悪役令嬢を助けるために俺は乙女ゲームの世界を生き抜く!
26.初戦闘
「この森で魔物を探します」
朝の話から3時間後、街を出てやってきた森を前にアルフォンスさんがそう言う。中々広い森だな。確かにこの森ならいそうだ。
アルフォンスさんの手にはゲーム通りの攻防一体のタワーシールドが握られており、レイチェルさんも初めてあった時に振っていた大剣を背負っている。
俺も父上から戴いた装備を身につけ、腰には漆黒の剣を差してある。しかし、実戦か。今までレイチェルさんとの訓練で少しは強くなったつもりはあるが、実際やるとなると色々と緊張するな。何より前世では経験しなかった殺しをしなければいけない。
頭の中ではやらなければいけないと思っていても、いざやるとなると俺は動けるのだろうか? そんな心配をしていると
「緊張する事はない。訓練の通りやれば良いからね」
と、レイチェルさんが俺の隣に立って言ってくれる。そうだよな。いくら迷っても、この2年間レイチェルさんとやって来た訓練は間違いではない。それは確かだ。
「そうだな。レイチェルさんの言う通りだ。それじゃあみんな行こうか」
ここで、緊張していても仕方ない。さっさと森へと入ろう。森に入る順番はアルフォンスさんたち第5部隊の3人が先頭で、その次がテルマ、そして俺とクロエで、俺の後ろにエンフィ、殿がレイチェルさんだ。
迷う事なくサクサクと進むアルフォンスさんたちの後に続く俺たち。まるでどこか行き先が決まっているかのように。そのことに疑問を浮かべていると
「あら、この先は確か……」
俺の隣を歩いていたクロエが何かに気が付いたようだ。何か聞こうとしたその時
「ギギィ!」
と、鳴き声が聞こえて来た。アルフォンスさんたちの向こう側を見るとそこには、生まれて初めて見るゴブリンが立っていた。
体長は160センチの俺より少し低いくらいの140センチほど。腰巻きのみをつけて、手にはどこから手に入れたのか、錆びた短剣が握られていた。
「ようやく見つけた。はっ!」
初めて見るゴブリンを見ていると、アルフォンスさんが突然出会って立ち尽くしているゴブリンに向かって殺気を放つ。殺気に当てられたゴブリンは尻餅をついて慌てて逃げていく。
そして、その後を追いかけていくアルフォンスさんたち。レイチェルさんはわかっているようで俺たちに後に続くように促してくるけど、一体どこへ向かっているんだ?
わけもわからないまま仕方なくアルフォンスさんたちの後を追いかけていくと、森の中に開いた場所があった。そして、そこには沢山のゴブリンがいた。
「伯爵が言っていた通り、ゴブリンの奴ら、巣を作っていたな」
「ええ、ですがまだ作り始めたばかりのようですね。上位種がハイゴブリンしかいません」
沢山集まったゴブリンたちから気が付かれない位置で話し合うレイチェルさんとアルフォンスさん。話の流れからしてここは作りたてのゴブリンの集落って事か。
……作りたてっていうのに既にゴブリンが40体近くいるのは、奴らの繁殖率の高さを物語っているだろう。
「ああ、今の内に潰しておくに限るね。みんな、戦闘準備だよ」
そして、俺の初陣がゴブリンの集落の殲滅に決まった瞬間だった。いきなり、難易度高すぎませんかね? そう思ってレイチェルさんへと視線を向けていると
「殿下の装備ならゴブリンなんかじゃあ傷一つつけられないから、革鎧で覆われていないところ以外を気をつければ大丈夫さ。それに、余裕があるよりも、少し危険がある方が体が動くもんさ」
「大丈夫です、殿下! 我々が命を懸けてお守りしますので!」
ニヤリと笑みを浮かべたレイチェルさんに、真面目な顔で宣言をするアルフォンスさん。2人がそこまで言うならやってみるか。
俺は何度も深呼吸をして、腰に差してある剣を抜く。そして、周りをのみんなの顔を見て頷く。初めに動いたのはエンフィだった。エンフィの得意な風魔法で、呑気に座っていたゴブリンの頭を撃ち抜いた。
突然頭が吹き飛び血を流すゴブリンに、仲間たちは騒然とするけど、そこにレイチェルさんとアルフォンスさんが突撃する。
一振りで複数のゴブリンを吹き飛ばすレイチェルさんに、盾を巧みに振り回してゴブリンを吹き飛ばすアルフォンスさん。これって、俺たち要らなくね?
つい、そう思ってしまうけど、俺もやる事はやらないと。強化魔法を全身に使い、俺もゴブリンへと向かう。
俺が向かったゴブリンは錆びた槍を持っており、俺が近づいて来た事に気が付いて無造作に槍を突いてくる。
形も何もなっていない適当に突いてきただけなので、左手で槍を逸らして、下から剣を振り上げる。緊張してなのか少し手元が狂ってしまい、ゴブリンの胸元を切ったのだが、傷が浅かった。
ゴブリンはギャギャと喚きながら俺から距離を取ろうとするが、ここでビビって逃すわけにはいかないので、空いている左手でゴブリンの頭を掴み、喚く口に向かって剣を突き出す。同時に左手で引き寄せてくる。
ゴブリンの口の中から背に向けて突き刺さる感覚が右手を通してくるが、気にしないようにして突き刺す。死んだのを確認してから剣を引き抜くと、剣と右手にベッタリと血が付いているのに気が付いた。
どうにかしたかったけど、別のゴブリンが近づいている事に気が付いたので、我慢して構えると、次の瞬間、どこからともなく飛んで来た刀たちにゴブリンが串刺しになってしまった。
あまりにも突然のため呆然とするけど、刀を使う人物なんて俺たちの中で1人しかいなかった。
「大丈夫ですか、旦那様?」
その本人はまるで散歩をするかのように悠々と俺の隣に立つ。この雰囲気からして俺なんかより相当戦い慣れているな。
彼女、クロエの周りには浮遊する数本の刀。これは刀の能力なのか、それともクロエが使える魔法なのかはわからないけど、クロエは近づいて来るゴブリンに自由自在に刀を動かして、切り殺していく。
俺に迫って来たゴブリンですら、クロエの刀の餌食になってしまった。そして、気が付けばゴブリンは全滅してしまっていた……あれ? 俺1体しか倒してなくね?
朝の話から3時間後、街を出てやってきた森を前にアルフォンスさんがそう言う。中々広い森だな。確かにこの森ならいそうだ。
アルフォンスさんの手にはゲーム通りの攻防一体のタワーシールドが握られており、レイチェルさんも初めてあった時に振っていた大剣を背負っている。
俺も父上から戴いた装備を身につけ、腰には漆黒の剣を差してある。しかし、実戦か。今までレイチェルさんとの訓練で少しは強くなったつもりはあるが、実際やるとなると色々と緊張するな。何より前世では経験しなかった殺しをしなければいけない。
頭の中ではやらなければいけないと思っていても、いざやるとなると俺は動けるのだろうか? そんな心配をしていると
「緊張する事はない。訓練の通りやれば良いからね」
と、レイチェルさんが俺の隣に立って言ってくれる。そうだよな。いくら迷っても、この2年間レイチェルさんとやって来た訓練は間違いではない。それは確かだ。
「そうだな。レイチェルさんの言う通りだ。それじゃあみんな行こうか」
ここで、緊張していても仕方ない。さっさと森へと入ろう。森に入る順番はアルフォンスさんたち第5部隊の3人が先頭で、その次がテルマ、そして俺とクロエで、俺の後ろにエンフィ、殿がレイチェルさんだ。
迷う事なくサクサクと進むアルフォンスさんたちの後に続く俺たち。まるでどこか行き先が決まっているかのように。そのことに疑問を浮かべていると
「あら、この先は確か……」
俺の隣を歩いていたクロエが何かに気が付いたようだ。何か聞こうとしたその時
「ギギィ!」
と、鳴き声が聞こえて来た。アルフォンスさんたちの向こう側を見るとそこには、生まれて初めて見るゴブリンが立っていた。
体長は160センチの俺より少し低いくらいの140センチほど。腰巻きのみをつけて、手にはどこから手に入れたのか、錆びた短剣が握られていた。
「ようやく見つけた。はっ!」
初めて見るゴブリンを見ていると、アルフォンスさんが突然出会って立ち尽くしているゴブリンに向かって殺気を放つ。殺気に当てられたゴブリンは尻餅をついて慌てて逃げていく。
そして、その後を追いかけていくアルフォンスさんたち。レイチェルさんはわかっているようで俺たちに後に続くように促してくるけど、一体どこへ向かっているんだ?
わけもわからないまま仕方なくアルフォンスさんたちの後を追いかけていくと、森の中に開いた場所があった。そして、そこには沢山のゴブリンがいた。
「伯爵が言っていた通り、ゴブリンの奴ら、巣を作っていたな」
「ええ、ですがまだ作り始めたばかりのようですね。上位種がハイゴブリンしかいません」
沢山集まったゴブリンたちから気が付かれない位置で話し合うレイチェルさんとアルフォンスさん。話の流れからしてここは作りたてのゴブリンの集落って事か。
……作りたてっていうのに既にゴブリンが40体近くいるのは、奴らの繁殖率の高さを物語っているだろう。
「ああ、今の内に潰しておくに限るね。みんな、戦闘準備だよ」
そして、俺の初陣がゴブリンの集落の殲滅に決まった瞬間だった。いきなり、難易度高すぎませんかね? そう思ってレイチェルさんへと視線を向けていると
「殿下の装備ならゴブリンなんかじゃあ傷一つつけられないから、革鎧で覆われていないところ以外を気をつければ大丈夫さ。それに、余裕があるよりも、少し危険がある方が体が動くもんさ」
「大丈夫です、殿下! 我々が命を懸けてお守りしますので!」
ニヤリと笑みを浮かべたレイチェルさんに、真面目な顔で宣言をするアルフォンスさん。2人がそこまで言うならやってみるか。
俺は何度も深呼吸をして、腰に差してある剣を抜く。そして、周りをのみんなの顔を見て頷く。初めに動いたのはエンフィだった。エンフィの得意な風魔法で、呑気に座っていたゴブリンの頭を撃ち抜いた。
突然頭が吹き飛び血を流すゴブリンに、仲間たちは騒然とするけど、そこにレイチェルさんとアルフォンスさんが突撃する。
一振りで複数のゴブリンを吹き飛ばすレイチェルさんに、盾を巧みに振り回してゴブリンを吹き飛ばすアルフォンスさん。これって、俺たち要らなくね?
つい、そう思ってしまうけど、俺もやる事はやらないと。強化魔法を全身に使い、俺もゴブリンへと向かう。
俺が向かったゴブリンは錆びた槍を持っており、俺が近づいて来た事に気が付いて無造作に槍を突いてくる。
形も何もなっていない適当に突いてきただけなので、左手で槍を逸らして、下から剣を振り上げる。緊張してなのか少し手元が狂ってしまい、ゴブリンの胸元を切ったのだが、傷が浅かった。
ゴブリンはギャギャと喚きながら俺から距離を取ろうとするが、ここでビビって逃すわけにはいかないので、空いている左手でゴブリンの頭を掴み、喚く口に向かって剣を突き出す。同時に左手で引き寄せてくる。
ゴブリンの口の中から背に向けて突き刺さる感覚が右手を通してくるが、気にしないようにして突き刺す。死んだのを確認してから剣を引き抜くと、剣と右手にベッタリと血が付いているのに気が付いた。
どうにかしたかったけど、別のゴブリンが近づいている事に気が付いたので、我慢して構えると、次の瞬間、どこからともなく飛んで来た刀たちにゴブリンが串刺しになってしまった。
あまりにも突然のため呆然とするけど、刀を使う人物なんて俺たちの中で1人しかいなかった。
「大丈夫ですか、旦那様?」
その本人はまるで散歩をするかのように悠々と俺の隣に立つ。この雰囲気からして俺なんかより相当戦い慣れているな。
彼女、クロエの周りには浮遊する数本の刀。これは刀の能力なのか、それともクロエが使える魔法なのかはわからないけど、クロエは近づいて来るゴブリンに自由自在に刀を動かして、切り殺していく。
俺に迫って来たゴブリンですら、クロエの刀の餌食になってしまった。そして、気が付けばゴブリンは全滅してしまっていた……あれ? 俺1体しか倒してなくね?
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