悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
33.ジークの考え
「うーん、もう少し丸かったような……でも、本当にゲームのキャラに会えるなんて!」
俺の顔を見てキラキラと目を輝かせる紫髪の少女。さっきの言葉や今の言葉を聞く限りこの少女……ゲームの事を知っている!?
……落ち着け、俺。今慌てて話しかけても相手を警戒させるだけだ。ここは普通に話しかけよう。俺は自分を落ち着かせて笑顔で俺を見て来る少女を見る。
「初めまして。俺の名前はジークレント・ヴァン・アルフォールだ。同じクラスメイトだ。俺の事はジークと呼んでくれ」
「わぁっ! 本当にジークだ! しかも、ゲームの時より物凄く優しくてイケメン! 初めまして! 私はエレネ! よろしく!」
あまりにも俺にフレンドリーに接する紫髪の少女、エレネに周りのクラスメイトたちは絶句。マイルは白目を向いていた。
まあ、俺が王子という肩書きと俺の評価の低さを知っている周りからすれば驚きなのだろう。この3年……もうすぐ4年だが自分なりに努力して来たつもりだが、それを全部の貴族が認めているかといわれれば、そうではないからな。
俺の手を取ってぶんぶんと振るエレネ。周りはそれを見て何故か顔を青くしていた。いや、別に何もしないからな?
馴れ馴れしく肩でも回してきたら流石に言うけど、この程度なら全然。むしろウェルカムだ。みんなもしてくれて良いんだぜ?
そんな俺の願いは通じずに、遠巻きから俺たちを見守るクラスメイトたち。まあ、まだ1日目だ。クラスメイトたちとの仲はこれから育んで行こう。
俺の後ろの席に座ったエレネはぶつぶつと独り言を話しているが、話している内容が俺の事だった。俺の予想通りゲームの内容を知っているようだ。
そんな彼女の呟いている内容が、俺が消えるシーンについてだった。本来の俺は、ストーリーの序盤も序盤。入学して1月経ったぐらいで消えてしまうキャラクターだ。
ゲーム通りなら俺の体形は今より大分肥えていた。俺の記憶が戻った時よりも一回りぐらいは大きくなっていたはずだ。
そして、ヒロインに一目惚れしていた。その結果、無理にヒロインに迫って兄上にやられるのだが。だけど、今の俺はそんな事にはならないだろう。
だが、確実とは言い難い部分もある。それは、兄上たちの事だ。俺が何とか仲を取り持とうとしたけど、兄上とセシリアの仲が直る事はなく、婚約者が変わる事もなかった。
俺の考えの中で、この世界は、重要な内容に関してはゲームの通りに進めようとする強制力のようなものがあるのではと考えている。
だから、ゲームにそこまで関係なく序盤で消える俺に関しては、変える事が出来たし、ゲームの重要な問題である兄上とセシリアの仲は変える事が出来なかったのでは、と。
そこで、重要になってくるのが、俺が目標としているセシリアを死なせない事。これは、ゲームに関してどれ程の重要度を持っていたか。これが関わってくると思う。
2日間徹夜でゲームした俺としては……彼女の死はゲームにそれ程重要では無かったと考えている。セシリアが死んで兄上が悲しんだか、と言われればゲームの中ではそこまでだった。それよりも、民が死んだ事の方が悲しんでいたと思う……それはそれで腹が立つが。
第2章が始まる序盤で重要なのは、どこで魔王が出現して魔物の大群が現れたか、だと俺は考える。魔王の軍勢がセシリアの両親の領地であるバレンタイン侯爵領に現れた事が重要だという事は、あの領地に魔王が現れる事は変えられないと思う。
だけど、セシリアの死が重要でないのであるのならば、俺の体形や周りの評価を若干ではあるが変えられたように、セシリアを助ける事が出来るんじゃないか、と考えている。
そして、彼女を助けられるのは、その結末を知っている俺だけだ……と、今までは思っていたけど、まさか、俺以外にもゲームの事を知る者がこの世界にいたなんてな。
彼女の口ぶりからしてもかなりやり込んでいたのがわかる。彼女ならたった2徹しかしていない俺では知らない事を知っているかもしれない。
それだけに彼女とは懇意になりたい。先程の感じたとかなり好印象には見えていたはずだ。これから少しずつ話を聞けるようにしていこう。
今後の事について考えていると、塔のてっぺんにある鐘が鳴った。この音は確か……
「全員揃ってるか〜?」
鐘の音が鳴ったのと同時に扉を開けて教室へと入ってくる男性。茶髪で無精髭を生やしており、服装も少しボロボロの服を着ている、一見不審者に見えなくもない男性が教室へと入って来た。
その教師を見るなり俺の後ろの席に座るエレネが声を上げる。近くの奴にしか聞こえない声だったけど、彼女が声を上げた理由を知っているのは俺だけだろう。
なんせ、教室に入って来た男性は、元魔法師団団長なのだから。名前は確か……
「あー、俺の名前はフレック・オーリン。これからお前らを担当する事になる担任だ。貴族平民関係無くこの口調だから、まぁ、気にすんなや」
そう、フレック・オーリンだ。彼を知っているのはこのクラスの中だと俺とエレネぐらいだろう。もしかしたら、魔法師家系の者がいたら知っているかもしれない。
彼はゲームの中で色々と教えてくれたり、訓練してくれたりするNPCだ。第2章になってからは連れて行く事は出来なくなってしまうが、第1章で色々と教えてくれるため、誰もが1度は話しかけるキャラクターだ。
ゲームの中ではどこかのクラスの担任って事はわかっていたのだけど、まさか、このクラスだったとは。後ろのゲームを知るエレネに、色々と教えてくれる知恵袋のフレック先生。これは中々幸先がいいのではないだろうか。
俺の顔を見てキラキラと目を輝かせる紫髪の少女。さっきの言葉や今の言葉を聞く限りこの少女……ゲームの事を知っている!?
……落ち着け、俺。今慌てて話しかけても相手を警戒させるだけだ。ここは普通に話しかけよう。俺は自分を落ち着かせて笑顔で俺を見て来る少女を見る。
「初めまして。俺の名前はジークレント・ヴァン・アルフォールだ。同じクラスメイトだ。俺の事はジークと呼んでくれ」
「わぁっ! 本当にジークだ! しかも、ゲームの時より物凄く優しくてイケメン! 初めまして! 私はエレネ! よろしく!」
あまりにも俺にフレンドリーに接する紫髪の少女、エレネに周りのクラスメイトたちは絶句。マイルは白目を向いていた。
まあ、俺が王子という肩書きと俺の評価の低さを知っている周りからすれば驚きなのだろう。この3年……もうすぐ4年だが自分なりに努力して来たつもりだが、それを全部の貴族が認めているかといわれれば、そうではないからな。
俺の手を取ってぶんぶんと振るエレネ。周りはそれを見て何故か顔を青くしていた。いや、別に何もしないからな?
馴れ馴れしく肩でも回してきたら流石に言うけど、この程度なら全然。むしろウェルカムだ。みんなもしてくれて良いんだぜ?
そんな俺の願いは通じずに、遠巻きから俺たちを見守るクラスメイトたち。まあ、まだ1日目だ。クラスメイトたちとの仲はこれから育んで行こう。
俺の後ろの席に座ったエレネはぶつぶつと独り言を話しているが、話している内容が俺の事だった。俺の予想通りゲームの内容を知っているようだ。
そんな彼女の呟いている内容が、俺が消えるシーンについてだった。本来の俺は、ストーリーの序盤も序盤。入学して1月経ったぐらいで消えてしまうキャラクターだ。
ゲーム通りなら俺の体形は今より大分肥えていた。俺の記憶が戻った時よりも一回りぐらいは大きくなっていたはずだ。
そして、ヒロインに一目惚れしていた。その結果、無理にヒロインに迫って兄上にやられるのだが。だけど、今の俺はそんな事にはならないだろう。
だが、確実とは言い難い部分もある。それは、兄上たちの事だ。俺が何とか仲を取り持とうとしたけど、兄上とセシリアの仲が直る事はなく、婚約者が変わる事もなかった。
俺の考えの中で、この世界は、重要な内容に関してはゲームの通りに進めようとする強制力のようなものがあるのではと考えている。
だから、ゲームにそこまで関係なく序盤で消える俺に関しては、変える事が出来たし、ゲームの重要な問題である兄上とセシリアの仲は変える事が出来なかったのでは、と。
そこで、重要になってくるのが、俺が目標としているセシリアを死なせない事。これは、ゲームに関してどれ程の重要度を持っていたか。これが関わってくると思う。
2日間徹夜でゲームした俺としては……彼女の死はゲームにそれ程重要では無かったと考えている。セシリアが死んで兄上が悲しんだか、と言われればゲームの中ではそこまでだった。それよりも、民が死んだ事の方が悲しんでいたと思う……それはそれで腹が立つが。
第2章が始まる序盤で重要なのは、どこで魔王が出現して魔物の大群が現れたか、だと俺は考える。魔王の軍勢がセシリアの両親の領地であるバレンタイン侯爵領に現れた事が重要だという事は、あの領地に魔王が現れる事は変えられないと思う。
だけど、セシリアの死が重要でないのであるのならば、俺の体形や周りの評価を若干ではあるが変えられたように、セシリアを助ける事が出来るんじゃないか、と考えている。
そして、彼女を助けられるのは、その結末を知っている俺だけだ……と、今までは思っていたけど、まさか、俺以外にもゲームの事を知る者がこの世界にいたなんてな。
彼女の口ぶりからしてもかなりやり込んでいたのがわかる。彼女ならたった2徹しかしていない俺では知らない事を知っているかもしれない。
それだけに彼女とは懇意になりたい。先程の感じたとかなり好印象には見えていたはずだ。これから少しずつ話を聞けるようにしていこう。
今後の事について考えていると、塔のてっぺんにある鐘が鳴った。この音は確か……
「全員揃ってるか〜?」
鐘の音が鳴ったのと同時に扉を開けて教室へと入ってくる男性。茶髪で無精髭を生やしており、服装も少しボロボロの服を着ている、一見不審者に見えなくもない男性が教室へと入って来た。
その教師を見るなり俺の後ろの席に座るエレネが声を上げる。近くの奴にしか聞こえない声だったけど、彼女が声を上げた理由を知っているのは俺だけだろう。
なんせ、教室に入って来た男性は、元魔法師団団長なのだから。名前は確か……
「あー、俺の名前はフレック・オーリン。これからお前らを担当する事になる担任だ。貴族平民関係無くこの口調だから、まぁ、気にすんなや」
そう、フレック・オーリンだ。彼を知っているのはこのクラスの中だと俺とエレネぐらいだろう。もしかしたら、魔法師家系の者がいたら知っているかもしれない。
彼はゲームの中で色々と教えてくれたり、訓練してくれたりするNPCだ。第2章になってからは連れて行く事は出来なくなってしまうが、第1章で色々と教えてくれるため、誰もが1度は話しかけるキャラクターだ。
ゲームの中ではどこかのクラスの担任って事はわかっていたのだけど、まさか、このクラスだったとは。後ろのゲームを知るエレネに、色々と教えてくれる知恵袋のフレック先生。これは中々幸先がいいのではないだろうか。
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