世界に復讐を誓った少年
19.とある冒険者の話(1)
「死霊系の魔物の調査ですか?」
「ええ。最近この領内で増えているらしく、領主様よりその原因の調査及び可能であれば原因の排除なのだけど」
「成る程、だから俺たちに声がかけられたんだな。彼女がいるこのチームに」
そう言い私を見てくる、リンク。他のみんなも見てきます。なんだか恥ずかしいですね。
「光魔法が使えるフィストリア教会のシスターがいて、今このギルドの有望株のあなたたちなら大丈夫だと思ってね。どう? 受けてくれる?」
「勿論だ! 俺たちに任せてくれ!」
そう言って、どん! と、自分の胸を叩くリンク。その姿にチームのタンク役のガンドさんがまたか、と溜息を吐き、魔法師のマリエさんがリンクに掴みかかります。
理由は、私たちに相談する事なく今のように勝手に決めるからです。そのせいで何度か危険な目にあった事がありますからね。
「なっ! だ、大丈夫だってマリエ! 調査だけだからそんな危険じゃ無いって!」
「あんた、そう言って前どうなったか覚えているの!? 危うく食人植物に食べられそうになったわよ、私たち!?」
ガクガクとリンクの首を振るマリエ。周りはまたかと笑っています。そろそろ止め入りませんと。
「マリエ、そこまでにしましょう。リンクも反省していますから。それに、確かにこの依頼は私たちに最適では無いですか。私が聖なる魔法で死霊たちの動きを抑えて、ガンドさんが守ってくださります。動きが鈍っているところにマリエさんの魔法で攻撃すれば」
「……そうね。そう考えれば今までに比べて危険は少ないかも知れないわね。わかったわ。私たち受けます」
そうして、私たちが手続きしている間、リンクは自分が入っていない事に気が付き悲しんでいましたが。止めには入りましたが、許してはいませんよ? まあ、いつも、先陣を切って戦って下さるリンクには感謝しているのですが。
「……よし、気を取り直して行くぞ、お前ら! 俺の凄さ見せてやる!」
……この調子が空回りしないと良いのですが。
◇◇◇
「……ここが、最後の場所かぁ」
「そうね。このメストア王国の中でいくつかある港町の1つ、フリンクよ。ここは、2週間前に実際に死霊系の魔物に襲われたらしいの。何とか兵士が倒したみたいだけど、かなりの人数がやられたみたいよ」
マリエさんは門兵に身分証であるギルドカードを見せながら話します。確かに、対応して下さる門兵もどこか疲れた表情をしています。
この調査を始めて2週間、私たちが調査を始めた当日に、この町は死霊に襲われたようです。その時、私たちは別の村に向かっていたため、遅れてしまったのです。
中に入ると、殆ど人は見かけませんね。それに所々争った跡が残っています。
「こりゃあ、酷えな。早く何とかしないと」
「そうだな。まあ、俺が来たからには安心だがな」
また、変な事を言っていますね。マリエさんはもう無視していますよ。私もマリエさんを真似して先を進みます。まずはこの町のギルドに行って情報を集めましょう。そう思い、門をくぐった瞬間
「うっ!?」
……な、何ですか、これ? む、胸が苦しいです。突然胸を押さえて膝をついた私に、皆さんが声をかけてくれますが、次第に意識が……
◇◇◇
「……ここは?」
「あっ、目が覚めた、ミレーヌ?」
私が顔を動かすと、側にマリエさんが座っているのが見えます。ここは……どこかの宿屋のようですね。私はゆっくり体を起こすと、マリエさんが水の入った容器を渡してくれます。
「ありがとうございます。それで、私は……」
「ミレーヌはこの町の門をくぐった後に突然苦しみだしたのよ。そのまま気を失ったわ。もうびっくりしたんだから。私たちじゃどうしようも出来ないからとりあえず宿に運んだのよ。治療師に診てもらったけど、休ませたら大丈夫って言うから。本当に大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくるマリエさん。そこまで心配かけてしまいましたか。私が頷くとマリエさんも安心したのか飲み物を飲みます。
しかし、あの胸の締め付けは何だったのでしょうか? 本当に原因がわからずに突然でした。何もなければ良いのですが……。
「そういえば、リンクたちは?」
「ん? リンクたちには死霊たちが攻めて来た事を聞きに行ってもらったわ。あの馬鹿、レディの部屋に遠慮無しに入ろうとしたから殴っておいたから」
「……はは、ほどほどでお願いしますね」
「あいつ次第よ」
そう言うマリエさんに笑う私。それから2人で話をしていると、扉をノックする音が聞こえる。マリエさんが出ると、声が聞こえてくる。2人が戻ってきたみたいですね。
「ミレーヌ、リンクたちが帰って来て、成果を話したいって言ってるけど、大丈夫?」
「ええ、大丈夫です」
私が頷くと、リンクたちを連れてマリエさんが部屋に入って来ます。
「おう、元気そうじゃねえか」
「目が覚めて良かったぜ」
「ご心配おかけして申し訳ございませんでした」
私が頭を下げると、2人は笑いながら許してくれる。ふふ、やっぱり良いチームです。
「それじゃあ、全員揃ったし、話し合いましょう。内容次第ではこれからの動きが変わってくるしね」
何か、この問題の手がかりになる情報が見つかれば良いのですが。
「ええ。最近この領内で増えているらしく、領主様よりその原因の調査及び可能であれば原因の排除なのだけど」
「成る程、だから俺たちに声がかけられたんだな。彼女がいるこのチームに」
そう言い私を見てくる、リンク。他のみんなも見てきます。なんだか恥ずかしいですね。
「光魔法が使えるフィストリア教会のシスターがいて、今このギルドの有望株のあなたたちなら大丈夫だと思ってね。どう? 受けてくれる?」
「勿論だ! 俺たちに任せてくれ!」
そう言って、どん! と、自分の胸を叩くリンク。その姿にチームのタンク役のガンドさんがまたか、と溜息を吐き、魔法師のマリエさんがリンクに掴みかかります。
理由は、私たちに相談する事なく今のように勝手に決めるからです。そのせいで何度か危険な目にあった事がありますからね。
「なっ! だ、大丈夫だってマリエ! 調査だけだからそんな危険じゃ無いって!」
「あんた、そう言って前どうなったか覚えているの!? 危うく食人植物に食べられそうになったわよ、私たち!?」
ガクガクとリンクの首を振るマリエ。周りはまたかと笑っています。そろそろ止め入りませんと。
「マリエ、そこまでにしましょう。リンクも反省していますから。それに、確かにこの依頼は私たちに最適では無いですか。私が聖なる魔法で死霊たちの動きを抑えて、ガンドさんが守ってくださります。動きが鈍っているところにマリエさんの魔法で攻撃すれば」
「……そうね。そう考えれば今までに比べて危険は少ないかも知れないわね。わかったわ。私たち受けます」
そうして、私たちが手続きしている間、リンクは自分が入っていない事に気が付き悲しんでいましたが。止めには入りましたが、許してはいませんよ? まあ、いつも、先陣を切って戦って下さるリンクには感謝しているのですが。
「……よし、気を取り直して行くぞ、お前ら! 俺の凄さ見せてやる!」
……この調子が空回りしないと良いのですが。
◇◇◇
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「そうね。このメストア王国の中でいくつかある港町の1つ、フリンクよ。ここは、2週間前に実際に死霊系の魔物に襲われたらしいの。何とか兵士が倒したみたいだけど、かなりの人数がやられたみたいよ」
マリエさんは門兵に身分証であるギルドカードを見せながら話します。確かに、対応して下さる門兵もどこか疲れた表情をしています。
この調査を始めて2週間、私たちが調査を始めた当日に、この町は死霊に襲われたようです。その時、私たちは別の村に向かっていたため、遅れてしまったのです。
中に入ると、殆ど人は見かけませんね。それに所々争った跡が残っています。
「こりゃあ、酷えな。早く何とかしないと」
「そうだな。まあ、俺が来たからには安心だがな」
また、変な事を言っていますね。マリエさんはもう無視していますよ。私もマリエさんを真似して先を進みます。まずはこの町のギルドに行って情報を集めましょう。そう思い、門をくぐった瞬間
「うっ!?」
……な、何ですか、これ? む、胸が苦しいです。突然胸を押さえて膝をついた私に、皆さんが声をかけてくれますが、次第に意識が……
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「あっ、目が覚めた、ミレーヌ?」
私が顔を動かすと、側にマリエさんが座っているのが見えます。ここは……どこかの宿屋のようですね。私はゆっくり体を起こすと、マリエさんが水の入った容器を渡してくれます。
「ありがとうございます。それで、私は……」
「ミレーヌはこの町の門をくぐった後に突然苦しみだしたのよ。そのまま気を失ったわ。もうびっくりしたんだから。私たちじゃどうしようも出来ないからとりあえず宿に運んだのよ。治療師に診てもらったけど、休ませたら大丈夫って言うから。本当に大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込んでくるマリエさん。そこまで心配かけてしまいましたか。私が頷くとマリエさんも安心したのか飲み物を飲みます。
しかし、あの胸の締め付けは何だったのでしょうか? 本当に原因がわからずに突然でした。何もなければ良いのですが……。
「そういえば、リンクたちは?」
「ん? リンクたちには死霊たちが攻めて来た事を聞きに行ってもらったわ。あの馬鹿、レディの部屋に遠慮無しに入ろうとしたから殴っておいたから」
「……はは、ほどほどでお願いしますね」
「あいつ次第よ」
そう言うマリエさんに笑う私。それから2人で話をしていると、扉をノックする音が聞こえる。マリエさんが出ると、声が聞こえてくる。2人が戻ってきたみたいですね。
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