英雄の妹、最強を目指す!

やま

9話 一息ついて

「そっちに行ったよ!」


「わかったわ!」


向かって来たのは3体。エリアを私の背後に立たせて、私は黒賢杖を構える。デルスも3体相手しているけど、あの程度にはデルスは負けない。私は目の前のゴブリンに意識を向ける。


ボロボロの短剣を持ったゴブリンは、短剣を頭上近くまで掲げながら、走ってくる。私は黒賢杖を構えて、迫るゴブリンを迎え撃つ。


短剣を突き出してくるゴブリンを避けて、足に杖を引っ掛けさせる。ゴブリンはそのまま杖に足をかけて、盛大に顔からこけた。


1体がこけている内に、杖を縦回転させ、もう1体のゴブリンの短剣を、打ち上げる。ゴブリンは簡単に短剣を手から離して、飛んでいく短剣を眺めている。


その隙をついて、左膝へと杖を突いて皿を割る。左膝を押さえて叫ぶゴブリンの頭へと、杖を振り下ろす。バキッ、と骨の折れる音がするとともに、地面へと叩きつけられるゴブリン。


その横を走るゴブリンに、そのまま杖を横に振る。杖の先端が、勢い良くゴブリンの顎へと当たり、脳を揺らす。私は横に振った勢いのまま回転し、ゴブリンの喉元目掛けて突きを放つ。再びゴキッとなる音と感触を感じながらも、最後まで体を動かす。


私の突きで飛んで行ったゴブリンは、変な方へと曲がった頭を壁に激突させる。そして、そのまま地面に倒れこんだ。


さて、デルスを助けようかと思ったけど、エリアの魔法のサポートもあって、丁度今ゴブリンを倒したようね。


「お疲れ様、デルス、エリア」


「ああ、お疲れ様クリシア。この階層にも慣れて来たな」


剣に付いた血糊を拭ってから鞘に入れるデルス。デルスの言う通りこの1階にも慣れて来たわね。


この迷宮にはいってから、既に4時間ぐらいは立っている。今日は初めの日だから、2階への道を探しながら、迷宮に慣れようとみんなで進んでいた。


その中で出てくる魔物は、ゴブリン種ばかりなのだ。出てくるのは、普通のゴブリン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンソルジャーぐらい。


迷宮は、冒険者Dランク以上しか使えない塔だ。当然、Dランクにもなる冒険者は、ゴブリンが数体いたぐらいでは、負けないわ。


しかも1階は、他の階に比べても、冒険者の数が多いため、魔物の数もそんなに多くは無い。集団で出ても、さっきの6体くらいが、1番多かったりする。


「ふう……これで終わりです」


エリアは最後のゴブリンの魔石を剥ぎ取って立ち上がる。霧となって消えていくゴブリンを見ながらどうするか考える。


塔に入ってからは、さっきも確認した通り、既に4時間が経っている。時間的には既に昼過ぎ。どこかで一旦休憩しようかしら。


「2人とも、そろそろ休憩しましょうか。初めての迷宮で興奮し過ぎて、数時間ぶっ通しで移動してしまったけど、流石に疲れたでしょ?」


「うぅ〜ん……そうですね。私は後ろで魔法を放つだけでしたが、少し疲れましたね」


「うん、良いと思うよ。2階への道もある程度はわかったしね」


背筋をぐぐっと伸ばすエリアの逸らされる大きな胸を、凝視しながらそんな事を言うデルス。あなた、その視線がエリアに気が付かれている事には、気が付いてないのかしら? 気が付いて無いのでしょうね。女の子はそういう視線には敏感なのに。


「……まあ、良いわ。どこか休めそうなところを探しましょ」


鼻の下を伸ばしているデルスを横目で見ながらも、私たちは休めるところを探す。その途中でも数体ゴブリンが現れたけど、まあ、私たちも少しは慣れたって事で、そんな時間をかけずに倒す事が出来た。


そして1時間ほどゆっくりと歩いた先には


「ここが2階に繋がる道ね」


2階へと繋がる階段を見つけた。階段の周りには、私たちと同じように休む他の冒険者の姿がちらほらと。階段へと繋がる部屋は、初めの入り口程の大きさは無いけど、詰めれば、人が100人は入れる程の広さはある。


どうやら、階段へと繋がる部屋には魔物が入って来ない見たい。私たちには見えない魔除けの魔法でもかかっているのかしら?


だから、本には危なくなったら階段へ逃げ込めって書いてあったのね。部屋の事は詳しく書かれていなかったから、見るまでわからなかったわ。


「クリシア? どうしたのです。こちらに来て座りませんか?」


エリアが自分の隣の地面をペシペシと叩きながら言ってくる。私はエリアの言葉に頷いて隣に座る。でもこの部屋は警戒しなくて済むから助かるわね。寝泊まりする時もこの部屋を使えば楽なのかしら。そんな話をしているとデルスが


「でも、この迷宮に挑んだ事のある知り合いに聞いた事があるんだけど、この部屋って稀に魔物が現れるようになっているみたいだよ。しかも、普通の魔物より強いのが」


「それって、守護者って訳じゃなくて?」


私の言葉に首を横に振るデルス。守護者っていうのは、5階層以降から全部の階に現れるその階のボスのようなもの。ボスを倒さないと先には進めないようになっている。


逆に1度でも倒していれば、次からは挑戦するかどうか選ぶ事が出来る。どうやって選ぶかはわからないのだけど。


それ以外にも、宝箱を守る守護者もいる。この迷宮に現れる魔物を倒すと、極稀にだけど、魔物のドロップアイテムに地図が入っている事がある。その地図は、宝箱がある場所を指している地図で、冒険者からは宝の地図と言われている。


地図には黄土色、銀色、金色、白色の地図があって、黄土色が1番手に入りやすい地図で、白色が今までに2枚しか見つかった事がない。しかも、まだ到達していない階層の地図だったりするから使えなかったり。


どこの地図なのかは、鑑定スキルを持つ人に頼めばわかるみたい。しかも、地図を手に入れて宝箱のある場所へ行けても、魔物を倒さないといけない。


それが、宝箱を守る守護者。その階層に出る魔物の上位種が出るみたいだけど、これがとても強いらしい。地図のランクによって魔物の強さも変わるみたいだけど、黄土色の地図でも、普通よりは強いって話。


私とエリアも地図を見つけたら挑みたいという話はした事がある。デルスには話してないわよ。だって、夜、2人で泊まった時に話していた事だもの。


それから、3人で休憩をしながらこれからどうするか話をしていたら


「おう、嬢ちゃんたち、新人かい?」


と、ニヤニヤと笑みを浮かべた男の冒険者たちが私たちの休んでいる側に立っていた。これってもしかして、学園でも習った……

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