異世界で彼女を探して何千里?

やま

55.vs魔王(3)

「大切な家族はこれ以上やらせないか……なら、守ってみせろ!」


 レグルスはそう言いながら飛び出して来た。一瞬にして目の前に現れたレグルス。俺はレグルスが目の前に現れた瞬間、空間魔術を発動。俺の顔目掛けて放たれた拳が、俺がいた場所を通過する。


 空間魔術の転移を使いレグルスの拳を避けたのだ。俺はレグルスの拳を避けると同時に、レグルスの側面に転移し切りかかる。


 レグルスは転移した俺に驚く事なく、左腕で振り下ろす剣を受け止めた。カンッ、と弾かれる剣。レグルスは俺の剣を弾くと同時に、手刀に構えた右手を横薙ぎに振ってきた。


 俺は直様転移を発動してレグルスの手刀を避けるが、目の前にはレグルスの姿が。ちっ、転移するのをわかっていたから俺の魔力を追って来たのか。


 俺は目の前に盾をいくつも重ねて創造する。レグルスの拳を防ぐ事は出来ずに、次々と壊されるが、距離を置くための時間は作る事が出来た。


 同時に自身の体に魔力を流して創造する。今までの魔力量では使う事は出来なかったし、何よりあいつの真似をするのが、ちょっとアレだったのだが、今はそんな事を言っている暇は無い。


 体に纏った魔力は次第に形を作って行き、俺の身を守る鎧へと変わる。鎧と言っても今まで創造してきた物のように色や形が出来るわけではない。


 そして、その鎧から光と共に雷が迸る。帝国で出会った皇太子レイアスやフランやフラムを参考にして創造した鎧、雷光ノ聖鎧だ。


 雷光ノ聖鎧を纏い、殴りかかってくるレグルスの拳を剣で受け止める。今までなら受け止める事も出来ずに吹き飛ばされていたが、今なら耐えられる。レグルスもそう思っていたのか、初めて見る驚きの表情を浮かべるが、再び殴りかかってくる。


 俺は剣で弾きながら、空中に武器を創造する。それら、レグルスに向けて放つ。勿論武器にも雷光の力を付与している。


 レグルスは俺に攻撃をしながらも、放たれた武器たちを弾いていく。本当に化け物だな、こいつ。


 俺の1番の創造魔術で強化しても、次第にレグルスに押され始めた。まだ、小さいが少しずつ傷が増えていく。


 空間魔術を使いながらの戦闘にも、レグルスは慣れて来たのか殆ど効果が無くなった。


「はぁぁっ!」


 その事が俺を焦らせていたのだろう。余りにも単調な攻撃。俺ですら読みやすい攻撃を、格上のレグルスに放ってしまったのだから。


 俺の剣を握る右手首をレグルスは掴み強く握られる。レグルスはそのまま俺の首を掴もうとするが、首の骨を折られば俺は死ぬ。そうならないように首の周りを創造で厚くした。それでも、レグルスに掴まれたが、何とか耐えている。


 しかし、次の瞬間背に途轍もない衝撃が走る。背中から地面に叩きつけられたのだ。痛みはあまり無かったが、衝撃が途轍も無かった。一瞬、何が起きたのかわからなかったほどだ。


「これで終わりだ」


 そして、眼前に手刀を振り下ろそうとするレグルスの姿が。俺は、振り下ろされる手刀から体を守る様に左腕を盾にして、同時に右手に持つ感をレグルスの脇腹に目掛けて振り上げていた。


 レグルスの手刀が俺の左腕に触れた、俺の剣がレグルスの脇腹に触れた、その時、思いもよらぬ現象が起きたのだ。


 体一切動かなくなったのだ。それも、俺だけではなく、レグルスも。意識はあり、目は動くのだが、体が全く動かせない。


 俺たちだけじゃない。見える範囲ではあるが、他の戦闘していた人たちも同じように固まってしまっていた。一体何が起きたんだ?


 そう思っていると、空に途轍もない魔力が集まっていくのが見える。同時に勝手に首が空の方へと向いていくのだ。


 全員が空を見上げる中、膨大な魔力が集まっていき、次第に人の姿へと変わっていった。現れたのは10歳ぐらいの子供。男にも女にも見える中性的な容姿で、金の短髪だ。


 その子供は見上げる俺たちを見て、嬉しそうに笑みを浮かべていた。


「いやー、やっぱり私の考えはあっていたね! 異世界の魂のおかげで代わり映えしなかった状況がこうも動くんだから!」


 空に浮かぶ子供はそんな事を言いながら、俺たちの方へと降りて来た。そしてニヤニヤとした笑みを浮かべながら


「ねぇ、かつての同級生と殺し合うってどんな気持ち? ねぇ、ねぇ、教えてよ?」


 と、言ってきたのだ。その言葉に俺とレグルスは顔を見合わせてしまった。レグルスがかつての同級生だと?


「君たち異世界の魂をこの世界に転生させてから50年! 経った今全ての魂が蘇った。ようやくゲームを始められるよ! 大陸をかけたデスゲームをね!」


 急に起きた色々な事に、俺は頭が全く回らなかった。

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