異世界で彼女を探して何千里?
27.目の前には
べろぺろぺろぺろぺろべろぺろぺろぺろぺろべろぺろぺろぺろぺろべろぺろぺろぺろぺろべろぺろぺろぺろぺろべろぺろぺろぺろぺろべろぺろぺろぺろぺろぺろ
……なんか、物凄く顔舐められているんだが。誰が舐めているかは予想がつくが、幾ら何でも舐めすぎだろう。もう少し、気持ちよく寝ていたい気分にかられるが、起きるか。
「……フラン、少し舐めすぎ……誰?」
顔を舐めてくるのがフランかと思って目を開けたが、そこにいたのはフランではなく、円らな瞳でじっと見てくる銀毛の狐だった。
俺の胸板の上で座りながら、じっと見下ろして来る。時折尻尾が上下しているのか、お腹のところに叩かれる感触がある。
俺も銀毛の狐をじっと見ていると、横にぽふ、っと衝撃が走る。横を向いて見ると、前足をベッドに乗せて見て来るフランの顔があった。なんだ、そっちにいたのか。そう思っていたらフランの感情が流れて来る。
「怒った」「間違えた」「怒った」と怒りの感情が。俺がフランと銀毛の狐を間違えた事に怒っているらしい。そのままベッドの上に乗って来て、俺の頰をドシドシと前足でつついてくる。
今回は俺が悪いので、されるがままになっていると、俺の上に乗っている銀毛の狐が俺を助けるようにフランへと頭突きをする。
当然フランは狐へと怒り、頭突きをし返す。そこからは、2匹での取っ組み合いになった。2匹とも本気は全く出していないのだろうけど、中々激しい。このまま見ているのもあれなので起きて止めるか。
「ほら、フラン、止めろ。今回は俺が悪かったから許してくれ、な?」
ベッドから降りてフランを抱きかかえると、クゥーンと甘えた声を出すフラン。そして「仕方ないなぁ」というような感じで、頭を擦り付けてくる。ふわふわの毛がくすぐったい。
そして足下では、銀毛の狐がまるで自分も構え、といった風に、尻尾をバシバシと足へと当ててくる。俺はフランを抱き上げたまましゃがみ、狐の頭を撫でる。狐は気持ち良さそうにキュー、と鳴く。
さて、もっともふもふして和みたいところだが、色々と思い出さないとな。まず何故ベッドに寝ていたかだ。確か、俺とフランは何週間かかけて目的の家へと辿り着いたんだった。
その後、この土地に入った瞬間、褐色の赤髪の女性が、俺を殺しに来て一触即発の雰囲気になってしまったんだったか。
それからええっと……そう、俺をこの山へと連れて来たお爺さんが現れて止めてくれたんだ。確か名前はギルアンさん。その人が止めてくれたお陰で、殺し合いにはならなかった。
それからは、ギルアンさんに家の中に案内してもらってから……あっ、そうだ! そこで俺の限界がきて気を失ってしまったのだった。
山の中の生活で神経すり減らしていたようだ。気が付いたら今だからな。何日ぐらい気を失ったかはわからないが、フランの雰囲気からして、あまり経ってないような気がする。
「取り敢えず、挨拶をしに行くか」
俺はフランを下ろして、扉の方へと向かう。フランは名残惜しそうに見上げてくるが、またしてあげるから。
部屋を出ると、直ぐに広間だった。台所があり、4人が座れる机と椅子。後、2階へと繋がる階段ぐらいか。そして
「目を覚ましたか」
机の方で何かを作っているギルアンさんがいた。あの褐色の女性はいないようだ。
「はい、ご迷惑をおかけいたしました。それで俺ってどれくらい気を失っていましたか?」
「2日ほどじゃよ。そんなに経っておらん。何か飲むかの?」
「あっ、はい、頂きます」
ギルアンさんは先から立ち上がり、台所の方へと向かう。俺は机まで向かって、並べられている物を見る。どれも見た事のない物ばかりだ。
「なんじゃ、座ってなかったのか。ここに座るといい」
台所から戻ってきたギルアンさんは、自分の向かいに飲み物が入ったコップを置いてくれる。俺は言葉通りギルアンさんの向かいの席に座る。
「まずは自己紹介しておこうかの。わしの名前はギルアン・フォンド・レティスティンじゃ。周りからは魔術王と呼ばれておる」
「はい、俺の名前はゼスト・アルラルトです。こっちの白狼がフランです。よろしくお願いします」
「うむ、よろしくの。お主の父親であるゼクティスからお主を預かったが、まずどの程度なら耐えられるか、試したかっての。まあ、見た限りは合格じゃ」
おお、良かった。これで駄目だったら、軽く立ち直れないところだったぞ。それからギルアンさんは、俺の足下でじゃれている? フランと銀毛の狐を見る。
「この銀狐は、わしらの家族でフリューレ。魔人大陸に生息する白零狐と呼ばれる魔獣じゃ。成長すればランクはA+の魔獣じゃよ」
えっ? この愛らしい狐がランクA+? 国総上げで討伐対象になる魔獣なのか、この狐は。
「キューン?」
くそっ、そんな円な目で首を傾げてくるなんて。確かに愛らしさはランクA+はある。いや、それ以上かも。
「ガウ!」
「痛っ! 何するんだよフラン!」
俺がフリューレを見ていたら、突然フランが俺の足を噛んできた。噛むと言っても血が出ない程度だが、普通に痛い。どうしたんだよ、一体。
「ちなみに、その狼もフリューレと似たものじゃぞ」
「え?」
……なんか、物凄く顔舐められているんだが。誰が舐めているかは予想がつくが、幾ら何でも舐めすぎだろう。もう少し、気持ちよく寝ていたい気分にかられるが、起きるか。
「……フラン、少し舐めすぎ……誰?」
顔を舐めてくるのがフランかと思って目を開けたが、そこにいたのはフランではなく、円らな瞳でじっと見てくる銀毛の狐だった。
俺の胸板の上で座りながら、じっと見下ろして来る。時折尻尾が上下しているのか、お腹のところに叩かれる感触がある。
俺も銀毛の狐をじっと見ていると、横にぽふ、っと衝撃が走る。横を向いて見ると、前足をベッドに乗せて見て来るフランの顔があった。なんだ、そっちにいたのか。そう思っていたらフランの感情が流れて来る。
「怒った」「間違えた」「怒った」と怒りの感情が。俺がフランと銀毛の狐を間違えた事に怒っているらしい。そのままベッドの上に乗って来て、俺の頰をドシドシと前足でつついてくる。
今回は俺が悪いので、されるがままになっていると、俺の上に乗っている銀毛の狐が俺を助けるようにフランへと頭突きをする。
当然フランは狐へと怒り、頭突きをし返す。そこからは、2匹での取っ組み合いになった。2匹とも本気は全く出していないのだろうけど、中々激しい。このまま見ているのもあれなので起きて止めるか。
「ほら、フラン、止めろ。今回は俺が悪かったから許してくれ、な?」
ベッドから降りてフランを抱きかかえると、クゥーンと甘えた声を出すフラン。そして「仕方ないなぁ」というような感じで、頭を擦り付けてくる。ふわふわの毛がくすぐったい。
そして足下では、銀毛の狐がまるで自分も構え、といった風に、尻尾をバシバシと足へと当ててくる。俺はフランを抱き上げたまましゃがみ、狐の頭を撫でる。狐は気持ち良さそうにキュー、と鳴く。
さて、もっともふもふして和みたいところだが、色々と思い出さないとな。まず何故ベッドに寝ていたかだ。確か、俺とフランは何週間かかけて目的の家へと辿り着いたんだった。
その後、この土地に入った瞬間、褐色の赤髪の女性が、俺を殺しに来て一触即発の雰囲気になってしまったんだったか。
それからええっと……そう、俺をこの山へと連れて来たお爺さんが現れて止めてくれたんだ。確か名前はギルアンさん。その人が止めてくれたお陰で、殺し合いにはならなかった。
それからは、ギルアンさんに家の中に案内してもらってから……あっ、そうだ! そこで俺の限界がきて気を失ってしまったのだった。
山の中の生活で神経すり減らしていたようだ。気が付いたら今だからな。何日ぐらい気を失ったかはわからないが、フランの雰囲気からして、あまり経ってないような気がする。
「取り敢えず、挨拶をしに行くか」
俺はフランを下ろして、扉の方へと向かう。フランは名残惜しそうに見上げてくるが、またしてあげるから。
部屋を出ると、直ぐに広間だった。台所があり、4人が座れる机と椅子。後、2階へと繋がる階段ぐらいか。そして
「目を覚ましたか」
机の方で何かを作っているギルアンさんがいた。あの褐色の女性はいないようだ。
「はい、ご迷惑をおかけいたしました。それで俺ってどれくらい気を失っていましたか?」
「2日ほどじゃよ。そんなに経っておらん。何か飲むかの?」
「あっ、はい、頂きます」
ギルアンさんは先から立ち上がり、台所の方へと向かう。俺は机まで向かって、並べられている物を見る。どれも見た事のない物ばかりだ。
「なんじゃ、座ってなかったのか。ここに座るといい」
台所から戻ってきたギルアンさんは、自分の向かいに飲み物が入ったコップを置いてくれる。俺は言葉通りギルアンさんの向かいの席に座る。
「まずは自己紹介しておこうかの。わしの名前はギルアン・フォンド・レティスティンじゃ。周りからは魔術王と呼ばれておる」
「はい、俺の名前はゼスト・アルラルトです。こっちの白狼がフランです。よろしくお願いします」
「うむ、よろしくの。お主の父親であるゼクティスからお主を預かったが、まずどの程度なら耐えられるか、試したかっての。まあ、見た限りは合格じゃ」
おお、良かった。これで駄目だったら、軽く立ち直れないところだったぞ。それからギルアンさんは、俺の足下でじゃれている? フランと銀毛の狐を見る。
「この銀狐は、わしらの家族でフリューレ。魔人大陸に生息する白零狐と呼ばれる魔獣じゃ。成長すればランクはA+の魔獣じゃよ」
えっ? この愛らしい狐がランクA+? 国総上げで討伐対象になる魔獣なのか、この狐は。
「キューン?」
くそっ、そんな円な目で首を傾げてくるなんて。確かに愛らしさはランクA+はある。いや、それ以上かも。
「ガウ!」
「痛っ! 何するんだよフラン!」
俺がフリューレを見ていたら、突然フランが俺の足を噛んできた。噛むと言っても血が出ない程度だが、普通に痛い。どうしたんだよ、一体。
「ちなみに、その狼もフリューレと似たものじゃぞ」
「え?」
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