黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
254話 3通の手紙
「あっ! お帰りなさい、レディウス様! 遅かったですね……って、ロポさん!? どうしてここにいるのですか!?」
俺が帰って来た事に気が付いたロナが出迎えてくれると共に、ロナに飛びつくロポ。本来ならヘレネーたちと伯爵領にいるはずのロポがここにいる事にロナはかなり驚いている。まあ、俺も驚いたからその気持ちはわかる。
ロポを抱き締めて撫でているロナは、何かに気が付いたように鼻をくんくんとさせて、俺に近寄って来る。そして、俺の匂いを嗅ぎ始めた。な、なんだ?
「……レディウス様、お酒を飲んできましたね? それと、女の人の匂いがします。どこか遊びに行っていましたか?」
そして、そんな事をロナは言ってきたのだ。別に隠すような事ではないので、姉上たちの家に行った後に、酒を飲みに行った事を話す。女の子と話しながら飲む場所だったとは知らなかったと、忘れずに伝えて。ロナは半信半疑だったが、ロポを連れて奥へと戻っていった。
俺が飲みに入った店は、俺の持つ国の賓客としての証のバッジを近くを通った兵士に見せて、借金取りを捕まえさせた。
奴らも仕事なのだろうが、店で暴れられても迷惑だから、貴族に絡んだって事で捕まえてもらった。俺が貴族だと知った借金取りたちは顔を青くしていたが、まあ、兵士には1日ぐらい牢に入れたら解放するように伝えておいたから大丈夫だろう。後は店の問題だ。俺が口を出す事じゃない。
クーネたちとはそこでお別れとなったが、まあ、そのうち会いそうな予感はする。特にクーネは。姉上とも知り合いだしな。
「レディウス様、お水飲みます?」
店の事を考えながらリビングのソファーに座ったら、ロナが水を持って来てくれた。それを受け取っていると、ロナの足下にいたロポがとてとてと歩いて机の上に乗る。そして、背負って来たのであろう鞄を俺に見せて来る。見ろって事か。
水を飲み干しコップをロナに返してからロポが背負う鞄を漁る。鞄の中には手紙がいくつか入っていた。差出人ごとで分けているようだ。あるのは3通でヘレネー、パトリシア、クリスチャンだった。
ヴィクトリアは多分まだ王都にいるのだろう。セシルがいるし、王都にはベアトリーチェ様も残っているし一緒にいるのだろう。
俺は3通あるうちのまずヘレネーからの手紙の封を切った。内容はヘレスティアの成長についてや、近況報告などが書かれていたが、その中でも気になったのが、何者かに屋敷を襲撃されたというものだ。
兵士が何人か亡くなってしまったが、皆に怪我は無かったようで、侵入者の1人を捕らえて尋問中だと書いてある。俺がこの手紙を見ている頃にはある程度自白させているだろうと。最後に早く俺に会いたいと書いてあった。俺も早く会いたいよ、ヘレネー。
続いてパトリシアの手紙の封を切る。パトリシアの手紙の内容は、最初はヘレネーの時のように近況報告から始まり、色々な内容が書かれていた。ヘレネーが詳しく書いているが、パトリシアの手紙にも襲撃の事が書かれていた。
そして、パトリシアの手紙で1番気になったのが、獣人たちの体調の事についてだ。まだ手紙を書いた頃は数人ほどたったらしいのだが、何人か興奮して近くにいた異性を襲おうとしたらしい。
襲おうとしたのは、民たちではなく、兵士同士だったため、内々に処罰して話は済んでいるようだが、襲った獣人曰く、異性を見ると興奮して抑えられなかったと言っていたらしい。それは男女関係なく。医者が言うには発情期が来ているのではと診断されたらしい。
……これについては至急対策を取らないといけないな。ただでさえ、獣人たちと街の住民たちの間に壁があると言うのに、もし獣人が住民を襲えば、溝は深くなって埋める事が出来なくなる。なんらかの対処法を見つけないと。
新たに出て来た問題に頭を抱えながら、クリスチャンの手紙の封を切る。クリスチャンの手紙は俺がいない間の領地経営について色々と書かれていた。
終戦記念については陛下より遅らせるとの通知が来たため、予定日に向けて準備を行っているようだ。まあ、陛下も領主の俺がいないのをご存知だからな。いないのにやれとは言えないだろう。
それから気になったのが、伯爵領に黒髪の人たちが集まっていると書かれている事だ。生まれてからこれまで黒髪を見たのはロナとミレイだけだ。それほど、黒髪は少ない。
その黒髪の人たちが俺の領地に集まって来ているというのは、十中八九黒髪で伯爵まで成り上がった俺や、補佐としてついているロナ、元だが王妃の侍女としているミレイがいる領地だからだろう。
もしかしたら自分も、と思っているのかもしれない。確かに他の領地に比べれば差別はないが、同じ黒髪だからといって優遇するつもりは無い。
ロナやミレイたちのようにそれ相応の努力をして、なんらかしらの能力があるのなら良いのだが、同じ黒髪だから保護をしてくれ、と言いに来ているようならどうにかしないとな。
最終的な俺の目標は、黒髪だろうが何だろうが髪の色なんかで差別される事なく、認められるようにする事だが、それは努力している事が前提だ。
努力をしているのに黒髪だからと差別される事のないようにするのが俺のやりたい事であって、黒髪を優遇しろって事ではない。
「レディウス様、皆さまどのような事を書かれたいのですか?」
クリスチャンの手紙を最後まで読み切ると、いつの間にかロポを抱えてわしゃわしゃと撫でてているロナが尋ねてきた。
俺は3通の手紙をロナに渡す。ロナはロポを丁寧に下ろすと手紙を受け取って読んでいく。その間にロポは窓から何処かに行ってしまった。まあ、直ぐに帰ってくるだろう。
「……レディウス様、この手紙たちは」
「ああ、色々と問題が起こっているようだ。明日トルネス陛下に謁見して帰らせてもらおう」
休む暇はなさそうだ。
俺が帰って来た事に気が付いたロナが出迎えてくれると共に、ロナに飛びつくロポ。本来ならヘレネーたちと伯爵領にいるはずのロポがここにいる事にロナはかなり驚いている。まあ、俺も驚いたからその気持ちはわかる。
ロポを抱き締めて撫でているロナは、何かに気が付いたように鼻をくんくんとさせて、俺に近寄って来る。そして、俺の匂いを嗅ぎ始めた。な、なんだ?
「……レディウス様、お酒を飲んできましたね? それと、女の人の匂いがします。どこか遊びに行っていましたか?」
そして、そんな事をロナは言ってきたのだ。別に隠すような事ではないので、姉上たちの家に行った後に、酒を飲みに行った事を話す。女の子と話しながら飲む場所だったとは知らなかったと、忘れずに伝えて。ロナは半信半疑だったが、ロポを連れて奥へと戻っていった。
俺が飲みに入った店は、俺の持つ国の賓客としての証のバッジを近くを通った兵士に見せて、借金取りを捕まえさせた。
奴らも仕事なのだろうが、店で暴れられても迷惑だから、貴族に絡んだって事で捕まえてもらった。俺が貴族だと知った借金取りたちは顔を青くしていたが、まあ、兵士には1日ぐらい牢に入れたら解放するように伝えておいたから大丈夫だろう。後は店の問題だ。俺が口を出す事じゃない。
クーネたちとはそこでお別れとなったが、まあ、そのうち会いそうな予感はする。特にクーネは。姉上とも知り合いだしな。
「レディウス様、お水飲みます?」
店の事を考えながらリビングのソファーに座ったら、ロナが水を持って来てくれた。それを受け取っていると、ロナの足下にいたロポがとてとてと歩いて机の上に乗る。そして、背負って来たのであろう鞄を俺に見せて来る。見ろって事か。
水を飲み干しコップをロナに返してからロポが背負う鞄を漁る。鞄の中には手紙がいくつか入っていた。差出人ごとで分けているようだ。あるのは3通でヘレネー、パトリシア、クリスチャンだった。
ヴィクトリアは多分まだ王都にいるのだろう。セシルがいるし、王都にはベアトリーチェ様も残っているし一緒にいるのだろう。
俺は3通あるうちのまずヘレネーからの手紙の封を切った。内容はヘレスティアの成長についてや、近況報告などが書かれていたが、その中でも気になったのが、何者かに屋敷を襲撃されたというものだ。
兵士が何人か亡くなってしまったが、皆に怪我は無かったようで、侵入者の1人を捕らえて尋問中だと書いてある。俺がこの手紙を見ている頃にはある程度自白させているだろうと。最後に早く俺に会いたいと書いてあった。俺も早く会いたいよ、ヘレネー。
続いてパトリシアの手紙の封を切る。パトリシアの手紙の内容は、最初はヘレネーの時のように近況報告から始まり、色々な内容が書かれていた。ヘレネーが詳しく書いているが、パトリシアの手紙にも襲撃の事が書かれていた。
そして、パトリシアの手紙で1番気になったのが、獣人たちの体調の事についてだ。まだ手紙を書いた頃は数人ほどたったらしいのだが、何人か興奮して近くにいた異性を襲おうとしたらしい。
襲おうとしたのは、民たちではなく、兵士同士だったため、内々に処罰して話は済んでいるようだが、襲った獣人曰く、異性を見ると興奮して抑えられなかったと言っていたらしい。それは男女関係なく。医者が言うには発情期が来ているのではと診断されたらしい。
……これについては至急対策を取らないといけないな。ただでさえ、獣人たちと街の住民たちの間に壁があると言うのに、もし獣人が住民を襲えば、溝は深くなって埋める事が出来なくなる。なんらかの対処法を見つけないと。
新たに出て来た問題に頭を抱えながら、クリスチャンの手紙の封を切る。クリスチャンの手紙は俺がいない間の領地経営について色々と書かれていた。
終戦記念については陛下より遅らせるとの通知が来たため、予定日に向けて準備を行っているようだ。まあ、陛下も領主の俺がいないのをご存知だからな。いないのにやれとは言えないだろう。
それから気になったのが、伯爵領に黒髪の人たちが集まっていると書かれている事だ。生まれてからこれまで黒髪を見たのはロナとミレイだけだ。それほど、黒髪は少ない。
その黒髪の人たちが俺の領地に集まって来ているというのは、十中八九黒髪で伯爵まで成り上がった俺や、補佐としてついているロナ、元だが王妃の侍女としているミレイがいる領地だからだろう。
もしかしたら自分も、と思っているのかもしれない。確かに他の領地に比べれば差別はないが、同じ黒髪だからといって優遇するつもりは無い。
ロナやミレイたちのようにそれ相応の努力をして、なんらかしらの能力があるのなら良いのだが、同じ黒髪だから保護をしてくれ、と言いに来ているようならどうにかしないとな。
最終的な俺の目標は、黒髪だろうが何だろうが髪の色なんかで差別される事なく、認められるようにする事だが、それは努力している事が前提だ。
努力をしているのに黒髪だからと差別される事のないようにするのが俺のやりたい事であって、黒髪を優遇しろって事ではない。
「レディウス様、皆さまどのような事を書かれたいのですか?」
クリスチャンの手紙を最後まで読み切ると、いつの間にかロポを抱えてわしゃわしゃと撫でてているロナが尋ねてきた。
俺は3通の手紙をロナに渡す。ロナはロポを丁寧に下ろすと手紙を受け取って読んでいく。その間にロポは窓から何処かに行ってしまった。まあ、直ぐに帰ってくるだろう。
「……レディウス様、この手紙たちは」
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コメント
ノベルバユーザー287656
エリシアがヘレネーたちと同じように、妻となってくれー!!
エリシアとのラブをもっとみたいよー
黒の王
ヘレネーさんの時が懐かしいから違和感がすげーある