英雄の妹、最強を目指す!
25話 新たな仲間
「さあ、着いたわ5階層! みんな頑張るわよ!」
私の気合の入った声に、みんなは苦笑いをして見て来る。な、何よ、その暖かい目線は! 終いにはエリアに頭を撫でられてしまった。むむぅ、たまに見せるエリアのお姉さんモードね。悔しいけど気持ちいい。
「クリシア、気合いを入れるのはいいのですが、元々の目的はリリーナの実力と連携の確認をするためですよ?」
「わ、わかっているわよ。それも含めて頑張るわよ!」
私の言葉に納得出来たのか、エリアはニコニコと笑顔のまま頷く。この状態のエリアには敵わないわね。隣でニヤニヤと見ているデルスは後でしばく。
隊列は盾持ちのリリーナとデルスが2人並んで先頭に立ち、エリアが間に入り、私となる。まあ、この辺は状況に応じて変わったりはするけど。
リリーナの装備はなかなか面白いものだった。何も武器は持っていなかったのだけど、鎧の一部分がエリアの持つアイテムポーチと同じ効果の空間魔法が付与されているのか、そこから盾と剣を取り出した。
盾は、リリーナの体の半分を覆うほどの大きさで、効果は魔力を流すと魔力障壁を張ったり、逆に相手の魔法を吸収して跳ね返したりも出来るみたい。
剣の方は刃渡り90センチほどの両刃剣で、こちらも魔力を流せば斬撃を飛ばしたり出来るらしい。
そして、鎧、剣、盾、全てを装備している人は、全ステータスが上昇するんだとか。とんでもない装備だった。通りでリリーナはいつも鎧を着ているわけね。ヘルムも外したら効果が無くなるんだとか。そういうところは不便ね。
「さて、一緒に頑張ろうか、リリーナちゃん」
「は、はい、よろしくお願いします、デルスさん」
「っ!!!」
多分笑顔で言っているリリーナに、何故か感動するデルス。それからなんか物凄い笑顔でこちらを見て来るのだけど。気持ちが悪いんだけど、何なのかしら?
「いや〜、女性に優しく話しかけられたのって久しぶ……べっ!?」
突然何を言い出すのかしら、デルスは? 思わず杖で殴っちゃったじゃない。殴られた左頬を押さえながら、地べたに這い蹲るデルス。そして汗を滝のようにだらだらと流し始めた。
どうしてそんなに体を震わせているのかしら? 私とエリアが優しく微笑んでいるだけなのに。どうしてそんなに涙目になっているのかしら? 私もエリアもつい首を傾げてしまう。全く理由がわからないわ。
「あわわわっ、どどど、どうしましょう!?」
その向こうでは、私たちを見て何故か慌てているリリーナの姿が。全く、デルスもリリーナもおかしいわね。
私とエリアがデルスを囲もうとしていたら、通路の奥から剣を持ったゴブリンが歩いて来た。おっと、ここが迷宮だって事を少し忘れていたわ。
「ほら、さっさと立ちなさい、デルス。リリーナもよろしくね」
慌てて立ち上がるデルスとカクカクカクと勢い良く頷くリリーナ。2人はすぐに私たちの前で盾を構える。
現れたのはゴブリンソルジャーが2体に、普通のゴブリンが3体、その奥にゴブリンを少し大きくしたのが1体。あれはハイゴブリンね。
私たちを見つけたゴブリンたちは、ゴブリンソルジャーを先頭に駆け出して来た。
「リリーナは左側を頼む! 僕は右側を押さえる!」
「わかりました!」
デルスの指示で飛び出すリリーナ。リリーナに向かってゴブリンソルジャーは剣を振り下ろすけど、リリーナは当然盾で防ごうとする。
しかも、リリーナの盾とゴブリンソルジャーの剣が触れようとした時、盾が淡く光り始めた。そして、盾と剣がぶつかった瞬間、パァーンッ、とゴブリンソルジャーの剣が弾かれたではないか。
盾とぶつかった衝撃というより、盾に触れる前に跳ね返されたって感じ。もしかして、あれが話していた障壁なのかしら?
障壁により剣を打ち上げられたゴブリンソルジャーは、その勢いに耐えきれず、後ろに数歩下がる。そこに間合いを詰めたリリーナが、下から剣を左上へと切り上げた。
剣を打ち上げられ、防ぐ術のないゴブリンソルジャーは、剣の軌跡の通り傷が入った。鋭い一撃によりゴブリンソルジャーは一撃で倒れた。
やっぱり盾役が2人いるとかなり違うわね。まず1人では数的に押さえきれなかった魔物が、抜けて来る事が無いのだもの。これ以上増えればわからないけど、今の数だと全く苦にならない。
2人が押さえていてくれる間に、私とエリアは魔法を放つ準備ができた。
「いくわよ! アイスランス!」
「行きます! ファイアランス!」
私とエリアは、ゴブリンソルジャーの後ろを走っていたゴブリンへと魔法を放つ。ゴブリンたちは避ける暇も無く貫かれる。
貫かれて倒れるゴブリンたちを横目に、リリーナとデルスが走っていく。狙うは残ったハイゴブリンだ。ハイゴブリンは、普通のゴブリンと比べて大きくなった腕を振り回して来る。
デルスは腕を避けて脇腹を切る。リリーナは腕をさっきのゴブリンソルジャーと同じように弾いて、肘の部分に剣を突き刺す。これでハイゴブリンの右腕は使えなくなった。
残った左腕で再び攻撃しようとするけど、私たちから注意が散漫になっているわよ?
「グギギィ!?」
ハイゴブリンは突然足を滑らせてその場でこけてしまう。私が氷魔法で床をツルツルにしたからね。更に追い討ちをかけるように、エリアがファイアランスを放つ。
滑って避ける事の出来ないハイゴブリンに真っ直ぐにと向かい、グサグサと刺さっていく。ハイゴブリンは痛みに叫ぶけど、そのまま力尽きていった。
「ふぅ、何だか今までより楽になったわね」
「本当だよ! これもリリーナちゃんが入ってくれたからだよ!」
デルスはそう言いながらリリーナの手を握る。リリーナはどうしたらいいのかわからないのか、「ははは」と笑っていた。嫌なら殴っても良いのよ? 私が許可するわ。
「ええ、リリーナさん、これからもよろしくお願いしますね」
「は、はい! 私も皆様を守れるように頑張ります!」
そう言ってぺこぺこと頭を下げるリリーナ、固いわね〜。もっと気楽にしてくれたら良いのに。これから一緒に戦う仲間なんだから。
リリーナの手を握り過ぎて、エリアに杖で叩かれているデルスを見ながらも、そう思ったのだった。
私の気合の入った声に、みんなは苦笑いをして見て来る。な、何よ、その暖かい目線は! 終いにはエリアに頭を撫でられてしまった。むむぅ、たまに見せるエリアのお姉さんモードね。悔しいけど気持ちいい。
「クリシア、気合いを入れるのはいいのですが、元々の目的はリリーナの実力と連携の確認をするためですよ?」
「わ、わかっているわよ。それも含めて頑張るわよ!」
私の言葉に納得出来たのか、エリアはニコニコと笑顔のまま頷く。この状態のエリアには敵わないわね。隣でニヤニヤと見ているデルスは後でしばく。
隊列は盾持ちのリリーナとデルスが2人並んで先頭に立ち、エリアが間に入り、私となる。まあ、この辺は状況に応じて変わったりはするけど。
リリーナの装備はなかなか面白いものだった。何も武器は持っていなかったのだけど、鎧の一部分がエリアの持つアイテムポーチと同じ効果の空間魔法が付与されているのか、そこから盾と剣を取り出した。
盾は、リリーナの体の半分を覆うほどの大きさで、効果は魔力を流すと魔力障壁を張ったり、逆に相手の魔法を吸収して跳ね返したりも出来るみたい。
剣の方は刃渡り90センチほどの両刃剣で、こちらも魔力を流せば斬撃を飛ばしたり出来るらしい。
そして、鎧、剣、盾、全てを装備している人は、全ステータスが上昇するんだとか。とんでもない装備だった。通りでリリーナはいつも鎧を着ているわけね。ヘルムも外したら効果が無くなるんだとか。そういうところは不便ね。
「さて、一緒に頑張ろうか、リリーナちゃん」
「は、はい、よろしくお願いします、デルスさん」
「っ!!!」
多分笑顔で言っているリリーナに、何故か感動するデルス。それからなんか物凄い笑顔でこちらを見て来るのだけど。気持ちが悪いんだけど、何なのかしら?
「いや〜、女性に優しく話しかけられたのって久しぶ……べっ!?」
突然何を言い出すのかしら、デルスは? 思わず杖で殴っちゃったじゃない。殴られた左頬を押さえながら、地べたに這い蹲るデルス。そして汗を滝のようにだらだらと流し始めた。
どうしてそんなに体を震わせているのかしら? 私とエリアが優しく微笑んでいるだけなのに。どうしてそんなに涙目になっているのかしら? 私もエリアもつい首を傾げてしまう。全く理由がわからないわ。
「あわわわっ、どどど、どうしましょう!?」
その向こうでは、私たちを見て何故か慌てているリリーナの姿が。全く、デルスもリリーナもおかしいわね。
私とエリアがデルスを囲もうとしていたら、通路の奥から剣を持ったゴブリンが歩いて来た。おっと、ここが迷宮だって事を少し忘れていたわ。
「ほら、さっさと立ちなさい、デルス。リリーナもよろしくね」
慌てて立ち上がるデルスとカクカクカクと勢い良く頷くリリーナ。2人はすぐに私たちの前で盾を構える。
現れたのはゴブリンソルジャーが2体に、普通のゴブリンが3体、その奥にゴブリンを少し大きくしたのが1体。あれはハイゴブリンね。
私たちを見つけたゴブリンたちは、ゴブリンソルジャーを先頭に駆け出して来た。
「リリーナは左側を頼む! 僕は右側を押さえる!」
「わかりました!」
デルスの指示で飛び出すリリーナ。リリーナに向かってゴブリンソルジャーは剣を振り下ろすけど、リリーナは当然盾で防ごうとする。
しかも、リリーナの盾とゴブリンソルジャーの剣が触れようとした時、盾が淡く光り始めた。そして、盾と剣がぶつかった瞬間、パァーンッ、とゴブリンソルジャーの剣が弾かれたではないか。
盾とぶつかった衝撃というより、盾に触れる前に跳ね返されたって感じ。もしかして、あれが話していた障壁なのかしら?
障壁により剣を打ち上げられたゴブリンソルジャーは、その勢いに耐えきれず、後ろに数歩下がる。そこに間合いを詰めたリリーナが、下から剣を左上へと切り上げた。
剣を打ち上げられ、防ぐ術のないゴブリンソルジャーは、剣の軌跡の通り傷が入った。鋭い一撃によりゴブリンソルジャーは一撃で倒れた。
やっぱり盾役が2人いるとかなり違うわね。まず1人では数的に押さえきれなかった魔物が、抜けて来る事が無いのだもの。これ以上増えればわからないけど、今の数だと全く苦にならない。
2人が押さえていてくれる間に、私とエリアは魔法を放つ準備ができた。
「いくわよ! アイスランス!」
「行きます! ファイアランス!」
私とエリアは、ゴブリンソルジャーの後ろを走っていたゴブリンへと魔法を放つ。ゴブリンたちは避ける暇も無く貫かれる。
貫かれて倒れるゴブリンたちを横目に、リリーナとデルスが走っていく。狙うは残ったハイゴブリンだ。ハイゴブリンは、普通のゴブリンと比べて大きくなった腕を振り回して来る。
デルスは腕を避けて脇腹を切る。リリーナは腕をさっきのゴブリンソルジャーと同じように弾いて、肘の部分に剣を突き刺す。これでハイゴブリンの右腕は使えなくなった。
残った左腕で再び攻撃しようとするけど、私たちから注意が散漫になっているわよ?
「グギギィ!?」
ハイゴブリンは突然足を滑らせてその場でこけてしまう。私が氷魔法で床をツルツルにしたからね。更に追い討ちをかけるように、エリアがファイアランスを放つ。
滑って避ける事の出来ないハイゴブリンに真っ直ぐにと向かい、グサグサと刺さっていく。ハイゴブリンは痛みに叫ぶけど、そのまま力尽きていった。
「ふぅ、何だか今までより楽になったわね」
「本当だよ! これもリリーナちゃんが入ってくれたからだよ!」
デルスはそう言いながらリリーナの手を握る。リリーナはどうしたらいいのかわからないのか、「ははは」と笑っていた。嫌なら殴っても良いのよ? 私が許可するわ。
「ええ、リリーナさん、これからもよろしくお願いしますね」
「は、はい! 私も皆様を守れるように頑張ります!」
そう言ってぺこぺこと頭を下げるリリーナ、固いわね〜。もっと気楽にしてくれたら良いのに。これから一緒に戦う仲間なんだから。
リリーナの手を握り過ぎて、エリアに杖で叩かれているデルスを見ながらも、そう思ったのだった。
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