黒髪の王〜魔法の使えない魔剣士の成り上がり〜
152話 結婚式直前
俺に向かってお礼を言ってくるメレアーナ王女とパトリシア王女。そんなお礼を言われるような事は無いんだけどな……と、2人が来たのを聞いて来たのか、貴族たちが集まりだしたな。
「そんなお礼を言われるほどではありません。これからヴィクトリアには色々と迷惑をかけてしまうでしょうし。それよりもヴィクトリアに会ってやって下さい。彼女も喜ぶでしょうから」
「アルノード子爵はもうヴィクトリアたちの花嫁姿は見たのかい?」
「まだでしたら、旦那より先に見る事は出来ませんです。私たちはお父様たちと同じ部屋で待たせてもらうですよ」
「わかりました。ではマリー、陛下たちを案内して欲しい」
「わかりました。では陛下、皆様、こちらになります」
マリーが屋敷の中へと陛下たちを案内すると、入れ替わるようにヘレナがやって来た。頰が赤く興奮しているようだ。
「レディウス様!」
「お、おう、ヘレナ、どうしたんだ、そんなに慌てて」
「す、すみません、すぐに息を整えますので……ふぅ、これで大丈夫です。私が急いで来たのは、お2人の準備が出来たからです」
って、事はヘレネーとヴィクトリアの着替えが済んだのか。やば、なんかドキドキしてきた。ニヤニヤとしたガウェインに見送られながら屋敷の中を歩いていく。
俺はルシーナ後ろをついていくと、ヘレネーたちがいる部屋へとたどり着く。部屋の前にはミネルバが護衛として立っていた。
「これは主人様。その姿もカッコいいですね」
「あんまり慣れないだけどな。そう言ってもらえると嬉しいよ」
今の俺の格好はグレーのフロックコートを着ている。あまりこういうのは着ないから中々慣れないが、それでも褒めてもらえるのは嬉しいものだ。
「それで、2人は中かい?」
「ええ、主人様も見て驚きますよ」
ミネルバはそう言いながら扉を開けてくれる。中に入ると、壁際には次女たちが立っており、みんなが見惚れていた。俺もあまりの光景に固まってしまった。なぜならそこには
「あら、もう来たのレディウス? ふふ、少し恥ずかしいわね」
「え、ええ、トルネス王国でのパーティーでドレス姿は見せましたが、また雰囲気が違うので……」
女神のような2人が立っていたからだ。ヘレネーは自分の青髪より少し薄い水色のドレスを着ている。ヘレネーのスタイルが活かせるように、細めのドレスだ。
ヴィクトリアは、ヴィクトリアの好きな翡翠色のドレスを。肩紐は無く、胸元で支えるタイプのドレスで、ヴィクトリアの大きな谷間が凄い。
その胸元にはトルネス王国でヴィクトリアにあげたクローバーのエメラルドのネックレスが付けられている。
「ふふ、どうかしらレディウス?」
「そ、そんなじっと見られたら恥ずかしいですね」
俺が固まりながら2人を見ていたせいか、2人は少し頰を赤く染めて尋ねてくる。やばい、2人とも綺麗過ぎて何も言えなくなった。
「あ、ああ……2人とも綺麗過ぎて見惚れてしまったよ。2人とも女神のようだ」
俺が正直な感想を述べると、2人は顔を見合わせて、プッと笑い出した。何だよ、正直に感想を言っただけなのに。
「ふふ、ごめんなさい。あまりにも褒めるからつい。でも、愛しの人にそんな事言われたら、嬉し過ぎるわ」
「確かにですね。胸の奥がキュンッとなっちゃいました」
あー、やばい。このまま結婚式しないで、2人とイチャイチャしたい。そんな事を思いながら2人を見ていたら
「2人とも綺麗じゃないかい」
と、ミストレアさんも部屋に入って来た。当然ミストレアさんもドレス姿だ。紫色の妖艶なドレスだ。60代とは思えないほどの美貌。ヘレネーはこの人譲りの美人だな。
それから、みんなで話しているとあっという間に時間は、開始の時間へとなった。
その頃にはセプテンバーム公爵も夫人と一緒に部屋へとやって来て、ヴィクトリアを見て固まってしまった。夫人は既に何度かこの衣装姿を見ているので、物凄くニヤニヤとしている。
「どう、あなた。ヴィクトリア、物凄く綺麗でしょ?」
「……ああ、綺麗だ。まるで昔のセリアを見ているようだ」
セプテンバーム公爵はそれだけ言うと、天井を見上げたまま動かなくなってしまった。夫人はあらあらと笑っていて、ヴィクトリアも少し泣きそうな顔をしていたので、そう言う事なのだろう。
セプテンバーム公爵の頰を光る物が流れていっても、俺は見なかった。俺は何も見ていない。これが全てだ。
その後、セプテンバーム公爵が落ち着くのを待ってから、俺は先に会場へと移動する。会場で新郎が先に行き、新婦を待つのが普通だ。ヴィクトリアはセプテンバーム公爵と、ヘレネーはミストレアさんと。
2人の思い出に残る良い結婚式にしたいな。
◇◇◇
「ここが、アルノード子爵領か。やっぱり今日が結婚式だからか、かなり賑わっているな」
「そうだね。まあ、最近治安も良くなって来ているようだから、人口も増えているんじゃないかな? ……それより、いつもまで機嫌悪いのさ、ウィリアム」
「……別に悪くは無いさ。ただ、なんでこの私が子爵の結婚式なんかに参加しなければならないんだ?」
「ウィリアム、国王陛下が参加しているのに、お前が参加しないわけにはいけないだろ? ましてや、元とはいえ婚約者だったヴィクトリアの結婚式だ。お前は気にならないのか?」
「全く気にならないね。はぁ、つまらないな」
「そんなお礼を言われるほどではありません。これからヴィクトリアには色々と迷惑をかけてしまうでしょうし。それよりもヴィクトリアに会ってやって下さい。彼女も喜ぶでしょうから」
「アルノード子爵はもうヴィクトリアたちの花嫁姿は見たのかい?」
「まだでしたら、旦那より先に見る事は出来ませんです。私たちはお父様たちと同じ部屋で待たせてもらうですよ」
「わかりました。ではマリー、陛下たちを案内して欲しい」
「わかりました。では陛下、皆様、こちらになります」
マリーが屋敷の中へと陛下たちを案内すると、入れ替わるようにヘレナがやって来た。頰が赤く興奮しているようだ。
「レディウス様!」
「お、おう、ヘレナ、どうしたんだ、そんなに慌てて」
「す、すみません、すぐに息を整えますので……ふぅ、これで大丈夫です。私が急いで来たのは、お2人の準備が出来たからです」
って、事はヘレネーとヴィクトリアの着替えが済んだのか。やば、なんかドキドキしてきた。ニヤニヤとしたガウェインに見送られながら屋敷の中を歩いていく。
俺はルシーナ後ろをついていくと、ヘレネーたちがいる部屋へとたどり着く。部屋の前にはミネルバが護衛として立っていた。
「これは主人様。その姿もカッコいいですね」
「あんまり慣れないだけどな。そう言ってもらえると嬉しいよ」
今の俺の格好はグレーのフロックコートを着ている。あまりこういうのは着ないから中々慣れないが、それでも褒めてもらえるのは嬉しいものだ。
「それで、2人は中かい?」
「ええ、主人様も見て驚きますよ」
ミネルバはそう言いながら扉を開けてくれる。中に入ると、壁際には次女たちが立っており、みんなが見惚れていた。俺もあまりの光景に固まってしまった。なぜならそこには
「あら、もう来たのレディウス? ふふ、少し恥ずかしいわね」
「え、ええ、トルネス王国でのパーティーでドレス姿は見せましたが、また雰囲気が違うので……」
女神のような2人が立っていたからだ。ヘレネーは自分の青髪より少し薄い水色のドレスを着ている。ヘレネーのスタイルが活かせるように、細めのドレスだ。
ヴィクトリアは、ヴィクトリアの好きな翡翠色のドレスを。肩紐は無く、胸元で支えるタイプのドレスで、ヴィクトリアの大きな谷間が凄い。
その胸元にはトルネス王国でヴィクトリアにあげたクローバーのエメラルドのネックレスが付けられている。
「ふふ、どうかしらレディウス?」
「そ、そんなじっと見られたら恥ずかしいですね」
俺が固まりながら2人を見ていたせいか、2人は少し頰を赤く染めて尋ねてくる。やばい、2人とも綺麗過ぎて何も言えなくなった。
「あ、ああ……2人とも綺麗過ぎて見惚れてしまったよ。2人とも女神のようだ」
俺が正直な感想を述べると、2人は顔を見合わせて、プッと笑い出した。何だよ、正直に感想を言っただけなのに。
「ふふ、ごめんなさい。あまりにも褒めるからつい。でも、愛しの人にそんな事言われたら、嬉し過ぎるわ」
「確かにですね。胸の奥がキュンッとなっちゃいました」
あー、やばい。このまま結婚式しないで、2人とイチャイチャしたい。そんな事を思いながら2人を見ていたら
「2人とも綺麗じゃないかい」
と、ミストレアさんも部屋に入って来た。当然ミストレアさんもドレス姿だ。紫色の妖艶なドレスだ。60代とは思えないほどの美貌。ヘレネーはこの人譲りの美人だな。
それから、みんなで話しているとあっという間に時間は、開始の時間へとなった。
その頃にはセプテンバーム公爵も夫人と一緒に部屋へとやって来て、ヴィクトリアを見て固まってしまった。夫人は既に何度かこの衣装姿を見ているので、物凄くニヤニヤとしている。
「どう、あなた。ヴィクトリア、物凄く綺麗でしょ?」
「……ああ、綺麗だ。まるで昔のセリアを見ているようだ」
セプテンバーム公爵はそれだけ言うと、天井を見上げたまま動かなくなってしまった。夫人はあらあらと笑っていて、ヴィクトリアも少し泣きそうな顔をしていたので、そう言う事なのだろう。
セプテンバーム公爵の頰を光る物が流れていっても、俺は見なかった。俺は何も見ていない。これが全てだ。
その後、セプテンバーム公爵が落ち着くのを待ってから、俺は先に会場へと移動する。会場で新郎が先に行き、新婦を待つのが普通だ。ヴィクトリアはセプテンバーム公爵と、ヘレネーはミストレアさんと。
2人の思い出に残る良い結婚式にしたいな。
◇◇◇
「ここが、アルノード子爵領か。やっぱり今日が結婚式だからか、かなり賑わっているな」
「そうだね。まあ、最近治安も良くなって来ているようだから、人口も増えているんじゃないかな? ……それより、いつもまで機嫌悪いのさ、ウィリアム」
「……別に悪くは無いさ。ただ、なんでこの私が子爵の結婚式なんかに参加しなければならないんだ?」
「ウィリアム、国王陛下が参加しているのに、お前が参加しないわけにはいけないだろ? ましてや、元とはいえ婚約者だったヴィクトリアの結婚式だ。お前は気にならないのか?」
「全く気にならないね。はぁ、つまらないな」
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