世界に復讐を誓った少年
60.戦争介入
「……これはひでぇ……うっぷ!」
「……中で吐くなよ、マルス」
少しずつ戦場へ近づく中、さっきまでは黒い点が動いているだけにしか見えなかった地上も、かなり近づいたお陰で色を識別できるくらいにはなった。それと同時に臭ってくる血の匂い。その両方にやられたマルスは今にも吐きそうな顔をしている。
まあ、慣れるまでは仕方ないか。僕は自分の血で慣れてしまったけど。
それにしても、やっぱり予想通りっていうかなんていうか、亜人国の軍の方が押されているね。数は帝国兵が2万ほど。亜人国が4千ぐらい。
亜人国は前衛にドワーフ、後衛にエルフが多いな。ここにくる途中で聞いたけど、やっぱりエルフとドワーフの人口割合が多いからだろう。亜人国の王をエルフがやっているのもそれが理由のようだし。
しかし、帝国も対亜人国戦として考えているようで、魔法の威力を抑える魔道具を使っている。そのせいでエルフの得意な魔法は効果があまり無く、力自慢のドワーフ相手には槍で離れた距離から刺していく。中々エグい光景だ。
「おっ、こっちに気が付いたぞ」
空を飛ぶワイバーンに気が付いた帝国兵たちが次々と魔法を放ってくる。ワイバーンは何とか魔法を避けるが、かなりギリギリだ。それに、物凄く揺れる。
……うざいな。ぐらぐらぐらぐらと揺らしやがって。僕はワイバーンの周りに侵食ノ太陽を4つほど発動。飛来してくる魔法に反応して動く。
よし、ワイバーンも安定して飛び始めた。飛び方が安定したワイバーンはそのまま亜人国軍の後方へ飛んで行く。僕はその途中でクロノが作った魔道具を窓から地上に投げる。前にメストア王国を攻める時使った転移の魔道具だ。
突然空から石が降ってきた事に驚いた帝国兵も何人かいたが、声を発する前に死ぬ。転移してきたオプスキラーに乗り潰されて。
「ォォォォオオオオ!」
数は200体ほど。突然隊列の中に現れた異形の化け物に、近くにいた帝国兵は動きを鈍らせる。その間に巨腕に次々と潰されていく。
「……あ、あれは?」
「僕の配下だから気にしなくて良いよ。帝国兵だけ狙うようにしているから」
突然現れたオプスキラーに驚いているのは帝国兵だけでは無く、初めて見るメルダたちも驚いていた。僕の言葉を聞いてもまだ心配そうな表情を浮かべるけど、そのままワイバーンを進ませた。
「なぁ、マスター! 私も行って良いか? 良いか?」
ワクワクキラキラとさせたリーシャが戦場を指差しながら尋ねてくる。うーん……いっか。別に全部が全部指示を聞かないといけないわけじゃないし。
「それじゃあ、少し行くか。メルダ、マルスを頼んだよ」
「えっ? あ、は、はい……ええっ?」
僕が許可を出すと、嬉々として窓から飛び降りるリーシャ。流石にマルスはまだそんな事は出来ないのでメルダに任せる。
僕もリーシャの後を追うように飛び出る。空中にいくつもの球体を発動させ足場に変えて、戦場を見る。先に飛び出したリーシャはと言うと
「はっはっはっ! 行くぞ! ニ剣・岩鉄ノ砕剣!」
剣というには短く、先端は丸みを帯びた土色の剣を掴んだリーシャは、落下する勢いを使って剣を振り下ろす。切るようにでは無く叩くように。
「はっ!」
リーシャが地上に着地すると同時に地面に剣を叩きつけると、リーシャが立った周りの地面が鋭く隆起する。突然下から盛り上がった土に兵士たちはバランスを崩して避ける事が出来ないまま串刺しにされた。
リーシャはそのまま敵陣の中を走って行く。今の彼女を止められる者は少ないだろう。よし、僕も負けていられないな。
僕も地上に向かって降りる。周りに飛ぶ球体を10個ほどに増やし、2個は大鎌に、3個は円盤型にして足場に、そして残りの5個は短剣へと変える。その短剣を僕に気が付いた兵士へと放つ。
剣で防ごうとするが剣を簡単に貫いて兵士の頭へと刺さる。そのまま体を貫き、近くの兵士へと飛んで行く。突然の攻撃に慌てふためく兵士たち。
その間に地上に降りた僕は、足場にしていた円盤型も短剣に変えて、兵士に向かわせる。
「な、なんだ貴様は!?」
そ、空から降ってきただと!?」
次々と戸惑いの声を上げる兵士を無視して大鎌を振る。ただ横に振るだけ。それだけで呆気なく兵士の体は上下に分かれた。
そのまま魔力を流して死体を合体させてオプスキラーを作る。突然現れたオプスキラーに帝国兵たちは慌てる……前に次々と射抜かれていった。
僕にも放たれる矢。短剣が動いて防ぐがかなり離れた距離から撃たれている。気が付けば僕が作ったオプスキラーは全て射抜かれており、止む事なく僕にも放ってくる。
しかし、かなりの実力者のようだ。これだけ味方の兵士がいるのに誰1人と当たらずに僕を狙ってくるのだから。少し興味があるけど……鬱陶しい。
4本の短剣は防御に、もう4本は周りの兵士への攻撃に回す。止む事の無い矢が飛んでくる方へと向かうけど、近づくにつれて威力が強くなる。
しばらくそんな事が続き、ようやく視界に入る位置まで近づくと、矢を放っていたのは女だった。周りには矢筒を持った兵士が何人も立っている。だから、矢が止まなかったのか。
面白い。僕が射抜かれるのが先か、僕が近づき切るか勝負しようじゃ無いか。
「……中で吐くなよ、マルス」
少しずつ戦場へ近づく中、さっきまでは黒い点が動いているだけにしか見えなかった地上も、かなり近づいたお陰で色を識別できるくらいにはなった。それと同時に臭ってくる血の匂い。その両方にやられたマルスは今にも吐きそうな顔をしている。
まあ、慣れるまでは仕方ないか。僕は自分の血で慣れてしまったけど。
それにしても、やっぱり予想通りっていうかなんていうか、亜人国の軍の方が押されているね。数は帝国兵が2万ほど。亜人国が4千ぐらい。
亜人国は前衛にドワーフ、後衛にエルフが多いな。ここにくる途中で聞いたけど、やっぱりエルフとドワーフの人口割合が多いからだろう。亜人国の王をエルフがやっているのもそれが理由のようだし。
しかし、帝国も対亜人国戦として考えているようで、魔法の威力を抑える魔道具を使っている。そのせいでエルフの得意な魔法は効果があまり無く、力自慢のドワーフ相手には槍で離れた距離から刺していく。中々エグい光景だ。
「おっ、こっちに気が付いたぞ」
空を飛ぶワイバーンに気が付いた帝国兵たちが次々と魔法を放ってくる。ワイバーンは何とか魔法を避けるが、かなりギリギリだ。それに、物凄く揺れる。
……うざいな。ぐらぐらぐらぐらと揺らしやがって。僕はワイバーンの周りに侵食ノ太陽を4つほど発動。飛来してくる魔法に反応して動く。
よし、ワイバーンも安定して飛び始めた。飛び方が安定したワイバーンはそのまま亜人国軍の後方へ飛んで行く。僕はその途中でクロノが作った魔道具を窓から地上に投げる。前にメストア王国を攻める時使った転移の魔道具だ。
突然空から石が降ってきた事に驚いた帝国兵も何人かいたが、声を発する前に死ぬ。転移してきたオプスキラーに乗り潰されて。
「ォォォォオオオオ!」
数は200体ほど。突然隊列の中に現れた異形の化け物に、近くにいた帝国兵は動きを鈍らせる。その間に巨腕に次々と潰されていく。
「……あ、あれは?」
「僕の配下だから気にしなくて良いよ。帝国兵だけ狙うようにしているから」
突然現れたオプスキラーに驚いているのは帝国兵だけでは無く、初めて見るメルダたちも驚いていた。僕の言葉を聞いてもまだ心配そうな表情を浮かべるけど、そのままワイバーンを進ませた。
「なぁ、マスター! 私も行って良いか? 良いか?」
ワクワクキラキラとさせたリーシャが戦場を指差しながら尋ねてくる。うーん……いっか。別に全部が全部指示を聞かないといけないわけじゃないし。
「それじゃあ、少し行くか。メルダ、マルスを頼んだよ」
「えっ? あ、は、はい……ええっ?」
僕が許可を出すと、嬉々として窓から飛び降りるリーシャ。流石にマルスはまだそんな事は出来ないのでメルダに任せる。
僕もリーシャの後を追うように飛び出る。空中にいくつもの球体を発動させ足場に変えて、戦場を見る。先に飛び出したリーシャはと言うと
「はっはっはっ! 行くぞ! ニ剣・岩鉄ノ砕剣!」
剣というには短く、先端は丸みを帯びた土色の剣を掴んだリーシャは、落下する勢いを使って剣を振り下ろす。切るようにでは無く叩くように。
「はっ!」
リーシャが地上に着地すると同時に地面に剣を叩きつけると、リーシャが立った周りの地面が鋭く隆起する。突然下から盛り上がった土に兵士たちはバランスを崩して避ける事が出来ないまま串刺しにされた。
リーシャはそのまま敵陣の中を走って行く。今の彼女を止められる者は少ないだろう。よし、僕も負けていられないな。
僕も地上に向かって降りる。周りに飛ぶ球体を10個ほどに増やし、2個は大鎌に、3個は円盤型にして足場に、そして残りの5個は短剣へと変える。その短剣を僕に気が付いた兵士へと放つ。
剣で防ごうとするが剣を簡単に貫いて兵士の頭へと刺さる。そのまま体を貫き、近くの兵士へと飛んで行く。突然の攻撃に慌てふためく兵士たち。
その間に地上に降りた僕は、足場にしていた円盤型も短剣に変えて、兵士に向かわせる。
「な、なんだ貴様は!?」
そ、空から降ってきただと!?」
次々と戸惑いの声を上げる兵士を無視して大鎌を振る。ただ横に振るだけ。それだけで呆気なく兵士の体は上下に分かれた。
そのまま魔力を流して死体を合体させてオプスキラーを作る。突然現れたオプスキラーに帝国兵たちは慌てる……前に次々と射抜かれていった。
僕にも放たれる矢。短剣が動いて防ぐがかなり離れた距離から撃たれている。気が付けば僕が作ったオプスキラーは全て射抜かれており、止む事なく僕にも放ってくる。
しかし、かなりの実力者のようだ。これだけ味方の兵士がいるのに誰1人と当たらずに僕を狙ってくるのだから。少し興味があるけど……鬱陶しい。
4本の短剣は防御に、もう4本は周りの兵士への攻撃に回す。止む事の無い矢が飛んでくる方へと向かうけど、近づくにつれて威力が強くなる。
しばらくそんな事が続き、ようやく視界に入る位置まで近づくと、矢を放っていたのは女だった。周りには矢筒を持った兵士が何人も立っている。だから、矢が止まなかったのか。
面白い。僕が射抜かれるのが先か、僕が近づき切るか勝負しようじゃ無いか。
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