英雄の妹、最強を目指す!

やま

17話 買取屋

「さて、まずはお楽しみの鑑定士のところへ行きましょうか」


 私の言葉にみんな頷く。特にデルスはそわそわそわそわと。見ていると鬱陶しく見えるほど、そわそわしている。


 私たちが目指す鑑定士の店は、塔の近くにあるギルドの、買取屋の隣にある。買取屋は塔で手に入れた魔石や魔物の素材、宝箱から手に入れた装備などを買い取ってくれたり、その買い取ったものを売ったりとしてくれるところだ。


 私たちも毎日通っている店でもある。塔で手に入れた魔石や素材を売ったりするのに。まだ、買ったりはしていないけど、その内お世話にはなると思う。


「クリシア様、手を繋ぎましょう〜」


「ふふ、そうね、逸れちゃ危ないから繋ぎましょうか」


 シロナはそんな事を言って手を伸ばして来る。私はついクスッと笑ってしまったけど、可愛いシロナの手を握る。


 シロナは私の手をにぎにぎすると、今度はエリアに向かって空いている左手を伸ばす。


「エリア様も!」


「ふふっ、わかりました」


 エリアもニコニコとしながらシロナの手を握る。私とエリアが手を握ると、シロナは嬉しそうに手を振る。本当に可愛いんだから。


 寂しそうに私たちを見るデルス。少し悪い気はするけど、女の輪の中には入れないから、そこで我慢していてね。


 しばらく3人で楽しく歩いていると、目的の店が見えて来た。私たちはそのまま中へと入ると、中は冒険者で賑わっていた。


 女性店員が色々と対応をして、受付の向こうでは、鑑定スキル持ちの人たちが、冒険者から渡された物を鑑定している。


 私たちも空きそうな……あっ、あそこがちょうど空いたわ。あそこにしよう。私たちの並んだところには、少し紫色が混じった銀髪の女性が立っていた。どこか眠たそうな、無気力な感じが気にはなるけど。


「すみません、鑑定をお願いしたいのですが」


「ん、置いて」


 女性はそれだけ言うとじっーと私を見て来る。なんだかそっけない人だけど、仕事はしてくれそうだからいいか。私はエリアの方を見ると、エリアがアイテムポーチから、昨日宝箱から手に入れたものを取り出す。


 取り出したのは、銀色の腕輪、黄土色の地図、それからひし形のかけらが赤色が1つ、青色が2つだった。


 鑑定士の銀髪の女性は、エリアが置いた物を1つずつと言うより、腕輪と地図だけを手に取って見る。ひし形のかけらは目を向けない。そしてあっという間に鑑定が終わった。


「この腕輪はパワーリング。付けると筋力を上げるリング。地図は3階層の地図。かけらは、赤が体力のかけら、青が魔力のかけら。それぞれ、塔で手に入る装備に付ける事が出来る」


 受付の女性は、淡々と鑑定結果を言うと黙ってしまった。本当に素っ気ないな〜。まあ、良いけど。パワーリングはデルスにあげよっか。地図は行くとして、かけらも塔の装備が無いと付けられないから保留だね。


「ありがとうございます。これが鑑定料です」


 買取屋の鑑定料は1つの物につき、一律300ベルになる。私たちが使うベル通貨は、大陸共通で使える通貨。1ベル硬貨、10ベル硬貨、100硬貨があり、1千ベル紙幣、1万ベル紙幣と続く。


 今回は、パワーリングと地図、かけらを見てもらったので合計5つの1500ベル。丁度お金を払うと、銀髪の女性は何故か首を傾げる。そして、900ベル返して来た。今度は私たちが首を傾げてしまった。


「かけらは鑑定には含まれない。色で決まっているから」


 その後にみんな知っていると続けられた。そうなんだ。後で知った話だと、赤色が体力、青色が魔力、黄色が筋力、緑色が敏捷、橙色が物耐、紫色が魔耐らしい。知らなかった。


 これは、塔に登る冒険者の中では、一般常識らしい。知らなかった。少し恥ずかしい思いはしたけど、知れて良かった。


「ありがとうございました。また来ます」


「ん、待ってる……英雄の妹」


 ボソッと呟かれた声に、私は振り向く。だけど、受付の向こうには既に銀髪の少女の姿はなかった。辺りを見回しても姿がない。裏に戻っただけかしら?


「どうしましたか、クリシア?」


 私が銀髪の少女を探していると、後ろから声がかけられる。振り向くと、エリアたちが待っている。私は再度受付を見ても、当然少女はいない。これ以上探しても無駄ね。


「ごめんエリア、何でもないわ。明日からの塔攻略のために、必要な物を買いに行きましょ」


「ええ」


「僕も新しい盾を買わないとな〜」


「私は、美味しい夜ご飯を作るために、材料を買いに行きたいです!」


 少し気にはなるけど、今日はせっかくの休日、楽しまくちゃね。


 ◇◇◇


「……様、英雄の妹が来ていた」


「ええ、私も感じ取っています。彼女の体に異変は無かったですか?」


「ん、ステータスも封印されているまま、指輪の効果は効いている」


「そう、それは良かった。引き続きお願いね。もしバレたら彼女の命が狙われるから」


「ん、私も英雄に命を救われた身。私の命にかけても守る」

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