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落とされた勇者 悪霊たちと最強になる

やま

8話 精霊召喚

「さぁ、勇者様! ここで精霊契約をやりますよ!」


 ウキウキと嬉しそうに部屋へと案内してくれたミーリア王女。案内してくれた部屋は、壁際に本棚が付けられ、そこには本がぎっしりと入れられている。その近くの机には、開かれっぱなしの本と書いている途中だと思われる紙が置かれていた。


 部屋の中心には、精霊と契約するためなのか、魔法陣が描かれており、本棚と反対側の壁際にはベッドが置かれていた……ん? 布団が少し膨らんでいる?


「あっ、またこの部屋で寝ている!」


 俺の視線に気が付いたのかベッドの方へと向かうミーリア王女。そして少し膨れ上がった布団を掴みバサッと引っぺがす。布団がめくられて出て来たのは、下着姿の女性だった。


 黄緑色の髪をしており、出るところは出ている女性。俺は直ぐに反対側を見て女性を見ないようにする。しかし、一瞬でも目に入った女性の姿が既に網膜に焼き付けられていた。これは……仕方ないよな、うん。


「もうっ、また下着でいるし、こんなところで寝ているし! マーレ様! 起きてください!」


「……うーん、後……5時間……」


「だーめーでーす! 早く起きてください!」


 ミーリア王女にぐらぐらと勢い良く揺すられるマーレと呼ばれた女性。仕方無しにとゆっくりと起き上がる女性は、くわぁーとあくびをしながら起き上がる。そして、ぼーっとした目で俺を見ていた。当然俺の視線は女性の顔から下には向いていない。


「んー……あ、すまないね、ミーリア様。まさか男をここに連れ込むなんて思っていなかったから、ベッド使ってしまったよ。直ぐに退くから少し待っていてくれ」


「にゃにゃ、にゃに言っているんですか!? ち、違いますよ! それに勇者様に失礼ですよぉ!」


 慌てて女性の誤解を解こうとするミーリア王女。慌て過ぎてカミカミだ。寝起きの女性は、まあまあと宥めながらこちらへと歩いてくる。当然下着姿で。


 俺が女性の下着姿を見ないように視線を逸らしているのに気が付いたのか、ニヤニヤとする女性。


「ふぅーん、この男が勇者ねぇ。って事はミーリア様は物語のように彼に手伝って貰うのかい?」


「はい! 出来るかはわかりませんが、やってみようと思います!」


 元気良く返事をするミーリア王女に、女性は俺を見て来た。そして、手を差し出して来た。


「私の名前は精霊を研究しているマーレというものだ。いやぁ、まさか伝承の勇者との召喚に立ち会えるとはね。よろしく!」


「あ、はい、よろしくお願いします。あっ、俺の名前はシンヤ・フジサトと言います。シンヤで大丈夫ですので」


 俺をじっと見てくるから何かあるのかと思ったけど、思ったよりフレンドリーで良かった……が、いい加減服を着てほしい。思わず凝視してしまいそうになる。


「ふふっ、気になるなら見ればいいじゃないか。私自身、見せても恥ずかしくない体をしていると自負している!」


 そう言って手を広げるマーレさん。その後ろから慌てて白衣をかけるミーリア王女。


「もうっ、ダメですってば! ほら、はやく着てください!」


「むっ、ミーリア様はオカンみたいだなぁ」


「誰がオカンですかっ!」


 流石に聞き捨てならないのかマーレさんに怒るミーリア王女。しかし、マーレさんは気にした様子もなく、ミーリア王女から渡された白衣を着て俺の方を向く……って、服それだけ?


「私は服があまり好きではない。この部屋の中だけなら裸でも良いと思っているのだが、ミーリア様がうるさくてね。仕方なくこの格好でいるのさ。見たかったらいつでも見ても良いからね」


 そう言いながら仕方無しと白衣のボタンを閉めていくマーレさん。その様子をしっかりと見ていたミーリア王女は、しっかりと着たのを確認してから俺の手を引っ張る。


「さあ、勇者様。こちらに来てください。マーレ様も」


「はいはい」


 元気に俺を引っ張るミーリア王女を見て、やれやれといった風にやって来るマーレさん。下着の上に白衣って、変にエロいな。


「さて、シンヤ君と言ったね。君はどのようにして精霊と契約するか知っているかい?」


「はい、簡単にミーリア様から教えてもらいました」


「りょーかいりょーかい。なら、ミーリア様がこの魔法陣に魔力を流し始めたら、シンヤ君も魔力を流してもらっても良いかな? 後から押し上げるように」


「わかりました」


 俺が頷くのを見てマーレさんは俺たちから離れていく。ここからは俺とミーリア王女でやれ、という事か。ミーリア王女を見ると、緊張しているのか何度も深呼吸をしている。


 何度か深呼吸をしていくうちにようやく落ち着いて来たのか、真っ直ぐと俺を見て来る。その姿は、とても綺麗だった。


「よろしくお願いします、勇者様……いえ、シンヤ様」


「……ええ、よろしくお願いします」


 ミーリア王女の綺麗な姿に見惚れてしまって返事が遅れてしまった。ミーリア王女は気付いた様子もなく魔法陣に手を付ける。そして、魔力を流し始めた。


 俺もマーレさんに言われたようにミーリア王女の後を追うように魔力を流し始める。少しずつ魔力を流していく。ミーリア王女の魔力を上書きしないように、かといって弱すぎないように。魔法を勉強し始めて1ヶ月の俺には中々難しいが、なんとか進んでいる。


 魔法陣に魔力を流していく中で、所々魔力が詰まるところがある。多分、そこを突破しないと契約するための精霊を呼べないのだろう。精霊を呼ぶ前の最低限の力を証明しろってところか。


 それに、俺の魔力が触れたことによって魔力の流れる道が出来たところもある。これは勇者の魔力だからか?


 わからないまましばらく流し続けると、魔力の流れが止まった。俺やミーリア王女がいくら注いでもこれ以上は進まない。これは失敗したか? と思いミーリア王女を見ようとしたその瞬間、魔法陣が光り輝き出した。


 そして、その光が魔法陣の中心に集まっていく。俺もミーリア王女もマーレさんもその光を凝視する。しばらく光が集まったと思ったその時、光が弾けた。そして、中から現れたのが


「クワァー」


 と、眠たそうに欠伸をする子竜だった。

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