異世界で彼女を探して何千里?

やま

5.この世界の情勢

「……今日はここまでだ。お前ら、寄り道せずに真っ直ぐに家に帰るんだぞ〜」


「ふぅ〜、やっと終わったな授業。ん? どうしたんだゼスト? なんか抜け殻みたいになっているじゃ無いか?」


 授業が終わった放課後。グレル先生が教材など持って教室を出て行くと、隣で体を伸ばしながら、俺の方を見て怪訝そうな顔をするディッシュ。それもそうだろう、なぜなら今の俺は机に伏している状態だからだ。


 理由は、グレル先生の授業の時に、ジッと俺の方を見ながら授業を進めて行くからだ。そこに、執拗に俺を当ててくるのだ。それを見て笑う周り。ディッシュはこれ幸いにと寝てたしな。


「……疲れたんだよ。何だよ、あの回数。当て過ぎだろ」


「カカカ! グレル先生も質問すれば答えてもらえるのが楽しかったんじゃねえのか? まあ、ドンマイ。それよりも早く行こうぜ」


 ディッシュはそれだけを言って、立ち上がる。こいつの荷物は剣ぐらいだろう。俺は斜めがけする鞄ぐらいだ。


 俺も荷物を持って教室から出る。ゼリックたちと別れの挨拶をして教室から出ると、いつの間にか2人から3人に増えていた。


 俺、ディッシュ、そして


「……なんでいるんだよ、ティリア?」


 銀髪のツインテールの婚約者、ティリアが俺たちの後ろについて来ていたのだ。


「なによ。私がいたらいけないの?」


 そう言って俺を睨んでくるティリア。


「別に悪くは無いが、俺たちは父上のところに行くだけだぞ? 俺たちについて来ても何も面白く無い」


「ふん、今日はあなたを1日監視するって決めたの。だから私もついて行くわ!」


 成長途中の胸の下で腕を組んで胸を張るティリア。ディッシュはやれやれと苦笑いをしている。


「…….わかったよ。ただ付いてくるだけだからな」


 俺の言葉に嬉しそうに頷くティリア。それから、俺たちは学園を出て、外壁付近にある第3兵団の兵舎へと向かう。


 各兵団の兵舎は1〜6までが王都を囲うように作られている。残りの7〜10の兵団は近隣諸国との国境の砦に滞在している。


 これはずっとと言うわけではなく、何年かに一度入れ替わるようになっている。父上も何年か前に北の砦に数年いたようだ。


 ミストラル王国の人口は200万ほど。その中で各兵団と各領地の貴族の兵士の数は、全て合わせて15万ほどになる。


 領地貴族の兵士たちが全部で5万ほど。魔術師兵団が5千ほど。近衛兵団が500ほどで、残り10万いかないぐらいが全て王国兵団になる。


 それから、この世界には名前は無いが、4つの大陸とその大陸で囲うように中心に小さな大陸がある。俺たちが住むミストラル王国がある大陸は世界地図の南にある。


 この世界は人族以外にも多種多様な種族がおり、大きく分けて4種族になる。


 まずは俺たち人族。他の種族の中で1番人口が多い種族だ。寿命は60〜70ほどで、魔術は適正があればそつなく使える。適正が無くても魔力はあるため魔道具は使えるのだが。


 その次に人口が多いのが獣人族。見た目は様々だ。同じ猫族といっても、人間に耳や尻尾をつけたような猫族もいれば、猫がそのままだったような姿をした猫族もいる。こればかりは生まれて来ないとわからないそうだ。


 獣人族の特徴は、ズバ抜けた身体能力だ。魔術の適正は低いため、魔術を使ってくる獣人族は稀だが、獣人族だけの技があるらしい。それを極めた者は、拳1つで大地を割る事も出来るとか。


 その次が魔人族。魔人族の姿はなんと言うか独特らしい。全員が赤い目をしているらしく、魔力が高ければ高いほど、鮮やかな赤色だという。


 寿命も長く、肉体も強靭で、数は人族や獣人族に比べて少ないが、かなりの強さを誇るらしい。


 そして、最後が亜人族。この亜人族は主にエルフやドワーフにドラゴノイドといった、様々な種族を含めた言葉だ。それ以外にもマーメイドやフェアリーなどがいるらしい。


 そんな種族に分かれているが、殆ど見かける事はない。理由は100年前に起きた2回の世界大戦のせいだ。


 唯一、どの種族も住まない、大陸の中心にある小さな大陸を巡って、各種族が争ったのだ。その結果、どの種族も、人口を減らすだけで、何も得る事が出来なかったのだ。


 どの種族もそれがわかったため、当時のまま大戦は冷戦状態となっている。それが今でも続いている。


 何故そこまでして、その大陸が欲しいのかと言うと、その大陸には豊富な資源が沢山あるからだ。全く手のつけられていない鉱山、世界中の魚が集まる海、四季様々な植物が生える森林に、その土地にしか生息しない魔獣など。


 その土地から生まれる利益を狙って、各種族が戦争を起こしたのだ。それが、過去に2度起きている。今は、互いが牽制し合っているので、大きな争いは起きていないが、どこかのバランスが崩れれば、直ぐに始まるだろう、っていうのが、父上の見解だ。それももう直ぐだという。


「よし、着いたぜ!」


 この世界の事をおさらいしていたら、突然ディッシュが声を上げる。どうやら第3兵団の兵舎に辿り着いたようだ。はぁ、何をさせられるのか。

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