろうし。よく休めた?」
「はい、クロノさんのおかげです。ありがとうございます」
そう言いながら頭を下げてくる銀髪の少女、シルーシャ。前は家名もあったみたいだけど、没落して無くなったと教えてくれたのは昨日の夜。
シルーシャを助けてから僕たちは夜遅くでも対応してくれる宿屋を探した。当然、そんな遅くまでやっている宿屋は治安が悪いし、対応が悪いし、汚かったりと良い事が無いが、文句は言ってられない。
魔法で部屋は綺麗しにして、食事は僕が作った魔道具、中の容量が見た目以上にあるアイテムポーチから料理を取り出して、怪しい奴が近づいて来れば僕が対処すれば良い。僕はレイスだから眠らなくても平気だしね。
「……それは何を使っているのですか?」
僕が手元に集中していると、シルーシャが覗き込んでくる。別に見られて困るものでもないから良いけど。
「これは護身用の魔道具だよ。名前は水撃の魔剣。水魔法が使えるシーシャ用に作ったから、はい」
僕は出来上がった青い魔力を帯びる短剣をシーシャに渡す。シーシャは目を丸くして僕と短剣を交互に見る。どうしたんだろうか?
「えっ? わ、私にですか? そ、そんな勿体無いです! 私は剣なんて使えませんし!」
「大丈夫、別に剣として扱わなくていいから。この短剣にはスプラッシュブレードっていう魔法を入れた魔結晶を使っている。だからこの短剣に魔力を流すだけで、結構な威力の魔法が放てるようになっているんだ。
ただ、威力重視にしているから使えるのは持って3回まで。でも、節約しようなんて思わなくて良いから。せっかく身を守る為のものなのに、節約したせいで傷付いて死んでも意味がないからね。それに、その程度なら短剣があれば幾らでも作れるし。はい、予備ね」
僕は更に同じ短剣を2本シーシャに渡す。シーシャは戸惑いながらも受け取ってくれた。
小声で「1本で金貨数枚の価値があると思うのだけど……」と呟いていた。金貨3枚あれば、質素な家だったら年間の家族4人の生活を賄えるほどだ。片手間で出来た短剣が金貨数枚ねぇ。
「とにかく、出し惜しみしないでね。身が危なくなったら使って良いから」
「はい、ありがとうござ『ぐぅ〜〜〜』あぅ……』
短剣を受け取ったシーシャは突然鳴ったお腹の音に、顔を羞恥に赤く染める。別に仕方の無い事だから気にしなくて良いんだけど。
僕は買っておいたパンをシーシャに手渡す。少し硬くなっているけど、普通に食べられる。シーシャも気にせずに食べていた。
しばらくパンの咀嚼音だけが部屋の中に響いていると、シーシャがぽつりぽつりと自分の身に起きた事を話していく。僕も聞こうと思っていた事だから、作業をやめてシーシャを見る。シーシャの話す内容は、妹を大切に思って来た僕からしたら、許せない内容だった。
「ん? 構わないよ。疲れていただろうし。よく休めた?」
「はい、クロノさんのおかげです。ありがとうございます」
そう言いながら頭を下げてくる銀髪の少女、シルーシャ。前は家名もあったみたいだけど、没落して無くなったと教えてくれたのは昨日の夜。
シルーシャを助けてから僕たちは夜遅くでも対応してくれる宿屋を探した。当然、そんな遅くまでやっている宿屋は治安が悪いし、対応が悪いし、汚かったりと良い事が無いが、文句は言ってられない。
魔法で部屋は綺麗しにして、食事は僕が作った魔道具、中の容量が見た目以上にあるアイテムポーチから料理を取り出して、怪しい奴が近づいて来れば僕が対処すれば良い。僕はレイスだから眠らなくても平気だしね。
「……それは何を使っているのですか?」
僕が手元に集中していると、シルーシャが覗き込んでくる。別に見られて困るものでもないから良いけど。
「これは護身用の魔道具だよ。名前は水撃の魔剣。水魔法が使えるシーシャ用に作ったから、はい」
僕は出来上がった青い魔力を帯びる短剣をシーシャに渡す。シーシャは目を丸くして僕と短剣を交互に見る。どうしたんだろうか?
「えっ? わ、私にですか? そ、そんな勿体無いです! 私は剣なんて使えませんし!」
「大丈夫、別に剣として扱わなくていいから。この短剣にはスプラッシュブレードっていう魔法を入れた魔結晶を使っている。だからこの短剣に魔力を流すだけで、結構な威力の魔法が放てるようになっているんだ。
ただ、威力重視にしているから使えるのは持って3回まで。でも、節約しようなんて思わなくて良いから。せっかく身を守る為のものなのに、節約したせいで傷付いて死んでも意味がないからね。それに、その程度なら短剣があれば幾らでも作れるし。はい、予備ね」
僕は更に同じ短剣を2本シーシャに渡す。シーシャは戸惑いながらも受け取ってくれた。
小声で「1本で金貨数枚の価値があると思うのだけど……」と呟いていた。金貨3枚あれば、質素な家だったら年間の家族4人の生活を賄えるほどだ。片手間で出来た短剣が金貨数枚ねぇ。
「とにかく、出し惜しみしないでね。身が危なくなったら使って良いから」
「はい、ありがとうござ『ぐぅ〜〜〜』あぅ……』
短剣を受け取ったシーシャは突然鳴ったお腹の音に、顔を羞恥に赤く染める。別に仕方の無い事だから気にしなくて良いんだけど。
僕は買っておいたパンをシーシャに手渡す。少し硬くなっているけど、普通に食べられる。シーシャも気にせずに食べていた。
しばらくパンの咀嚼音だけが部屋の中に響いていると、シーシャがぽつりぽつりと自分の身に起きた事を話していく。僕も聞こうと思っていた事だから、作業をやめてシーシャを見る。シーシャの話す内容は、妹を大切に思って来た僕からしたら、許せない内容だった。
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