英雄の妹、最強を目指す!

やま

2話 親友

 私が玄関に向かい扉を開けると、そこには


「やあ、おはようクリシア。今日も綺麗だね」


 と、そんなキザったらしいことを言ってくる男子が突っ立っていた。私はその姿を見ると、無言のまま扉を閉める。だけど


 ガシッ!


 と、扉の隙間から閉めるのを塞がれてしまった。そして隙間から覗いてくる男。なんであなたがここにいるのよ!


「ど、どうして閉めるんだい、クリシア!」


「それは閉めるでしょ! 親友が来たと思ったら、別に待っていない男が扉の前に立っていたんだから!」


「そ、そんな事を言わずに開けてくれ、ちゃ、ちゃんとエリアもい、いるから!」


 私は必死に扉を閉めるのを防ごうとする男の言葉を聞き、閉めるのをやめた。これでいなかったら、あんたの股間ブレイクしてやるんだから。


 そんな事を思いながら恐る恐る扉を開けると、そこには軽く息を荒げている男と、その少し後ろに、金髪の髪で、男性がみんな見るほど綺麗な丸いお尻ぐらいまでの長さの長髪で、胸が普通サイズの私より大きな綺麗な女性が立っていた。


 まあ、簡単に言えば、男性が10人中12人はすれ違ったら振り向くほどの美人って訳。


 女性の名前は、エリア・シーフレッド。シーフレッド伯爵家の長女で、私のライバルでもあり親友でもある。魔法が得意で中でも水・風・光が得意。


 そして、もう1人いる男の方が、デルス・マッカートニー。マッカートニー子爵家の次男で、まあチャラ男だけど、男の中だと学年で1番強かった。私やエリアには勝てなかったけど。


「おはようございます、クリシア。時間通り来たら、彼が立っていたもので、デルスも呼んだのかと思ったのですが」


「おはようエリア。デルスは全く呼んでないわ。って事で、デルス帰ってね」


「ちょっ!? 少しぐらい話を聞いてくれても……」


「チェストー!」


「ぐへっ!?」


 私が扉を開けてエリアを入れて、デルスを帰そうとしていたら、屋敷の中からドタバタッと走る音が聞こえて来て、私の横を通り過ぎる白い影。そしてその白い影は、そのまま一直線にデルスへと向かって、ドロップキックをかました。


 デルスは、予想外の攻撃に対処出来ずに、蹴り飛ばされ吹っ飛んだ。その反動で宙に舞う白い影は、空中でくるくると器用に回って、地面に立つ。白い影の正体は当然シロナだ。


 シロナは地面に立つと、吹き飛んだデルスに向かってビシッと指を指して、そして


「クリシアおば様を誑かす男は許しません! このシロナがチェストしま……にゃぁっ!?」


「ああっ! シロナちゃん、今日も可愛いですね! ふふっ、今日はシロナちゃんに似合いそうなドレスを何着か持って来ましたの! 全部着てください!」


 シロナがデルスに向かって、口上を述べているところに、背後からエリアががっしりと抱き着く。その事に驚いて毛が逆立っているシロナだけど、エリアは御構い無しにシロナを撫で回す。


 そしてそんな事を言いながらエリアは私を見てくるので、私はエリアに向かってグーサインを出す。私もシロナを一杯着せ替えたい!


 シロナの右側を私が掴み、左側をエリアが掴んで、シロナを連行。そのまま昼前まで、シロナの着せ替えショーを行なっていたのだった。


 シロナのドロップキックを顔面にモロに食らって気を失っていたデルスの事を気が付いたのも、丁度その頃だった。


 ◇◇◇


「うぅっ、みんな酷いよ。気を失っていた僕をそのままにして、楽しむなんて」


「普通にあなたの事忘れていたわ。まあ、お詫びにお昼奢るから許して頂戴。あなたのお金で」


「ちょっ、それ奢るとは言わないよ!? 結局僕が払ってるよそれ!?」


 悲痛な叫びをするデルスを放って、先を歩く私とエリアとシロナ。


 少しシロナの着せ替えショーで時間を使ってしまって時間が短くなってしまったので、どうせ買い物に行くのだから、そのままお昼も食べてしまおうという事になった。


 シロナは軽く疲れた表情をしている。少し撫で回しすぎたからしら。でも仕方ないわよね。どんな服を着ても可愛いシロナが悪いんだから!


 でも、少し可哀想なので、シロナが好きな魚料理の出る店に行きますか。


 商店街にあるシロナの好きな魚料理の出る店に行き、それぞれ料理を注文する。シロナは当然魚料理を。注文してから10分ほどで出て来た料理たち。


 シロナは魚を美味しそうに食べている。可愛いわね。私も見てないで食べますか。


 みんなで昼食を食べていると、周りからの話し声の中に、聞き捨てならない話が出て来た。聞き耳を立てていると


「神島の塔の話聞いたか?」


「ああ、昨日初めての階層に進んだんだよな。確かトップクランの『蒼天の盾』だよな」


「ああ。67階層のボス、デスリーパーを死者を出したが倒したらしいぜ」


 デスリーパー。死神のような風貌をしており、鎌を持って黒いローブを着たSランクに近いAランクの魔物で、魔法耐性がかなり高いアンデッドモンスター。


 アンデッドの弱点であるはずの光属性の魔法ですら耐性を持っているらしい。その上、デスリーパーの鎌は防御不可能というとんでもない能力を持っているとんでもない魔物。『蒼天の盾』6そんな魔物を倒したんだ。


「凄いですね。はぁ、早く私たちも神島に向かいたいです」


 今の話を聞いたエリアは、はふぅ〜、と溜息を吐きながらそんなことを呟く。学園にいた頃は私も同じように思っていたけど、今は違う。もう、我慢しなくても良いのだもの。


「ふふ、もう我慢しなくても良いじゃないエリア。エリアも両親から許可はもらっているのでしょ?」


「当然です。そうじゃないとここにはいませんよ」


 そう言って胸を張るエリア。でも、そう思うのはわかる。神島への目的は、私の名前を上げて、私を認めさせる事だけど、やっぱり冒険はワクワクするもの!


 神島の塔に挑むには、最低冒険者ランクがD無いと行けないという規則がある。そうじゃ無いと死人が増えるからだそうだ。


 冒険者ランクというのは、冒険者ギルドが決めた、その人の基準となるランクで、これも1番下がE、そこからD、C、B、A、Sと続く。


 Dは、最低限自分を魔物から守れる程度の強さを持っている者で、Cランクが大抵の冒険者が止まるランクになる。そこから上は才能が無いと難しいらしい。


 私が通っていた学園、カルディア学園は、成績優秀者で希望した者には、卒業と同時に冒険者ランクのDを貰う事が出来る。これのおかげで、私、エリア、ついでにデルスも卒業と同時に塔に挑む事が出来る。


 それから、興奮した私たちエリアは、塔に色々な思いを馳せながら、楽しい昼食を終えるのだった。さて、必要な物を買いに行きますか!

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