英雄の妹、最強を目指す!

やま

23話 面倒事

「……」


「……」


「……うぅっ」


「「誰?」」


 まあ、当然の反応よね。久し振りにナノール王国へと帰って来た次の日。約束の冒険者ギルドで私たちが待っていると、約束の時間通りに来た2人とも。


 2人とも何時ものように話しかけようとした時に、私、シロナ、そして全身鎧の人が立っていれば、それは驚くよね。


 2人は私とシロナの隣に立つ鎧姿の人、リリーナを穴が空くぐらい見ている。そして見られるリリーナはもじもじとしていた。ヘルム脱いだ後の、デルスの反応が楽しみね。


「ほら、リリーナ。ヘルム外して自己紹介しないと」


「はっ、はい、そうですね!」


 リリーナは、ガチャガチャとヘルムを外す。そしてパサッと出てくる金髪の綺麗な髪。さっきまで近くでジロジロと見ていたデルスは「へっ!?」と変な声を出して、エリアは「あらまあ!」と驚いている。


「み、みなさん、初めまして。リリーナといいます。昨日、クリシアさんに危ないところを助けてもらって、その上、チームに誘われました。もし良かったらよろしくお願いします!」


 そう言い2人に頭を下げるリリーナ。直ぐに気を取り直して挨拶をしたのはやっぱりエリアだった。エリアの優しい笑顔に、緊張していたリリーナもようやく微笑んで2人は握手をする。美人同士が微笑みながら握手をする。絵になるわね。


 ただ、問題なのは


「ふっ、リリーナさん。僕の名前はデルス・マッカートニーです。これから僕の隣でよろしく頼むよ」


「えっ、は、はい? えっ?」


 突然の変わりように、リリーナは慌てている。この馬鹿は。デルスの顔は腹が立つけど整っている。街娘に話しかけたら10人中7人はついてくるほどに。


 でも、リリーナはそんな事に慣れていないのか、私とエリアとデルスの顔を見比べて戸惑っている。


「デルス、やめなさい。リリーナが困っているでしょ」


「おっと、ごめんね、リリーナさん。君が美し過ぎてつい」


 一回ボコボコにしてやろうかしら、こいつ。まあ、そんな事したら塔攻略が出来なくなってしまうからしないけれど。でも、安全なところで後ろから魔法を撃ってやる。


「まあ、挨拶もそこそこにして、そろそろ行きましょう。リリーナも向こうには行った事あるみたいだから大丈夫よね?」


「はい、大丈夫です」


 ヘルムを付け直して全身鎧に戻ったリリーナは頷く。デルスは落ち込んでいるけど、それで良いわよ。後ろでは


「どうしたのです、シロナちゃん?」


「……お尻……痛いです」


 さっきから静かだったシロナにエリアが話しかけていた。シロナは昨日のお仕置きでお尻ぺんぺんを10回したからか、今日も痛むみたい。


 まあ、自業自得よね。あんな大人の男に喧嘩売って。確かにあの男たちが悪かったけど、一歩間違えれば、シロナは怪我していたし。お尻ぺんぺんで済むなら安いものでしょう……夜までも痛むようなら魔法をかけてあげましょう。


 それからみんなでギルドの中を歩いていると


「待ちやがれ!」


 と、大きな声がして来た。私たちが声のする方へと向くと、リリーナが「うっ」と声を出す。私も声を出しそうだったわ。


 何故なら、私たちに声をかけて来た人は、昨日リリーナを殴ろうとしていた男たちだったからだ。シロナに関しては既に威嚇していたし。ぺんぺんは自分が悪いのよ。原因の男たちだけど八つ当たりしちゃ駄目。


 エリアとデルスは誰だかわからないけど、困っている雰囲気を出すリリーナと、嫌悪感丸出しの私とシロナを見て、リリーナを庇うように立ってくれる。


「おい、リー! 何でそんなところにいるんだよ。早く依頼に行くぞ!」


 ……何か意味のわからない事を叫ぶ男A。リーっていうのはリリーナが正体を隠すのに使っていた名前なのでしょうけど、昨日の言葉を忘れたのかしら? 二度と来るなって言っていたのに、自分たちから来たわよ?


「わ、私は、昨日追い出された筈です。あ、あなたたちと依頼に行く理由はありません!」


「はぁ、何を言ってやがる。昨日のはその場の勢いで言っちまったに決まってんだろ? お前には感謝してるんだからよ。ほらさっさと行くぞ?」


 男Bはそんな事を言いながらリリーナの腕を掴んだ。まあ、当然連れて行かせないけど。


「やめなさい。リリーナが嫌がっているでしょう」


「あっ? お前にはかんけ……なっ!」


 私に文句を言おうとした男Bは、私の方を見て固まる。理由は男Bの喉元に、氷魔法で先端を尖らせた杖を突き付けているから。もう、ここまでいったら話し合いなんて無理だわ。実力行使で行かないと。


 それを見ていた男Aは、腰の剣を抜く。同じようにデルスも剣を抜き、エリアは杖を構える。シロナはシャーと威嚇していた。可愛いんだけどあんたは下がっていなさい。


 一触触発の雰囲気。周りの冒険者たちも止めるどころか、私たちから離れて行く。今すぐにでも切り合いが始まりそうなところに


「何をしているの、あなたたちは」


 と、声がかけられた。みんなが声のする方を見ると、受付の奥から黒髪の兎族の獣人の女性が現れた。この人は……

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