英雄の妹、最強を目指す!

やま

3話 ステータス☆

「うーん、迷宮で必要な物と言えば何かしら?」


 昼食を食べ終えた私たちは、色々な店が立ち並ぶ商店街を歩いていた。私とエリアは何を買うか話し合って、デルスは軽くなった財布に涙を流し、その元凶であるシロナはお腹をぽっこりと膨らませて苦しそうだ。


 デルスに奢ってもらえるとわかったシロナは、大好きな魚料理を3種類も頼んでたものね。よく食べ切れたと思うわ。


「ある程度のものは神島でも揃いますけど、こちらで買う方が安いですからね。向こうでは高いポーションなどはこちらで買って行く方がよろしいでしょう。私はアイテムポーチがありますし」


 エリアはそう言って、腰に下げているポーチを叩く。確かに安いものが買えるのに、わざわざ高い方を買う必要は無いわね。よっぽど急いで無い限り。


 それから私たちは様々な雑貨を買って行く。先程決めたポーションを。傷を癒すものから魔力を回復させるもの、逆に相手を毒状態や麻痺状態にさせるものもある。


 いつか使うだろうと、回復系を20本ずつ、状態異常系を10本ずつ買った。まああって損はしないから良いかな。


 それからは、魔力で光るランタンや、塔の中で寝泊まりできるようにテント、逃走用の煙幕玉とか。


 塔の中は真っ暗な部屋もあるらしいし、塔の中の転移陣は5階ごとにしか無いみたいだから、先を行く場合は中で寝泊まりしないといけない。煙幕玉はピンチな時に。


「こんなものかしら?」


「後は、神島に行ってから考えましょう。冒険しているうちに欲しいものは気付いていくと思いますし」


「それもそうね」


 さて、これからどうしようかしら。後は向こうに行ってから買うとして。挨拶回りは明日から始めるし。この後時間が空いちゃったわね。


「これからどうする、エリア?」


「んー、そうですね……それでは一旦帰りましょう。シロナちゃんも眠たそうですし」


 エリアの言葉を聞きシロナの方を見ると、眠たそうに目を擦っているシロナの姿があった。お腹いっぱいになって、暖かい日差しを浴びたから眠たくなったのかしら? ふふ、この辺はやっぱりまだ子供ね。


「そうね。一旦帰りましょうか。ほらシロナ、私の背中に乗って」


「あっ、それなら僕が背負うよ。僕の方が力あるし」


「ダメよ。デルスに背負わせたらどこを触るかわからないもの。ほらシロナ」


「あい」


 私が腰を下ろしてシロナを呼びかけると、シロナは私の背中に乗っかる。隣で「そんな事しないよ」と泣いているデルスは無視。


 私の背に乗ると、シロナは背中に顔を埋めて眠り始めた。耳がピクピク揺れて、首筋がこそばゆいけど、私の背で安心して眠ってくれる姿を見たら、そんな些細な事は気にならない。


 暖かい体温と可愛らしい重さを背に感じながら、屋敷へと帰って来た。そのままシロナの部屋へと行き、シロナをベッドへ寝かす。ベッドへ寝かせた瞬間、丸々シロナ。可愛い。


 軽くシロナの髪の毛を梳くってから部屋を出る。朝食事をした机には、エリアが座って本を読んでいた。デルスは今日は帰った。色々と準備があるからと。本当について来るのかしら?


「あら、クリシア。シロナちゃんはぐっすり?」


「ええ、猫みたいに丸まって寝ちゃった」


 私の言葉を聞いたエリアは笑い出すので、私もそれにつられて笑ってしまった。その時チラッと読んでいた本を見たら、塔に関しての本だった。学園にいた頃から2人で読んでいた本だ。私も今も読んでいる。


「そうです、クリシア。この塔の本の内容覚えていますか?」


「突然何よ? まあ、覚えているけど」


「ほら、この本の記載に、最低限あった方が良いステータスのレベルが載せられているじゃ無いですか? 今から自分たちのを確認しません?」


 そう言って自分のステータスを見せて来るエリア。私たちの世界では、女神アステル様の恩恵で、自分の能力値を数字で見る事が出来る。


 エリアのだと


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 エリア・シーフレッド 16歳  女 レベル12
 職業:カルディア学園卒業生
 体力:320
 魔力:840
 筋力:230
 敏捷:250
 物耐:140
 魔耐:420
 称号ー
 スキル:火魔法レベル4 風魔法レベル2 土魔法レベル2 体術レベル1 生活魔法レベル3 礼儀作法レベル5
 ========================


 と、こんな感じだ。


 名前、年齢、性別、レベルの順番で、次に能力の数値が表されている。体力が自分の生命力。0になれば死んでしまう。


 魔力が魔法を放つのに必要になる了解です。0になると気を失ってしまう。


 筋力はその名の通り、重たい物を持ったり、武器を扱う時に必要にる数値。


 敏捷は簡単に言うと、足の速さになる。高ければ高いほど、動きが素早くなる。


 物耐が敵の攻撃、殴る、蹴るなどの物理的な攻撃に対する防御力になる。高いほど、相手の物理的な攻撃は通りづらくなる。


 魔耐は、物耐の魔法バージョンだ。数値が高い程魔法に対する防御力が高くなる。


 次の称号は、何か成し遂げた時やある条件を満たすと、手に入るらしい。その称号に応じた能力を得る事が出来るらしい。


 最後にスキルは、今自分が使える能力になる。スキルにはレベルがあって、1〜2が初心者レベル。3〜4が普通レベル。5〜6が達人レベル。7〜8が最強レベル。9〜10が人外レベルって聞いた事があるわ。


 私も1度だけ、人外レベルの10を見た事があるけど、あれは凄かった。魔法だったのだけど、あの攻撃1つで、大地は焼け野原になって、数百といた魔物が全て消し飛んでしまったのだから。あの光景は、何度でも思い出せる。


「クリシアはどんな感じですか?」


 昔の事を思い出していたら、エリアが尋ねてくる。そうだ、エリアが見せてくれたのだから、私も見せないと。私はステータスと呟くと、出て来たのはこんな感じだ。


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 クリシア・ランウォーカー 16歳  女 レベル15
 職業:カルディア学園卒業生
 体力:760
 魔力:560
 筋力:470
 敏捷:490
 物耐:320
 魔耐:210
 称号:英雄の妹
 スキル:氷魔法レベル4 水魔法レベル3 光魔法レベル2 杖術レベル3 体術レベル2 身体強化レベル2 生活魔法レベル3 礼儀作法レベル4
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 エリアよりは平均的に高い。低いといえば魔力ぐらいかしら。私は杖を使った近距離から魔法での遠距離も出来る。魔法は、氷魔法が得意ね。


 それから付いている称号。


 英雄の妹:世界を救った英雄の妹。英雄の力のほんの一部を使う事が出来る。その際、英雄の許可が必要。


 と、いう称号だ。まあ、使うつもりは無いのだけど。自分自身の力をみんなに認めさせたいのに、レイヴェルトお兄様の力を使ったら意味が無いもの。


「私もクリシアも塔を挑む最低レベルは超えてはいますが……むむぅ、ステータスで負けています」


「別にステータスだけじゃ無いわよ。本番でしっかりと動くかどうかの方が重要だわ」


 それから、2人で塔の本を見ながら、どういう立ち位置で戦うや、陣形なんかを考えていたら、気が付いたら夜だった。


 シロナが起きている事にも気が付かずに、気が付いた時は、既に夕食が出来ていたりして。3人で夕食を食べて、もう夜も遅いので。エリアは邸に泊まる事になった。


 3人でお風呂に入って、流し合いっこをして、3人で川の字で寝る。暖かいシロナを私とエリアは抱き締めて、眠ったのだった。明日からの挨拶回り、頑張るぞ。

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